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リリーシアは翻弄される(3/3)
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サファリパークに着くと風を受けない分、暖かく感じて改めて体が冷えてしまったことを感じた。でもそんな寒いのも肉バスを見て忘れてしまう。
バスの側面の一部が格子状になっていてそこからトングで挟んだ馬肉を外の猛獣に餌付けできるようになっている。猛獣ゾーンを過ぎて草食動物ゾーンに入ったら格子窓の上にある窓を開けられるようにロック解除されるので、窓を開けて草食動物に直接にんじんをあげられるらしい。
「ニンジンと馬肉は事前に購入してバス内に持ち込みます。」
なるほど。おすすめの量を購入してバスに乗り込む。
「私は後ろと左側を見ます。外を警戒するため内側は見ませんので。」
「それでは私は前方と右側面を見ます。お二人で楽しんでくださいね。」
カイルさんとセフェムさんは餌付けしなくていいらしい。今度、夏休みに家族や恋人と来るそうだ。
22時丁度にバスが出発した。猛獣ゾーンまで5分ほどあるらしい。
たまに何かの動物の目玉が光ってちょっとしたホラーだ。
ゆっくり走るバスの中で格子に近付いてみると後ろからレオンハルト殿下に引き寄せられた。バックハグされて「危ないよ。」と耳元で言われた。
声が妙に艶っぽくてドキッとする。でも私はまださっきのことを少し根に持っているから素っ気なく返答した。
「寒いでしょ。震えているよ・・・俺が温めるから。」
くっ・・・何てベタな口説き文句!!これもからかわれているような気がするけど、もう塩対応は無理になってきたわ。この人に翻弄されっぱなしで腹が立ってきた。
「私と浮気するつもりですか?」
イライラする気持ちに便乗して思い切って聞いてみてしまった。
「浮気だと思う?」
「・・・」
質問に質問で返されるのは好きじゃない。結局何も確かめられずに居心地悪い気持ちは収まらない。
数秒の沈黙の後、猛獣エリアに着いたようでアナウンスが流れた。
「《乗客の皆様、ここはライオンエリアです。内側の格子から外側の格子までは十分距離が取ってありますが、肉とトング以外は格子から外に出さないでください。》」
肉を求めてライオンたちが寄ってきた。安全なのは分かっているけれど思ったより怖い。夜だからライオンの目が光っていて余計に怖いんだと思う。
殿下は私にトングを持たせて、私の手に彼の手を添えてきた。肉を掴んで外へ差し出すと鋭い歯を見せてライオンは肉にかぶり付く。
「ぬおっ」
ライオンの犬歯が思ったよりでかくて、可愛げのない声が出た。どうして”キャッ”っと言えなかったんだろう。小さな頃から可愛い驚きの声の練習をしておくべきだったと後悔する。セフェムさんが笑いを堪えているのがわかり顔が熱くなる。
ライオンエリアが終わると次は虎エリア、ヒョウエリアと続いて猛獣エリアが終わると念入りにゲートの開け締めが行われる。バスは一旦停止して私達は手を洗うように言われた。
手を洗って着席するとカイルさんが声をかけてきた。
「楽しめましたか?」
「はい!すごい迫力でドキドキしました。」
私の反応を見たカイルさんはとても優しい顔で微笑んでいてお父様を思い出した。カイルさんはサルニア帝国にいる小さな彼の娘を思い出しているのかも。
バスが出発した。肉をあげた時の興奮は落ち着き、さっきの質問に質問で返された後の気まずい雰囲気に戻ってしまった。
「・・・」
「《草食動物エリアにようこそ。窓のロックを解除しましたので開けて草食動物たちに餌をあげることができます。動物にさわると思わぬ反撃をされることがありますので触れないようにしてください。》」
私達が無言なのでアナウンスはよく聞こえた。
「俺が卒業してから殆ど会話することができなかったから、リリーシアと話したいことがたくさんあったのに・・・いざ、こうして2人でいてもそんなに話が出てこないな。」
「お話できそうな機会は時々あったんですけどね・・・。」
大学に私達が在学していた頃は、リベラル派を除いた貴族がレオンハルト派とシオン派に自然と分かれていた。私はシオンと仲が良かったのでシオン派の中核だと考えられていた。
シオンと殿下は仲良くなかったので特別な交流は無かったけれど、殿下とは卒業してからも数ヶ月に一回は夜会や園遊会で顔を合わせていた。でも、会話する機会は殆ど得られなかった。
気軽に話ができない状況を実感するたびに、学生時代と違って私とレオンハルト殿下には身分という大きい壁があることを思い知らされた。
「機会なんて無かったよ。」
「?」
「リリーシアと一緒に過ごすチャンスは全てシオン・ワイマールが潰していたから。」
「ああ・・・」
確かに、シオンは私の周りの男の人を全て排除していた。ルオンスのように私に異性としての好意を持たない人を除いては。
「キアヌ殿のことも彼がいたらリリーシアに嫌な思いをさせずに済んだかもな。」
「・・・」
「でも、ワイマール公子に委ねるのは嫌だな。」
「私も守られるだけなのは嫌です。あのとき、殿下が私を助けに来ていたら自分にがっかりしていたと思います。」
そう笑って言うと彼は目を細めて私の首元に顔を寄せた。セフェムさんが運転手さんに何か伝え、バスの進む速度が遅くなった気がする。
心臓が跳ねて、ドキドキと心臓の鼓動が速くなる。ここ数日、何度も経験したこの動悸。湧き上がってくる何かはとても落ち着かないが、同時に不思議な幸福感で満たされる。
私はゆっくりとレオンハルト殿下の背中を擦った。
「ラストノート」
・・・香水?
