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二人交差点
1.ある兄弟の話
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まだ小学校に通っていた頃。2コマ目と3コマ目の授業の間に15分の休憩時間があった。
毎日その時間になると外に出て友達と遊んでいた。
昼食、あの頃は給食の時間とよんでいたが、その給食の時間も含めたお昼休みの時間も45分あった。
給食を食べ終えたら、食後の運動よろしく、早いもの順で校庭へと飛び出して遊んだ。
授業間の小休憩を除き、1日合計で1時間の休憩時間があったことになる。
しかし、休憩時間は休憩するものではなく、友達と遊ぶための時間という認識だった。
幼い頃は早く外で遊びたくて仕方がなかった記憶がある。
早く外に出て友達と遊びたい。ドッチボール、サッカー、ケイドロ。スマホや携帯ゲームが無い時代だからこそ、そういった遊びをするのが楽しみで仕方なかった。
いま考えると、休憩時間に休憩しないなど全く考えられないとしみじみ思う。
社会人にもなると、昼の休憩に入ったらすぐごはんを食べ、残りの時間は睡眠に充てる。
休憩時間は休憩するものであり、他のことなど何もしたくなかった。
ほとんど毎日遅くまで残業をして、家に着く頃には24時を過ぎる頃になる。
仕事を終わらせても次々と別の仕事が舞い込んで来るため、終わりの見えない仕事スパイラルに囚われていた。
平日はそれの繰り返しで、起きて仕事をして食って寝る。ただそれだけだった。
唯一の救いは、土日に出勤することがほとんどないということくらいだ。
不幸中の幸いとでもいうべきか。そう考えると、世間で言われているようなブラック企業ではないのかもしれない。そういえば、残業代も普通に支払われている。
あれ、私が考えてるよりも意外と普通の企業なのかもしれない。もしかして私が無能なだけなのか。
そんなことを考えていると、昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「これやっといて」
チャイムが鳴り終わるか終わらないかのギリギリのタイミングで、早速新しい仕事が舞い込んできた。
ドンという重音とともに、お局様によって積み上げられた資料の量を見ると、午前中に終わらせた仕事の倍以上に見える。
「わかりました、やっておきます。いつまでに用意すれば良いですか?」
お局様の機嫌を損なわないように、笑顔で尋ねる。
「そうねぇ、明日の10時からある会議に間に合うようには作ってほしいかな。なんとか作れそうかしら?」
明日の10時からある会議の資料を今から作り始めるのか、なんて言えるはずもなく、私は笑顔で承知した旨を伝えた。
今日もまた終電に乗る未来が見えた。
なんとか終電の電車に間に合った。どうせ、明日は明日でさらに新しい仕事の依頼が舞い込んでくるだろうから、今日の仕事はなんとして今日中に終わらせておきたかった。
電車に乗り、スマホを取り出す。スマホの画面には、着信があったことを知らせるメッセージが表示されていた。
夜也から着信があったようだ。
仕事中は自分のプライベートスマホは触らないようにしているため、正確にいえば触る時間がないのだが、着信に気づかなかった。
家についてからかけ直そうかと思ったが、家に着く頃には時間が時間だなと思ったため、メッセージチャットを送った。
「ごめん、いま仕事終わった。なんか用でもあった?」
最寄り駅に着くまでの間、片道20分ほどの時間ではあるが、私は通勤の時間に小説を読むようにしている。
きっかけは特にないが、なんとなく読んでみようと始めてみたら、日課のように毎日読むようになった。
意外と読むペースが早いたのか、一週間分の通勤時間で400ページくらいの本は読み終える。読み終えたらすぐ次の本を読み始める。
そんなことを続けていたら、部屋の本棚が小説だらけになっていた。
漫画本より小説の方が多い本棚を有する私を幼い頃の私が見たら、これが自分の将来であるとは寸分も思わないだろう。
読み進めている小説が閑話休題で区切られ、本題に戻るというまさに良いタイミングでスマホのメッセージ音が2回鳴った。
「いや、特に用があったわけではないんだけど」
夜也からの返信だった。
「兄貴、次の土曜日なにしてる?暇だったら飲みにでもいかない?」
土曜日といえば、ここしばらくは仕事の疲れからほとんど一日中寝て過ごしている。
起きても睡魔が何度も何度も襲ってくるため、二度寝三度寝どころではないほど浅い睡眠が繰り返されている。
さすがに夕方ごろになれば目も覚めるが、何も予定がない場合、そのまま家から一歩も出ないこともざらにある。
そのため、飲みに行く予定があるということは、家から出る口実にちょうどいいかもしれない。
「良いよ、いこう。18時ごろでいい?」
しっかりと私の目が覚めきっているであろう時間を集合時間とすることで、寝過ごしを防ぐ。
さすがに起きて準備して、集合場所に余裕をもって到着できるだろう。
