怖い話はあなたのすぐ隣に

みみかき

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 その日、自分以外の家族は家をあけていたため、一日限りの一人暮らしを満喫していた。

 夕方からは同じ大学に通う彼女が家に来てくれて、そのままお泊まりする予定だった。

 夕飯も食べ終わり、リビングでゆったりとした二人きりの時間を過ごしていた。

 時刻はまだ22時を過ぎた頃であったが、日頃の疲れがたまっていたためか、私はうとうとしはじめ、そのまま寝てしまった。

 ふと目が覚めると、あたりは明るくなっており、時刻は朝の7時を示していた。
 寝ぼけ眼のまま、家に来ていた彼女を探すもどこにも見当たらない。

 携帯で連絡しようとしたところ、その彼女から連絡が届いていた。

「ごめん、今日帰るね」

 送信された時刻を確認すると、昨晩0時過ぎだった。
 私が早く寝てしまったため、自分の家に帰ってしまったのだと思い、私は謝罪の文を送った。

「こちらこそごめんね。せっかく来てくれたのにかまいもせずに寝ちゃって」

 すると、彼女からすぐに返事が届いた。だが、どうも要領がつかめない。

「それは全然いいの。そんなことより、大丈夫だった?何もなかった?」
「大丈夫って、なんのこと?」

 彼女のいう大丈夫が何を指しているかわからず、私も間を空けず返事を送った。

「私が○○くんちから帰ったあと、何もなかった?」
「特に何もなかったよ。いま起きるまでずっと寝てた」
「ずっと寝てたのね…そっか、なら良かった」

 良かった、という内容もなにか分からず心配になってきたため、再度彼女に問いかけた。

「昨日の夜、俺が寝ちゃったあと何かあったの?」

 少し間が空いてから、彼女から昨日の出来事が語られた。

「昨日の夜、○○くんが寝てから、テレビ見ながら片付けとかしてたの。0時くらいになったから、私も寝ようと思ったんだけど、その時、○○くんが急に起きたの」

 画面に表示された分だけを見ると、特に何もなさそうな文面に見えたが、私が夜中に起きた記憶はない。

 そのまま画面をスクロールして表示された文面を見て、私は戦慄した。

「○○くんが起きた、というかね、上半身だけ起こしたの。それで、起きたのかなと思っておはよって声をかけたの。そしたら、リビングの入口の方を指差して、黒い人がいる!ってまた横になって寝ちゃったの」

 どういうことだ。昨日は私と彼女しか家にいなかったため人がいるわけがなく、ましてや、黒い人とは…。
 そもそも私は夜中起きそんなことを言った記憶はない。

「最初はふざけてるんかなと思ったんだけど、○○くんほんとに寝てた。しかもそのあと、誰か歩く音がしたの。それで怖くなって○○くんを起こそうとしたんだけど、全然起きなくて。それで、申し訳ないけど、すぐ家でて帰っちゃった」

 彼女にどう返事をしたら良いかわからず、ただ周りを見渡していた。

 家で不可解な現象が起きた事は一度もなく、家の周りに墓地などもない。
 そんなこともあるんだな、と思うことにし、私が彼女へ返事送ろうとしていた時、たしかに誰かが歩く音がすぐ側から聞こえた。
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