14 / 62
014 師団長
しおりを挟む
「最初から全て裏から見ていたんだ」
急に現れた師団長は、俺にそう言ってきた。
そうか、見られてたのか。
「言っている事にウソは無いようだ」
「判ってもらえます?!」
「自分の経験則からだがな。
ウソを言っているようには見えん。言ってる事は荒唐無稽だが、だからこそウソでは無いと思える。
どんなにバカでも自分が疑われるような証言はしないからな」
褒められているのかディスられているのか。
ま、まぁ信じてもらえたので良しとしよう。
師団長さんは高齢と言えるかどうかくらいのオジサン。
50~60歳くらい?
色々な人を見てきたのだろうね。
「それに今使っている防御魔法。俺が本気で切りかかっても突破出来ないだろうな」
「師団長でも?!」
「本当ですか?!」
「信じられない……」
どうやら師団長は豪腕らしい。
よく見れば確かに体格が良いし、無駄肉が無い感じがする。
「それでだ。お前は何が望みなんだ?」
「服が欲しいです!」
「それは見れば判る。そういう事じゃなくてな? もっと大きな望みだ」
「大きな望み?」
「例えば、その魔法の力で宮廷魔法師になりたいだとか、近衛騎士になりたいだとか、国を脅かすだとか」
「そんな大それた事は考えてないですよ!」
「じゃあ何だ?」
俺の望みか……。
ま、悩む事はなく最初から決まっているんだが。
「自分は世の中のあらゆる事を知りたいんです!」
「情報屋になりたいのか?」
「そうじゃないんです! 元々学者なんですけど、『太陽は何故明るいのか』とか『炎は何故熱いのか』とか。
こういう事を解き明かしたいんです!」
「それは神がそうあれと創造したからだろ?」
「ほらっ! またそう言う! それは思考の停止です!
最終的にはそうなるでしょうが、そこにたどり着くまでのプロセスが短すぎます!」
「あ~、居るわ、こういう奴。王都の研究者に多いタイプだ。相手すると面倒なんだよな……」
呆れられた。
しかし、良い情報だ!
王都には同じ考えの人が居るらしい!
是非とも会って討論したいものだ。
「……もしかして、お前」
「なんです?」
「そういうのが知りたくてドラゴンに会いに行ったのか?」
「そうですけど?」
「うわ~、アホだ。こじらせてるわ」
ドラゴンに続いて、ここでもアホ呼ばわりされた。
「ドラゴンとは会話出来るのか?」
「出来ますよ! ドラゴンというのはですね!」
「あっ、ストップ!」
「えっ?」
「この手の奴に語らせると長いのは知ってる。だから、俺からの質問には『はい』か『いいえ』だけで答えろ」
「……はい」
「よし」
確かに今俺は、少なくとも10分はプレゼンしようとしてた。
長くなる自覚があるので、大人しく従う事に。
「ドラゴンは喋れるのか?」
「はい」
「意思の疎通が出来る?」
「はい」
「味方になってくれるのか?」
「…………いいえ」
「答えに詰まったな。どういう事だ? 少しだけ喋って良いぞ」
「人間に興味が無いようで、俺が助けてもらったのはたまたまみたいです」
「ふむ……ドラゴンは無意味に人を襲ったりしない?」
「はい」
「なるほどな……」
師団長さんはドラゴンの存在を認めた上で、危険が無いか確認したかったようだ。
「ドラゴンが怒るのはどういう時だ? 少しだけ喋る事を許す」
「見た事無いですけど、縄張りに入る事を嫌がってる感じでした」
「どこまでが縄張りだ?」
「分かりませんが、ここから見えるあの山は縄張り外だと思います」
「………………例えばだ、この国の人間がドラゴンの縄張りのある国にドラゴンの情報を流したとしよう。
それによってその国がドラゴンの縄張りに入ってきた。
その場合、ドラゴンはこの国も敵視すると思うか?」
なんちゅう具体例を!
『しない』と言ったら、その策を実行しそうで怖い!
でもあのドラゴンはしないだろうなぁ。入ってきた者だけ排除するだけな気がする。
……う~ん、どう答えたものか。
急に現れた師団長は、俺にそう言ってきた。
そうか、見られてたのか。
「言っている事にウソは無いようだ」
「判ってもらえます?!」
「自分の経験則からだがな。
ウソを言っているようには見えん。言ってる事は荒唐無稽だが、だからこそウソでは無いと思える。
どんなにバカでも自分が疑われるような証言はしないからな」
褒められているのかディスられているのか。
ま、まぁ信じてもらえたので良しとしよう。
師団長さんは高齢と言えるかどうかくらいのオジサン。
50~60歳くらい?
色々な人を見てきたのだろうね。
「それに今使っている防御魔法。俺が本気で切りかかっても突破出来ないだろうな」
「師団長でも?!」
「本当ですか?!」
「信じられない……」
どうやら師団長は豪腕らしい。
よく見れば確かに体格が良いし、無駄肉が無い感じがする。
「それでだ。お前は何が望みなんだ?」
「服が欲しいです!」
「それは見れば判る。そういう事じゃなくてな? もっと大きな望みだ」
「大きな望み?」
「例えば、その魔法の力で宮廷魔法師になりたいだとか、近衛騎士になりたいだとか、国を脅かすだとか」
「そんな大それた事は考えてないですよ!」
「じゃあ何だ?」
俺の望みか……。
ま、悩む事はなく最初から決まっているんだが。
「自分は世の中のあらゆる事を知りたいんです!」
「情報屋になりたいのか?」
「そうじゃないんです! 元々学者なんですけど、『太陽は何故明るいのか』とか『炎は何故熱いのか』とか。
こういう事を解き明かしたいんです!」
「それは神がそうあれと創造したからだろ?」
「ほらっ! またそう言う! それは思考の停止です!
最終的にはそうなるでしょうが、そこにたどり着くまでのプロセスが短すぎます!」
「あ~、居るわ、こういう奴。王都の研究者に多いタイプだ。相手すると面倒なんだよな……」
呆れられた。
しかし、良い情報だ!
王都には同じ考えの人が居るらしい!
是非とも会って討論したいものだ。
「……もしかして、お前」
「なんです?」
「そういうのが知りたくてドラゴンに会いに行ったのか?」
「そうですけど?」
「うわ~、アホだ。こじらせてるわ」
ドラゴンに続いて、ここでもアホ呼ばわりされた。
「ドラゴンとは会話出来るのか?」
「出来ますよ! ドラゴンというのはですね!」
「あっ、ストップ!」
「えっ?」
「この手の奴に語らせると長いのは知ってる。だから、俺からの質問には『はい』か『いいえ』だけで答えろ」
「……はい」
「よし」
確かに今俺は、少なくとも10分はプレゼンしようとしてた。
長くなる自覚があるので、大人しく従う事に。
「ドラゴンは喋れるのか?」
「はい」
「意思の疎通が出来る?」
「はい」
「味方になってくれるのか?」
「…………いいえ」
「答えに詰まったな。どういう事だ? 少しだけ喋って良いぞ」
「人間に興味が無いようで、俺が助けてもらったのはたまたまみたいです」
「ふむ……ドラゴンは無意味に人を襲ったりしない?」
「はい」
「なるほどな……」
師団長さんはドラゴンの存在を認めた上で、危険が無いか確認したかったようだ。
「ドラゴンが怒るのはどういう時だ? 少しだけ喋る事を許す」
「見た事無いですけど、縄張りに入る事を嫌がってる感じでした」
「どこまでが縄張りだ?」
「分かりませんが、ここから見えるあの山は縄張り外だと思います」
「………………例えばだ、この国の人間がドラゴンの縄張りのある国にドラゴンの情報を流したとしよう。
それによってその国がドラゴンの縄張りに入ってきた。
その場合、ドラゴンはこの国も敵視すると思うか?」
なんちゅう具体例を!
『しない』と言ったら、その策を実行しそうで怖い!
でもあのドラゴンはしないだろうなぁ。入ってきた者だけ排除するだけな気がする。
……う~ん、どう答えたものか。
0
あなたにおすすめの小説
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~
スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」
悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!?
「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」
やかましぃやぁ。
※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる