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第46話 主人公の終焉
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「が……ぐはっ」
ゴーレムの一撃で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられたテンガ。
途切れそうになる意識をつなぎとめ、何とか回復魔法を使う。
「くそっ……たれっ!」
どうやら左手と右足を骨折してしまったようで、動かすことが出来ない。
これほどの重傷の治療にはイヤシブロブの治癒魔法が不可欠だが、全てやられてしまった。
『いいねぇ、早速使わせてもらうぜぇ』
アルフィノーラを調べ終えたログラースは、竜の頭に醜悪な笑みを浮かべると地響きを轟かせながらどこかに行ってしまった。
ぼろ雑巾のように転がったテンガには目をくれることもなく。
「オ、オレ様は主人公だぞ……!」
呪詛の声を吐いても動けない体ではどうしようもない。
「そ、そうだ……エリス!」
絶望に沈みかけたテンガだが、彼の担当女神の事を思い出す。
主人公が絶体絶命のピンチに陥った時のために、あの女がいるのではないか。
そう、主人公だけに許された救済措置というヤツだ。
ヴンッ
『……なによ』
だが、テンガの呼びかけに応じて現れたエリスの態度はそっけなく、その目は道端に落ちたゴミを見るようだ。
「ぐっ……」
酷薄な視線に思わず怯む。
だがこのままでは元の世界に戻れない。
精一杯の虚勢を張り、テンガは叫んだ。
「お前の力で何とかしやがれ!
せ、世界の危機なのだぞ!?」
『……関係ないわ』
「……は?」
そっけない態度で放たれた言葉に、思わずマヌケな返答を返してしまう。
『貴方では魔王を倒し、この世界No272671を救うことはできない。
まったく……時間を無駄にしたわ。
それより、世界No783991とNo52313の方が見込みがありそうね』
「お、おい!
エリス、貴様!!」
この女神は何を言っている!?
主人公であるオレ様をサポートするのがお前の仕事だろう!!
必死に折れていない右手を女神エリスに伸ばすのだが……。
彼女の目にはテンガなど、もう映ってはおらず。
ぱしゅん!
「あ、あああああああっ!?」
テンガの絶叫を無視して、エリスはこの世界から消える。
同時に女神との繋がりが切れた感覚……それは否応なしに、女神から見捨てられたことをテンガに実感させるのだった。
ゴームッ!
テンガを吹き飛ばした後、動きを止めていたゴーレムがまた動き始める。
ジュンヤがフェリシアと共に魔王城の広間に入ってきたのは、そんなタイミングだった。
*** ***
先行したテンガを追って魔王城の門をくぐる。
おどろおどろしい謎の植物が茂る中庭を通り過ぎ、見上げるほどに巨大な魔王城の中へ。
「……あれは?」
魔王城の中に通じる扉は開け放たれており、そこには体高10メートルはあろうかという青黒い岩でできたゴーレムの姿が。
「ちっ!」
見たところ、近くにアルの姿はなく、アイツを倒さないと奥には進めそうにない。
俺はロングソードを抜き放つと戦闘スキルを発動させる。
「魔法剣・バクハ!!」
ロングソードに爆裂魔法の閃光がまとわりつく。
「食らえ!!」
ザンッ
ズッドオオオオオオオオンッ!
剣身がゴーレムの脚にめり込んだ瞬間、爆裂魔法が発動しゴーレムの巨体を粉々に吹き飛ばす。
「す、凄い!
魔力で強化された傀儡を一撃で!?」
どうやらボスモンスターのようだが、この世界の限界を超えて強化された俺の敵ではない。
俺は降り注ぐゴーレムの破片を剣圧で吹き飛ばし、開け放たれた扉から魔王城の広間に突入する。
「アル!!!!」
声の限りに最愛の少女の名前を呼ぶが、彼女の返事はなく……。
「…………も、モブか?」
「え?」
代わりに返されたのは、聞き覚えのある男の声。
ぼろ雑巾のようになり、力なく床に座り込んでいる。
折れているのか、左手と右足はあらぬ方向に曲がっている。
普段の尊大な態度はそこには無く、どこか諦めたような眼差しこちらを見上げていたのはアルを攫ったはずのテンガだった。
「テンガ! アルをどこへやった!?」
テンガが魔王城で倒れており、周囲にはアルの姿はない。
最悪の可能性を想像して思わず頭に血が上る。
「ふん、魔王の奴に連れていかれたぞ」
「な!?」
テンガはアルの”勇者”としての力を欲していたはず。
魔王ログラースの討伐に失敗したのか?
「いったい何があったんだ、詳しく話してくれ!!」
俺はテンガの胸ぐらをつかむ。
俺ごときに詰め寄られ、いつもなら激昂する所だが、どこかあきらめの表情を浮かべたテンガは俺のされるがままになっている。
「はっ、あの犬ガキのことなんざ知った事ではないが、もう終わりだ……なにもかも」
「なにを言ってる!」
こんな無気力なテンガの様子を見るのは、元の世界を含めて始めてだ。
「ジュンヤさん! この上に巨大な魔力反応があります!
魔王はおそらく、この城の最上階に!」
その時、周囲を調べてくれていたフェリシアが遥か上方の天井を指さす。
「ちっ!!」
もはやテンガなどにかまっている暇はない。
「フェリシア、こっちだ!」
「はいっ!」
俺はフェリシアを抱き上げ大きくジャンプする。
「はあっ!!」
ドガッ!
