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占い師炎上編-4
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夫はその後、また離れに閉じこもって、また何処かへ行ってしまった。
文花は先手を打って、夫が自分をモデルに小説を書こうとしてるので辞めて欲しいと夫の取引先の各種編集者のメールを送っておいた。
書斎にこもり、ミイと桜村糖子の炎上を追いかけた。
匿名の掲示板を覗くと、そこでは圧倒的にミイが悪く言われていた。
女性向けの掲示板やブログではそうでもないが、匿名掲示板を見ると真意はともかくミイのプライベートの噂が書き込まれていた。
中には、有名作家と不倫しているという書き込みもありヒヤリとする。華達には夫の職業は明かしていないので、彼女達が書き込んだ可能性は低い。あと知っている人間は常盤だけだが、文花が見たところこう言った場所に書き込みをするような人物にも思えない。
意外とミイ本人が書き込んでいる可能性もある。不倫相手とはいえ人気作家と付き合っているステータス。
ミイのプライベートのSNSの匂わせ写真をみると、その可能性も高い。実際、そう書き込んだ人物は「ミイは言われているほど性格悪くない」とか「仕事はきる」とか、美人だとかミイを擁護していた。案の定「本人乙w」とコメントがついていた。
ミイは地元での評判も最悪らしかった。家が金持ちなのをいいことに片親のクラスメイトや貧乏なクラスメイト、そして担任教師までもいじめていたらしい。担任教師は自殺未遂まで追い込まれ、仕事も辞めてしまったと言う。
本当かどうかはわからないが、本当だとしたら大変な事だ。不倫相手の妻に嫌がらせをする可能性も大いに考えられる。実際脅迫状のようなものも届いている。もっとも証拠はないので、犯人がミイだとは断言できないが。
ただミイ達が北海道旅行に行っている間は、脅迫状は送って来なくなったので、文花はミイが犯人だと疑いを強めていた。
他に匿名掲示板にめぼしい情報がなく、再びミイの仕事用のブログをみたところ、新しい記事が上がっていた。
タイトルは「復讐」。
記事を読み進めると桜村糖子が脅迫のような動画をあげているという。絶対許さない、弁護士に相談するとまである。
もしミイが文花に脅迫状を送っていたとすれば、なんという強気だろうか。自分の事を棚に上げて、よく言うものだ。
文花は桜村糖子があげた動画を見ようとしたが、削除されていた。有名な動画投稿サイトでは規約に違反した動画だったらしい。
ただ、この炎上騒ぎを面白がっているネットユーザーが、あちこちに桜村糖子の動画をコピーしてアップしていたので、文花も見ることができた。海外の投稿サイトだと比較的規約も緩いらしい。
動画を再生すと、まずホラー映画のようなおどろおどろしい音楽が流れて、同時にタイトルも流れる。
動画のタイトルは「人を呪い殺す方法」だった。
こんな動画を流している為、静かな書斎が一気に奇妙な雰囲気になる。
桜村糖子はテレビと同じほうに黒いドレス姿で現れた。四十代前半らしいが、おとぎ話の魔女のような女だ。真っ赤な口紅がとても似合っていた。
どこかの自宅のようで動画の背景からは、大きな窓が見える。窓の外はカーテンがひかれていて見えない。時々、車の走る音が聞こえた。
「では、皆さん。私はこれから浅山ミイを呪います。呪い殺すんや」
桜村糖子は時々関西弁が混じった。魔女のような女だったが、方言が混じるせいで、少し恐怖心も薄れる。計算して関西弁を混ぜているかもしれない。桜村糖子の雰囲気は、よく言えば賢そう、悪く言えば狡賢く計算高そうに見えた。
「私は藁人形なんて使いません。スピリチュアルや占い師を馬鹿にしたせいや。自業自得」
ホホホと漫画の悪役みたいに高笑いをしている。
急に馬鹿らしくなった。動画自体が作り物めいてるし、桜村糖子はコントをやっているほうにも見える。お笑い番組でもないが、文花はつい笑ってしまった。
「これから念じまーす! ミイを殺します。たぶん一週間ぐらいで死ぬ」
桜村糖子は小さめな水晶玉を握り締めて、目を閉じてウンウン唸っていた。
ますます馬鹿らしい。
お笑い番組としては良いが、四十すぎの女性が本気でこんな事をやっていたら、いくら人気占い師だとしても痛々しい。
それにこんな水晶玉で呪い殺せるなら、文花もとっくにやっている。憎い不倫相手に死んで欲しいと思った事は一度や二度ではない。ただこんな非科学な事はせず、愛人を徹底的に調べ上げるという選択をした。
「ふう、念が籠ったわ」
桜村糖子はおでこの汗を拭きつつ、そばにある小さなテーブルに水晶玉を置いた。
