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056 声かけられた
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登録証を貰い部屋から出ると、またハリーが騒ぎ出した。
『何で誰も絡んでこねーんだよ! 小動物と新人の子供だぞ!』
「誰が子供だよ」
『傍から見れば子供じゃねーか』
「いやいや、成人してるし。見た目が若く見えるだけだし」
『そんな事は良いんだよ! ここで絡んでくるのが王道だろ?!』
さっき説明されたじゃん。
絡んだって良い事なんか一つも無いじゃん。
「面倒だから正論で論破させてもらうわ。
子供=弱いとは限らないじゃん。魔法もあるんだし。
ずっと鍛えてたら身体能力だって違うだろ。オリンピックに出るような子供に、大人だからって同じ競技で勝てるか?
それに、言いたくないけど、得体の知れない小動物を連れてるヤツに絡みたいか? 俺ならイヤだね。
登録したばかりの小動物を連れてる子供、関わりたいってヤツは普通いないだろ。
そもそも、絡んで何か得があるの? どんなバカでもデメリットの方が大きい事くらい分かるだろ。
言ってるギルドの仕組みは判らないけど、所属しといて言う事聞かないなんて許されないぞ?
バカだけどある程度の強さがある? そいつらを諌められないギルドは終わってるね」
『ぐぬぬぬ……』
唸っても無駄なのだ!
完全論破!…………したと思ったんだけどなぁ。
まさか本当に近寄ってくる人が居るとは思わなかった。驚きだ。
「ちょっと良いかな?」
『キターーーーーーッ!』
「えっ?!」
「あっ、これは無視して良いです。何の用でしょうか?」
「ちょっと聞きたい事があってね。いや、答えたくなければ言わなくても良いんだけど。
君は魔法が使えるのかな?」
話しかけてきた人は20代後半くらいの男性。
細マッチョの、なんかデキる男って感じ。
そして少し離れた所から数名の男性がコチラを見ている。仲間なんだろうか?
さて、何と答えるのが良いだろうか?
俺の若さ(見た目だけだが)から魔法使いと思ったんだと推測は出来るけど。
チラリとギルドの受付を見るが、何かを言うような気配は無い。
まぁ、素直に答えておくか。
「そうです。魔法が使えます」
『ほら、バカにされるぞ。準備しとけ』
ハリーが俺の肩に乗り、小声で謎のアドバイスをくれた。
何の準備が要るんだよ。そして何でバカにされると思ったのだろうか?
「やっぱり! 聞こえてきてしまったんだが、今日登録したばかりなんだよね?」
「はい、そうですけど……何の用でしょうか?」
「ああ、ごめんごめん。声をかけたのはね、うちのパーティーに入らないかって勧誘したかったんだ」
勧誘? 登録したばかりの、実力も判らない新人を?
『……あっ! このパターン知ってる!!』
「パターン?」
「ちょっとハリー、黙って! すみません、ちょっとコレと相談してきます」
「あ、ああ……」
ハリーを連れて売店の陰にまで行く。
「何だよパターンって」
『何も知らない素人を優しい言葉で勧誘して、こき使う・苛める・搾取する、ってパターンだよ』
「はぁ?! 何の意味がある、ってか、可能なのか、それ」
『活躍すれば報酬は人数割りにして少ない報酬を渡されるんだよ。
活躍しないなら荷物運びさせたり、囮に使ったりするんだよ』
う~ん……変な事を言ってると思うけど、無警戒になるのも問題か。
「もしそうだったとして、断ったらどうなるんだ?」
『しつこく勧誘されるね。それでも断るとだんだん命令口調になる。
最後には決闘か、捨て台詞を残して去りダンジョン内で襲ってくるか。そんな感じだな』
「なにそれ。暴君?」
そんなの許されるのかね?
でもまぁ、ありえないとも言い切れないか。
「よし、受付に行って、あの人達の人となりを聞いてみよう」
『意味無いと思うけどな』
「何でだよ?」
『狡猾だから、ギルド内ではそういう姿を見せてないんだ。ギルドマスターには疑われてたりするけどな』
疑っておいて手を打たないギルドって問題じゃね?
日本なら疑わしきは罰せずだけど、ここは異世界で武器まで持ってるんだぞ? しかも王政。
調べる方法なんか一杯ありそうだけど。
「ん~……まぁ一緒に活動する必要も今は感じないし、断っておくか」
『おっ! やる気を見せたな。よしよし、戦闘準備しとくわ。俺が不意打ちすれば上手くいくだろ』
「いや、悪い人って決まってないからな?」
大丈夫かな? いきなり襲いかからないよな?
先制攻撃とかしたら、こっちが悪者だからね?
律儀に同じ場所で待っててくれたので、話をしに行く。
「相談した結果、何で声を掛けられたのが疑問だったので、お断りさせてください」
「そうか。理由は簡単で、ここのギルドの方針だからさ」
「方針ですか?」
「ああ。新人で魔法使いならダンジョンに入るだろうと思ってね。広い所より狭い方が戦いやすいから。
で、ダンジョンに入る新人には先輩が付いて指導する方針なのさ」
「どういう内容ですか?」
「ダンジョン内の進み方とか、戦い方、他の冒険者に遭遇した場合の対処、とかだね」
なるほど。確かにそういうのは知らないな。
貰った小冊子には書いてあると思うけど、書かれている事と実践は別だから。
『その割には、あっさり引き下がったな』
「お、おい、ハリー!」
「ははは、良いよ。それも簡単。あくまで方針であって絶対じゃないからね。
それに所長と話をしに行っただろ? って事はある程度の実力者かなと思ってね」
『どの新人にも声をかけるのか?』
「まさか。こっちだって危険な所に行くんだ。ヤバそうなヤツは連れて行かないさ。
君達は見込みがありそうだから、声をかけたんだよ。
予想通り実力者だったなら、そのままうちのパーティーに在籍してもらえれば助かるしさ。
それに、今恩を売っておけば、後に大成した時に顔見知りって事になるからね」
そう言って軽くウインクされた。
男にされても嬉しく無いんだけど、やはりデキる男って感じだわ。
『何で誰も絡んでこねーんだよ! 小動物と新人の子供だぞ!』
「誰が子供だよ」
『傍から見れば子供じゃねーか』
「いやいや、成人してるし。見た目が若く見えるだけだし」
『そんな事は良いんだよ! ここで絡んでくるのが王道だろ?!』
さっき説明されたじゃん。
絡んだって良い事なんか一つも無いじゃん。
「面倒だから正論で論破させてもらうわ。
子供=弱いとは限らないじゃん。魔法もあるんだし。
ずっと鍛えてたら身体能力だって違うだろ。オリンピックに出るような子供に、大人だからって同じ競技で勝てるか?
それに、言いたくないけど、得体の知れない小動物を連れてるヤツに絡みたいか? 俺ならイヤだね。
登録したばかりの小動物を連れてる子供、関わりたいってヤツは普通いないだろ。
そもそも、絡んで何か得があるの? どんなバカでもデメリットの方が大きい事くらい分かるだろ。
言ってるギルドの仕組みは判らないけど、所属しといて言う事聞かないなんて許されないぞ?
バカだけどある程度の強さがある? そいつらを諌められないギルドは終わってるね」
『ぐぬぬぬ……』
唸っても無駄なのだ!
完全論破!…………したと思ったんだけどなぁ。
まさか本当に近寄ってくる人が居るとは思わなかった。驚きだ。
「ちょっと良いかな?」
『キターーーーーーッ!』
「えっ?!」
「あっ、これは無視して良いです。何の用でしょうか?」
「ちょっと聞きたい事があってね。いや、答えたくなければ言わなくても良いんだけど。
君は魔法が使えるのかな?」
話しかけてきた人は20代後半くらいの男性。
細マッチョの、なんかデキる男って感じ。
そして少し離れた所から数名の男性がコチラを見ている。仲間なんだろうか?
さて、何と答えるのが良いだろうか?