匂いを嗅がれていることが恥ずかしくなり顔が熱くなる。会食前につけてもらった香水はもう6時間近く経っているので、香水の三段階ある香りの最後のラストノートに変わっている。今回、用意してもらった香水はトップノートがシトラス系、メインになるミドルノートが白百合、ラストノートがウッド系の香りで、普段選ぶものとぜんぜん違うが落ち着くいい香りだ。
「フィリーナが選んだんだ。」
「ウィローブロック様が・・・」
ドキドキが一転、気持ちが萎んでいく。フィリーナ・ウィローブロック公爵令嬢はサルニア帝国大学のレオンハルト殿下の同期の23歳。皇太子妃候補四人のうちの一人で国内の貴族令嬢がみんな憧れる女性だ。
背中をさすっていた手をそっと離すと、レオンハルト殿下は私の頬に手を当てた。
彼の顔を見ると切なそうに私を見つめていた。
(ああ、私たちキスするのね)
妙に冷静に予感したとき、ガシャーンと大きな音がして車体が大きく揺れた。
「殿下!」
カイルさんとセフェムさんの動きは早かった。あっという間にレオンハルト殿下を護れる位置に立つ。レオンハルト殿下は私を庇う体制を取った。
「「「うわぁぁ」」」
音の原因は、キリンだった。
キリンがバスの檻に顔を横向きで貼り付け、眼を大きく見開いて私達を凝視している。どこかで見たことのある表情・・・アリシア王女だわ!
セフェムさんが素早くニンジンの束を取って、ロックが解除された窓を開けて全て外に投げた。
「・・・ニンジンがほしかった?」
キリンは人間がなかなかニンジンをくれないので腹を立てたみたいだ。
「ふっ・・・あはははは。キリンのニンジン欲が強すぎっ!」
私が吹き出すとセフェムさんも笑いだした。
「しかもベロが黒くて怖っ。」
「セフェム・ワイティル。今、マクレガー令嬢は警護対象だ。友人と話しているわけじゃないぞ。」
「はい、申し訳ありません。」
カイルさんに注意されたセフェムさんは真面目な顔になって
「《バスを発車させてくれ》」
と、指示を運転手に出してバスは出発した。
「《皆さん、知っていますか?野生のキリンは睡眠時間が20分で鉄人、いえいえ鉄獣といっても過言ではありません。彼らは足でライオンを蹴り殺すこともあるので怒らせないようにしてください。》」
場を読まないアナウンスが流れた。
「このアナウンス、なんかイラッとするな。」
私も他の2人も黙って頷いた。帰り道は気まずくて、それ以降は誰も何も話さなかった。
パリシナ最後の夜は殿下に翻弄されて、キリンに襲撃されて忘れられない1日になった。
パリシナ城に帰城してシャワーを浴びてベッドに入ってもなかなか寝付けなかった。
自分の中に芽生えた気持ちとレオンハルト殿下の取った行動の意味を悶々と思い返す。
レオンハルト殿下に恋人がいないのであれば彼の行動は私に好意を持っていると自惚れてもいいと思う。でも、レオンハルトはアダルベルト様とマッサージ師の何とかさんという恋人が2人いる。そういえば、彼らの話を聞くまではゴシップ誌ですら殿下に恋人がいるという記事が載ったことはなかったな。情報統制を敷いてたのかな。
私がレオンハルト殿下のことを好きになった気持ちに気が付き、その気持を利用して何かやらせようとしているとか?
