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027 アモンの能力
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「アモン、何も言わないで居てくれて助かったよ」
「そやつらがマスターを試しているように感じたので、黙っていました。
マスターなら必ず乗り越えてくださるでしょうし」
俺に対する信頼が痛い。
貴族、つまり政治家とか弁論で戦うような人と、交渉なんか無理です。
「さてリョウスケ。これからどうするんだ?」
「は、はい。カードを回収すれば事態も治まると思うので、探しに行きます」
「どうしてそう思う?」
「自分は何枚もカードを持っているのですが、周囲でなんらかの問題は発生していませんから。
俺が所有する事で、能力が漏れなくなるんだと思います」
「なるほどな。
……そこのアモンとやらの能力を聞いても良いか?」
「…………」
「お、おい、アモン。聞かれてるぞ」
「マスター以外からの質問に答える気はない。
大人しくしているからと調子に乗らない事だ。悪魔を侮ると酷い目に会うぞ」
うぉい!
脅し! 脅迫!
さっき脅さなかったからって信用してもらえたじゃん!
信用が無くなる!
「おい、アモン!」
「失礼しました、マスター。しかしこういう事は言っておかないと勘違いする輩もいますので。
特に自分以外の悪魔は、人間に優しくする事で、操りやすいように心象操作しています。
ここに居る人間をマスターの味方とするならば、注意をしておかないといけません」
「確かに、アモンとやらの言う事は正しいな」
「そ、そうですか……」
「おい、人間。人間の中では偉いのかもしれないがな、我を呼び捨てにするとは許されないぞ。
マスターにも敬意を払え。お前達で言うところの使徒様なのだぞ」
「これは失礼した、アモン殿」
やめて、ケンカしないで。
間に入っている俺の精神がガリガリと削られていくから。
胃薬代わりにポーションを飲む事になるから。
「してアモン殿はどのような能力で?」
「アモン、答えてあげて」
「判りました、マスター。
我の能力は『不和を引き起こす』というもの。
これを使えば、次の瞬間にはここに居る人間全員が信じられなくなるだろう」
「アモン、もう少し詳しく説明出来る?」
「可能です、マスター。
発動した瞬間、自分以外の人間の、動作・言葉・匂い、何もかもに不快を感じるようになる。
そうなれば何をしても何を言っても気に入らなくなる。そして最後には嫌いになるのだ」
マジか!
恐ろしい能力だ。
ん? 待てよ?
「でもそれを発動したら、俺も嫌われるんじゃね?」
「マスターには効果がありませんので『唯一の信用出来る人』となるでしょう。敵意を向けられる事はありません」
「あっ、判った。信用度が±0の俺と、信用度がマイナスの人達。なら俺を信用するって事か」
「ご明察」
洗脳みたいなもんだね。
「リョウスケ殿、聞いてよいか?」
「ど、殿?! 今まで通り呼び捨てで良いですよ」
「敬意を払えと言われたのでな。
その能力は個人を限定してかけられるのか、そして強弱は出来るのか。これを知りたいのだが」
「アモン?」
「一人に絞る事も、広範囲で発生させる事も可能。
強弱も思いのまま。人間不信で自殺したくなるレベルまで上げる事が出来る。
解除する事も簡単だ。だが、心の中に出来た不信感は消えぬまま残る」
「ふむ…………。リョウスケ殿。限りなく弱くして、私にその能力を使ってもらえないだろうか?」
「えっ?!」
こんなヤバいのを使うの?!
「ヤバいですって! 聞いたでしょ?! ギルドマスターや、後ろの兵士さん達も止めてくださいよ!」
「グランドア王太子、ここは私が」
「ん、アイザックか。そうだな、頼む」
王太子はグランドアっていうんだね。
で、兵士さんの中で王太子と同じくらいの年齢の人がアイザックさんか。
……。現実逃避ストップ!
「いや、人が変わればOKじゃないでしょ?!」
「悪魔の力というものを体験しておかないと、今後対処出来なくなるだろう?」
「対処?! 対処方法ってあるんですか?」
「魔法に『結界』というものがある。魔法の攻撃から身を守る魔法だ。
これを付与してあるペンダントをここに居る者達は所有している。
この状態でも悪魔の能力は通用するか知りたいのだ」
あ~、そんな物があるんですね。
だから奇病が発生している場所にも来たんだろうな。
病気じゃなくて、なんらかの魔法攻撃じゃないか?って疑って。
もしかしたら、病気に耐性があるものも持ってるかもしれないね。
「では頼む」
「ん~……判りました。アモンよろしく。
言っとくけど、めっちゃ弱く、めっちゃ弱くだぞ?
