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訃報

訃報

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結月、結実先生が亡くなったんだってさ。俺は電話口でそう伝えた。
亡くなった?えっ、どういうことなんだ、ちょっと何言ってるのか分からないよ。
俺だって分かんない、何があったのか。でも、岩崎先生はそう言ってた。
深くため息を吐く。
何で・・・。うん。手の中からすり抜ける砂のように何かへの希望がサラサラと落ちていくのが分かる。
ついこの前まで普通に笑って話していた。一緒にご飯も食べて、色んなところに行って。でも、もういない。
受け止められない、受け入れられないこと。
先生が死んだー
つい先週のことだった。岩崎先生に会いに、勤め先の学校へ行った。そこでそう聞いた時、俺の心の中は説明できない感情が一気に渦巻いた。悲しみなのか、寂しさなのか、怒りなのか、よく分からないけどすっごく複雑な感情。
わっと涙を流して泣くとか、憔悴状態とか、そんなんじゃない。何というか、こう・・・心にぽっかり穴が空いた、そんな感じ。
声を出すこともできなかった。ただ、ついこの前まで俺のそばにいて、生きていた人が、いなくなった。その事実だけがエコーみたいに俺の頭の中で繰り返されている。
先生が、死んだ。何回も再生される。覆りようのない事実が、俺を何かの底へ突き落としていく。死んだ、先生が死んだ、死んだ、死んだ・・・。
サーッと、細かい雨が降っている音がする。俺がどん底へ落ちていくBGMみたいに。
亡くなったんだ。俺に訃報を伝えた声の主は、それが事実です、と淡々と伝えるのが仕事の人みたいに声の抑揚無く繰り返した。
残念だけどな。浅く息を吐いた。
うん。としか返せなかった。
重い沈黙に、外で降っている細かい雨の音が、2人の沈黙を和らげようと必死になっているのかやたら大きく聞こえる。
2人しかいない、薄暗い小会議室は、そこだけ時が止まったようにずっと静かで、重苦しかった。

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