強欲御曹司の溺愛

水城ひさぎ

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強欲な甘い懐妊

幸せな日々

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***


 3年後___

 デザイン工房の一室で、ネックレスのデザインを描いていた。

 南麻布にある佑磨さんの実家のそばに自宅を購入したのは2年前。その一角に工房を建て、去年、私のブランドを立ち上げた。

 ブランド名は、ツバサ・ニシカワ。

 海堂の名を選ばなかったのは、私に誇りを与えたいという、佑磨さんの優しさだった。

 ツバサ・ニシカワブランドのオーダーメイドアクセサリーは、若い女性を中心に人気を博している。

 それもこれも、海堂グループのバックアップのおかげで、私はひたむきに仕事に打ち込む毎日を過ごすばかりだ。

「つばさ、少しは休んだらどうだ?」

 ドアがノックされたあと、聞き慣れた声が背中にかかる。

「来月から少しお休みいただくでしょう? だから、もうちょっと」

 工房を訪ねてきた佑磨さんを振り返る。

 彼は「がんばりすぎだよ」と笑んで、腕に抱いたきょうを足もとに下ろす。

「ママっ」

 2歳になる恭は、私のもとへ駆けてくると、足に抱きついてくる。

 やんちゃで甘えん坊な、佑磨さんによく似た男の子。眠たいはずなのに、まだまだ元気いっぱい。体力まで彼譲りみたい。

「お父さんにたくさん遊んでもらったの?」

 恭を抱き上げて尋ねると、彼は「うん」とうなずいて、私のお腹をそっとなでる。最近の恭は、ふくらんだお腹に興味津々の様子だ。

「もうすぐだな」

 佑磨さんも私の前へ片ひざをつき、お腹をゆるりとなでた。

「楽しみですね」

 お腹の子は女の子だろうって言われてる。明日菜あすなと名付けようって、前から決めている。

「今度はどっちに似てるだろうな」

 恭は佑磨さんの小さい頃に瓜二つだと、彼のご両親もびっくりして笑っていたんだっけ。

 すごく喜んでくれたのを覚えている。明日菜が生まれたら、同様に喜んでくれるだろう。

「どちらでも」
「つばさに似た子なら、とんでもなくかわいいだろう」
「佑磨さんに似ても、美人さんになりますね」
「それは困るな」

 照れくさそうに彼は笑い、恭ごと私を抱きしめる。

 年々、彼は優しくなって、私を甘やかしてばかりいる。

 佑磨さんは私と恭のほおに、それぞれ触れるだけのキスをした。

 くすぐったそうにする恭は、彼の首に抱きついて、同じように私たちのほおにキスをした。

 そんな恭をほほえましく見つめる私の後ろ頭を押さえ、彼はひたいを合わせてくる。

 工房に差し込む、穏やかな春の日差しが、私たちを優しく包み込んでいる。

「つばさ、ありがとう。つばさと恭と、お腹の子を愛せる俺は幸せものだ」

 私も、恭と彼の背中に腕を回す。

「私も幸せです。どうぞ、これからもよろしくお願いします」





【完】
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