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010 公然の秘密
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「お前の得物は何だ?」
「え、得物ですか?」
「あ~、と、つまり武器だ」
「武器……」
俺は何が使えるのだろうか?
剣? 剣の重さに振り回されそうだ。却下。
槍? 握り方すら判らん。却下。
弓? 引ける気がしないな。却下。
そうなると……ナイフか?
これなら振り回す必要も無い。上手く使えるかは別問題だけど。
「え~と、ナイフなら……」
「ナイフ! それであのような魔物を……」
「教官?」
「おっとすまない。じゃあこれを使え」
渡されたのは、木製のナイフ。
中に鉄の棒でも仕込んであるのか、そこそこの重さがある。
「俺は剣を使う。それで良いな?」
「ダメって言ったら変えてくれます?」
「いや、変えないな。これは人型の敵を相手にした時の審査だからな。
ダメと言ったら相手が武器を変えてくれる、そんな事はありえないだろ?」
確かに。
まぁ良いや。どうせカード頼りだ。
「判りました。魔法使いは接近戦に弱いというのが通説だが。
まぁ、お前には関係無いだろう。じゃあラビューの合図で始めるぞ」
魔法使いは接近戦に弱いのか。
良い事を聞いた。今後の参考にしよう。
しかし過大評価が著しい。目が殺気立ってるんだけど?
「それでは…………はじめ!」
俺は合図と同時にカードを起動する。
次の瞬間、時間が停止した。
何故分かるかと言うと、誰もピクリとも動かないから。
もし止まって無いのなら、教官が走ってくるはずだ。
おっと、5秒しか無いんだった。
俺は走って教官の元へ行き、教官の足を持つ。
前に出している右足を左足の後ろにしようとするが、これがまた上手く出来ない。
動かせるんだけど、無重力状態ってのが意外に使いにくい。
結果、教官はグルリと回転してしまい、剣を構えた格好のまま寝ているような姿になってしまった。
ごめんなさい。
そして時間が動き始める。
「ぶおっ?!」
教官が変な声と同時に地面を転がった。
腰を中心に回してしまったから、1mくらいの高さから受け身も出来ずに落ちたみたいなものだからねぇ。
俺は教官の後ろに待機してたので、そのまま倒れている教官の首元にナイフを当てる。
「これで合格ですか?」
「うぐぐ……。む、これでは俺の負けだな。
イテテ……。しかし何をやったか全然判らなかった。完敗だ」
どうやらOKらしい。
ラノベじゃあこういう場合、無効だとか言ってもう一回やらされたりするからねぇ。
物分りの良い教官で助かった。
「ふう。何をやったか聞いても良いか?」
「え~~~と」
言っても良いんだろうか? どう考えてもマズいだろうなぁ。
でもウソ言っても、絶対にボロを出す自信がある。どこかで辻褄が合わなくなるに違いない。間違いない。
「主殿、教えて差し上げれば良いではないですか」
「えっ? アンドロマリウス、言っても良いの?」
「はい」
「理由は?」
「秘密というものはですね、自身だけで隠していてもいつかバレるものです。判明するまで追求されるでしょうし。
それよりも最初からバラして、秘密を共有した方が安全です。公然の秘密というやつですね」
「……おい。それを俺達の前で言うなよ。
どうやらヤバそうじゃねぇか」
「わ、私は聞きたくないです!」
「いえいえ、御二方はもう逃げられませんよ。聞いていただきます。
では主殿、説明をしてあげてください」
「マジで?」
「はい。マジです」
むっちゃ怯えてるんですけど?
話して大丈夫なのかな? ま、話すけど。
カードの事、召喚するのは悪魔って事、さっき使ったのは時間を止めるカードって事、全部話した。
さすがに悪魔の力でお金を作った事は言わなかったよ。偽造だからねぇ。
聞いた二人だけど、頭を抱えている。
どう見ても聞かなきゃ良かったと後悔しているようだ。
そこへアンドロマリウスが追撃を仕掛けた。
「お分かりになられましたか? これが主殿の力です。
もしこの事があちこちに吹聴された時は……そこに居るグラシアが来るかもしれませんよ?
いえ、それよりも貴方達が話した相手に行くかもしれませんねぇ」
世の中ではそれを脅迫と言う。
「しかし逆に考えてみましょう。
秘密を共有しているというのは、つまりは仲間という訳です。
であれば、貴方達に困った事があった場合、主殿が協力するのもやぶさかではないでしょう。
つまり秘密を守っている間は、自身の保護を約束されたようなものです。
更に誰かに追求されたとしましょう。その場合は話しても良いのです。
勿論言いふらさない事、言った場合どうなるかも含めて。
そうすれば仲間が増えます。二人で抱えているよりも楽になるでしょう」
堂々と脅迫。さすが悪魔!
そして、そこからの懐柔。
それって洗脳の手口じゃないっけ?
