冥婚の花嫁は義弟に愛を注がれる

水城ひさぎ

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隠し切れぬ思いの未来

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 あのとき、惣一郎さんは私の芯の強さを笑ったんだった。そうも正直に話す必要はないと。彼にとっても、気が楽になる告白だったのかもしれない。

 私たちはお互いに裏切っていた。言わば、運命共同体になれた瞬間だったのだろう。そのとき、きっと、私たちの絆は生まれた。

「惣一郎さんはなんて?」
「好きなだけならいいとおっしゃいました。おかしいですよね。惣一郎さんは恋人と心も体も通じているのに、私には体はいけないだなんて。でも、それでもよかったんです。私の心だけは守ってくださるのだと、感謝いたしました」
「だから、尊敬してるんですか?」
「はい。今でも尊敬申し上げています。惣一郎さんを憎むことは、後にも先にもございません」

 それは確かな気持ちだ。私の心を守ったまま、西園寺家当主の妻としての立場を与えると言ってくれたのだから。その代わり、私は惣一郎さんに体を預けるつもりでいた。子さえ得れば、彼は私に触れないと約束しただろう。

「すみれさんのことは、前から知ってたんですか?」

 千隼さんは痛ましそうに私を見つめる。

 どんなに、惣一郎さんを恨んでいない、尊敬していると言ったって、彼は理解できないのかもしれない。しかし、理解してもらう必要もないのだと思う。私の心の中で生きる惣一郎さんは、優しい記憶のままにしておきたい。

「いいえ。相手が誰なのかは、お互いに話したことはありません。そこまで知る必要はありませんでしたし。ただ、惣一郎さんは薄々気づいてらしたかもしれません。私って、あまり出会いのない生活をしているでしょう?」

 恥じるようにうつむくと、「それって……」と、千隼さんが私の手を握る。

 目を合わせたら、ほおが赤らむのを感じる。千隼さんだって知ってるだろう。私の生活は、綾城邸と綾城堂がほとんどで、出会いを得る機会などないということを。

「つゆり、好きな男はもしかして……」
「それは、あの……」

 目をそらすと、まるで逃げないでというように、腰に腕が回された。

「うぬぼれてもいいんですか?」
「うぬぼれって……、ご迷惑でしょう?」
「誰が迷惑……、ああ、俺に好きな人がいると思うからですか」
「そうおっしゃいました」
「確かに言いました。今でもその女性が好きですよ。でも、彼女の婚約はなくなったんです。遠慮する理由はなくなりました。つゆり……」

 不意に私のほおに触れると、顔を寄せてくる。

「ずっと、つゆりが好きなんですよ。何年、あなたに恋をしていたか」
「……本当に?」
「こんな嘘、つきませんよ」
「でも、だって、信じられない」

 千隼さんには、別に好きな人がいると思ってたから。
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