74 / 82
世界遺産の有効活用
しおりを挟む
あのメッセージが事実だとしたらそれはとんでもないことだ。
千人のこのゲームの参加者達。それが一人一人違う能力を与えられているという。
そしてこの色々と信用できない運営はゲームバランスの調整が下手クソだ。
どうしようもないくらい無能なのだ。馬鹿なのだ。阿呆なのだ。
与えられた能力には格差が存在し、上位陣とそれ以外ではどうしようもない、超えられない壁が存在していると思われる。
俺に与えられた能力はガチャ。そして4位の南雲というユーザーには神の召喚という、とんでもない能力が与えられているという。こんな物、どうやって対抗しろと言うんだ。
俺の配下で神に対抗できそうなユニットはヘルメス神のお地蔵様と、完全体ではない暴食の邪神ベヘモットだけだぞ。
どう考えても無理である、こんなもの、南雲にまともな神が一人でもいれば簡単に蹂躙されてしまうだろう。
スライムなら可能性はあるが、神相手に通じるかどうか。スライムは魔法など、非科学的な物の模倣や侵食は大の苦手だ。
ダンジョンだってスライムは模倣することはできないし、ダンジョンの様々な魔法的セキュリティを正面からハッキングすることはできていない。セキュリティの低い部分から侵食、迂回などをしているだけだ。
神を正面から侵食するなんて無理だろう。
しかし恐ろしいのはこれで4位だと言うことだ。つまりこいつ以上のユーザーが3人もいることになる。最悪だ。勝てる気がしない。
俺のガチャという能力、どう考えても外れである。中間発表での1000位も納得だ。
だが勝機が無いわけでは無い。4位が神を従えるというのなら、対神装備を量産して相性の差で押し切ればいいんだ。
俺は早速工房に向かった。もしかしたら対神装備が製造できるかもしれない。俺はいつの間にか工房の総責任者となった首無しに会いに行った。
「対神装備ですか?もちろん作れますよ」
「マジか!じゃあ早速作ってくれ!」
「少しお待ちを。ああ君、王にあれを」
そう言うと、首無しの背後で立っていたホムンクルスが、机の上に紅茶と茶菓子を渡してきた。
こいつ、ホムンクルスを従えてやがる。流石は我が王国内の『工房派閥』のトップなだけはある。
俺たちは茶を飲み、一息つく。美味いなこのお茶。
「しかし今作ることが出来るのは最下級の装備だけです。素材も設備も圧倒的に足りません。」
「……それでも無いよりはマシだ。早速だが量産してくれ」
「無いよりはマシ?あなたはもうすでに対神装備を持っているではありませんか」
は?いや、そんな物持っていないぞ。
「神剣アイギスです」
あっ。
「あれには純度の高い神の力が込められている。あれならば神に対抗することも可能でしょう。ところでなぜいきなり神の話を?ダンジョンに神でも現れたのですか?」
俺は首無しに例のビデオレターの内容と、俺の能力であるガチャコールを使い、冷凍倉庫に置いてきた女神の死体を召喚し呼び出す。
すると首無しは明らかに動揺した。それほどまでにこの神に価値があるのだろうか?
確かに神だが、信号機の神だぞ?
