冥婚の花嫁は義弟に愛を注がれる

水城ひさぎ

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寄り添う心に新たな出会い

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「運転してた人の顔、見た?」
「うん」
「どんな人?」
「若い男の人だよ。いつも一人。惣一郎さんの知り合いなら、中に入るでしょ? でも、違うの。門の前をうろうろして、私に気づくと帰っていくの」

 ということは、その不審な男は伊吹と顔を合わせているのだ。

「伊吹の方こそ大丈夫? 飯田いいださんに送迎してもらう?」

 飯田さんは綾城家の専属運転手だ。事情を話せば、伊吹の送迎を優先してくれるだろう。

「そう思ってたんだけど、ここ一週間ぐらい、見かけないんだよねー。だから、大丈夫かって思って」
「急に来なくなるなんて、それも怖いじゃない。今日は部活ないの?」
「あるある、午後から」
「じゃあ、飯田さんに送迎してもらいなさい」
「お姉ちゃん、今から病院でしょ? 飯田さんに送ってもらうんじゃないの?」
「タクシーで行くわ」
「ほんとー? じゃあ、送ってもらおっかな。今日、めちゃくちゃ寒いし」

 腕をさする仕草をした伊吹は、現金に舌を出す。全然、危機感はないみたい。若い男というのだから、怖そうな人に見えなかったのだろう。

 早速、伊吹はリビングに駆け込んでいくと、「お姉ちゃん、タクシーで行くんだってー。お母さん、タクシー呼んでー」と、叫んだ。



 外に出ると、門の前に停めた車の横で、飯田さんが待っていた。私を見つけるとすぐ、頭を下げる。

「飯田さん、ごめんなさい。予定の変更をお願いしたいの。午後から、伊吹を学校まで送ってくださらないかしら。帰りは何時になるかわからないので、伊吹から聞いてください」
「承知しました。しかし、伊吹お嬢さまがどうかされたのですか?」

 飯田さんは私が生まれる前から、綾城家で働いている。家族のような存在で、急な予定変更も、いつも快く受けてくれる。

「飯田さんはご存知ないかしら。不審な青い車が、よく西園寺家の前をうろついてるとか」
「うろついてるかは存じ上げませんが、確かに青い車は時折見かけます。今日は見ていませんが」

 疑ったわけではないが、やはり、伊吹の見間違いでもないようだ。

「伊吹が怖がっているので、しばらく送迎してあげてください」
「つゆりお嬢さまはどうされますか? お時間が許すなら、お送りしますが」
「もうタクシーを呼んでしまったみたい。伊吹って、せっかちでしょう?」

 くすりと笑うと、飯田さんも柔らかな笑みを浮かべる。そうしているうちに、天音が呼んでくれたのだろうタクシーが、綾城邸の前へ到着した。

 私はすぐにタクシーへ乗り込むと、「さわやま病院までお願いします」と、告げた。
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