「イイね、俺もその時間くらいだとちゃんと起きてそうだから助かるわ」
どうやら夜也も同じことを考えていたらしい。私たちは似た者兄弟だ。
毎日その時間になると外に出て友達と遊んでいた。
昼食、あの頃は給食の時間とよんでいたが、その給食の時間も含めたお昼休みの時間も45分あった。
給食を食べ終えたら、食後の運動よろしく、早いもの順で校庭へと飛び出して遊んだ。
授業間の小休憩を除き、1日合計で1時間の休憩時間があったことになる。
しかし、休憩時間は休憩するものではなく、友達と遊ぶための時間という認識だった。
幼い頃は早く外で遊びたくて仕方がなかった記憶がある。
早く外に出て友達と遊びたい。ドッチボール、サッカー、ケイドロ。スマホや携帯ゲームが無い時代だからこそ、そういった遊びをするのが楽しみで仕方なかった。
いま考えると、休憩時間に休憩しないなど全く考えられないとしみじみ思う。
社会人にもなると、昼の休憩に入ったらすぐごはんを食べ、残りの時間は睡眠に充てる。
休憩時間は休憩するものであり、他のことなど何もしたくなかった。
ほとんど毎日遅くまで残業をして、家に着く頃には24時を過ぎる頃になる。
仕事を終わらせても次々と別の仕事が舞い込んで来るため、終わりの見えない仕事スパイラルに囚われていた。
平日はそれの繰り返しで、起きて仕事をして食って寝る。ただそれだけだった。
唯一の救いは、土日に出勤することがほとんどないということくらいだ。
不幸中の幸いとでもいうべきか。そう考えると、世間で言われているようなブラック企業ではないのかもしれない。そういえば、残業代も普通に支払われている。
あれ、私が考えてるよりも意外と普通の企業なのかもしれない。もしかして私が無能なだけなのか。
そんなことを考えていると、昼休憩の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「これやっといて」
チャイムが鳴り終わるか終わらないかのギリギリのタイミングで、早速新しい仕事が舞い込んできた。
ドンという重音とともに、お局様によって積み上げられた資料の量を見ると、午前中に終わらせた仕事の倍以上に見える。
「わかりました、やっておきます。いつまでに用意すれば良いですか?」
お局様の機嫌を損なわないように、笑顔で尋ねる。
「そうねぇ、明日の10時からある会議に間に合うようには作ってほしいかな。なんとか作れそうかしら?」
明日の10時からある会議の資料を今から作り始めるのか、なんて言えるはずもなく、私は笑顔で承知した旨を伝えた。
今日もまた終電に乗る未来が見えた。
なんとか終電の電車に間に合った。どうせ、明日は明日でさらに新しい仕事の依頼が舞い込んでくるだろうから、今日の仕事はなんとして今日中に終わらせておきたかった。
電車に乗り、スマホを取り出す。スマホの画面には、着信があったことを知らせるメッセージが表示されていた。
夜也から着信があったようだ。
仕事中は自分のプライベートスマホは触らないようにしているため、正確にいえば触る時間がないのだが、着信に気づかなかった。
家についてからかけ直そうかと思ったが、家に着く頃には時間が時間だなと思ったため、メッセージチャットを送った。
「ごめん、いま仕事終わった。なんか用でもあった?」
最寄り駅に着くまでの間、片道20分ほどの時間ではあるが、私は通勤の時間に小説を読むようにしている。
きっかけは特にないが、なんとなく読んでみようと始めてみたら、日課のように毎日読むようになった。
意外と読むペースが早いたのか、一週間分の通勤時間で400ページくらいの本は読み終える。読み終えたらすぐ次の本を読み始める。
そんなことを続けていたら、部屋の本棚が小説だらけになっていた。
漫画本より小説の方が多い本棚を有する私を幼い頃の私が見たら、これが自分の将来であるとは寸分も思わないだろう。
読み進めている小説が閑話休題で区切られ、本題に戻るというまさに良いタイミングでスマホのメッセージ音が2回鳴った。
「いや、特に用があったわけではないんだけど」
夜也からの返信だった。
「兄貴、次の土曜日なにしてる?暇だったら飲みにでもいかない?」
土曜日といえば、ここしばらくは仕事の疲れからほとんど一日中寝て過ごしている。
起きても睡魔が何度も何度も襲ってくるため、二度寝三度寝どころではないほど浅い睡眠が繰り返されている。
さすがに夕方ごろになれば目も覚めるが、何も予定がない場合、そのまま家から一歩も出ないこともざらにある。
そのため、飲みに行く予定があるということは、家から出る口実にちょうどいいかもしれない。
「良いよ、いこう。18時ごろでいい?」
しっかりと私の目が覚めきっているであろう時間を集合時間とすることで、寝過ごしを防ぐ。
さすがに起きて準備して、集合場所に余裕をもって到着できるだろう。
「イイね、俺もその時間くらいだとちゃんと起きてそうだから助かるわ」
どうやら夜也も同じことを考えていたらしい。私たちは似た者兄弟だ。
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