好奇心は身を滅ぼす?

お子様

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023 ダンジョン!

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「ドラゴン殿は、ダンジョンにもお詳しいのですか?」
『まぁ、星とは親交があるからな』
「ほ、星と…………」

規模が大きすぎて師団長さん達は理解しにくいようだ。

「で、ダンジョンって何?! 何であるの?! 仕組みは?!」
『また始まったか……。話してやるから黙って聞け。質問は最後だ、いいな、最後だぞ?』
「判った! だから話してくれ!」
『ダンジョンは星が魔力の循環をさせる為に作っている物だ』
「魔力の循環?!」
『質問は最後にと言っただろうが! 最後まで聞け!!』

怒られた。スミマセン。

『魔力は星全体で一定量しかない。それを獣やモンスターや人間は体内に溜め込んでいる。
 特に人間は近年になって数を増やしている。
 これでは自然界にある魔力が減ってしまう。そこでダンジョンだ』

なるほど。循環させる必要があるんだな。

『内部でモンスターを発生させ、モンスターや獣をエサでおびき寄せて殺す為の物、それがダンジョンだ。
 星が意図的に作り出したものだから、自然発生とも言えるな』

「私も質問は最後の方がよろしいでしょうか?」
『ん? こやつでなければ許可しよう』
「貴族だけ許可とかズルい! 差別反対!」
『お前はうるさい。1つの質問を回答すると、その回答について聞いてくるだろうが!』

酷い。
その通りだけど。
いいじゃないか、知りたいんだもん。

『それで質問とは?』
「ありがとうございます。モンスターや獣はどのようにおびき寄せているのでしょうか?」
『お前はダンジョンについて知っているようだな。
 ならば判るだろう。ダンジョン内のモンスターを倒すと、肉や皮や角が残り死体が消える事を』
「はい、知っています」
『その肉等は非常に美味しく出来ている。それにつられて獣やモンスターが寄ってくるのだ』
「だからダンジョン内で穫れる肉は美味く価値が高いのか……」

どうやらその肉は、人間が食べても美味いらしい。

『近年は人間が増え始めたので、人間をおびき寄せる為の物も置かれるようになった。
 魔石もその内の一つだ。便利だが一定量使うと無くなってしまう魔石。また取りに行かなければならなくなるだろう?
 ダンジョンで死ねば、死体と持ち物が回収され、持ち物は宝箱の中身になる』
「しかしあれは新品ですけど……」
『わざと星が新品にしているのだ。中古では価値が低いだろう?
 価値のある物でなければ人間が入らない事を星は知っている。
 そしてダンジョン内で出る装備品は印が付いているだろ?』
「はい。その通りです」
『あれは星が配慮したのか、一度ダンジョンに回収された物には印が付き、ダンジョン産と判るようになっている。
 他の物と区別させるようにな。稀に印が大きい場合があるだろう?』
「は、はい。確かに」
『それはな、何度もダンジョンに回収された物の証だ。
 ダンジョンの目的は人に死んでもらう事。何度も成功している装備品はダンジョンにとって誉れ。
 だから印を大きくしている。ついでに付加価値を更に上乗せしている。
 印の大きい物は強力になっているはずだ』
「はい。私の見た物は盾でしたが、魔法をも受け止めていました」
『他に何かあったかな? おお、そうそう。印を付けるもう一つの理由があったわ』
「それは何でしょうか?」
『犯罪抑止』
「は、犯罪の抑止ですか?」
『ダンジョン内で人同士が殺し合いをしても構わない。むしろ推奨している。
 なんせ死体を処分してくれるのだから、理想的な殺す場である。
 だがその場合、殺した相手の装備品をダンジョンが回収する前に持ち帰ってしまうのだ。
 それでは新たなエサが手に入らないだろう?
 だから、ダンジョン内で殺しをして奪った物ではない証拠に印を付けている。
 ダンジョン産は印がある、殺しをして奪った物には印が無い。入り口で検査するようになったのではないか?』
「そ、その通りです! ダンジョンに入る際に持ち物は登録し、出る時に何を取ってきたのか検査されます!」
『それは盗品か調べているのだ』

星はかなり頭が良いようだ。
人間に対しても気配りが出来ている。
まぁ、気配りと言うよりも、いかに人間をダンジョンに引き込むか策略を練っただけだろうけど。

ドラゴンの話を聞いた人達は呆然としている。
なかなか衝撃的な事実だったからねぇ。
俺も知識欲が満たされて満足だ…………と言うと思ったか!

「はいはいはーい! 俺も質問!!」
『む……まぁいい。1つだけ聞こう』
「1つ?! むむむ…………」
『質問タイム終了まで5・4・3・2……」
「うわぁ! 待って待って! えっと、えっと、えっと、ダ、ダンジョンに行くのにバナナはおやつに入りますか?!」
『含まぬ。はい、終ー了ー』

ぐわぁ! なんてアホな質問をしたんだ、俺!!
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