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阿
家
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鍵っ子の私が学校から帰っても家には誰もいなかった。
仕事から帰ってくる両親に対し、いつも私がおかえりと言っていた。
ある日、学校から帰宅するとなにやら音がする。リビングの方からだ。
誰もいないはずの真っ暗な家の中から聞こえる音に恐怖しながらも、恐る恐る、ゆっくりとリビングのドアを開けた。
音のする方、キッチンの方を確認すると、そこには人が立っていた。
「なんだお母さんかぁ、帰ってたんならお帰りくらい言ってよ~」
キッチンで小気味よく包丁の音を鳴らす母親の後ろ姿を確認し、安堵のため息を吐いた。
それと同時に、自分が帰宅した時に誰かがいてくれる嬉しさを久しぶりに実感した。
「今日のごはん何~?」
部屋の灯をつけ、テレビを見ようとしてリモコンを操作しながら後ろ姿の母に尋ねた。
「今日は…よ~」
「なんていったの?聞こえなかった」
「今日は…よ~」
「え?なに?なんて言ってるの?」
母が何を言っているのかはっきりと聞こえず、私は再度尋ねた。
しかし、返ってきた答えは同じだった。
「今日は…よ~」
だんだんと怖くなってきた私はあることに気づいた。
先程から包丁のリズムよい音しか聞こえず、母はその場から動かず、こちらを振り向きもしない。
あれは本当に私の母親なのか?
「お母さん…だよね?」
「今日は…」
その瞬間、私は玄関目掛けて走り出した。
そうだ、初めからおかしかった。
家の中は真っ暗だったのに、母親の、いや、母親のようなナニカの姿だけ鮮明にみえた。靴も履かず、急いで玄関を開けた。
「わっ、びっくりした。あんた、そんな慌ててどうしたの?」
買い物袋をひっさげた母親がそこにはいた。
感覚でわかる、この母親は本物だ。それじゃあ、さっきまで家の中にいたモノは…。
「…お母さん、今日の晩ご飯なに?」
「今日?あんたの好きなコロッケにしようと思ってるけど」
ちゃんと受け答えをしてくれる本物の母親に安堵した。
一緒に家の中へ入ると、つけっぱなしのテレビ、何かに使用されていた形跡のある包丁とまな板が、先程のことは夢ではなかったことを告げてくる。
私が見たあれは…。
仕事から帰ってくる両親に対し、いつも私がおかえりと言っていた。
ある日、学校から帰宅するとなにやら音がする。リビングの方からだ。
誰もいないはずの真っ暗な家の中から聞こえる音に恐怖しながらも、恐る恐る、ゆっくりとリビングのドアを開けた。
音のする方、キッチンの方を確認すると、そこには人が立っていた。
「なんだお母さんかぁ、帰ってたんならお帰りくらい言ってよ~」
キッチンで小気味よく包丁の音を鳴らす母親の後ろ姿を確認し、安堵のため息を吐いた。
それと同時に、自分が帰宅した時に誰かがいてくれる嬉しさを久しぶりに実感した。
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「今日は…よ~」
「なんていったの?聞こえなかった」
「今日は…よ~」
「え?なに?なんて言ってるの?」
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しかし、返ってきた答えは同じだった。
「今日は…よ~」
だんだんと怖くなってきた私はあることに気づいた。
先程から包丁のリズムよい音しか聞こえず、母はその場から動かず、こちらを振り向きもしない。
あれは本当に私の母親なのか?
「お母さん…だよね?」
「今日は…」
その瞬間、私は玄関目掛けて走り出した。
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ちゃんと受け答えをしてくれる本物の母親に安堵した。
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