魔王城の天井をぶち抜き、最上階へと急ぐ。
「……ふん、勇者の力を取り込んだ魔王ログラースを倒すことなど不可能だ。
モブ、お前もこの世界で朽ちるがいい……はは、ははははっ」
力なく放たれたテンガの声は、俺の耳には届かなかった。
ゴーレムの一撃で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられたテンガ。
途切れそうになる意識をつなぎとめ、何とか回復魔法を使う。
「くそっ……たれっ!」
どうやら左手と右足を骨折してしまったようで、動かすことが出来ない。
これほどの重傷の治療にはイヤシブロブの治癒魔法が不可欠だが、全てやられてしまった。
『いいねぇ、早速使わせてもらうぜぇ』
アルフィノーラを調べ終えたログラースは、竜の頭に醜悪な笑みを浮かべると地響きを轟かせながらどこかに行ってしまった。
ぼろ雑巾のように転がったテンガには目をくれることもなく。
「オ、オレ様は主人公だぞ……!」
呪詛の声を吐いても動けない体ではどうしようもない。
「そ、そうだ……エリス!」
絶望に沈みかけたテンガだが、彼の担当女神の事を思い出す。
主人公が絶体絶命のピンチに陥った時のために、あの女がいるのではないか。
そう、主人公だけに許された救済措置というヤツだ。
ヴンッ
『……なによ』
だが、テンガの呼びかけに応じて現れたエリスの態度はそっけなく、その目は道端に落ちたゴミを見るようだ。
「ぐっ……」
酷薄な視線に思わず怯む。
だがこのままでは元の世界に戻れない。
精一杯の虚勢を張り、テンガは叫んだ。
「お前の力で何とかしやがれ!
せ、世界の危機なのだぞ!?」
『……関係ないわ』
「……は?」
そっけない態度で放たれた言葉に、思わずマヌケな返答を返してしまう。
『貴方では魔王を倒し、この世界No272671を救うことはできない。
まったく……時間を無駄にしたわ。
それより、世界No783991とNo52313の方が見込みがありそうね』
「お、おい!
エリス、貴様!!」
この女神は何を言っている!?
主人公であるオレ様をサポートするのがお前の仕事だろう!!
必死に折れていない右手を女神エリスに伸ばすのだが……。
彼女の目にはテンガなど、もう映ってはおらず。
ぱしゅん!
「あ、あああああああっ!?」
テンガの絶叫を無視して、エリスはこの世界から消える。
同時に女神との繋がりが切れた感覚……それは否応なしに、女神から見捨てられたことをテンガに実感させるのだった。
ゴームッ!
テンガを吹き飛ばした後、動きを止めていたゴーレムがまた動き始める。
ジュンヤがフェリシアと共に魔王城の広間に入ってきたのは、そんなタイミングだった。
*** ***
先行したテンガを追って魔王城の門をくぐる。
おどろおどろしい謎の植物が茂る中庭を通り過ぎ、見上げるほどに巨大な魔王城の中へ。
「……あれは?」
魔王城の中に通じる扉は開け放たれており、そこには体高10メートルはあろうかという青黒い岩でできたゴーレムの姿が。
「ちっ!」
見たところ、近くにアルの姿はなく、アイツを倒さないと奥には進めそうにない。
俺はロングソードを抜き放つと戦闘スキルを発動させる。
「魔法剣・バクハ!!」
ロングソードに爆裂魔法の閃光がまとわりつく。
「食らえ!!」
ザンッ
ズッドオオオオオオオオンッ!
剣身がゴーレムの脚にめり込んだ瞬間、爆裂魔法が発動しゴーレムの巨体を粉々に吹き飛ばす。
「す、凄い!
魔力で強化された傀儡を一撃で!?」
どうやらボスモンスターのようだが、この世界の限界を超えて強化された俺の敵ではない。
俺は降り注ぐゴーレムの破片を剣圧で吹き飛ばし、開け放たれた扉から魔王城の広間に突入する。
「アル!!!!」
声の限りに最愛の少女の名前を呼ぶが、彼女の返事はなく……。
「…………も、モブか?」
「え?」
代わりに返されたのは、聞き覚えのある男の声。
ぼろ雑巾のようになり、力なく床に座り込んでいる。
折れているのか、左手と右足はあらぬ方向に曲がっている。
普段の尊大な態度はそこには無く、どこか諦めたような眼差しこちらを見上げていたのはアルを攫ったはずのテンガだった。
「テンガ! アルをどこへやった!?」
テンガが魔王城で倒れており、周囲にはアルの姿はない。
最悪の可能性を想像して思わず頭に血が上る。
「ふん、魔王の奴に連れていかれたぞ」
「な!?」
テンガはアルの”勇者”としての力を欲していたはず。
魔王ログラースの討伐に失敗したのか?
「いったい何があったんだ、詳しく話してくれ!!」
俺はテンガの胸ぐらをつかむ。
俺ごときに詰め寄られ、いつもなら激昂する所だが、どこかあきらめの表情を浮かべたテンガは俺のされるがままになっている。
「はっ、あの犬ガキのことなんざ知った事ではないが、もう終わりだ……なにもかも」
「なにを言ってる!」
こんな無気力なテンガの様子を見るのは、元の世界を含めて始めてだ。
「ジュンヤさん! この上に巨大な魔力反応があります!
魔王はおそらく、この城の最上階に!」
その時、周囲を調べてくれていたフェリシアが遥か上方の天井を指さす。
「ちっ!!」
もはやテンガなどにかまっている暇はない。
「フェリシア、こっちだ!」
「はいっ!」
俺はフェリシアを抱き上げ大きくジャンプする。
「はあっ!!」
ドガッ!
魔王城の天井をぶち抜き、最上階へと急ぐ。
「……ふん、勇者の力を取り込んだ魔王ログラースを倒すことなど不可能だ。
モブ、お前もこの世界で朽ちるがいい……はは、ははははっ」
力なく放たれたテンガの声は、俺の耳には届かなかった。
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ありがとうございます!
楽しんで頂けてるなら嬉しいです。
更新頑張ります。