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隠し切れぬ思いの未来
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「惣一郎に会えないかと、何度か西園寺さんのお屋敷を見張りました。どうにも会えないから、綾城堂を訪ねたんです。とにかく、事を動かさないとって、焦ってました。すみません……」
「惣一郎さんと会えないからって、つゆりを巻き込んだんですね」
「それは、本当に申し訳なく思ってます。でも、惣一郎は勅使河原さんを大切にしてたし、叶羽のためにも、やっぱりふたりは結婚するべきだって思ったんです。綾城さんが結婚をあきらめてくれたら、なんとかなるんじゃないかって思いました」
思慮の浅さに、天音は声をあげる。
「まあ、あきれた。あまりにも身勝手ですよ、あなた方は。惣一郎さんは入院してるんですよ。連絡が取れないのは、そのためです」
「えっ……、入院? 惣一郎さん、どこか具合が?」
パッと、すみれが顔をあげた。本当に何も知らないのだ、彼女は。それを確信できる表情だった。
「あなたに心配してもらわなくても結構です」
ぴしゃりと、天音が言うと、「綾城さん、落ち着いて」と、武彦がなだめる。
「これが落ち着いていられますか。これでは、あまりにつゆりが不憫でなりません。惣一郎さんも惣一郎さんですよ。西園寺さん、まさか、あなたも知っていたわけじゃないでしょうね」
「惣一郎は秘密主義なのでね。私も知りませんでしたよ。惣一郎は、つゆりさんを幸せにする、ことあるごとにそう言っていましたから」
「それで、惣一郎さんの具合はどうなんです? これでは、四月の結婚は延期するしかありませんよね」
天音に詰め寄られた武彦は、私と千隼さんを交互に見やり、苦しげに息をついた。
「そのことなんですがね、もう、こうなっては公にするしかないと思っています。つゆりさんと桐生さんには迷惑をかけた。私の一存で、あることをお願いしていたのですが、おふたりには何も聞かないでやってください。それだけはお願いします」
武彦は、座卓に手をつくと、この通り、と深く頭を下げた。
西園寺家当主の叩頭に、天音も今は身を引くしかないと、口をつぐむ。
「沢山くん、診断書をここへ」
武彦の合図で、沢山は鞄から取り出した書類を座卓の上へ置いた。その用紙を、全員に見えるように中央へ差し出した武彦は、失意に満ちた様子で言う。
「死亡診断書です。惣一郎は死にました」
「え……」
驚きの声をあげた天音は、診断書を手に取り、何度も何度も用紙を確認する。
「死んだ……?」
そうつぶやいたのは、すみれだった。
「惣一郎さんと会えないからって、つゆりを巻き込んだんですね」
「それは、本当に申し訳なく思ってます。でも、惣一郎は勅使河原さんを大切にしてたし、叶羽のためにも、やっぱりふたりは結婚するべきだって思ったんです。綾城さんが結婚をあきらめてくれたら、なんとかなるんじゃないかって思いました」
思慮の浅さに、天音は声をあげる。
「まあ、あきれた。あまりにも身勝手ですよ、あなた方は。惣一郎さんは入院してるんですよ。連絡が取れないのは、そのためです」
「えっ……、入院? 惣一郎さん、どこか具合が?」
パッと、すみれが顔をあげた。本当に何も知らないのだ、彼女は。それを確信できる表情だった。
「あなたに心配してもらわなくても結構です」
ぴしゃりと、天音が言うと、「綾城さん、落ち着いて」と、武彦がなだめる。
「これが落ち着いていられますか。これでは、あまりにつゆりが不憫でなりません。惣一郎さんも惣一郎さんですよ。西園寺さん、まさか、あなたも知っていたわけじゃないでしょうね」
「惣一郎は秘密主義なのでね。私も知りませんでしたよ。惣一郎は、つゆりさんを幸せにする、ことあるごとにそう言っていましたから」
「それで、惣一郎さんの具合はどうなんです? これでは、四月の結婚は延期するしかありませんよね」
天音に詰め寄られた武彦は、私と千隼さんを交互に見やり、苦しげに息をついた。
「そのことなんですがね、もう、こうなっては公にするしかないと思っています。つゆりさんと桐生さんには迷惑をかけた。私の一存で、あることをお願いしていたのですが、おふたりには何も聞かないでやってください。それだけはお願いします」
武彦は、座卓に手をつくと、この通り、と深く頭を下げた。
西園寺家当主の叩頭に、天音も今は身を引くしかないと、口をつぐむ。
「沢山くん、診断書をここへ」
武彦の合図で、沢山は鞄から取り出した書類を座卓の上へ置いた。その用紙を、全員に見えるように中央へ差し出した武彦は、失意に満ちた様子で言う。
「死亡診断書です。惣一郎は死にました」
「え……」
驚きの声をあげた天音は、診断書を手に取り、何度も何度も用紙を確認する。
「死んだ……?」
そうつぶやいたのは、すみれだった。
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