冥婚の花嫁は義弟に愛を注がれる

水城ひさぎ

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隠し切れぬ思いの未来

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 出迎えに現れたのは、お手伝いの冨永さんだった。あいかわらずの無表情で、「みなさま、すでにおそろいです」とだけ言うと、私たちを客間に案内した。

 そろっているとは、なんだろう。私たち以外にも、誰か来ているのだろうか。言われてみれば、玄関に色も形もさまざまな靴が置かれていたような気がする。

 天音も疑問に思ったのか、私と目を合わせたが、冨永さんが客間のふすまを開けると、すぐに厳しい表情で中へと進んだ。

 天音に続いた私は、先客を前にし、わずかに息を飲んだ。想像し得る範囲ではあったものの、思いがけない客人が集められていた。

 西園寺武彦と目が合うと、あわててまぶたを伏せて、天音の隣へ腰を下ろした。

「さて、みなさま、すべておそろいになりましたので始めましょう。本日は、惣一郎のことでお集まりくださり、感謝申し上げます。では、順にご紹介しましょうか。……冨永さん、ちょっと。ご紹介を」

 武彦は、客間の面々を見渡したあと、口火をきる。

「かしこまりました。僭越ながら、冨永がご紹介させていただきます」

 武彦の側にひかえた冨永さんは、座卓を囲む人々を、時計回りに紹介した。

「こちらが、さわやま病院沢山征吾せいご院長、そのお隣が、松室とおる弁護士、そして、岩山颯太様、勅使河原すみれ様、勅使河原叶羽様、そちらが綾城天音様、綾城つゆり様、手前におられるのは、桐生千隼様でございます」
「ありがとう、冨永さん。では、本日お集まりいただきましたのは、惣一郎と、西園寺の跡取りに関する重要な話があってのことです」

 武彦は気丈に言うと、颯太へと目を移す。

「まずは、みなさん、岩山さんの話を聞いてください。それから、私の方ですべてお話します。よろしいですか?」

 私は不安になって、隣に座る千隼さんの様子をうかがった。

 彼は微動だにせず、まっすぐ颯太を見ている。何かあれば、彼は必ず動く。そんな気がして、私も黙って颯太へ視線を向けた。

「では、岩山さん、惣一郎とどのようなご関係があるのか、みなさんの前でお話願えますか?」

 武彦がうながすと、緊張ぎみに正座していた颯太が、ほおを強ばらせたまま、ごくりとつばを飲み込んだ。

「あー、すみません。岩山颯太と言います。惣一郎とは大学時代のサークル仲間で、10年来の友人です。隣にいるすみれちゃん……あ、いや、勅使河原さんは、惣一郎を通じて知り合った友人です」
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