嫌だな・・・。ずいぶん惨めな役割じゃないの。もしそうだとしたらレオンハルト殿下は最低だわ。
殿下が両性愛者なら浮気?乗り換え?それとも3番目の恋人にしようとしている?
いやいや、私には愛を分かち合うことなんて全然できなさそう。
異性愛者なのだと考えてみる・・・いやいや、それは曲解だ。
アダルベルトと大学でキスしている所も見たしね。
「アダルベルト・・・マーキュリー侯爵令息。」
ポツリと呟いてふと気がつく。そうだ、彼は嫡男だ。
なぜ、アダルベルト様は次期当主なのに警察庁に勤めているのだろうか。
なぜ、家督を継ぐ嫡男なのに経営学部や商学部ではなく法学部を出たのか。
なぜ、アダルベルト様はレオンハルト殿下の近衛なのにほとんど護衛をしていないのか。
そして毎日、何をレオンハルトに報告しにきているのか。
ここで考えてもキリがない。サルニア帝国に帰ってから調べてみよう。私は部屋に用意してもらってあったワインを2杯いただき、その勢いで寝ることにした。今から寝れば3時間くらい眠れる。
うーん、明日のフライトは飛行機のリクライニングを倒すチャンスもなく寝るな。
バスの側面の一部が格子状になっていてそこからトングで挟んだ馬肉を外の猛獣に餌付けできるようになっている。猛獣ゾーンを過ぎて草食動物ゾーンに入ったら格子窓の上にある窓を開けられるようにロック解除されるので、窓を開けて草食動物に直接にんじんをあげられるらしい。
「ニンジンと馬肉は事前に購入してバス内に持ち込みます。」
なるほど。おすすめの量を購入してバスに乗り込む。
「私は後ろと左側を見ます。外を警戒するため内側は見ませんので。」
「それでは私は前方と右側面を見ます。お二人で楽しんでくださいね。」
カイルさんとセフェムさんは餌付けしなくていいらしい。今度、夏休みに家族や恋人と来るそうだ。
22時丁度にバスが出発した。猛獣ゾーンまで5分ほどあるらしい。
たまに何かの動物の目玉が光ってちょっとしたホラーだ。
ゆっくり走るバスの中で格子に近付いてみると後ろからレオンハルト殿下に引き寄せられた。バックハグされて「危ないよ。」と耳元で言われた。
声が妙に艶っぽくてドキッとする。でも私はまださっきのことを少し根に持っているから素っ気なく返答した。
「寒いでしょ。震えているよ・・・俺が温めるから。」
くっ・・・何てベタな口説き文句!!これもからかわれているような気がするけど、もう塩対応は無理になってきたわ。この人に翻弄されっぱなしで腹が立ってきた。
「私と浮気するつもりですか?」
イライラする気持ちに便乗して思い切って聞いてみてしまった。
「浮気だと思う?」
「・・・」
質問に質問で返されるのは好きじゃない。結局何も確かめられずに居心地悪い気持ちは収まらない。
数秒の沈黙の後、猛獣エリアに着いたようでアナウンスが流れた。
「《乗客の皆様、ここはライオンエリアです。内側の格子から外側の格子までは十分距離が取ってありますが、肉とトング以外は格子から外に出さないでください。》」
肉を求めてライオンたちが寄ってきた。安全なのは分かっているけれど思ったより怖い。夜だからライオンの目が光っていて余計に怖いんだと思う。
殿下は私にトングを持たせて、私の手に彼の手を添えてきた。肉を掴んで外へ差し出すと鋭い歯を見せてライオンは肉にかぶり付く。
「ぬおっ」
ライオンの犬歯が思ったよりでかくて、可愛げのない声が出た。どうして”キャッ”っと言えなかったんだろう。小さな頃から可愛い驚きの声の練習をしておくべきだったと後悔する。セフェムさんが笑いを堪えているのがわかり顔が熱くなる。
ライオンエリアが終わると次は虎エリア、ヒョウエリアと続いて猛獣エリアが終わると念入りにゲートの開け締めが行われる。バスは一旦停止して私達は手を洗うように言われた。
手を洗って着席するとカイルさんが声をかけてきた。
「楽しめましたか?」
「はい!すごい迫力でドキドキしました。」
私の反応を見たカイルさんはとても優しい顔で微笑んでいてお父様を思い出した。カイルさんはサルニア帝国にいる小さな彼の娘を思い出しているのかも。
バスが出発した。肉をあげた時の興奮は落ち着き、さっきの質問に質問で返された後の気まずい雰囲気に戻ってしまった。
「・・・」
「《草食動物エリアにようこそ。窓のロックを解除しましたので開けて草食動物たちに餌をあげることができます。動物にさわると思わぬ反撃をされることがありますので触れないようにしてください。》」
私達が無言なのでアナウンスはよく聞こえた。