これこそ、悪魔のささやきってやつ?
「え、得物ですか?」
「あ~、と、つまり武器だ」
「武器……」
俺は何が使えるのだろうか?
剣? 剣の重さに振り回されそうだ。却下。
槍? 握り方すら判らん。却下。
弓? 引ける気がしないな。却下。
そうなると……ナイフか?
これなら振り回す必要も無い。上手く使えるかは別問題だけど。
「え~と、ナイフなら……」
「ナイフ! それであのような魔物を……」
「教官?」
「おっとすまない。じゃあこれを使え」
渡されたのは、木製のナイフ。
中に鉄の棒でも仕込んであるのか、そこそこの重さがある。
「俺は剣を使う。それで良いな?」
「ダメって言ったら変えてくれます?」
「いや、変えないな。これは人型の敵を相手にした時の審査だからな。
ダメと言ったら相手が武器を変えてくれる、そんな事はありえないだろ?」
確かに。
まぁ良いや。どうせカード頼りだ。
「判りました。魔法使いは接近戦に弱いというのが通説だが。
まぁ、お前には関係無いだろう。じゃあラビューの合図で始めるぞ」
魔法使いは接近戦に弱いのか。
良い事を聞いた。今後の参考にしよう。
しかし過大評価が著しい。目が殺気立ってるんだけど?
「それでは…………はじめ!」
俺は合図と同時にカードを起動する。
次の瞬間、時間が停止した。
何故分かるかと言うと、誰もピクリとも動かないから。
もし止まって無いのなら、教官が走ってくるはずだ。
おっと、5秒しか無いんだった。
俺は走って教官の元へ行き、教官の足を持つ。
前に出している右足を左足の後ろにしようとするが、これがまた上手く出来ない。
動かせるんだけど、無重力状態ってのが意外に使いにくい。
結果、教官はグルリと回転してしまい、剣を構えた格好のまま寝ているような姿になってしまった。
ごめんなさい。
そして時間が動き始める。
「ぶおっ?!」
教官が変な声と同時に地面を転がった。
腰を中心に回してしまったから、1mくらいの高さから受け身も出来ずに落ちたみたいなものだからねぇ。
俺は教官の後ろに待機してたので、そのまま倒れている教官の首元にナイフを当てる。
「これで合格ですか?」
「うぐぐ……。む、これでは俺の負けだな。
イテテ……。しかし何をやったか全然判らなかった。完敗だ」
どうやらOKらしい。
ラノベじゃあこういう場合、無効だとか言ってもう一回やらされたりするからねぇ。
物分りの良い教官で助かった。
「ふう。何をやったか聞いても良いか?」
「え~~~と」
言っても良いんだろうか? どう考えてもマズいだろうなぁ。
でもウソ言っても、絶対にボロを出す自信がある。どこかで辻褄が合わなくなるに違いない。間違いない。
「主殿、教えて差し上げれば良いではないですか」
「えっ? アンドロマリウス、言っても良いの?」
「はい」
「理由は?」
「秘密というものはですね、自身だけで隠していてもいつかバレるものです。判明するまで追求されるでしょうし。
それよりも最初からバラして、秘密を共有した方が安全です。公然の秘密というやつですね」
「……おい。それを俺達の前で言うなよ。
どうやらヤバそうじゃねぇか」
「わ、私は聞きたくないです!」
「いえいえ、御二方はもう逃げられませんよ。聞いていただきます。
では主殿、説明をしてあげてください」
「マジで?」
「はい。マジです」
むっちゃ怯えてるんですけど?
話して大丈夫なのかな? ま、話すけど。
カードの事、召喚するのは悪魔って事、さっき使ったのは時間を止めるカードって事、全部話した。
さすがに悪魔の力でお金を作った事は言わなかったよ。偽造だからねぇ。
聞いた二人だけど、頭を抱えている。
どう見ても聞かなきゃ良かったと後悔しているようだ。
そこへアンドロマリウスが追撃を仕掛けた。
「お分かりになられましたか? これが主殿の力です。
もしこの事があちこちに吹聴された時は……そこに居るグラシアが来るかもしれませんよ?
いえ、それよりも貴方達が話した相手に行くかもしれませんねぇ」
世の中ではそれを脅迫と言う。
「しかし逆に考えてみましょう。
秘密を共有しているというのは、つまりは仲間という訳です。
であれば、貴方達に困った事があった場合、主殿が協力するのもやぶさかではないでしょう。
つまり秘密を守っている間は、自身の保護を約束されたようなものです。
更に誰かに追求されたとしましょう。その場合は話しても良いのです。
勿論言いふらさない事、言った場合どうなるかも含めて。
そうすれば仲間が増えます。二人で抱えているよりも楽になるでしょう」
堂々と脅迫。さすが悪魔!
そして、そこからの懐柔。
それって洗脳の手口じゃないっけ?
これこそ、悪魔のささやきってやつ?
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