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第二章
27話
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開け放たれた脱衣所には、まだ湿気が漂っていた。
玲央は躊躇なく服を脱ぎ、洗濯機の上にそれを置いていく。その様子を見て、自分がさっき洗濯機を稼働させていたことを思い出した。
洗濯物、回すだけ回して干してないなぁ。後でやらなきゃなぁ。
なんて思いながらぼんやり立ち尽くしていると、浴室から声が飛んできた。
「栞季くーん、はやく~」
玲央はすでにシャワーを出しているようで、少しだけ開いた扉の隙間からは、湯気が漏れている。
「ちょっと待てって」
そう返しながら、俺はスウェットの裾をつまんで頭から引き抜いた。脱いだ服を洗濯機の上に軽く放り、ゆっくりと浴室の扉を開けた。
中はもう、すっかり湯気で満たされていた。
シャワーの音が響いて、扉を開けた音に玲央が振り返る。濡れた髪が額に張りついて、首筋を伝う水滴が肌を伝っていた。その姿を、思わず目で追ってしまって、視線を逸らした。
「栞季くん、洗ってあげるから!こっち来な~」
玲央は楽しげに笑って、シャワーのノズルを少しこちらに向ける。
「それぐらい自分でできる」
俺が眉をひそめながら中に踏み入ると彼はわざとらしく肩をすくめてみせる。
「いいじゃ~ん!せっかく一緒に入ってんだから、ね?」
ぐいっと手を伸ばして、俺の手首を掴んで引き寄せてくる。肌がぶつかって、濡れた肌の温もりがやけに熱く感じる。
玲央は俺を浴槽の縁へと誘導し、軽く肩を押して腰を下ろさせた。冷たいタイルの感触に一瞬だけ背筋がぞわっとする。
「じゃ、いくよ~!お湯かけるね~」
玲央が俺の頭に優しくお湯をかけてくれると、自然と目を閉じるしかなくなった。あたたかいお湯が髪を伝って首筋へ流れ落ち、体の緊張がふわりとほどけていった。
お湯が止まったかと思うと、玲央の指先が髪に触れる。泡立てたシャンプーが、俺の髪の根元をくるくると撫でるように揉み込まれていく。
「かゆいところはありますか~?」
「……ない」
「はーい、わかりました~」
玲央はくすくす笑いながら、指の腹を使って丁寧にマッサージするように洗ってくれる。頭皮を優しく押すたびに、気持ちよさと恥ずかしさが混ざり合って、どこか落ち着かない。
「栞季くんの髪、さらさら~ケアとかちゃんとしてるの?」
「特別なことはしてないつもり」
「えー、嘘だー」
軽口を叩きながらも、シャンプーが終わったのか、玲央の指が頭からそっと離れていった。
「流すから目閉じててねー」
彼の手が再び髪へ伸び、泡を落とすようにやさしく流してくれる。お湯が顔にかからないように、彼の手のひらが俺の額に当たる。なんとなく、その体温を頼って目を開ける気にはなれなかった。
泡を流し終わったのか、玲央は軽く俺の肩を叩く。
「はーい、よくできました。次は背中!!」
「さすがにそれは自分でできる……」
即座にそう返すと、玲央はわざとらしく口を尖らせた。
「え~、ケチ~」
「お前も髪洗えよ」
俺が濡れた前髪を指でかき上げながらそう言うと、玲央は一拍置いて、ふっと笑う。
「はいはい、わかりました~」
そう言いながら、彼は頭を軽く濡らし始める。髪がしっとりと額に貼りついて、彼の表情が少し大人びて見える。
俺はそっと視線をそらして、自分の身体を洗い始めた。肩から腕、胸元、腹……さっきまで彼の手が触れていた場所を通るたび、妙に意識してしまう。
カラン、とシャンプーボトルの音がして、ふと顔を上げると、玲央が泡立てた手で髪をくしゃくしゃにしていた。
「なに見てんの~?」
泡だらけの頭で、玲央が顔をこっちに向ける。
「別に。間抜けな顔してんなって思っただけ」
「ひどっ」
玲央は笑いながら泡を飛ばしてきた。お湯に混じったシャンプーが、肩にぴとりと当たる。
