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10年後の約束
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XNV2000は夜景に強い。撮るなら、間違いなく、夜景だろう。
拓海は休日返上でがむしゃらに仕事するタイプだと言っていた。もし、時間に追われる中、隙間時間で撮影を試みるなら、近所の夜景スポットへ出かけたのではないかと考えたのだが、それがつかさ公園なのかどうかは、行ってみてもわからなかった。
せめて、夜景の写真が一枚でもあれば、転落事故に遭う前の拓海の行動がわかるかもしれないのに。
「そっか。データ……」
光莉はハッとして、テレビラックの前に座り込む。ラックの中には、一台のノートパソコンが無造作に片付けられている。
拓海は二台のパソコンを所有している。一台は仕事用のノートパソコンで、そのパソコンさえあれば仕事復帰に支障がないと、もう一台の、パスワードがわからないパソコンはほったらかしにされている。
ということは、このノートパソコンは私用で使っていたものに違いない。拓海の部屋にはアルバムどころか、データのCDさえない。撮影した写真はすべて、この中にあるんじゃないだろうか。
早速、光莉はノートパソコンを引っ張り出すと、ローテーブルの上に乗せた。起動すると、ディスプレイにパスワード入力画面が現れる。
拓海はパスワードを覚えていない。メモにすら残していなかったそうだ。ならば、彼が絶対に忘れないと自信を持ったアルファベットの羅列がパスワードだろう。しかし、すでに何度もトライしたであろう彼ですら思い付かないパスワードが、光莉にわかるはずもない。
「ただいま、光莉」
いきなり、リビングのドアが開いて、拓海が入ってくる。光莉は驚いた。パソコンをあわてて閉じ、彼に駆け寄る。
「早かったね。もっとゆっくりしてくるかと思ってた」
「ん……、まあ」
歯切れの悪い返事が返ってくる。なんだろう。仕事の打ち合わせを兼ねた上司との食事会じゃなかったのだろうか。
「食事はしてきた?」
「してきたよ」
「上司の人、何か言ってた?」
「予定通り、来月から本格復帰。部署はとりあえず、前のまま。期待してるって言われたよ」
「そうなんだ? よかったね。元気ない顔してるから、心配しちゃった」
「それより、光莉は? パソコンなんて出してさ。仕事?」
リビングの中ほどへ進んだ拓海は、脱いだ上着をソファーの背に引っ掛けようとして、パソコンを二度見する。
「俺のパソコン?」
すぐに彼の視線がテレビラックに移る。
「あっ、うん、そう! パスワードがわからないって言ってたから、見てみようかなと思って。ごめんね、勝手に触って」
「いいけど。それで、わかった?」
「全然」
肩をすくめると、拓海は苦笑して、ローテーブルの前であぐらをかく。
「わかる?」
「んー、どうだろうな」
画面をじっと眺める彼の横にひざをつき、光莉ものぞき込む。まったく思い浮かばないのか、キーボードに乗せた指が動く気配はない。
「ねぇ、拓海」
「ん?」
「現像した写真ってないの?」
「俺のカメラの? ……たぶん、ない」
首をひねった彼は、しばらく考えたあと、そう答える。
「ないの?」
「カメラに入れっぱなしがほとんど。気に入った写真があれば、どっかにデータを残してるかもしれないけどな。引越しの荷物に現像した写真はなかったから、そうじゃないかなって思ってるだけなんだけどさ」
拓海は休日返上でがむしゃらに仕事するタイプだと言っていた。もし、時間に追われる中、隙間時間で撮影を試みるなら、近所の夜景スポットへ出かけたのではないかと考えたのだが、それがつかさ公園なのかどうかは、行ってみてもわからなかった。
せめて、夜景の写真が一枚でもあれば、転落事故に遭う前の拓海の行動がわかるかもしれないのに。
「そっか。データ……」
光莉はハッとして、テレビラックの前に座り込む。ラックの中には、一台のノートパソコンが無造作に片付けられている。
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ということは、このノートパソコンは私用で使っていたものに違いない。拓海の部屋にはアルバムどころか、データのCDさえない。撮影した写真はすべて、この中にあるんじゃないだろうか。
早速、光莉はノートパソコンを引っ張り出すと、ローテーブルの上に乗せた。起動すると、ディスプレイにパスワード入力画面が現れる。
拓海はパスワードを覚えていない。メモにすら残していなかったそうだ。ならば、彼が絶対に忘れないと自信を持ったアルファベットの羅列がパスワードだろう。しかし、すでに何度もトライしたであろう彼ですら思い付かないパスワードが、光莉にわかるはずもない。
「ただいま、光莉」
いきなり、リビングのドアが開いて、拓海が入ってくる。光莉は驚いた。パソコンをあわてて閉じ、彼に駆け寄る。
「早かったね。もっとゆっくりしてくるかと思ってた」
「ん……、まあ」
歯切れの悪い返事が返ってくる。なんだろう。仕事の打ち合わせを兼ねた上司との食事会じゃなかったのだろうか。
「食事はしてきた?」
「してきたよ」
「上司の人、何か言ってた?」
「予定通り、来月から本格復帰。部署はとりあえず、前のまま。期待してるって言われたよ」
「そうなんだ? よかったね。元気ない顔してるから、心配しちゃった」
「それより、光莉は? パソコンなんて出してさ。仕事?」
リビングの中ほどへ進んだ拓海は、脱いだ上着をソファーの背に引っ掛けようとして、パソコンを二度見する。
「俺のパソコン?」
すぐに彼の視線がテレビラックに移る。
「あっ、うん、そう! パスワードがわからないって言ってたから、見てみようかなと思って。ごめんね、勝手に触って」
「いいけど。それで、わかった?」
「全然」
肩をすくめると、拓海は苦笑して、ローテーブルの前であぐらをかく。
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