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第二話 御影家には秘密がありました
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杉野八枝さんのお宅から帰宅したその日の夜から身体の異変は感じていた。
それは小さな痛みから始まった。当初、腹部の奥の方からじわじわと湧き上がる痛みの正体は月のものだろうかと思っていたが、異変を感じてから一週間が経った今では痛みが背中を通って這い上がり、肩に何かがずしりと乗っているようになっていた。
立ち上がるたびに、ずんっ、と重たく何かがのしかかってくる身体を引きずるようにして寝室をそっと出る。かつて自室だった和室は模様替えを終え、誠さんと過ごす寝室となっている。
引き戸をそろそろと閉める奥では、気持ち良さそうな寝顔を見せる誠さんの姿がある。
寝返りを打つ彼の背中を眺めながら、ぴたりと引き戸を閉める。
誠さんにいらない心配をかけてはいけない。そう思うからこそ、身体の異変をさとられてはいけないし、なんとかしなければならないと焦る気持ちもあった。
洗面所に入ると、急激な吐き気を催し、洗面台のへりに手をかけると前かがみになった。何度かえずくが、漏れるのは、はぁはぁ、という息ばかりで嘔吐することはない。
しばらく洗面台に寄りかかっていると胸のあたりのもやもやが消えていく。すると不思議と身体の重さも取れる。
ようやく普段通りに動けるようになると、顔を洗って寝室へ戻った。誠さんはまだ眠っていて、私も布団にもぐった。
疲労感を少し癒したくて横になりたかった。それだけだったが、まぶたを落としたらすぐに眠りにいざなわれた。
それは思いがけないほどの深い眠りだったようで、次に目覚めたときには誠さんが朝食を作って待っていてくれていた。
杉野八枝さんのお宅から帰宅したその日の夜から身体の異変は感じていた。
それは小さな痛みから始まった。当初、腹部の奥の方からじわじわと湧き上がる痛みの正体は月のものだろうかと思っていたが、異変を感じてから一週間が経った今では痛みが背中を通って這い上がり、肩に何かがずしりと乗っているようになっていた。
立ち上がるたびに、ずんっ、と重たく何かがのしかかってくる身体を引きずるようにして寝室をそっと出る。かつて自室だった和室は模様替えを終え、誠さんと過ごす寝室となっている。
引き戸をそろそろと閉める奥では、気持ち良さそうな寝顔を見せる誠さんの姿がある。
寝返りを打つ彼の背中を眺めながら、ぴたりと引き戸を閉める。
誠さんにいらない心配をかけてはいけない。そう思うからこそ、身体の異変をさとられてはいけないし、なんとかしなければならないと焦る気持ちもあった。
洗面所に入ると、急激な吐き気を催し、洗面台のへりに手をかけると前かがみになった。何度かえずくが、漏れるのは、はぁはぁ、という息ばかりで嘔吐することはない。
しばらく洗面台に寄りかかっていると胸のあたりのもやもやが消えていく。すると不思議と身体の重さも取れる。
ようやく普段通りに動けるようになると、顔を洗って寝室へ戻った。誠さんはまだ眠っていて、私も布団にもぐった。
疲労感を少し癒したくて横になりたかった。それだけだったが、まぶたを落としたらすぐに眠りにいざなわれた。
それは思いがけないほどの深い眠りだったようで、次に目覚めたときには誠さんが朝食を作って待っていてくれていた。
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