カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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このまま直接南下するかと思ってた。
街を出て少し進んで、すぐに曲がるからどうしたのかと。

「直接行く道は山道で、1頭立ての馬車では難しいんだ。
 だから一旦王都の方角へ向かい、それから回り込んで行く」
「あっ、そうなんだ」
「これには3つの意味がある。一つは言ったような理由。
 2つ目は王都の近くの街で泊まり、そこから自称勇者の情報を城に問うてみる」

なるほど。情報収集か。
この国で一番情報が多いのは当然王都だもんね。
しかも政治の中枢である城に聞くのは当たり前か。

「3つ目は、自称勇者が追いかけてくる可能性を考えて、直接向かうルートを回避する事だ。
 事前に手は打っておいた。ギルド等には行き先を言わなかったが、宿の子供にだけこっそりと教えておいた」
「何で子供に? 宿屋の主人に言った方が良くないか?」
「ギルドにも行き先を言わなかった者が、宿屋の主人に教えるのは怪しいだろう?
 その点、子供なら教えても良いかなと考えた、と思わせられるじゃないか」

これが軍略か?!
頭の良い人は考える事も違うね。

確かに、特別親しい訳でもない宿屋の主人にだけ教えてたら、少し考えたら「何で?」と思うかもしれない。
でもそれが子供なら、何気ない会話の中でポロッと言ってしまったと考える事が出来る。
そっちの方が信憑性がありそう。

ヒジリも俺達を疑っている感じがあったからな。
付けてくる可能性はありそうだ。回避出来るならした方が良いに決まってる。

しかし、俺だけ知らされてなかったってのは?
演技が出来なさそう? 本当の事を言いそう? あっ、そうですか……。


と言う事で、向かう先は急遽変更された。
王都の近くの街「サライウタウ」に行くらしい。

……個人的な勝手なイメージだけど、24時間市民から募金とかを求めててるんだけどTOPは儲けてそう。
いや、勝手なイメージだけどね!




その街までは10日もかかってしまった。
途中でモンスターに襲撃されたってのもあるけど。
単体だったので悪魔を出さずに退治出来たのは幸いだったが、時間がかかってしまった。

ま、無事に到着出来たのでヨシ!
あっ、実験として俺も魔法カードを使ってみた。
これでも探知されるのか、って検証の為。
使ってから4日は経過してるけど姿が見えないので、魔法カードは察知出来ないのかも。
まだ分からないけどね。

「では私は王都に行ってまいります」

そう言ってアイザックさんが王都に向かった。
この街では足の早い動物を貸し出していて、それに乗って単騎で行くらしい。
それなら1日で到着するのだとか。
それ専用の道路まで作られているそうだ。高速道路のような感じか?

残った俺達はというと、宿に来てるのだが……何故か宿前に人集りが出来ている。
上げている声を聞くに、どうやら俺が聖人だという事がバレているらしい。
そしてひと目見ようとか、話をしたいとか、そういう人が集まっているっぽい。
何でバレた?!

「王都から近い街だからな。話が流れてきていても不思議じゃない」
「マジですか?!」
「このままでは宿にも迷惑がかかる。領主の館に移動しよう」
「……移動出来るか、これ?」
「リョーは顔を隠し、裏口から出させてもらうしかないな」
「……裏にも居るんじゃない?」
「…………しょうがない。人の少ない1階の窓から出よう」
「王族の力は使えないの?」
「どけ!とか言うのか? 逆に増えるぞ?」

あっ、そっか。
王族も人気なのか。
グループアイドルの一人が出ようとするのを、他のメンバーが邪魔するな!と言うようなものか。
そりゃ人が集まっても不思議じゃない。

……アイドルファンの方々、すみません! 俺なんかをアイドルと比較してすみません!!
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