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016 信仰心
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俺はリシャ宣教師と共に、いつも使っている森への入り口へと向かった。
シロが警戒して出てこなかったらどうしよう、という俺の心配は無駄で、いつものようにノソっと現れた。
それを見たリシャ宣教師は、即座に土下座した。
……えっ? 祈りを捧げるんじゃないの??
「神獣様、ご容赦下さい!」
「えっ?! 何を謝ってるの?!」
「私がケン、いやケン様のお言葉を一瞬でも疑った事で御座います!」
「ケン様?! 何で突然様付け?!」
「使徒様で御座いますから!」
あ~、神が任務を与えて送り込んだ人間だから使徒か。あながち間違っては無い。
でも土下座は止めてもらいたい。ほら、シロも戸惑ってるしさ。
「許します、許しますから! ほら、シロ、神獣も怒ってないですから! だから立ってください!」
「ほ、本当で御座いますか?」
「その言葉遣いも止めてくださいって! さっきまでと同じ様に話して下さい。 ってか、とにかく立って!!」
リシャ宣教師の腕を取り、無理やり起こす俺とシロ。
顔を見ると号泣してた。何故だ!!
「なんと慈悲深い……」
「いや、元々怒ってなかったんですから、慈悲も何も無いですよ……。ほら、涙を拭いて。ちゃんと話をしましょう」
どうやら俺が何を言っても感動のツボに入るらしく、また泣き出してなかなか話が進まない。
落ち着いてくれたのは、1時間も経った頃だった。
「もうそろそろ暗くなる時間なので、移動しましょうか」
「私のせいで時間を使わせてしまい、申し訳御座いません……」
「いいからいいから。俺が今住んでいる所に移動しましょう」
「分かりました。ここからどれくらいなのでしょうか?」
「え~と、シロに乗って30分くらいですかね」
思わず分という単位で話してしまった。
時間の概念が違う可能性があるので通用しないかな?と思ったけど、リシャ宣教師が引っかかったのはそこじゃなかった。
「神獣様に乗る?! 無理です! 私は走って追いかけますので!!」
「いや、それこそ無理ですって! シロの速さは尋常じゃないですから!」
「では置いていってください。意地でも追いかけますので」
「いやいや! え~い、シロ、無理やりにでも乗せてくれ!」
「ご容赦下さ、ああっ!!」
素早くシロが動き、リシャ宣教師と俺を捕まえる。そして空中へ放り投げ背中で受け止めた。何で俺まで?!
そのままキャンプ地へ向けて走り出した。
「もう乗ったのだから諦めてください。ちゃんと捕まってないと落ちますよ!」
「落ちれば乗るという無礼から逃れられるのでは?」
「その場合はまた拾い上げる事になりますね。シロに二度手間をかけさせるつもりですか?」
「ぐっ……!」
悪いが信仰心を利用させてもらった。
諦めて乗っててください。
無事キャンプ地へ到着した。
すぐに火を起こし、ゼスのご飯の準備をする。と言っても乳を飲ますだけなんだが。
「その御方が、神の子ですか……」
「ええ。そうです。あっ、そうそう、神力でしたっけ? ゼス、この子の名前なんですけど、ゼスからも感じます?」
「神獣様が近すぎて、分かりません。申し訳御座いません」
「あっ、そうか。じゃあ後で見て下さい」
「かしこまりました」
「その堅苦しい喋り方はどうにかならないですか?」
「無理です。例えるなら隙きを見せたら殺される魔物の前で仰向けに寝られますか、と言っているようなものです」
そう言われたら強要も出来ないなぁ。
しょうがない、そこはこちらが諦めよう。
ゼスのご飯も終わったので、今度は俺達のご飯を作ろう。
ゼスはシロに任せておいて、料理をしつつリシャ宣教師と話をする。
「俺の神力の原因は理解して貰えました?」
「はい。大丈夫です」
「で、ぶっちゃけ、俺達は今後どうすれば良いですか?」
「ど、どう、とは?」
「えっ? 例えば、リシャ宣教師が所属する教会に行く事になるとか、教会で保護されるとか」
「そのような事になりません。なるはずが御座いません!」
言い切られてしまった。普通はお偉いさんと会う為に教会に行かなきゃいけないとか、保護するので来てくれとか、そういう話になるんじゃないの?
まぁ、その普通ってのはラノベやアニメでの話だけどさ。
「神獣様や使徒様や、神の御子をこちらの事情で振り回すような事は致しません。自由にお過ごし下さい」
「え? そうなの? でも権力者とかは会いたがるんじゃないの?」
「もし会いたいのであれば、出向けば良いのです。来て頂くなんぞ、出来る訳がありません。
こちらの事情で出向く事ですら不敬と思います」
あ~、なんとなく理解した。
俺達が王族で、教会の人達が貴族みたいなものか。貴族が王族を呼び出すなんて不敬極まりないよな。
城に「~~の要件でお伺いしたいのですが、何時が宜しいでしょうか?」と聞いてから動くよね。
勝手に行くような事はしない。行っても会えないだろうし。会わせろと言うなんて論外。
でも困ったぞ。
それだと俺の「保護してください。俺に楽をさせてください」作戦が……。
シロが警戒して出てこなかったらどうしよう、という俺の心配は無駄で、いつものようにノソっと現れた。
それを見たリシャ宣教師は、即座に土下座した。
……えっ? 祈りを捧げるんじゃないの??
