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強欲な甘い結婚
プレゼントを買いに(1)
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***
「つばさちゃん、お客様も落ち着いたし、そろそろ休憩いいわよー」
お客様の見送りから戻ってきた美梨さんに声をかけられた私は、ちょうど伝票を片付け終えたところだった。
「美梨さん、ちょっとデパートまで行ってきます。お願いがあるんですけど、1時間、休憩いただいてもいいですか?」
「用事? 別にいいわよ。夕方の休憩はなくなっちゃうけど」
「はい、大丈夫です。急いで、行ってきますね」
時計を気にしながら、裏口へ向かおうとすると、美梨さんに呼び止められた。
「何かあったの?」
「あ、ちょっと、約束があって……」
「約束って、誰とー? 場合によっては、少しぐらい遅れても大丈夫よ?」
「あの、実は……、海堂さんに会うんですけど」
おずおずと言う。
美梨さんには、佑磨さんとデートしてることは話してない。寝耳に水だったのか、彼女は目を丸くして驚きの声をあげた。
「えぇーっ、海堂さん? 何かあったの? ブレスレットの件?」
どうやら、販売した商品に不具合があったんじゃないかって心配したみたい。
「そうじゃなくて、ネックレスを……」
「ネックレス? ブレスレットじゃなくて?」
きょとんとする美梨さんに、思い切って、告白する。
「今から、ネックレスをプレゼントしてくださるそうなんです。すぐに選んでくるので、なるべく早く戻ります」
佑磨さんの勤務するオフィスは、駅前タワーの上層階にあり、タワーに入るデパートで待ち合わせしてる。
休憩に入る時間はその日によって違うから、別の日でも大丈夫と言ったのだけど、だいたいの時間に合わせて天ヶ瀬さんを迎えに行かせる、と言っていた。
彼はそれに合わせてデパートまで降りてくるらしく、1時間でも時間が足りるのか不安ではあった。
もしかしたら、ちょっと時間をオーバーしてしまうかもしれない。小さな保険をかけるつもりで、「断りきれなくて」と言うと、美梨さんの目はますます点になった。
「それって、海堂さんとデートってこと? いやだ、週末にゆっくりデートしたらいいのに」
「私もそう思うんですけど……」
週末まで待てないというのだから、仕方ない。
「まあでも、海堂さんのお誘いなら断れないわよね。でもでもいいじゃないー。ゆっくりしてきてなんて言えないけど、少しぐらいなら大目に見るわよ」
「すみません。遅れないように戻りますから」
ぺこりと頭を下げて、裏口を飛び出す。
通りに、見慣れた高級車がすでに停車していた。約束通り、天ヶ瀬さんが迎えに来てくれたみたい。
「お待たせしました。よろしくお願いします」
あんども束の間、あわてて車に乗り込むと、天ヶ瀬さんは、「焦らずとも大丈夫ですよ」と、ゆったりとした口調で言ってくれる。
彼の温度と空気感で生きるのは、居心地がいい。きっと、佑磨さんの妻になる人にも、このぐらいの余裕がないといけないのだろう。
深呼吸をして、息を整える。心を落ち着けて、天ヶ瀬さんになら相談できるだろうと、口を開く。
「海堂さんからのプレゼント、受け取っても大丈夫でしょうか。私まだ、勇気が出なくて」
「将来は海堂リゾートを受け継ぐ佑磨さんだからですか?」
「……はい、それはあると思います」
結婚をちらつかされたら、ただお付き合いするのとは違うと思う。お付き合いするだけでも、ハードルが高い人なのに。
「そういうことでしたら、問題ありません。つばささんを立派な奥様にするのも、私の仕事ですから」
「やっぱり、このままではいけませんよね……?」
母には厳しくしつけられてきたけれど、私の教養なんて、天ヶ瀬さんの足もとにも及ばない。
「佑磨さんをお好きになってくださるのでしたら、これ以上の資質はないと考えていますよ」
「結婚を反対されるかもしれません」
やっぱり、話そう、あのことを。何も知らないから、天ヶ瀬さんも佑磨さんも、簡単に結婚できるなんて言うのだ。
「反対する理由がありません。自信を持って、佑磨さんを受け止めてあげてください」