俺の若さ(見た目だけだが)から魔法使いと思ったんだと推測は出来るけど。
チラリとギルドの受付を見るが、何かを言うような気配は無い。
まぁ、素直に答えておくか。
「そうです。魔法が使えます」
『ほら、バカにされるぞ。準備しとけ』
ハリーが俺の肩に乗り、小声で謎のアドバイスをくれた。
何の準備が要るんだよ。そして何でバカにされると思ったのだろうか?
「やっぱり! 聞こえてきてしまったんだが、今日登録したばかりなんだよね?」
「はい、そうですけど……何の用でしょうか?」
「ああ、ごめんごめん。声をかけたのはね、うちのパーティーに入らないかって勧誘したかったんだ」
勧誘? 登録したばかりの、実力も判らない新人を?
『……あっ! このパターン知ってる!!』
「パターン?」
「ちょっとハリー、黙って! すみません、ちょっとコレと相談してきます」
「あ、ああ……」
ハリーを連れて売店の陰にまで行く。
「何だよパターンって」
『何も知らない素人を優しい言葉で勧誘して、こき使う・苛める・搾取する、ってパターンだよ』
「はぁ?! 何の意味がある、ってか、可能なのか、それ」
『活躍すれば報酬は人数割りにして少ない報酬を渡されるんだよ。
活躍しないなら荷物運びさせたり、囮に使ったりするんだよ』
う~ん……変な事を言ってると思うけど、無警戒になるのも問題か。
「もしそうだったとして、断ったらどうなるんだ?」
『しつこく勧誘されるね。それでも断るとだんだん命令口調になる。
最後には決闘か、捨て台詞を残して去りダンジョン内で襲ってくるか。そんな感じだな』
「なにそれ。暴君?」
そんなの許されるのかね?
でもまぁ、ありえないとも言い切れないか。
「よし、受付に行って、あの人達の人となりを聞いてみよう」
『意味無いと思うけどな』
「何でだよ?」
『狡猾だから、ギルド内ではそういう姿を見せてないんだ。ギルドマスターには疑われてたりするけどな』
疑っておいて手を打たないギルドって問題じゃね?
日本なら疑わしきは罰せずだけど、ここは異世界で武器まで持ってるんだぞ? しかも王政。
調べる方法なんか一杯ありそうだけど。
「ん~……まぁ一緒に活動する必要も今は感じないし、断っておくか」
『おっ! やる気を見せたな。よしよし、戦闘準備しとくわ。俺が不意打ちすれば上手くいくだろ』
「いや、悪い人って決まってないからな?」
大丈夫かな? いきなり襲いかからないよな?
先制攻撃とかしたら、こっちが悪者だからね?
律儀に同じ場所で待っててくれたので、話をしに行く。
「相談した結果、何で声を掛けられたのが疑問だったので、お断りさせてください」
「そうか。理由は簡単で、ここのギルドの方針だからさ」
「方針ですか?」
「ああ。新人で魔法使いならダンジョンに入るだろうと思ってね。広い所より狭い方が戦いやすいから。
で、ダンジョンに入る新人には先輩が付いて指導する方針なのさ」
「どういう内容ですか?」
「ダンジョン内の進み方とか、戦い方、他の冒険者に遭遇した場合の対処、とかだね」
なるほど。確かにそういうのは知らないな。
貰った小冊子には書いてあると思うけど、書かれている事と実践は別だから。
『その割には、あっさり引き下がったな』
「お、おい、ハリー!」
「ははは、良いよ。それも簡単。あくまで方針であって絶対じゃないからね。
それに所長と話をしに行っただろ? って事はある程度の実力者かなと思ってね」
『どの新人にも声をかけるのか?』
「まさか。こっちだって危険な所に行くんだ。ヤバそうなヤツは連れて行かないさ。
君達は見込みがありそうだから、声をかけたんだよ。
予想通り実力者だったなら、そのままうちのパーティーに在籍してもらえれば助かるしさ。
それに、今恩を売っておけば、後に大成した時に顔見知りって事になるからね」
そう言って軽くウインクされた。
男にされても嬉しく無いんだけど、やはりデキる男って感じだわ。
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