好奇心は身を滅ぼす?

お子様

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「では準備をするとしよう。ドラゴンの所まで何日くらいかかる?」

いきなりの難しい質問。
重力を減らして跳んできたからなぁ。
普通に歩いていったらどれだけかかるのだろうか?

いや、歩いて行く必要は無いか。
全員が重力魔法で跳んで行けば良いのだ。
でも、その場合、着地の練習が必要か。

「ちょっと聞きたいんですけど、同行者は木の上に着地出来ますか?」
「出来る訳無いだろ。何だ、そのバカな質問は」

一蹴された。
まぁそうだよな。
おれもドラゴンに特訓させられたもん。
出来るなんて言われたら1年くらい練習した俺が可哀想だ。

そうなると……俺が運ぶしかないか。
全員に荷台にでも乗ってもらって、それを俺が持ち上げて跳ぶ。
重さは精霊に頼んでいい感じにしてもらえば可能じゃないか?

「同行者が乗れるほどの荷台を用意してください。
 それで底に取っ手を付けて下さい」
「……もしかしてドラゴンに運ばせるつもりか?」
「そんな事しませんし、ドラゴンも運んでくれませんって。
 俺が運びます」
「またバカな事を言いだしたぞ。お前が馬の役目をするってのか?」
「違いますよ。持ち上げて跳んで行くんです」
「そんなヒョロヒョロの体で?」

ヒョロヒョロで悪かったね。
良い物食べてないんだからしょうがないでしょ。

「魔法を使います」
「そんな魔法があるのか? もしかしてそれもドラゴンから教わったのか?」
「そうです」
「今、ここでやってみせろ」
「良いですよ」

俺は兵士二人に、体育座りになってもらった。
精霊に兵士にかかる重力を1にしてもらい、襟首を持って持ち上げる。
6を1にしたけど、重さは単純に1/6ではないんだ。どういう法則か現在は不明だが、一人辺り1kgくらい。
この法則も近い内に解き明かす予定。

「ど、どうなってる?!」

師団長さんが驚いている。
普通は驚くよね。俺も最初は驚いた。
判る判る。

「分かりやすく言えば、この一人の重さを1kgくらいにしました」
「はぁ?!」
「だからこの通り持ち上げられますし、投げる事も出来ますよ」
「投げるな!」「止めろ! いや、止めて下さい!」

持ち上げたビビリまくりの二人の兵士から静止の声がかかる。
師団長さんは投げて欲しかったのか、受け取る格好になってた。
ゆっくり空中を跳ぶのって結構楽しいのにな。慣れれば、だけど。

二人の兵士を降ろし、重力を元に戻してもらう。
腰が抜けたようで、立ち上がれないようだ。

「こんな感じで、荷台を持ち上げて運ぶつもりですけど……ダメですかね?」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ」
「落とさないか? 途中で魔力が切れるとか魔法の効力が切れて落ちるとか、無いだろうな?」
「無いですね」

そもそも魔力を使ってないし。
精霊が止めない限り大丈夫だ。契約してるので言わなきゃ止めないし。

「……荷台を用意しよう。取っ手もつけよう。
 それから実験だ。まずは荷物を乗せて、次は兵士を乗せて、最後に荷物と兵士を乗せてみよう。
 問題無いなら、それで行こうと思うが……その前に聞いておく」
「何でしょう?」
「徒歩では行けないのか?」

最初に戻ってしまった。
行けない事は無いけどなぁ。
でも、師団長さんが指摘したように、俺ヒョロヒョロですよ?
体力の無さには自信がある!

もし徒歩なら、到着に1ヶ月以上かかりそうだ。
ここは適当な事を言って誤魔化そうか。

「徒歩でも行けますけど、途中に渓谷とかあって大変ですよ? 獣やモンスターも襲ってくるでしょうし」
「……判った。ではお前の魔法で行く前提としよう。
 実験は明日から始める。今日はここに泊めてやる。服も1着だけだがタダでやろう」

ラッキー!
宿と服、ゲットだぜ!



……
その日の俺の宿泊先は牢屋でした。
服? 勿論、囚人服だよ!
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