「俺が卒業してから殆ど会話することができなかったから、リリーシアと話したいことがたくさんあったのに・・・いざ、こうして2人でいてもそんなに話が出てこないな。」
「お話できそうな機会は時々あったんですけどね・・・。」
大学に私達が在学していた頃は、リベラル派を除いた貴族がレオンハルト派とシオン派に自然と分かれていた。私はシオンと仲が良かったのでシオン派の中核だと考えられていた。
シオンと殿下は仲良くなかったので特別な交流は無かったけれど、殿下とは卒業してからも数ヶ月に一回は夜会や園遊会で顔を合わせていた。でも、会話する機会は殆ど得られなかった。
気軽に話ができない状況を実感するたびに、学生時代と違って私とレオンハルト殿下には身分という大きい壁があることを思い知らされた。
「機会なんて無かったよ。」
「?」
「リリーシアと一緒に過ごすチャンスは全てシオン・ワイマールが潰していたから。」
「ああ・・・」
確かに、シオンは私の周りの男の人を全て排除していた。ルオンスのように私に異性としての好意を持たない人を除いては。
「キアヌ殿のことも彼がいたらリリーシアに嫌な思いをさせずに済んだかもな。」
「・・・」
「でも、ワイマール公子に委ねるのは嫌だな。」
「私も守られるだけなのは嫌です。あのとき、殿下が私を助けに来ていたら自分にがっかりしていたと思います。」
そう笑って言うと彼は目を細めて私の首元に顔を寄せた。セフェムさんが運転手さんに何か伝え、バスの進む速度が遅くなった気がする。
心臓が跳ねて、ドキドキと心臓の鼓動が速くなる。ここ数日、何度も経験したこの動悸。湧き上がってくる何かはとても落ち着かないが、同時に不思議な幸福感で満たされる。
私はゆっくりとレオンハルト殿下の背中を擦った。
「ラストノート」
・・・香水?
匂いを嗅がれていることが恥ずかしくなり顔が熱くなる。会食前につけてもらった香水はもう6時間近く経っているので、香水の三段階ある香りの最後のラストノートに変わっている。今回、用意してもらった香水はトップノートがシトラス系、メインになるミドルノートが白百合、ラストノートがウッド系の香りで、普段選ぶものとぜんぜん違うが落ち着くいい香りだ。
「フィリーナが選んだんだ。」
「ウィローブロック様が・・・」
ドキドキが一転、気持ちが萎んでいく。フィリーナ・ウィローブロック公爵令嬢はサルニア帝国大学のレオンハルト殿下の同期の23歳。皇太子妃候補四人のうちの一人で国内の貴族令嬢がみんな憧れる女性だ。
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「「「うわぁぁ」」」
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セフェムさんが素早くニンジンの束を取って、ロックが解除された窓を開けて全て外に投げた。
「・・・ニンジンがほしかった?」
キリンは人間がなかなかニンジンをくれないので腹を立てたみたいだ。
「ふっ・・・あはははは。キリンのニンジン欲が強すぎっ!」
私が吹き出すとセフェムさんも笑いだした。
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「セフェム・ワイティル。今、マクレガー令嬢は警護対象だ。友人と話しているわけじゃないぞ。」
「はい、申し訳ありません。」
カイルさんに注意されたセフェムさんは真面目な顔になって
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と、指示を運転手に出してバスは出発した。
「《皆さん、知っていますか?野生のキリンは睡眠時間が20分で鉄人、いえいえ鉄獣といっても過言ではありません。彼らは足でライオンを蹴り殺すこともあるので怒らせないようにしてください。》」
場を読まないアナウンスが流れた。
「このアナウンス、なんかイラッとするな。」
私も他の2人も黙って頷いた。帰り道は気まずくて、それ以降は誰も何も話さなかった。
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なぜ、アダルベルト様は次期当主なのに警察庁に勤めているのだろうか。
なぜ、家督を継ぐ嫡男なのに経営学部や商学部ではなく法学部を出たのか。
なぜ、アダルベルト様はレオンハルト殿下の近衛なのにほとんど護衛をしていないのか。
そして毎日、何をレオンハルトに報告しにきているのか。
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