「おお…女神の死体ではありませんか」
その声は感極まっていた。顔があったらないているだろう。
「失礼…おそらくは未来からのメッセージでしょう。ビデオの男はいずれガチャより排出される仲間でしょうね。しかし私に対してアンデッドとして使うなとは………」
「そうだ、戦争王ってのは何なんだ?お前がだいぶ前に話していた、6課の戦争屋と何が関係でもあんのか?」
「戦争王、戦争屋、戦狂い…彼には多くの名がありますが、全てロクでもないものです。彼の能力はネクロマンサー。死者を甦らせ、自身の手駒とする。」
「それくらいお前でもできるじゃないか。最近はホムンクルスでもアンデッドを従える個体もいるぞ」
「違います。彼は甦らせた死者を進化させる。私のような、手を加えるのとは訳が違う。それにしても全く…彼女は未来で何をしているのやら…」
「彼女?さっきは彼って言っていたじゃないか。女なのか?」
「…今のは聞かなかったことにしてください。ところで、抜け毛くらいならいいですよね」
「うーん、まぁ、それくらいならいいんじゃないかな」
今日のログインボーナスは建造物確定ガチャコイン。
ガタンッ
UC『ピサの斜塔』
ピザじゃなくてピサ。イタリアのトスカーナ州ピサ県にある世界遺産、ピサのドゥオモ広場の一部。
傾いていることで有名。その傾きは約3.97度。
1173年に着工、100年以上かけて1372年に完成したのだが、建設中に既に傾き始めており、頑張って元に戻そうとしたもののどうすることもできず、結局傾いたまま完成した。
ムッソリーニは傾きはイタリアの恥だとして直そうとしたが失敗、その後も工事が行われたが根本的解決は出来ず、世界中の建設関係者からの助けを得てなんとか3.97度まで修正することに成功、今では安全も確保されているため中に入ることもできるという。
出現したのは、歴史ある雰囲気を持つ、傾いた白い塔だった。
直接は見たことないが、この特徴的な、風が吹けば倒れそうな優雅に立つ塔が、ピサの斜塔なのだろう。
周りには何も建造物がない中、青空の下、一本の塔が聳え立っている。
なかなかいい景色だ。
俺はピサの斜塔に入る。内部も白い石でできており、経年劣化なのかところどころ黒ずんでいる。
ピサの斜塔内部の螺旋階段を登ろうとするが、そこで気づく。この螺旋階段、上だけでなく地下に行くことも可能らしい。
ん?へー、ピサの斜塔って地下があるのか。知らなかった。
俺は螺旋階段を登ろうと考えたが、傾いた階段を上がるのは疲れそうだし面倒くさい。
なのでショートカットだ。スライム化した左腕をワイヤーアクションのように伸ばし、塔を登り最上階へと入った。
本来なら、そこには鐘があるはずだ。しかしそこには鐘がなく、その代わりに数多くのボタンやレバーが付いたコンソールがそこにあった。
これまでの歴史を感じる雰囲気とは違う、突然現れたコンソール。
俺は躊躇しながらも、真ん中の赤いボタンを押した。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッッッッッ!!!
突然塔が上下に揺れ始めた。それもガタガタと地震のように揺れるのではない。遊園地のアトラクションのように上下に数メートル、凄まじい勢いで揺れ始めた。
俺は体を床と天井に体をぶつけながら、何とかコンソールの赤いボタンを押す。
すると斜塔の揺れは止まり、静かになった。
何なんだ今のは!
俺はピサの斜塔の螺旋階段を降り始める。最初の方は特に異常はなかったが、地下へと向かう螺旋階段はどこから現れたのか土で埋め尽くされ、奥に向かうことができなかった、この土はどこから発生したんだ。
調査の結果、これはピサの斜塔型ドリルだった。
真顔で説明するマッドサイエンティスト相手に俺は真顔では?と声に出していた。
何でもこのピサの斜塔の中心にある柱は、先端がドリルのようになっておりこの柱で地下の岩や土を削り、邪魔になった残土を螺旋階段を通じて放出するようだ。
最上階のコンソールを使い、ピサの斜塔の長さを伸ばしたり、短くしたりできるという。これでピサの斜塔は工事重機へと早変わり、今ではショッピングモール地下の駅を有効活用するため、地下鉄のトンネル採掘事業のために使われる予定だ。
…予定だった。
ピサの斜塔ドリルは魔法的な物でない限りは何でも砕いて進むらしい。
マッドサイエンティストは何を考えたのか、何もない空に向かって、コンソールで設定を弄ってピサの斜塔を起動した。
その結果、ガラスが割れるような嫌な音とともに空にヒビが入った。今の所は特に何も起きていない。
何やってんだ!馬鹿!
それでは、今日の無料ガチャ!
ガタンッ
R『問いかけ』
質問のこと。とあるスフィンクスは通りかかる旅人に対して、
「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」と問いかけ、答えられない旅人は食い殺されたという。理不尽。
そんなスフィンクスの前に、オイディプスという男が通りかかる。スフィンクスが同じように問いかけるが、オイディプスは「人間」と答える。
するとスフィンクスは崖から投身自殺したらしい。人間こそがこの問いの答えだったのだ。
この問いはなぞなぞであり、朝と昼と夜は人間の一生を表している。
朝、つまり赤ん坊の頃はハイハイをして進む四足歩行、昼は成長して二足で歩き、最後の夜は老人となって杖をついて歩、つまり3足歩行となるというわけだ。
分かるかこんな問題!
しかし一部の創作では引っ掛け問題として、そんな物は存在しないという答えも存在する。じゃあどうすればいいんだよ。
カプセルを開けると、システムウィンドウが展開された。
●力が欲しいか…? はい/いいえ
はいっと。
………あ、特に深く考えず反射で押してしまった。
仕方ないじゃないか、力が欲しいんだから。
だが何が起こるんだ?ゲーム的に考えてみると、いいえを押しても何も起きないが、はいを押すと強化イベントなどに突入する、または欲深い物への罰として敵が襲いかかってくることもある。
ガチャから出る物なので油断はできない。
何が起きる…?
身構えていると、突然誰かが声をかけてきた。
「Hello」
ん?誰だ。
振り向くと、迷彩柄のタンクトップをきた、ムキムキマッチョの白人の男が立っていた。太陽のように笑顔だ。
で、でかい。こいつ身長とか体格とか筋肉とか、いろいろな物がでかい。圧がすごい。
「さあ、山田君!トレーニングを始めようじゃないか!力はすぐには手に入らない!怠けるな!さあ、私と一緒に鍛えよう」
そう言うとこいつはその筋肉が付いた太い腕で俺をつかみ、片手で軽々と俺を持ち上げた。
うわぁ!急に何をするんだ!
「さあ、君たちも来るんだ!君たちは生まれつきいい筋肉を持っているが、もっと鍛えよう!」
マッチョは俺を持ち上げ、周囲を傍観するホムンクルスに呼びかけながらショッピングモールの外に出ようとする。
それにつられて、ホムンクルスも大勢マッチョについていく。もっと主体性も持て!
というか、お前は誰なんだ!
鑑定!
●インストラクター グリムジョー
筋肉の専門家。体を鍛え指導する得意とするインストラクター。軍隊上がりの彼の指導は無駄のない実用的な筋肉を得ることができる。
ショッピングモールの外には、大きなジムが出現してあった。
そのジムにグリムジョーは中に入り、内部構造を知っているのか迷いなく進み続け、一つの大きな部屋にたどり着く。そしてその大きな部屋の奥にあるステージのような場所に立つ。
俺たちは何をさせられるんだ!
リズムに合わせてジャンプ、反復横跳び、正拳突き、体を捻る運動など、
脂肪燃焼エクササイズももうすぐ終わる。汗だくのインストラクターが、これまでのパワフルな音楽とは違う、静かな落ち着いた最後の一曲をかけ始める。
会場中には熱気と興奮が広がる。
俺を含むこのエクササイズの参加者は意志の力を絞り出し、汗を流し続けた。
筋肉が疲労困憊となりながらも、心地よい疲労感が体を包み込み、俺たちの目は充実感と達成感で輝いていた。
そして曲も終わりを迎える。
「さぁみんな、これまでよく頑張った!最後に一言、全ての力を使って叫んで終わろう!何を叫ぶかはもうわかっているな⁈」
あぁ、もちろんだ。最初こそ戸惑い、恥ずかしがったがもうそんな物は吹き飛んだ。
「せぇーの!」
「「「「ドラゴーーーン!」」」」
エクササイズが終わると、会場中に拍手が鳴り響いた。俺は周りのホムンクルスと笑顔で握手し、お互いの努力と忍耐を称え合った。
「いいドラゴンだったよ」
「ナイスドラゴン!」
「ドラゴンドラゴン!」
「すごいよドラゴン!」
…何だこれ。
千人のこのゲームの参加者達。それが一人一人違う能力を与えられているという。
そしてこの色々と信用できない運営はゲームバランスの調整が下手クソだ。
どうしようもないくらい無能なのだ。馬鹿なのだ。阿呆なのだ。
与えられた能力には格差が存在し、上位陣とそれ以外ではどうしようもない、超えられない壁が存在していると思われる。
俺に与えられた能力はガチャ。そして4位の南雲というユーザーには神の召喚という、とんでもない能力が与えられているという。こんな物、どうやって対抗しろと言うんだ。
俺の配下で神に対抗できそうなユニットはヘルメス神のお地蔵様と、完全体ではない暴食の邪神ベヘモットだけだぞ。
どう考えても無理である、こんなもの、南雲にまともな神が一人でもいれば簡単に蹂躙されてしまうだろう。
スライムなら可能性はあるが、神相手に通じるかどうか。スライムは魔法など、非科学的な物の模倣や侵食は大の苦手だ。
ダンジョンだってスライムは模倣することはできないし、ダンジョンの様々な魔法的セキュリティを正面からハッキングすることはできていない。セキュリティの低い部分から侵食、迂回などをしているだけだ。
神を正面から侵食するなんて無理だろう。
しかし恐ろしいのはこれで4位だと言うことだ。つまりこいつ以上のユーザーが3人もいることになる。最悪だ。勝てる気がしない。
俺のガチャという能力、どう考えても外れである。中間発表での1000位も納得だ。
だが勝機が無いわけでは無い。4位が神を従えるというのなら、対神装備を量産して相性の差で押し切ればいいんだ。
俺は早速工房に向かった。もしかしたら対神装備が製造できるかもしれない。俺はいつの間にか工房の総責任者となった首無しに会いに行った。
「対神装備ですか?もちろん作れますよ」
「マジか!じゃあ早速作ってくれ!」
「少しお待ちを。ああ君、王にあれを」
そう言うと、首無しの背後で立っていたホムンクルスが、机の上に紅茶と茶菓子を渡してきた。
こいつ、ホムンクルスを従えてやがる。流石は我が王国内の『工房派閥』のトップなだけはある。
俺たちは茶を飲み、一息つく。美味いなこのお茶。
「しかし今作ることが出来るのは最下級の装備だけです。素材も設備も圧倒的に足りません。」
「……それでも無いよりはマシだ。早速だが量産してくれ」
「無いよりはマシ?あなたはもうすでに対神装備を持っているではありませんか」
は?いや、そんな物持っていないぞ。
「神剣アイギスです」
あっ。
「あれには純度の高い神の力が込められている。あれならば神に対抗することも可能でしょう。ところでなぜいきなり神の話を?ダンジョンに神でも現れたのですか?」
俺は首無しに例のビデオレターの内容と、俺の能力であるガチャコールを使い、冷凍倉庫に置いてきた女神の死体を召喚し呼び出す。
すると首無しは明らかに動揺した。それほどまでにこの神に価値があるのだろうか?
確かに神だが、信号機の神だぞ?
「おお…女神の死体ではありませんか」
その声は感極まっていた。顔があったらないているだろう。
「失礼…おそらくは未来からのメッセージでしょう。ビデオの男はいずれガチャより排出される仲間でしょうね。しかし私に対してアンデッドとして使うなとは………」
「そうだ、戦争王ってのは何なんだ?お前がだいぶ前に話していた、6課の戦争屋と何が関係でもあんのか?」
「戦争王、戦争屋、戦狂い…彼には多くの名がありますが、全てロクでもないものです。彼の能力はネクロマンサー。死者を甦らせ、自身の手駒とする。」
「それくらいお前でもできるじゃないか。最近はホムンクルスでもアンデッドを従える個体もいるぞ」
「違います。彼は甦らせた死者を進化させる。私のような、手を加えるのとは訳が違う。それにしても全く…彼女は未来で何をしているのやら…」
「彼女?さっきは彼って言っていたじゃないか。女なのか?」
「…今のは聞かなかったことにしてください。ところで、抜け毛くらいならいいですよね」
「うーん、まぁ、それくらいならいいんじゃないかな」
今日のログインボーナスは建造物確定ガチャコイン。
ガタンッ
UC『ピサの斜塔』
ピザじゃなくてピサ。イタリアのトスカーナ州ピサ県にある世界遺産、ピサのドゥオモ広場の一部。
傾いていることで有名。その傾きは約3.97度。
1173年に着工、100年以上かけて1372年に完成したのだが、建設中に既に傾き始めており、頑張って元に戻そうとしたもののどうすることもできず、結局傾いたまま完成した。