「神獣様、ご容赦下さい!」
「えっ?! 何を謝ってるの?!」
「私がケン、いやケン様のお言葉を一瞬でも疑った事で御座います!」
「ケン様?! 何で突然様付け?!」
「使徒様で御座いますから!」
あ~、神が任務を与えて送り込んだ人間だから使徒か。あながち間違っては無い。
でも土下座は止めてもらいたい。ほら、シロも戸惑ってるしさ。
「許します、許しますから! ほら、シロ、神獣も怒ってないですから! だから立ってください!」
「ほ、本当で御座いますか?」
「その言葉遣いも止めてくださいって! さっきまでと同じ様に話して下さい。 ってか、とにかく立って!!」
リシャ宣教師の腕を取り、無理やり起こす俺とシロ。
顔を見ると号泣してた。何故だ!!
「なんと慈悲深い……」
「いや、元々怒ってなかったんですから、慈悲も何も無いですよ……。ほら、涙を拭いて。ちゃんと話をしましょう」
どうやら俺が何を言っても感動のツボに入るらしく、また泣き出してなかなか話が進まない。
落ち着いてくれたのは、1時間も経った頃だった。
「もうそろそろ暗くなる時間なので、移動しましょうか」
「私のせいで時間を使わせてしまい、申し訳御座いません……」
「いいからいいから。俺が今住んでいる所に移動しましょう」
「分かりました。ここからどれくらいなのでしょうか?」
「え~と、シロに乗って30分くらいですかね」
思わず分という単位で話してしまった。
時間の概念が違う可能性があるので通用しないかな?と思ったけど、リシャ宣教師が引っかかったのはそこじゃなかった。
「神獣様に乗る?! 無理です! 私は走って追いかけますので!!」
「いや、それこそ無理ですって! シロの速さは尋常じゃないですから!」
「では置いていってください。意地でも追いかけますので」
「いやいや! え~い、シロ、無理やりにでも乗せてくれ!」
「ご容赦下さ、ああっ!!」
素早くシロが動き、リシャ宣教師と俺を捕まえる。そして空中へ放り投げ背中で受け止めた。何で俺まで?!
そのままキャンプ地へ向けて走り出した。
「もう乗ったのだから諦めてください。ちゃんと捕まってないと落ちますよ!」
「落ちれば乗るという無礼から逃れられるのでは?」
「その場合はまた拾い上げる事になりますね。シロに二度手間をかけさせるつもりですか?」
「ぐっ……!」
悪いが信仰心を利用させてもらった。
諦めて乗っててください。
無事キャンプ地へ到着した。
すぐに火を起こし、ゼスのご飯の準備をする。と言っても乳を飲ますだけなんだが。
「その御方が、神の子ですか……」
「ええ。そうです。あっ、そうそう、神力でしたっけ? ゼス、この子の名前なんですけど、ゼスからも感じます?」
「神獣様が近すぎて、分かりません。申し訳御座いません」
「あっ、そうか。じゃあ後で見て下さい」
「かしこまりました」
「その堅苦しい喋り方はどうにかならないですか?」
「無理です。例えるなら隙きを見せたら殺される魔物の前で仰向けに寝られますか、と言っているようなものです」
そう言われたら強要も出来ないなぁ。
しょうがない、そこはこちらが諦めよう。
ゼスのご飯も終わったので、今度は俺達のご飯を作ろう。
ゼスはシロに任せておいて、料理をしつつリシャ宣教師と話をする。
「俺の神力の原因は理解して貰えました?」
「はい。大丈夫です」
「で、ぶっちゃけ、俺達は今後どうすれば良いですか?」
「ど、どう、とは?」
「えっ? 例えば、リシャ宣教師が所属する教会に行く事になるとか、教会で保護されるとか」
「そのような事になりません。なるはずが御座いません!」
言い切られてしまった。普通はお偉いさんと会う為に教会に行かなきゃいけないとか、保護するので来てくれとか、そういう話になるんじゃないの?
まぁ、その普通ってのはラノベやアニメでの話だけどさ。
「神獣様や使徒様や、神の御子をこちらの事情で振り回すような事は致しません。自由にお過ごし下さい」
「え? そうなの? でも権力者とかは会いたがるんじゃないの?」
「もし会いたいのであれば、出向けば良いのです。来て頂くなんぞ、出来る訳がありません。
こちらの事情で出向く事ですら不敬と思います」
あ~、なんとなく理解した。
俺達が王族で、教会の人達が貴族みたいなものか。貴族が王族を呼び出すなんて不敬極まりないよな。
城に「~~の要件でお伺いしたいのですが、何時が宜しいでしょうか?」と聞いてから動くよね。
勝手に行くような事はしない。行っても会えないだろうし。会わせろと言うなんて論外。
でも困ったぞ。
それだと俺の「保護してください。俺に楽をさせてください」作戦が……。
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