「これで浅山ミイは死にます。この水晶が全てやってくれます」
ここでコント動画は終わった。
こんな胡散臭い人間にまで恨まれているなんて、初めてミイを同情した。
文花は先手を打って、夫が自分をモデルに小説を書こうとしてるので辞めて欲しいと夫の取引先の各種編集者のメールを送っておいた。
書斎にこもり、ミイと桜村糖子の炎上を追いかけた。
匿名の掲示板を覗くと、そこでは圧倒的にミイが悪く言われていた。
女性向けの掲示板やブログではそうでもないが、匿名掲示板を見ると真意はともかくミイのプライベートの噂が書き込まれていた。
中には、有名作家と不倫しているという書き込みもありヒヤリとする。華達には夫の職業は明かしていないので、彼女達が書き込んだ可能性は低い。あと知っている人間は常盤だけだが、文花が見たところこう言った場所に書き込みをするような人物にも思えない。
意外とミイ本人が書き込んでいる可能性もある。不倫相手とはいえ人気作家と付き合っているステータス。
ミイのプライベートのSNSの匂わせ写真をみると、その可能性も高い。実際、そう書き込んだ人物は「ミイは言われているほど性格悪くない」とか「仕事はきる」とか、美人だとかミイを擁護していた。案の定「本人乙w」とコメントがついていた。
ミイは地元での評判も最悪らしかった。家が金持ちなのをいいことに片親のクラスメイトや貧乏なクラスメイト、そして担任教師までもいじめていたらしい。担任教師は自殺未遂まで追い込まれ、仕事も辞めてしまったと言う。
本当かどうかはわからないが、本当だとしたら大変な事だ。不倫相手の妻に嫌がらせをする可能性も大いに考えられる。実際脅迫状のようなものも届いている。もっとも証拠はないので、犯人がミイだとは断言できないが。
ただミイ達が北海道旅行に行っている間は、脅迫状は送って来なくなったので、文花はミイが犯人だと疑いを強めていた。
他に匿名掲示板にめぼしい情報がなく、再びミイの仕事用のブログをみたところ、新しい記事が上がっていた。
タイトルは「復讐」。
記事を読み進めると桜村糖子が脅迫のような動画をあげているという。絶対許さない、弁護士に相談するとまである。
もしミイが文花に脅迫状を送っていたとすれば、なんという強気だろうか。自分の事を棚に上げて、よく言うものだ。
文花は桜村糖子があげた動画を見ようとしたが、削除されていた。有名な動画投稿サイトでは規約に違反した動画だったらしい。
ただ、この炎上騒ぎを面白がっているネットユーザーが、あちこちに桜村糖子の動画をコピーしてアップしていたので、文花も見ることができた。海外の投稿サイトだと比較的規約も緩いらしい。
動画を再生すと、まずホラー映画のようなおどろおどろしい音楽が流れて、同時にタイトルも流れる。
動画のタイトルは「人を呪い殺す方法」だった。
こんな動画を流している為、静かな書斎が一気に奇妙な雰囲気になる。
桜村糖子はテレビと同じほうに黒いドレス姿で現れた。四十代前半らしいが、おとぎ話の魔女のような女だ。真っ赤な口紅がとても似合っていた。
どこかの自宅のようで動画の背景からは、大きな窓が見える。窓の外はカーテンがひかれていて見えない。時々、車の走る音が聞こえた。
「では、皆さん。私はこれから浅山ミイを呪います。呪い殺すんや」
桜村糖子は時々関西弁が混じった。魔女のような女だったが、方言が混じるせいで、少し恐怖心も薄れる。計算して関西弁を混ぜているかもしれない。桜村糖子の雰囲気は、よく言えば賢そう、悪く言えば狡賢く計算高そうに見えた。
「私は藁人形なんて使いません。スピリチュアルや占い師を馬鹿にしたせいや。自業自得」
ホホホと漫画の悪役みたいに高笑いをしている。
急に馬鹿らしくなった。動画自体が作り物めいてるし、桜村糖子はコントをやっているほうにも見える。お笑い番組でもないが、文花はつい笑ってしまった。
「これから念じまーす! ミイを殺します。たぶん一週間ぐらいで死ぬ」
桜村糖子は小さめな水晶玉を握り締めて、目を閉じてウンウン唸っていた。
ますます馬鹿らしい。
お笑い番組としては良いが、四十すぎの女性が本気でこんな事をやっていたら、いくら人気占い師だとしても痛々しい。
それにこんな水晶玉で呪い殺せるなら、文花もとっくにやっている。憎い不倫相手に死んで欲しいと思った事は一度や二度ではない。ただこんな非科学な事はせず、愛人を徹底的に調べ上げるという選択をした。
「ふう、念が籠ったわ」
桜村糖子はおでこの汗を拭きつつ、そばにある小さなテーブルに水晶玉を置いた。
「これで浅山ミイは死にます。この水晶が全てやってくれます」
ここでコント動画は終わった。
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