レアスキル【究極属性付与】持ちモブ村人、魔王と勇者を従え黒幕になる ~戦う必要ないから他国の勇者と四天王は空気読んで?~

なっくる

文字の大きさ
20 / 35
第4章 俺だけが知っている最初の四天王

第4-3話 勇者と魔王の邂逅

しおりを挟む
「うわぁ! ランがスイーツデートに誘ってくれるなんて♪
 ねえねぇ! どこに連れてってくれるの? 楽しみっ!」

 わふわふんっ!

 無邪気な笑みを浮かべる勇者ルクア。
 俺は言葉巧みに彼女を自宅から誘い出していた。

 ……ていうかコイツちょろいな、いくら幼馴染からの誘いとはいえ。
 キラキラと純粋な瞳を輝かせるルクアに思わず彼女の将来が心配になってしまう。

「くくく……お前は極上のを味わうことになるだろう」

「ご、ごくっ!」

 意味深に嗤うオレの様子を見て、生唾を飲み込むルクア。

「……ていうかな、ルクアよ」
「今のお前は”認識改変”で男勇者に見えるんだから、”スイーツデート”なる単語を出すな」

『聖槍の勇者ルクア、クールなイケメンとスイーツ(意味深)デート。
BL属性の獲得に余念なし』

 ……などと、ゴシップ紙にすっぱ抜かれたらどうする。

「?? 何でスイーツデートが意味深になるの?」

 くんくん!

 どこまでも純粋なルクアとあきれ顔のポチコを連れながら、俺は彼女たちを村の外に広がる森に連れ出す。

「あれ? なんで森に? 街に行くんじゃないの?」

 わふん?

 不思議そうな表情を浮かべるふたり。
 真実を話せば断られるかもしれない。

 一気に転移してしまえばこちらのモノである。

「まあ焦るな……”SSゲート”!」

「ふ、ふえっ!?」

 シュワワン!

 人間の魔法ではありえないほど精緻な魔法陣が俺たちを包む。

 ぱしゅん!

 一瞬の浮遊感の後、俺たちの目前に広がったのは。


 巨大な城壁、上空を覆う漆黒の雲。
 城壁から突き出す鋭さを増した謎の角に、稲妻を反射させながら空を舞うドラゴン。


「……ってここ!! 魔王城じゃん!?」

 わふわふわふんっ!?

 いつもの邪悪な魔王城の光景だった。


 ***  ***

「どどど、どういうこと……ていうかなんでランはそんなに堂々としてるの?」

 俺はルクアに”認識改変”を掛けると、彼女の手を引き魔王城の正門から中に入る。

 周りからはラミアに見えているであろうルクアは、不安なのか俺の右腕にしがみついてくる。

 わふん……ガウガウッ!

 ずももももも……

 ……しまった。
 あまりに周囲に馴染んでいたからか、ポチコに認識改変を掛けるのを忘れていた。
 魔界の瘴気に当てられたせいなのか、ヘルハウンドモードに戻ったポチコが俺たちの後を静かに歩く。

 …………

 な、なぜフェルーゼ様側近のロードメイジが神話の魔獣ヘルハウンドを……。
 これも魔王様の指示だというのか……。
 我ら魔物よりはるか高位の存在と言われる地獄の番犬を飼いならすなど……フェルーゼ様の力はそこまで規格外の領域に。

 …………

 遠巻きに俺たちを見つめるモンスター達から、ドン引きの空気が伝わってくる。
 ふむ……労せずフェルの権威を強化できたかもしれない。

 俺はそう思いなおすと、鼻歌さえ歌いながらフェル専用のエレベーターに乗る。

「うおおおっ、これは魔王城定番のあこがれギミックエレベーター!?」

 わんわんわん!

 妙なところに興奮している二人は置いといて、エレベーターは一気に俺たちを最上階まで運ぶ。

 彼女たちをフェルの私室の前まで先導すると、俺はルクアに掛けた認識改変を解除し部屋のドアをノックする。

「フェル……俺の切り札と、スイーツのおかわりを持ってきたぞ?」

 がちゃっ

「はむっ!?」

 ドアを開けると、スイートモンブランのラスイチを頬張ったフェルと目が合った。

「あうっ、余ばかりすいません……って、この類まれなる芳醇な香りはっ!?」

 敏感なフェルの鼻はさっそく極上スイーツの気配を嗅ぎ取ったようだ。
 彼女のケモミミと尻尾が元気よく動く。

「あっ……かわいいかも」

 俺の後ろに従うルクアが小さく呟くのが聞こえた。

「……こほんっ! それはそうとランさん、そちらの方々は?」

「ああ、紹介が遅れたな……コイツは俺の幼馴染で勇者候補筆頭、聖槍のルクア」
「それにヘルハウンドのポチコだ」

「そしてルクア、ここにいるのが当代魔王のフェルーゼと、四天王のポンニャだ」

「「え、ええええええええええええっ!?」」

 わふんっ!?
 だにゃっ!?

 3人と1匹の驚きの叫びが、魔王城の最上階に響き渡ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です

たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」 勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。 しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。 一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。 彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。 引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――? ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。 「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」 これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...