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極悪婚活カウンセラー編-7
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「田辺先生、ご在宅じゃないんですか?」
「いませんよ。大方不倫相手のところでしょ」
電話口の文花の声はとても冷ややかで常盤は震え上がる。
「困ったなぁ。先生と連絡取れないんですよ。奥さん、何か知っていませんか?」
急ぎの打ち合わせ事項があり、田辺の携帯に連絡をここと見たが田井は捕まらなかった。出社後に電話をかけ、昼かけても繋がらない。
常盤はディスクで栄養ドリンクと菓子パンという雑に昼食を済ませ、ちょっと迷ったが自宅に電話をかけた。
すると田辺ではなく、文花が出た。首筋が嫌な汗でじっとりとする。
何も悪い事をしていないつもりだったが、やましい事がバレたような気がしてしまう。
「さぁ、今度の不倫相手はかなりの極悪という事ぐらいしか知りませんよ」
「あの人そんな風に見えなかったけどなぁ。美人だったし」
これは失言だと思った。わざわざ正直にこんな事を言う必要はない。周りの同僚たちは昼休憩に出て行ってしまい、オフィスの中は静かだった。
「そう。そんな事はどうでも良いの。主人に何の用かしら?」
「いえ、新作の件で少し手直しして欲しい所がありまして」
田辺の原稿は完璧だったが、一部差別的な表現に引っかかりそうなところがあり、訂正の依頼だった。またその後の新作の打ち合わせも少しづつ始めたかった。そのスケジュールの確認。
「そう。可能性は低いけれど、主人が帰ったら伝えておくわ」
少し文花の声が掠れていた。
疲れている様だった。もしかしたら風邪でもひいてるかもしれない。
「あの、奥さん。少し具合悪そうですが」
「そう? そういえば三日三晩寝てないわね」
「えー、ちょっと大丈夫ですかぁ?」
「そうでもないわね」
文花はゴホゴホと咳き込んだ。これは風邪をひいているかもしれない。だんだん文花の声が弱々しくなっていくのを感じた。
「主人の愛人の事調べなくちゃいけないの」
文花はここ数日ろくに寝ずにミイの事を調べていた。華の協力もあり、ミイが昔不倫した時の奥さんに会う約束まで取り付けた。あとミイの実家近くに聞き地元の評判も収集するつもりだった。
常盤は罪悪感でいっぱいになった。仕事を優先していただけだが、結果として一人の女性を傷つけてしまったのは事実だった。
「奥さん、ご飯食べてます?」
「食べる気になれなくてね。知ってる? 断食ってたまにすると健康に良いらしいのよ……」
「いえ、さっぱり健康に良い様に聞こえませんよ」
常盤は思わずこう言ってしまっていた。
「今から家に行きますから!ポカリとか持っていきますから」
「やめて、迷惑」
「いいえ、行きます!」
強引に言い切って電話を切った。
昼休憩から帰ってきた紅尾に説明すると、また奥さんが泣いて抗議に来るよりはマシだと、むしろ早く行く様に言われた。幸い田辺が早めに原稿を上げてきたお陰で、忙しい訳ではなかった。
電話口の文花の声はとても弱々しく今にも死にそうだった。もし死んだら、幽霊になって呪われそうだ。何で夫との不倫のきっかけを作ったの?と。
「いませんよ。大方不倫相手のところでしょ」
電話口の文花の声はとても冷ややかで常盤は震え上がる。
「困ったなぁ。先生と連絡取れないんですよ。奥さん、何か知っていませんか?」
急ぎの打ち合わせ事項があり、田辺の携帯に連絡をここと見たが田井は捕まらなかった。出社後に電話をかけ、昼かけても繋がらない。
常盤はディスクで栄養ドリンクと菓子パンという雑に昼食を済ませ、ちょっと迷ったが自宅に電話をかけた。
すると田辺ではなく、文花が出た。首筋が嫌な汗でじっとりとする。
何も悪い事をしていないつもりだったが、やましい事がバレたような気がしてしまう。
「さぁ、今度の不倫相手はかなりの極悪という事ぐらいしか知りませんよ」
「あの人そんな風に見えなかったけどなぁ。美人だったし」
これは失言だと思った。わざわざ正直にこんな事を言う必要はない。周りの同僚たちは昼休憩に出て行ってしまい、オフィスの中は静かだった。
「そう。そんな事はどうでも良いの。主人に何の用かしら?」
「いえ、新作の件で少し手直しして欲しい所がありまして」
田辺の原稿は完璧だったが、一部差別的な表現に引っかかりそうなところがあり、訂正の依頼だった。またその後の新作の打ち合わせも少しづつ始めたかった。そのスケジュールの確認。
「そう。可能性は低いけれど、主人が帰ったら伝えておくわ」
少し文花の声が掠れていた。
疲れている様だった。もしかしたら風邪でもひいてるかもしれない。
「あの、奥さん。少し具合悪そうですが」
「そう? そういえば三日三晩寝てないわね」
「えー、ちょっと大丈夫ですかぁ?」
「そうでもないわね」
文花はゴホゴホと咳き込んだ。これは風邪をひいているかもしれない。だんだん文花の声が弱々しくなっていくのを感じた。
「主人の愛人の事調べなくちゃいけないの」
文花はここ数日ろくに寝ずにミイの事を調べていた。華の協力もあり、ミイが昔不倫した時の奥さんに会う約束まで取り付けた。あとミイの実家近くに聞き地元の評判も収集するつもりだった。
常盤は罪悪感でいっぱいになった。仕事を優先していただけだが、結果として一人の女性を傷つけてしまったのは事実だった。
「奥さん、ご飯食べてます?」
「食べる気になれなくてね。知ってる? 断食ってたまにすると健康に良いらしいのよ……」
「いえ、さっぱり健康に良い様に聞こえませんよ」
常盤は思わずこう言ってしまっていた。
「今から家に行きますから!ポカリとか持っていきますから」
「やめて、迷惑」
「いいえ、行きます!」
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