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第4章 俺だけが知っている最初の四天王
第4-3話 勇者と魔王の邂逅
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「うわぁ! ランがスイーツデートに誘ってくれるなんて♪
ねえねぇ! どこに連れてってくれるの? 楽しみっ!」
わふわふんっ!
無邪気な笑みを浮かべる勇者ルクア。
俺は言葉巧みに彼女を自宅から誘い出していた。
……ていうかコイツちょろいな、いくら幼馴染からの誘いとはいえ。
キラキラと純粋な瞳を輝かせるルクアに思わず彼女の将来が心配になってしまう。
「くくく……お前は極上の刺激を味わうことになるだろう」
「ご、ごくっ!」
意味深に嗤うオレの様子を見て、生唾を飲み込むルクア。
「……ていうかな、ルクアよ」
「今のお前は”認識改変”で男勇者に見えるんだから、”スイーツデート”なる単語を出すな」
『聖槍の勇者ルクア、クールなイケメンとスイーツ(意味深)デート。
BL属性の獲得に余念なし』
……などと、ゴシップ紙にすっぱ抜かれたらどうする。
「?? 何でスイーツデートが意味深になるの?」
くんくん!
どこまでも純粋なルクアとあきれ顔のポチコを連れながら、俺は彼女たちを村の外に広がる森に連れ出す。
「あれ? なんで森に? 街に行くんじゃないの?」
わふん?
不思議そうな表情を浮かべるふたり。
真実を話せば断られるかもしれない。
一気に転移してしまえばこちらのモノである。
「まあ焦るな……”SSゲート”!」
「ふ、ふえっ!?」
シュワワン!
人間の魔法ではありえないほど精緻な魔法陣が俺たちを包む。
ぱしゅん!
一瞬の浮遊感の後、俺たちの目前に広がったのは。
巨大な城壁、上空を覆う漆黒の雲。
城壁から突き出す鋭さを増した謎の角に、稲妻を反射させながら空を舞うドラゴン。
「……ってここ!! 魔王城じゃん!?」
わふわふわふんっ!?
いつもの邪悪な魔王城の光景だった。
*** ***
「どどど、どういうこと……ていうかなんでランはそんなに堂々としてるの?」
俺はルクアに”認識改変”を掛けると、彼女の手を引き魔王城の正門から中に入る。
周りからはラミアに見えているであろうルクアは、不安なのか俺の右腕にしがみついてくる。
わふん……ガウガウッ!
ずももももも……
……しまった。
あまりに周囲に馴染んでいたからか、ポチコに認識改変を掛けるのを忘れていた。
魔界の瘴気に当てられたせいなのか、ヘルハウンドモードに戻ったポチコが俺たちの後を静かに歩く。
…………
な、なぜフェルーゼ様側近のロードメイジが神話の魔獣ヘルハウンドを……。
これも魔王様の指示だというのか……。
我ら魔物よりはるか高位の存在と言われる地獄の番犬を飼いならすなど……フェルーゼ様の力はそこまで規格外の領域に。
…………
遠巻きに俺たちを見つめるモンスター達から、ドン引きの空気が伝わってくる。
ふむ……労せずフェルの権威を強化できたかもしれない。
俺はそう思いなおすと、鼻歌さえ歌いながらフェル専用のエレベーターに乗る。
「うおおおっ、これは魔王城定番のあこがれギミックエレベーター!?」
わんわんわん!
妙なところに興奮している二人は置いといて、エレベーターは一気に俺たちを最上階まで運ぶ。
彼女たちをフェルの私室の前まで先導すると、俺はルクアに掛けた認識改変を解除し部屋のドアをノックする。
「フェル……俺の切り札と、スイーツのおかわりを持ってきたぞ?」
がちゃっ
「はむっ!?」
ドアを開けると、スイートモンブランのラスイチを頬張ったフェルと目が合った。
「あうっ、余ばかりすいません……って、この類まれなる芳醇な香りはっ!?」
敏感なフェルの鼻はさっそく極上スイーツの気配を嗅ぎ取ったようだ。
彼女のケモミミと尻尾が元気よく動く。
「あっ……かわいいかも」
俺の後ろに従うルクアが小さく呟くのが聞こえた。
「……こほんっ! それはそうとランさん、そちらの方々は?」
「ああ、紹介が遅れたな……コイツは俺の幼馴染で勇者候補筆頭、聖槍のルクア」
「それにヘルハウンドのポチコだ」
「そしてルクア、ここにいるのが当代魔王のフェルーゼと、四天王のポンニャだ」
「「え、ええええええええええええっ!?」」
わふんっ!?