きっぱり言われても、すんなりと前向きになれなくて、佑磨さんにすべてを話そうと、改めて心に決めた。
「つばさちゃん、お客様も落ち着いたし、そろそろ休憩いいわよー」
お客様の見送りから戻ってきた美梨さんに声をかけられた私は、ちょうど伝票を片付け終えたところだった。
「美梨さん、ちょっとデパートまで行ってきます。お願いがあるんですけど、1時間、休憩いただいてもいいですか?」
「用事? 別にいいわよ。夕方の休憩はなくなっちゃうけど」
「はい、大丈夫です。急いで、行ってきますね」
時計を気にしながら、裏口へ向かおうとすると、美梨さんに呼び止められた。
「何かあったの?」
「あ、ちょっと、約束があって……」
「約束って、誰とー? 場合によっては、少しぐらい遅れても大丈夫よ?」
「あの、実は……、海堂さんに会うんですけど」
おずおずと言う。
美梨さんには、佑磨さんとデートしてることは話してない。寝耳に水だったのか、彼女は目を丸くして驚きの声をあげた。
「えぇーっ、海堂さん? 何かあったの? ブレスレットの件?」
どうやら、販売した商品に不具合があったんじゃないかって心配したみたい。
「そうじゃなくて、ネックレスを……」
「ネックレス? ブレスレットじゃなくて?」
きょとんとする美梨さんに、思い切って、告白する。
「今から、ネックレスをプレゼントしてくださるそうなんです。すぐに選んでくるので、なるべく早く戻ります」
佑磨さんの勤務するオフィスは、駅前タワーの上層階にあり、タワーに入るデパートで待ち合わせしてる。
休憩に入る時間はその日によって違うから、別の日でも大丈夫と言ったのだけど、だいたいの時間に合わせて天ヶ瀬さんを迎えに行かせる、と言っていた。
彼はそれに合わせてデパートまで降りてくるらしく、1時間でも時間が足りるのか不安ではあった。
もしかしたら、ちょっと時間をオーバーしてしまうかもしれない。小さな保険をかけるつもりで、「断りきれなくて」と言うと、美梨さんの目はますます点になった。
「それって、海堂さんとデートってこと? いやだ、週末にゆっくりデートしたらいいのに」
「私もそう思うんですけど……」
週末まで待てないというのだから、仕方ない。
「まあでも、海堂さんのお誘いなら断れないわよね。でもでもいいじゃないー。ゆっくりしてきてなんて言えないけど、少しぐらいなら大目に見るわよ」
「すみません。遅れないように戻りますから」
ぺこりと頭を下げて、裏口を飛び出す。
通りに、見慣れた高級車がすでに停車していた。約束通り、天ヶ瀬さんが迎えに来てくれたみたい。
「お待たせしました。よろしくお願いします」
あんども束の間、あわてて車に乗り込むと、天ヶ瀬さんは、「焦らずとも大丈夫ですよ」と、ゆったりとした口調で言ってくれる。
彼の温度と空気感で生きるのは、居心地がいい。きっと、佑磨さんの妻になる人にも、このぐらいの余裕がないといけないのだろう。
深呼吸をして、息を整える。心を落ち着けて、天ヶ瀬さんになら相談できるだろうと、口を開く。
「海堂さんからのプレゼント、受け取っても大丈夫でしょうか。私まだ、勇気が出なくて」
「将来は海堂リゾートを受け継ぐ佑磨さんだからですか?」
「……はい、それはあると思います」
結婚をちらつかされたら、ただお付き合いするのとは違うと思う。お付き合いするだけでも、ハードルが高い人なのに。
「そういうことでしたら、問題ありません。つばささんを立派な奥様にするのも、私の仕事ですから」
「やっぱり、このままではいけませんよね……?」
母には厳しくしつけられてきたけれど、私の教養なんて、天ヶ瀬さんの足もとにも及ばない。
「佑磨さんをお好きになってくださるのでしたら、これ以上の資質はないと考えていますよ」
「結婚を反対されるかもしれません」
やっぱり、話そう、あのことを。何も知らないから、天ヶ瀬さんも佑磨さんも、簡単に結婚できるなんて言うのだ。
「反対する理由がありません。自信を持って、佑磨さんを受け止めてあげてください」
きっぱり言われても、すんなりと前向きになれなくて、佑磨さんにすべてを話そうと、改めて心に決めた。
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