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白蛇は尊き陽を望む

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「今日はお母さんとお父さんとおじいちゃんとおばあちゃん、拓斗と拓斗のおばちゃんとおじちゃんと一緒にピクニックに来たんだよ」

チョコを食べて少し落ち着いたのか、喋ってないと怖いから話すと言って彼は一人で話し始めた。大人しくしろと言ったのはすっかり忘れてしまったみたいだ。私はそれに返事はしない。

「お弁当食べて、あっお弁当にはね、からあげが入ってた。からあげが入ってるお弁当は特別なんだよ。お母さん朝から油使うの大変だから遠足の日と運動会の時しかお弁当には入れないんだー。君は卵焼き甘いのと塩味どっちが好き?ボクはねぇ甘いの。そういえば拓斗のお弁当は可愛かったなー。あれおじちゃんが作ってるんだって。うさぎとか犬とか動物がいっぱいいるの」

甘い卵焼き?動物がいっぱいいる弁当ってなんだ?具材なのか。いまだに兎や犬を食べるのかこの町の人間は。考えていたら背後からコホコホと聞こえた。

「大丈夫?」
「!うん。いっぱい喋ったからむせちゃった」

何故か声の調子が上がっているし笑っている。人の子とはこんな感じだったか。そういえばサチの孫も何もない場所みて笑っていたな。・・・・・・すごく久々にサチの事思い出した。

子供の咳は止まらずひどくなるに連れ歩みもゆっくりとなった。もう少しなのだけど。町の明かりは見えている。私の身体がもう少し大きければ抱えれたのに、大きさはそこまで変わらないからきっと難しいだろう。立ち止まって休憩させる。どうしたものかと迷っていると頭上から声が聞こえた。

「千雪!」
「右近兄さん。左近兄さん」

二人が地に降り立つ。左近兄さんが私の顔を覗き込む。

「良かった無事で」
「お前こんな時間まで、心配したぞ!」
「その子は?」
「山で迷子になっていて下山させようと思ったのですが動かなくなってしまい。困っていた所です」
「ありゃりゃ大丈夫かな」

石の上に座り込んでいた。右近兄さんは背中を擦ってやる。

「あぁ気管が狭まってる。もう大丈夫だよ。・・・あれこの子」

少年の顔を見て兄たちは神妙な顔を見合わせてから私を見た。何だろう。荒い息が聞こえなくなったとは思ったが子供は右近兄さんの胸を借りすやすやと眠りについている。

「この子のお家知ってるから私が届けるよ」
「あぁその方が良いな。千雪お前もひどい恰好だな。ほら」
「大丈夫です」

歩き出そうとしたが風呂敷を手早く取られ左近兄さんに担がれる。左近兄さんの体温はかなり高く目がしぱしぱしてくる。今日は本当に色々あった。疲れたな。

「あの子は大丈夫でしょうか」
「心配しないで良い」
「それなら良かったです」

身体の力が抜けた。
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