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母からの忠告
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その後は謝恩会で先生や同期と学生最後の時間を楽しみ、謝恩会の後は学部ごとの飲み会で大騒ぎして、そのあといつものメンバーと合流して明け方まで飲みに行った。
父がもうすぐ目覚めているであろう午前6時に私は家に帰ってきた。このままライラとリナはマクレガー家に泊まっていく。
侍従長は朝早いのにきっちりした格好で出迎えてくれた。
「くっさーー」
立ち込めるユリの匂いに鼻を摘んだ。ただでさえ匂いの強いユリを大量に送りつけた輩がいるみたい。
「うぇーーっ、吐きそう」
「カサブランカでございます。皇太子殿下からお嬢様へ送られてきました。酔いが覚めたらすぐにお礼状を書いてください。」
酷いわ!我が君。
私達は着替えて顔を洗ってそのまま気絶するように眠った。
起きたのは午後2時だった。喉がものすごく渇いていた。
家用のワンピースに着替えてホールに行くと家令に母の部屋を尋ねるように言われた。
口元をセンスで隠して母はしたたかに怒っていた。
怖い!!!
「若い未婚の女性が明け方まで飲み歩くなんて信じられないわよ。しかも、皇太子殿下から贈られたカサブランカを臭いって言ったらしいわね。不敬・・・いえ、相手が誰であっても最低です。」
「はい、お母様のおっしゃる通り軽率でした。これからは、気をつけます。」
お母様はムッとした。今まで怒られたことなんて殆どなかったので恐怖は10倍増しだ。
「気をつける?リリーシア!あなたは全然わかっていないでしょう?」
どうしよう。母は冷静じゃなくなっている。そして私は母がここまで怒る理由をきちんと掴みきれていない。
「わたくしは淑女云々ではなく、母親として忠告するわ。」
私はゴクリと唾を飲んだ。
「あなた達はもう11歳の子供じゃなくて20歳の大人の女なのよ。」
「承知しています。」
「いいえ、分かっていないわ。あなたに焦がれているシオン君があなたを求める気持ちをいつでも抑えられるとは限らないのよ。」
「シオンは私の合意がなければ一線を超えない理性のある人です。」
「多すぎるお酒は理性を狂わせて本能を呼び起こすわ。男友達はね、動物園で人に飼われていると猛獣と同じよ。普段はお世話になっている飼育員さんに懐いているけど、なにかのキッカケで本能が目覚めて牙を向いて危害を加えることがあるわ。普段は女友達に欲情なんて考えられないと思っている男の人も、何か些細なことで本能に目覚めることがあるの。」
「そんな・・・」
「ましてや好きな子が酔って潤んだ目で見つめてきたら心穏やかにいられないでしょうね。あなたにその気がなくてもあなたが少し手を伸ばせば、今日はシオン君の腕の中で目を覚ましたかもしれなかったのよ。」
「はぁ。それだったら覚悟が決まって良かったかもしれませんね。」
「なんですって?!」
静かに怒っていたお母様は私の言葉を聞いて怒りを隠せなくなってしまった。
「だって、私がワイマール公爵夫人になるのはとても現実的な未来です。今まで踏ん切りがつかなかったけど、男女の関係になったのならもう迷う必要なんてなくなります。我が家としてもワイマールを後ろ盾にできたら最高じゃないですか。」
私も意地になってきてしまっている。本当はこんな可愛げのないことは言いたくないのに。
「あなたはもうすぐ皇太子宮に上がるんでしょう?レオンハルト殿下を好きになってしまって後悔するようなことをしてほしくないの。」
「はぁ?!」
目上の人にしてはいけないような返答をしてしまった。相手が家族なので私も冷静さにかけて更に言い返してしまう。
「召し上げられるような言い回しはやめてください。それに私は不毛な恋をするような愚かなことはしません。」
「人は恋をして愚かになるものよ。」
「同性が恋愛対象になるのは、母体に居るときに母親のホルモンの影響だというのが有力な説なのだそうです。だから恋愛対象が男性のレオンハルト殿下が私を好きになることはないし、成就しない恋愛に恋を焦がすような非効率なことを私はしません。」
お母様はハァっとため息をついた。
「とにかく、お酒の飲みすぎには気をつけなさい。いい?母としてもう一度忠告するわ。男は行けると感じた後の行動が驚くほど早いの。攻めて攻めて一気に攻め込んでくるんですからね。」
経験談なのかしら。
「・・・わかりました。肝に銘じます。」
「すぐに皇太子殿下にお礼状を書きなさい。もらったユリは2種類目ね。最初は黄色のヒメユリで今回はカサブランカよ。これからもユリを貰ったら覚えておきなさい。」
「?」
前にユリなんてもらった?前にお礼で貰ったストールにユリがついていたような気がする。
殿下が風邪をひいたときに差し上げた黒いストールが、色とりどりの水晶がついた新品に変わった”わらしべ長者ストール”の印象が強くて花のことなど覚えていなかった。
「ミーナ、リリーシアの部屋にラベンダー色のレヴィー鳥の透かし絵が入っているレターセットを持って行って。」
「はい、承知しました。」
「ミーナ、胃薬3人前もお願いします。」
母の侍女に3本指を立ててお願いする。
「お嬢様、居酒屋気分が抜けていませんね。」
母の眉間に皺がよった。怖いので早く退散しよう。
部屋に帰り、リナとライラを起こした。2人ともすごい美人だけど今日の顔は酷い。とりあえず写真を撮っておこう。
3人で春休みの予定を話し合って、リナとライラは帰宅していった。卒業旅行は5人でリナの実家があるミオン領に行った。今は寒くて海に入れないが、夏休みはみんなでミオンのビーチリゾートに滞在しようと約束して、春休みはあっという間に終わってしまいついに入庁式の日になった。
父がもうすぐ目覚めているであろう午前6時に私は家に帰ってきた。このままライラとリナはマクレガー家に泊まっていく。
侍従長は朝早いのにきっちりした格好で出迎えてくれた。
「くっさーー」
立ち込めるユリの匂いに鼻を摘んだ。ただでさえ匂いの強いユリを大量に送りつけた輩がいるみたい。
「うぇーーっ、吐きそう」
「カサブランカでございます。皇太子殿下からお嬢様へ送られてきました。酔いが覚めたらすぐにお礼状を書いてください。」
酷いわ!我が君。
私達は着替えて顔を洗ってそのまま気絶するように眠った。
起きたのは午後2時だった。喉がものすごく渇いていた。
家用のワンピースに着替えてホールに行くと家令に母の部屋を尋ねるように言われた。
口元をセンスで隠して母はしたたかに怒っていた。
怖い!!!