大事な事だから3回言うけど、めっちゃ弱くだぞ?」
「了解した、マスター」
大丈夫かなぁ……。
「そやつらがマスターを試しているように感じたので、黙っていました。
マスターなら必ず乗り越えてくださるでしょうし」
俺に対する信頼が痛い。
貴族、つまり政治家とか弁論で戦うような人と、交渉なんか無理です。
「さてリョウスケ。これからどうするんだ?」
「は、はい。カードを回収すれば事態も治まると思うので、探しに行きます」
「どうしてそう思う?」
「自分は何枚もカードを持っているのですが、周囲でなんらかの問題は発生していませんから。
俺が所有する事で、能力が漏れなくなるんだと思います」
「なるほどな。
……そこのアモンとやらの能力を聞いても良いか?」
「…………」
「お、おい、アモン。聞かれてるぞ」
「マスター以外からの質問に答える気はない。
大人しくしているからと調子に乗らない事だ。悪魔を侮ると酷い目に会うぞ」
うぉい!
脅し! 脅迫!
さっき脅さなかったからって信用してもらえたじゃん!
信用が無くなる!
「おい、アモン!」
「失礼しました、マスター。しかしこういう事は言っておかないと勘違いする輩もいますので。
特に自分以外の悪魔は、人間に優しくする事で、操りやすいように心象操作しています。
ここに居る人間をマスターの味方とするならば、注意をしておかないといけません」
「確かに、アモンとやらの言う事は正しいな」
「そ、そうですか……」
「おい、人間。人間の中では偉いのかもしれないがな、我を呼び捨てにするとは許されないぞ。
マスターにも敬意を払え。お前達で言うところの使徒様なのだぞ」
「これは失礼した、アモン殿」
やめて、ケンカしないで。
間に入っている俺の精神がガリガリと削られていくから。
胃薬代わりにポーションを飲む事になるから。
「してアモン殿はどのような能力で?」
「アモン、答えてあげて」
「判りました、マスター。
我の能力は『不和を引き起こす』というもの。
これを使えば、次の瞬間にはここに居る人間全員が信じられなくなるだろう」
「アモン、もう少し詳しく説明出来る?」
「可能です、マスター。
発動した瞬間、自分以外の人間の、動作・言葉・匂い、何もかもに不快を感じるようになる。
そうなれば何をしても何を言っても気に入らなくなる。そして最後には嫌いになるのだ」
マジか!
恐ろしい能力だ。
ん? 待てよ?
「でもそれを発動したら、俺も嫌われるんじゃね?」
「マスターには効果がありませんので『唯一の信用出来る人』となるでしょう。敵意を向けられる事はありません」
「あっ、判った。信用度が±0の俺と、信用度がマイナスの人達。なら俺を信用するって事か」
「ご明察」
洗脳みたいなもんだね。
「リョウスケ殿、聞いてよいか?」
「ど、殿?! 今まで通り呼び捨てで良いですよ」
「敬意を払えと言われたのでな。
その能力は個人を限定してかけられるのか、そして強弱は出来るのか。これを知りたいのだが」
「アモン?」
「一人に絞る事も、広範囲で発生させる事も可能。
強弱も思いのまま。人間不信で自殺したくなるレベルまで上げる事が出来る。
解除する事も簡単だ。だが、心の中に出来た不信感は消えぬまま残る」
「ふむ…………。リョウスケ殿。限りなく弱くして、私にその能力を使ってもらえないだろうか?」
「えっ?!」
こんなヤバいのを使うの?!
「ヤバいですって! 聞いたでしょ?! ギルドマスターや、後ろの兵士さん達も止めてくださいよ!」
「グランドア王太子、ここは私が」
「ん、アイザックか。そうだな、頼む」
王太子はグランドアっていうんだね。
で、兵士さんの中で王太子と同じくらいの年齢の人がアイザックさんか。
……。現実逃避ストップ!
「いや、人が変わればOKじゃないでしょ?!」
「悪魔の力というものを体験しておかないと、今後対処出来なくなるだろう?」
「対処?! 対処方法ってあるんですか?」
「魔法に『結界』というものがある。魔法の攻撃から身を守る魔法だ。
これを付与してあるペンダントをここに居る者達は所有している。
この状態でも悪魔の能力は通用するか知りたいのだ」
あ~、そんな物があるんですね。
だから奇病が発生している場所にも来たんだろうな。
病気じゃなくて、なんらかの魔法攻撃じゃないか?って疑って。
もしかしたら、病気に耐性があるものも持ってるかもしれないね。
「では頼む」
「ん~……判りました。アモンよろしく。
言っとくけど、めっちゃ弱く、めっちゃ弱くだぞ?
大事な事だから3回言うけど、めっちゃ弱くだぞ?」
「了解した、マスター」
大丈夫かなぁ……。
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