107 / 157
第三部
プロローグ
しおりを挟む
「まさか、そんな……!」
フローラは絶叫していた。夫の不貞以外では滅多に動じないフローラだったが、死体は別かもしれない。
これはマリオンという女だ。夫は最近合コンを開き、そこで出会った女だ。夫も満更ではなく、マリオンにデレデレしていて、フローラは警戒していたが。
「でも、待って。まだ脈があるわ!」
死体かと思われたマリオンだったが、まだ脈があるのに気づく。慌ててフローラはこの楽屋から飛び出し、人を呼びに行く。
マリオンはメイクアップアーティストだった。舞台メイクもしていて、今日はとあるイベントに出ていた。フローラは夫を誘惑するマリオンを警戒し、このイベントの参加。
マリオンには、夫の元愛人・マムとそっくりなメイクをして貰った。別のマムの事もどうでも良かったが、なぜかあの女とそっくりなメイクをしてみたくなった。夫はどんな反応をするか気になる所だったが、まさかマリオンが死にかけていたなんて。
まだ死体になっていない事が救いだ。あの状況だと灰皿で頭を殴られたようだが、女の力でも充分危害を加えられるだろう。灰皿はガラス製でとても重そうだった……。
「どうか、マリオン助かって……」
救急隊員が来てあっという間にマリオンは運ばれていく。夫の周りをうろつく憎い女ではあったが、殺されて良い理由がない。どうか助かって欲しいと祈るような気持ちだ。
この騒ぎで楽屋の周辺は人だかりができていた。イベントの客達で溢れ、フローラもその波に飲み込まれていく。
中には事件性があると疑う客もいた。第一発見者のフローラに厳しい視線を向ける者もいて居た堪れない。予想通り白警団にも通報され、客達は楽屋周辺から動かないよう指示されたが。
「フ、フローラ?」
そんな騒ぎの中、夫とも再開した。このイベントに来ていたのか。
「ええ、私よ」
「ヒッ!」
夫は幽霊でも見たかたのように顔が真っ青だ。今、フローラはマムと全く同じメイクをしている。眉毛の形、アイシャドウや口紅の色が同じだと案外似てしまうものだ。悪役女優風のきつい顔立ちのフローラだったが、今はあのマムに見えない事もない。夫が驚いている理由もわかる。
「あああ、フローラ! そんなマムのメイクをして本人になろうとしていたなんて、何て病んでいたんだ! 君をメンヘラにさせてしまった事は悪かった!」
なぜか夫は泣きながら頭を下げていた。
あの夫が謝ってる?
こんな事は初めてで戸惑っていたが、白警団が到着。担当捜査員はよりによって天敵のコンラッド。
「またあんたか!」
夫の謝罪で忘れそうになっていたが、今は事件に巻き込まれていたんだ。
「そのメイクは何だよ、趣味が悪いねぇ」
あの性格が悪いコンラッドもフローラのマム風メイクにドン引きしたが。
「どうせあんたが犯人だろう。詳しく話を聞かせて貰う」
その上コンラッドに疑われた。
「あなた、という事でコンラッドに話をしてくるわ」
泣いている夫とは裏腹にフローラは薄ら笑いを浮かべ、コンラッドの後についていく。
どうやらまた事件に巻き込まれてしまったらしい。三回目だが、慣れてきたかもしれない。夫に不倫されるよりはマシだから、今回の事件も向き合うしかないらしい。
フローラは絶叫していた。夫の不貞以外では滅多に動じないフローラだったが、死体は別かもしれない。
これはマリオンという女だ。夫は最近合コンを開き、そこで出会った女だ。夫も満更ではなく、マリオンにデレデレしていて、フローラは警戒していたが。
「でも、待って。まだ脈があるわ!」
死体かと思われたマリオンだったが、まだ脈があるのに気づく。慌ててフローラはこの楽屋から飛び出し、人を呼びに行く。
マリオンはメイクアップアーティストだった。舞台メイクもしていて、今日はとあるイベントに出ていた。フローラは夫を誘惑するマリオンを警戒し、このイベントの参加。
マリオンには、夫の元愛人・マムとそっくりなメイクをして貰った。別のマムの事もどうでも良かったが、なぜかあの女とそっくりなメイクをしてみたくなった。夫はどんな反応をするか気になる所だったが、まさかマリオンが死にかけていたなんて。
まだ死体になっていない事が救いだ。あの状況だと灰皿で頭を殴られたようだが、女の力でも充分危害を加えられるだろう。灰皿はガラス製でとても重そうだった……。
「どうか、マリオン助かって……」
救急隊員が来てあっという間にマリオンは運ばれていく。夫の周りをうろつく憎い女ではあったが、殺されて良い理由がない。どうか助かって欲しいと祈るような気持ちだ。
この騒ぎで楽屋の周辺は人だかりができていた。イベントの客達で溢れ、フローラもその波に飲み込まれていく。
中には事件性があると疑う客もいた。第一発見者のフローラに厳しい視線を向ける者もいて居た堪れない。予想通り白警団にも通報され、客達は楽屋周辺から動かないよう指示されたが。
「フ、フローラ?」
そんな騒ぎの中、夫とも再開した。このイベントに来ていたのか。
「ええ、私よ」
「ヒッ!」
夫は幽霊でも見たかたのように顔が真っ青だ。今、フローラはマムと全く同じメイクをしている。眉毛の形、アイシャドウや口紅の色が同じだと案外似てしまうものだ。悪役女優風のきつい顔立ちのフローラだったが、今はあのマムに見えない事もない。夫が驚いている理由もわかる。
「あああ、フローラ! そんなマムのメイクをして本人になろうとしていたなんて、何て病んでいたんだ! 君をメンヘラにさせてしまった事は悪かった!」
なぜか夫は泣きながら頭を下げていた。
あの夫が謝ってる?
こんな事は初めてで戸惑っていたが、白警団が到着。担当捜査員はよりによって天敵のコンラッド。
「またあんたか!」
夫の謝罪で忘れそうになっていたが、今は事件に巻き込まれていたんだ。
「そのメイクは何だよ、趣味が悪いねぇ」
あの性格が悪いコンラッドもフローラのマム風メイクにドン引きしたが。
「どうせあんたが犯人だろう。詳しく話を聞かせて貰う」
その上コンラッドに疑われた。
「あなた、という事でコンラッドに話をしてくるわ」
泣いている夫とは裏腹にフローラは薄ら笑いを浮かべ、コンラッドの後についていく。
どうやらまた事件に巻き込まれてしまったらしい。三回目だが、慣れてきたかもしれない。夫に不倫されるよりはマシだから、今回の事件も向き合うしかないらしい。
0
あなたにおすすめの小説
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる