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極悪婚活カウンセラー編-8
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田辺の家は千葉県のある町にあった。飯田橋にある出版社から電車を乗り継ぎ一時間。
意外と近いが、駅の周りはパチンコ屋やコンビニやスーパーなどはなく、畑や公園があり、のどかな雰囲気だった。少し歩くと住宅街があり、そこに田辺の家もあった。住宅街といっても家と家の感覚が広くあまり密集していないせいか広々と開放的な雰囲気すらある。
コンビニは見当たらないので、飯田橋のコンビニで食糧を買っておいて良かったと常盤は思った。
田辺の家は二階建てのこじんまりとした一軒家。築三十年ぐらいだろうか。新しくはない。以前雑談で田辺は、もともと遠縁の家だったが、持ち主がなくなり空き家になりかけたところ、静かで執筆環境のいいこの家を譲って貰ったと言っていた。
もっとも妻との生活がだんだん息苦しくなり、庭にプレハブの離れをたてて、専らそっちの生活時間の方が長いのだと言う。
庭は離れがあるせいでかなり狭い。端に方に小さな花壇とハーブが植っていて、芝生も刈り取られ、きちんと手入れはされている様だ。
チャイムを鳴らすと、玄関から顔が真っ青の文花が出てきた。
髪はベタつき、唇はかさつき、目の下は真っ黒だった。肌も青白く血の気が失せていた。
以前担当した漫画家の修羅場明けがちょうどこんな感じだった。その漫画家は結局身体を壊して、手術を受けて半年ぐらい休養した。その事で罪悪感を感じ、今は作家の健康状態を把握するのも編集者の仕事の一部だと考えが変わった。
常盤が見たところ、文花は病人にしか見えなかった。医者じゃないので診断などはできないが、少なくとも風邪は引いているようだ。
「常盤さん、どうぞあがって…」
そう言うとゲホゲホと咳き込んだ。パジャマの襟から見える鎖骨が目立っていて、以前会った時より痩せた様だった。
常盤はとりあえず家に上がった。
玄関や廊下は散らかっていなかったが、通されたリビングは散らかっていた。
特にソファの周りに空のペットボトルが転がり、テーブルの上には薬や、熱冷ましシートや飴玉、アロマオイルの瓶が転がっていた。
ノートパソコンもあり、本が数冊積み上げられ、付箋やノートも散乱していた。この様子だけだと修羅場中の作家にでも見えてしまうからおかしいなものだ。
「奥さん、大丈夫ですかぁ」
「いいえ、全く大丈夫じゃないわ」
文花はソファにぐったりと座った。
常盤は軽くテーブルの上を片付けて、買ってきたポカリスェットや果物のゼリーやプリンを置いた。
積み上げられた本を見ると浅山ミイの本だった。散らばった付箋をちらりと見ると、夫がいつミイと逢瀬を重ねているのか書いてあったりした。おそらくミイの事を調べていたんだろう。
積み上げられた本の一番上には、何やら物騒な手紙が置いてあった。「田辺と別れなければ殺す」と書いてある。
「なんですか? この手紙」
「ああ、うちによく届いてる脅迫状。たぶん浅山ミイの仕業ね。証拠はないけど」
「警察に行ったんですか?」
「いいえ。言ってもしょうがないじゃない」
またゲホゲホと咳き込んだ。アロマオイルを焚いていたのか周辺がミントのようなスッとした香が残っている。
「いや、言いましょうよ。これ脅迫状ですよ…」
「いいの」
文花は首を振る。
常盤はため息をついてリビングの隣にあるキッチンに向かった。
「奥さん、ちょっとキッチンお借りしますよ」
常盤は文花の返事を待たずに買ってきたレトルトのおかゆを温めた。
食器棚の中身の食器は、白や紺と言ったシンプルばデザインが多かったが、スパイスや調味料の棚はスーパーでは見かけないような高そうなものが並び、別の棚にはフードプロセッサーやハンドミキサーやブレンダー、圧力鍋も入っていた。切れ味の良さそうな包丁も流し場に放置してあった。料理好きな人物のキッチンだとわかる。
文花に性格を考えると切れ味の良さそうな包丁はちょっと怖く、レトルトを出すのも躊躇われたが仕方がない。
お粥を温めて、白い丼に盛り付け、文花のところに持って行った。
意外なことに文花は特に文句も言わずにお粥に手をつけはじめた。黙々と咀嚼していた。特に美味しいとは言っていなかったが、完食した所を見ると問題ないだろう。食後に市販の風邪薬と頭痛止めもしっかりと飲んでいた。
文花が食べている間、常盤はテーブルの周りを片付けた。
ゴミをゴミ袋のまとめるだけでもだいぶ綺麗になり、お茶でもこぼしたのか少し汚れているフローリングも水雑巾で拭いた。
何でこんな事をしているんだろうと思いながらもとりあえず、文花が死んでいないに事については良しとする。
片付け終えると使い古された分厚いノートが目に止まった。
「なんですか、このノートは?」
「ああ、これ? 主人の歴代の女の情報が纏めてあるノートよ……」
ふふふと文花は怪しげに笑った。
意外と近いが、駅の周りはパチンコ屋やコンビニやスーパーなどはなく、畑や公園があり、のどかな雰囲気だった。少し歩くと住宅街があり、そこに田辺の家もあった。住宅街といっても家と家の感覚が広くあまり密集していないせいか広々と開放的な雰囲気すらある。
コンビニは見当たらないので、飯田橋のコンビニで食糧を買っておいて良かったと常盤は思った。
田辺の家は二階建てのこじんまりとした一軒家。築三十年ぐらいだろうか。新しくはない。以前雑談で田辺は、もともと遠縁の家だったが、持ち主がなくなり空き家になりかけたところ、静かで執筆環境のいいこの家を譲って貰ったと言っていた。
もっとも妻との生活がだんだん息苦しくなり、庭にプレハブの離れをたてて、専らそっちの生活時間の方が長いのだと言う。
庭は離れがあるせいでかなり狭い。端に方に小さな花壇とハーブが植っていて、芝生も刈り取られ、きちんと手入れはされている様だ。
チャイムを鳴らすと、玄関から顔が真っ青の文花が出てきた。
髪はベタつき、唇はかさつき、目の下は真っ黒だった。肌も青白く血の気が失せていた。
以前担当した漫画家の修羅場明けがちょうどこんな感じだった。その漫画家は結局身体を壊して、手術を受けて半年ぐらい休養した。その事で罪悪感を感じ、今は作家の健康状態を把握するのも編集者の仕事の一部だと考えが変わった。
常盤が見たところ、文花は病人にしか見えなかった。医者じゃないので診断などはできないが、少なくとも風邪は引いているようだ。
「常盤さん、どうぞあがって…」
そう言うとゲホゲホと咳き込んだ。パジャマの襟から見える鎖骨が目立っていて、以前会った時より痩せた様だった。
常盤はとりあえず家に上がった。
玄関や廊下は散らかっていなかったが、通されたリビングは散らかっていた。
特にソファの周りに空のペットボトルが転がり、テーブルの上には薬や、熱冷ましシートや飴玉、アロマオイルの瓶が転がっていた。
ノートパソコンもあり、本が数冊積み上げられ、付箋やノートも散乱していた。この様子だけだと修羅場中の作家にでも見えてしまうからおかしいなものだ。
「奥さん、大丈夫ですかぁ」
「いいえ、全く大丈夫じゃないわ」
文花はソファにぐったりと座った。
常盤は軽くテーブルの上を片付けて、買ってきたポカリスェットや果物のゼリーやプリンを置いた。
積み上げられた本を見ると浅山ミイの本だった。散らばった付箋をちらりと見ると、夫がいつミイと逢瀬を重ねているのか書いてあったりした。おそらくミイの事を調べていたんだろう。
積み上げられた本の一番上には、何やら物騒な手紙が置いてあった。「田辺と別れなければ殺す」と書いてある。
「なんですか? この手紙」
「ああ、うちによく届いてる脅迫状。たぶん浅山ミイの仕業ね。証拠はないけど」
「警察に行ったんですか?」
「いいえ。言ってもしょうがないじゃない」
またゲホゲホと咳き込んだ。アロマオイルを焚いていたのか周辺がミントのようなスッとした香が残っている。
「いや、言いましょうよ。これ脅迫状ですよ…」
「いいの」
文花は首を振る。
常盤はため息をついてリビングの隣にあるキッチンに向かった。
「奥さん、ちょっとキッチンお借りしますよ」
常盤は文花の返事を待たずに買ってきたレトルトのおかゆを温めた。
食器棚の中身の食器は、白や紺と言ったシンプルばデザインが多かったが、スパイスや調味料の棚はスーパーでは見かけないような高そうなものが並び、別の棚にはフードプロセッサーやハンドミキサーやブレンダー、圧力鍋も入っていた。切れ味の良さそうな包丁も流し場に放置してあった。料理好きな人物のキッチンだとわかる。
文花に性格を考えると切れ味の良さそうな包丁はちょっと怖く、レトルトを出すのも躊躇われたが仕方がない。
お粥を温めて、白い丼に盛り付け、文花のところに持って行った。
意外なことに文花は特に文句も言わずにお粥に手をつけはじめた。黙々と咀嚼していた。特に美味しいとは言っていなかったが、完食した所を見ると問題ないだろう。食後に市販の風邪薬と頭痛止めもしっかりと飲んでいた。
文花が食べている間、常盤はテーブルの周りを片付けた。
ゴミをゴミ袋のまとめるだけでもだいぶ綺麗になり、お茶でもこぼしたのか少し汚れているフローリングも水雑巾で拭いた。
何でこんな事をしているんだろうと思いながらもとりあえず、文花が死んでいないに事については良しとする。
片付け終えると使い古された分厚いノートが目に止まった。
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ふふふと文花は怪しげに笑った。
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