だにゃっ!?
3人と1匹の驚きの叫びが、魔王城の最上階に響き渡ったのだった。
ねえねぇ! どこに連れてってくれるの? 楽しみっ!」
わふわふんっ!
無邪気な笑みを浮かべる勇者ルクア。
俺は言葉巧みに彼女を自宅から誘い出していた。
……ていうかコイツちょろいな、いくら幼馴染からの誘いとはいえ。
キラキラと純粋な瞳を輝かせるルクアに思わず彼女の将来が心配になってしまう。
「くくく……お前は極上の刺激を味わうことになるだろう」
「ご、ごくっ!」
意味深に嗤うオレの様子を見て、生唾を飲み込むルクア。
「……ていうかな、ルクアよ」
「今のお前は”認識改変”で男勇者に見えるんだから、”スイーツデート”なる単語を出すな」
『聖槍の勇者ルクア、クールなイケメンとスイーツ(意味深)デート。
BL属性の獲得に余念なし』
……などと、ゴシップ紙にすっぱ抜かれたらどうする。
「?? 何でスイーツデートが意味深になるの?」
くんくん!
どこまでも純粋なルクアとあきれ顔のポチコを連れながら、俺は彼女たちを村の外に広がる森に連れ出す。
「あれ? なんで森に? 街に行くんじゃないの?」
わふん?
不思議そうな表情を浮かべるふたり。
真実を話せば断られるかもしれない。
一気に転移してしまえばこちらのモノである。
「まあ焦るな……”SSゲート”!」
「ふ、ふえっ!?」
シュワワン!
人間の魔法ではありえないほど精緻な魔法陣が俺たちを包む。
ぱしゅん!
一瞬の浮遊感の後、俺たちの目前に広がったのは。
巨大な城壁、上空を覆う漆黒の雲。
城壁から突き出す鋭さを増した謎の角に、稲妻を反射させながら空を舞うドラゴン。
「……ってここ!! 魔王城じゃん!?」
わふわふわふんっ!?
いつもの邪悪な魔王城の光景だった。
*** ***
「どどど、どういうこと……ていうかなんでランはそんなに堂々としてるの?」
俺はルクアに”認識改変”を掛けると、彼女の手を引き魔王城の正門から中に入る。
周りからはラミアに見えているであろうルクアは、不安なのか俺の右腕にしがみついてくる。
わふん……ガウガウッ!
ずももももも……
……しまった。
あまりに周囲に馴染んでいたからか、ポチコに認識改変を掛けるのを忘れていた。
魔界の瘴気に当てられたせいなのか、ヘルハウンドモードに戻ったポチコが俺たちの後を静かに歩く。
…………
な、なぜフェルーゼ様側近のロードメイジが神話の魔獣ヘルハウンドを……。
これも魔王様の指示だというのか……。
我ら魔物よりはるか高位の存在と言われる地獄の番犬を飼いならすなど……フェルーゼ様の力はそこまで規格外の領域に。
…………
遠巻きに俺たちを見つめるモンスター達から、ドン引きの空気が伝わってくる。
ふむ……労せずフェルの権威を強化できたかもしれない。
俺はそう思いなおすと、鼻歌さえ歌いながらフェル専用のエレベーターに乗る。
「うおおおっ、これは魔王城定番のあこがれギミックエレベーター!?」
わんわんわん!
妙なところに興奮している二人は置いといて、エレベーターは一気に俺たちを最上階まで運ぶ。
彼女たちをフェルの私室の前まで先導すると、俺はルクアに掛けた認識改変を解除し部屋のドアをノックする。
「フェル……俺の切り札と、スイーツのおかわりを持ってきたぞ?」
がちゃっ
「はむっ!?」
ドアを開けると、スイートモンブランのラスイチを頬張ったフェルと目が合った。
「あうっ、余ばかりすいません……って、この類まれなる芳醇な香りはっ!?」
敏感なフェルの鼻はさっそく極上スイーツの気配を嗅ぎ取ったようだ。
彼女のケモミミと尻尾が元気よく動く。
「あっ……かわいいかも」
俺の後ろに従うルクアが小さく呟くのが聞こえた。
「……こほんっ! それはそうとランさん、そちらの方々は?」
「ああ、紹介が遅れたな……コイツは俺の幼馴染で勇者候補筆頭、聖槍のルクア」
「それにヘルハウンドのポチコだ」
「そしてルクア、ここにいるのが当代魔王のフェルーゼと、四天王のポンニャだ」
「「え、ええええええええええええっ!?」」
わふんっ!?
だにゃっ!?
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