「……あとで仕返しな」
そう告げて、俺はシャワーを手に取り、無言で玲央に湯をかけ返した。
玲央は躊躇なく服を脱ぎ、洗濯機の上にそれを置いていく。その様子を見て、自分がさっき洗濯機を稼働させていたことを思い出した。
洗濯物、回すだけ回して干してないなぁ。後でやらなきゃなぁ。
なんて思いながらぼんやり立ち尽くしていると、浴室から声が飛んできた。
「栞季くーん、はやく~」
玲央はすでにシャワーを出しているようで、少しだけ開いた扉の隙間からは、湯気が漏れている。
「ちょっと待てって」
そう返しながら、俺はスウェットの裾をつまんで頭から引き抜いた。脱いだ服を洗濯機の上に軽く放り、ゆっくりと浴室の扉を開けた。
中はもう、すっかり湯気で満たされていた。
シャワーの音が響いて、扉を開けた音に玲央が振り返る。濡れた髪が額に張りついて、首筋を伝う水滴が肌を伝っていた。その姿を、思わず目で追ってしまって、視線を逸らした。
「栞季くん、洗ってあげるから!こっち来な~」
玲央は楽しげに笑って、シャワーのノズルを少しこちらに向ける。
「それぐらい自分でできる」
俺が眉をひそめながら中に踏み入ると彼はわざとらしく肩をすくめてみせる。
「いいじゃ~ん!せっかく一緒に入ってんだから、ね?」
ぐいっと手を伸ばして、俺の手首を掴んで引き寄せてくる。肌がぶつかって、濡れた肌の温もりがやけに熱く感じる。
玲央は俺を浴槽の縁へと誘導し、軽く肩を押して腰を下ろさせた。冷たいタイルの感触に一瞬だけ背筋がぞわっとする。
「じゃ、いくよ~!お湯かけるね~」
玲央が俺の頭に優しくお湯をかけてくれると、自然と目を閉じるしかなくなった。あたたかいお湯が髪を伝って首筋へ流れ落ち、体の緊張がふわりとほどけていった。
お湯が止まったかと思うと、玲央の指先が髪に触れる。泡立てたシャンプーが、俺の髪の根元をくるくると撫でるように揉み込まれていく。
「かゆいところはありますか~?」
「……ない」
「はーい、わかりました~」
玲央はくすくす笑いながら、指の腹を使って丁寧にマッサージするように洗ってくれる。頭皮を優しく押すたびに、気持ちよさと恥ずかしさが混ざり合って、どこか落ち着かない。
「栞季くんの髪、さらさら~ケアとかちゃんとしてるの?」
「特別なことはしてないつもり」
「えー、嘘だー」
軽口を叩きながらも、シャンプーが終わったのか、玲央の指が頭からそっと離れていった。
「流すから目閉じててねー」
彼の手が再び髪へ伸び、泡を落とすようにやさしく流してくれる。お湯が顔にかからないように、彼の手のひらが俺の額に当たる。なんとなく、その体温を頼って目を開ける気にはなれなかった。
泡を流し終わったのか、玲央は軽く俺の肩を叩く。
「はーい、よくできました。次は背中!!」
「さすがにそれは自分でできる……」
即座にそう返すと、玲央はわざとらしく口を尖らせた。
「え~、ケチ~」
「お前も髪洗えよ」
俺が濡れた前髪を指でかき上げながらそう言うと、玲央は一拍置いて、ふっと笑う。
「はいはい、わかりました~」
そう言いながら、彼は頭を軽く濡らし始める。髪がしっとりと額に貼りついて、彼の表情が少し大人びて見える。
俺はそっと視線をそらして、自分の身体を洗い始めた。肩から腕、胸元、腹……さっきまで彼の手が触れていた場所を通るたび、妙に意識してしまう。
カラン、とシャンプーボトルの音がして、ふと顔を上げると、玲央が泡立てた手で髪をくしゃくしゃにしていた。
「なに見てんの~?」
泡だらけの頭で、玲央が顔をこっちに向ける。
「別に。間抜けな顔してんなって思っただけ」
「ひどっ」
玲央は笑いながら泡を飛ばしてきた。お湯に混じったシャンプーが、肩にぴとりと当たる。
「……あとで仕返しな」
そう告げて、俺はシャワーを手に取り、無言で玲央に湯をかけ返した。
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