ムッソリーニは傾きはイタリアの恥だとして直そうとしたが失敗、その後も工事が行われたが根本的解決は出来ず、世界中の建設関係者からの助けを得てなんとか3.97度まで修正することに成功、今では安全も確保されているため中に入ることもできるという。
出現したのは、歴史ある雰囲気を持つ、傾いた白い塔だった。
直接は見たことないが、この特徴的な、風が吹けば倒れそうな優雅に立つ塔が、ピサの斜塔なのだろう。
周りには何も建造物がない中、青空の下、一本の塔が聳え立っている。
なかなかいい景色だ。
俺はピサの斜塔に入る。内部も白い石でできており、経年劣化なのかところどころ黒ずんでいる。
ピサの斜塔内部の螺旋階段を登ろうとするが、そこで気づく。この螺旋階段、上だけでなく地下に行くことも可能らしい。
ん?へー、ピサの斜塔って地下があるのか。知らなかった。
俺は螺旋階段を登ろうと考えたが、傾いた階段を上がるのは疲れそうだし面倒くさい。
なのでショートカットだ。スライム化した左腕をワイヤーアクションのように伸ばし、塔を登り最上階へと入った。
本来なら、そこには鐘があるはずだ。しかしそこには鐘がなく、その代わりに数多くのボタンやレバーが付いたコンソールがそこにあった。
これまでの歴史を感じる雰囲気とは違う、突然現れたコンソール。
俺は躊躇しながらも、真ん中の赤いボタンを押した。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッッッッッ!!!
突然塔が上下に揺れ始めた。それもガタガタと地震のように揺れるのではない。遊園地のアトラクションのように上下に数メートル、凄まじい勢いで揺れ始めた。
俺は体を床と天井に体をぶつけながら、何とかコンソールの赤いボタンを押す。
すると斜塔の揺れは止まり、静かになった。
何なんだ今のは!
俺はピサの斜塔の螺旋階段を降り始める。最初の方は特に異常はなかったが、地下へと向かう螺旋階段はどこから現れたのか土で埋め尽くされ、奥に向かうことができなかった、この土はどこから発生したんだ。
調査の結果、これはピサの斜塔型ドリルだった。
真顔で説明するマッドサイエンティスト相手に俺は真顔では?と声に出していた。
何でもこのピサの斜塔の中心にある柱は、先端がドリルのようになっておりこの柱で地下の岩や土を削り、邪魔になった残土を螺旋階段を通じて放出するようだ。
最上階のコンソールを使い、ピサの斜塔の長さを伸ばしたり、短くしたりできるという。これでピサの斜塔は工事重機へと早変わり、今ではショッピングモール地下の駅を有効活用するため、地下鉄のトンネル採掘事業のために使われる予定だ。
…予定だった。
ピサの斜塔ドリルは魔法的な物でない限りは何でも砕いて進むらしい。
マッドサイエンティストは何を考えたのか、何もない空に向かって、コンソールで設定を弄ってピサの斜塔を起動した。
その結果、ガラスが割れるような嫌な音とともに空にヒビが入った。今の所は特に何も起きていない。
何やってんだ!馬鹿!
それでは、今日の無料ガチャ!
ガタンッ
R『問いかけ』
質問のこと。とあるスフィンクスは通りかかる旅人に対して、
「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」と問いかけ、答えられない旅人は食い殺されたという。理不尽。
そんなスフィンクスの前に、オイディプスという男が通りかかる。スフィンクスが同じように問いかけるが、オイディプスは「人間」と答える。
するとスフィンクスは崖から投身自殺したらしい。人間こそがこの問いの答えだったのだ。
この問いはなぞなぞであり、朝と昼と夜は人間の一生を表している。
朝、つまり赤ん坊の頃はハイハイをして進む四足歩行、昼は成長して二足で歩き、最後の夜は老人となって杖をついて歩、つまり3足歩行となるというわけだ。
分かるかこんな問題!
しかし一部の創作では引っ掛け問題として、そんな物は存在しないという答えも存在する。じゃあどうすればいいんだよ。
カプセルを開けると、システムウィンドウが展開された。
●力が欲しいか…? はい/いいえ
はいっと。
………あ、特に深く考えず反射で押してしまった。
仕方ないじゃないか、力が欲しいんだから。
だが何が起こるんだ?ゲーム的に考えてみると、いいえを押しても何も起きないが、はいを押すと強化イベントなどに突入する、または欲深い物への罰として敵が襲いかかってくることもある。
ガチャから出る物なので油断はできない。
何が起きる…?
身構えていると、突然誰かが声をかけてきた。
「Hello」
ん?誰だ。
振り向くと、迷彩柄のタンクトップをきた、ムキムキマッチョの白人の男が立っていた。太陽のように笑顔だ。
で、でかい。こいつ身長とか体格とか筋肉とか、いろいろな物がでかい。圧がすごい。
「さあ、山田君!トレーニングを始めようじゃないか!力はすぐには手に入らない!怠けるな!さあ、私と一緒に鍛えよう」
そう言うとこいつはその筋肉が付いた太い腕で俺をつかみ、片手で軽々と俺を持ち上げた。
うわぁ!急に何をするんだ!
「さあ、君たちも来るんだ!君たちは生まれつきいい筋肉を持っているが、もっと鍛えよう!」
マッチョは俺を持ち上げ、周囲を傍観するホムンクルスに呼びかけながらショッピングモールの外に出ようとする。
それにつられて、ホムンクルスも大勢マッチョについていく。もっと主体性も持て!
というか、お前は誰なんだ!
鑑定!
●インストラクター グリムジョー
筋肉の専門家。体を鍛え指導する得意とするインストラクター。軍隊上がりの彼の指導は無駄のない実用的な筋肉を得ることができる。
ショッピングモールの外には、大きなジムが出現してあった。
そのジムにグリムジョーは中に入り、内部構造を知っているのか迷いなく進み続け、一つの大きな部屋にたどり着く。そしてその大きな部屋の奥にあるステージのような場所に立つ。
俺たちは何をさせられるんだ!
リズムに合わせてジャンプ、反復横跳び、正拳突き、体を捻る運動など、
脂肪燃焼エクササイズももうすぐ終わる。汗だくのインストラクターが、これまでのパワフルな音楽とは違う、静かな落ち着いた最後の一曲をかけ始める。
会場中には熱気と興奮が広がる。
俺を含むこのエクササイズの参加者は意志の力を絞り出し、汗を流し続けた。
筋肉が疲労困憊となりながらも、心地よい疲労感が体を包み込み、俺たちの目は充実感と達成感で輝いていた。
そして曲も終わりを迎える。
「さぁみんな、これまでよく頑張った!最後に一言、全ての力を使って叫んで終わろう!何を叫ぶかはもうわかっているな⁈」
あぁ、もちろんだ。最初こそ戸惑い、恥ずかしがったがもうそんな物は吹き飛んだ。
「せぇーの!」
「「「「ドラゴーーーン!」」」」
エクササイズが終わると、会場中に拍手が鳴り響いた。俺は周りのホムンクルスと笑顔で握手し、お互いの努力と忍耐を称え合った。
「いいドラゴンだったよ」
「ナイスドラゴン!」
「ドラゴンドラゴン!」
「すごいよドラゴン!」
…何だこれ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
貧乏神と呼ばれて虐げられていた私でしたが、お屋敷を追い出されたあとは幼馴染のお兄様に溺愛されています
柚木ゆず
恋愛
「シャーリィっ、なにもかもお前のせいだ! この貧乏神め!!」
私には生まれつき周りの金運を下げてしまう体質があるとされ、とても裕福だったフェルティール子爵家の総資産を3分の1にしてしまった元凶と言われ続けました。
その体質にお父様達が気付いた8歳の時から――10年前から私の日常は一変し、物置部屋が自室となって社交界にも出してもらえず……。ついには今日、一切の悪影響がなく家族の縁を切れるタイミングになるや、私はお屋敷から追い出されてしまいました。
ですが、そんな私に――
「大丈夫、何も心配はいらない。俺と一緒に暮らそう」
ワズリエア子爵家の、ノラン様。大好きな幼馴染のお兄様が、手を差し伸べてくださったのでした。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる