あなたと恋ができるまで

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ずっと愛してた

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***


 約束の時間より30分早くレストンホテルのロビーへ到着すると、先に来ていた絵美が、私に気付いて手を振った。

「ショウさんは、まだだよね?」

 ロビーの中がよく見渡せる端に移動して、絵美に尋ねる。

「うん、まだ。10分前ぐらいには来るって言ってたけど。あー、なんか、緊張しちゃう。千秋に来てもらってよかったー」
「大げさ。大丈夫だって。じゃあ、私は入り口に近い席に座るから、絵美は奥の席に座ったら?」
「ちゃんと見えるとこにいてよー」
「わかってるって」

 すごく不安そうにそわそわする絵美に、ちょっと笑っちゃう。全然興味ない人だったら、もっと冷静でいるはず。きっと本当に好印象の相手なんだろう。

「じゃあ、先に行くね」
「途中で一度抜けてね。様子聞かせて」

 うなずく絵美の背中を見送る。

 私もはじめて彰さんに会う日はどきどきしてただろうか。それほど昔のことじゃないのに、全然思い出せない。大知くんと出会った日のことは、鮮明に覚えてるのに。

 彼女がラウンジに入るのを確認して、私も続いた。入り口近くの席がいいと指定して、絵美の見える場所に座る。

 彼女はちょっと私に手を振った後、ラウンジの入り口に視線を移して、ハッと表情を変えた。ショウさんが到着したんだろう。

 私も、入り口へ目を向けた。ラウンジスタッフの出迎えを受けた紳士が、穏やかに微笑んで、絵美に手を挙げてみせる。

 私はとっさにうつむいて、髪をかき上げる仕草をしながら、手のひらで顔を隠した。

 席の真横を、紳士が通っていく。胸がどきどきしていた。

 まさか……、そんな……。

 振り返って、紳士に頭を下げる絵美を見る。そして、彼女が見つめる紳士の横顔に視線を移す。

 その横顔には見覚えがあった。
 私がマッチングアプリで出会った、彰さんだった。
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