「若い未婚の女性が明け方まで飲み歩くなんて信じられないわよ。しかも、皇太子殿下から贈られたカサブランカを臭いって言ったらしいわね。不敬・・・いえ、相手が誰であっても最低です。」
「はい、お母様のおっしゃる通り軽率でした。これからは、気をつけます。」
お母様はムッとした。今まで怒られたことなんて殆どなかったので恐怖は10倍増しだ。
「気をつける?リリーシア!あなたは全然わかっていないでしょう?」
どうしよう。母は冷静じゃなくなっている。そして私は母がここまで怒る理由をきちんと掴みきれていない。
「わたくしは淑女云々ではなく、母親として忠告するわ。」
私はゴクリと唾を飲んだ。
「あなた達はもう11歳の子供じゃなくて20歳の大人の女なのよ。」
「承知しています。」
「いいえ、分かっていないわ。あなたに焦がれているシオン君があなたを求める気持ちをいつでも抑えられるとは限らないのよ。」
「シオンは私の合意がなければ一線を超えない理性のある人です。」
「多すぎるお酒は理性を狂わせて本能を呼び起こすわ。男友達はね、動物園で人に飼われていると猛獣と同じよ。普段はお世話になっている飼育員さんに懐いているけど、なにかのキッカケで本能が目覚めて牙を向いて危害を加えることがあるわ。普段は女友達に欲情なんて考えられないと思っている男の人も、何か些細なことで本能に目覚めることがあるの。」
「そんな・・・」
「ましてや好きな子が酔って潤んだ目で見つめてきたら心穏やかにいられないでしょうね。あなたにその気がなくてもあなたが少し手を伸ばせば、今日はシオン君の腕の中で目を覚ましたかもしれなかったのよ。」
「はぁ。それだったら覚悟が決まって良かったかもしれませんね。」
「なんですって?!」
静かに怒っていたお母様は私の言葉を聞いて怒りを隠せなくなってしまった。
「だって、私がワイマール公爵夫人になるのはとても現実的な未来です。今まで踏ん切りがつかなかったけど、男女の関係になったのならもう迷う必要なんてなくなります。我が家としてもワイマールを後ろ盾にできたら最高じゃないですか。」
私も意地になってきてしまっている。本当はこんな可愛げのないことは言いたくないのに。
「あなたはもうすぐ皇太子宮に上がるんでしょう?レオンハルト殿下を好きになってしまって後悔するようなことをしてほしくないの。」
「はぁ?!」
目上の人にしてはいけないような返答をしてしまった。相手が家族なので私も冷静さにかけて更に言い返してしまう。
「召し上げられるような言い回しはやめてください。それに私は不毛な恋をするような愚かなことはしません。」
「人は恋をして愚かになるものよ。」
「同性が恋愛対象になるのは、母体に居るときに母親のホルモンの影響だというのが有力な説なのだそうです。だから恋愛対象が男性のレオンハルト殿下が私を好きになることはないし、成就しない恋愛に恋を焦がすような非効率なことを私はしません。」
お母様はハァっとため息をついた。
「とにかく、お酒の飲みすぎには気をつけなさい。いい?母としてもう一度忠告するわ。男は行けると感じた後の行動が驚くほど早いの。攻めて攻めて一気に攻め込んでくるんですからね。」
経験談なのかしら。
「・・・わかりました。肝に銘じます。」
「すぐに皇太子殿下にお礼状を書きなさい。もらったユリは2種類目ね。最初は黄色のヒメユリで今回はカサブランカよ。これからもユリを貰ったら覚えておきなさい。」
「?」
前にユリなんてもらった?前にお礼で貰ったストールにユリがついていたような気がする。
殿下が風邪をひいたときに差し上げた黒いストールが、色とりどりの水晶がついた新品に変わった”わらしべ長者ストール”の印象が強くて花のことなど覚えていなかった。
「ミーナ、リリーシアの部屋にラベンダー色のレヴィー鳥の透かし絵が入っているレターセットを持って行って。」
「はい、承知しました。」
「ミーナ、胃薬3人前もお願いします。」
母の侍女に3本指を立ててお願いする。
「お嬢様、居酒屋気分が抜けていませんね。」
母の眉間に皺がよった。怖いので早く退散しよう。
部屋に帰り、リナとライラを起こした。2人ともすごい美人だけど今日の顔は酷い。とりあえず写真を撮っておこう。
3人で春休みの予定を話し合って、リナとライラは帰宅していった。卒業旅行は5人でリナの実家があるミオン領に行った。今は寒くて海に入れないが、夏休みはみんなでミオンのビーチリゾートに滞在しようと約束して、春休みはあっという間に終わってしまいついに入庁式の日になった。
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