42 / 562
幼少期
エアトル家、風前の灯 3
しおりを挟む
辺境伯のお屋敷に到着すると、夫人は「馬鹿の話を聞いてくるわ。あの女の子が落ち着いたら知らせてちょうだい。貴方達はゆっくりしてて」と、すぐさま指示を出すと、足早に消えていった。
お兄様と私はセバスとアンを呼んで貰い、客室でお茶を頂くことになった。
「さて、セバス、状況は聞いてる?」
「お茶会に旦那様が乱入して、センバ辺境伯夫人の護衛に取り押さえられた、と」
「センバ辺境伯夫人の機転に感謝しかないよ?
王城でそもそも騒ぎを起こしといて、近衛とかに捕まったら今頃牢屋でしょうに。
そんでもって、不敬罪で、お家存続の危機だったよ。
夫人の護衛に捕まったからこちらに身柄を確保できたんだ。
こっちで相応に罰しないと反感を買って、ゆくゆくは誰も相手にしてくれなくなるよ?
あと、茶会に居た家にお詫びの品を送る必要がある。
何が良いんだろう、それこそ、社交界にも出てない僕達には、さっぱりわからん。
ってか、誰だよ、クソ親父に茶会の知らせを中途半端に教えたヤツ!!」
「お詫びの品は、それこそ、辺境伯夫人にご相談されるべきかと。
ご迷惑どうのと言っていられません。辺境伯に後見人をお願いしてるので、ここは意見を伺うべきです。
でないと、センバ辺境伯としての面目もあります」
「ナルホドねぇ。ああ、夫人に頼りっぱなしだ。今だって、クソ親父の尋問してくれてる」
「その、旦那様に茶会を知らせたのは、ギャリクソンです。
ぼっちゃま達がセンバ辺境伯の後見を得て出席すると伝える、と言っていました」
「なんなの、その、中途半端な忠誠心。
エアトル家をなんとかしたいなら、クソ親父じゃなく、現侯爵か、僕達に判断を仰ぐべきでしょう!?
アレに聞いて、報告して、何か良くなった事なんて、ひとっつも無いでしょうに!!」
「多分ですが……」申し訳なさそうに、セバスは続ける。
「ギャリクソンは、大旦那様がこちらに居た時に領地から優秀だと王都のお屋敷に抜擢され、旦那様が小さい頃からお仕えしています。
なんというか、変に、自分が旦那様をお育てしないと、と思っているというか。
旦那様が次期侯爵として自覚を持たないと、実際に仕事をしているぼっちゃま達に、乗っ取られると心配している節があります」
「エアトル家じゃなくて、クソ親父が可愛いのね。バカな子程可愛いってか。
悪かったなぁ、可愛げの無い子供で!」
お兄様が、ぽすん、とソファのクッションを叩いた。
「……ギャリクソン、クビにしたい。
…ムリだけど。
ギャリクソンの代わりをセバスならなんとか出来るけど、
セバスの代わりに僕付きになる人材が居ない……」
「セバスが居なくなったら、お兄様、倒れますわ。自信があります」
「僭越ながら、それは私、アンも思います。
もう、そこも夫人に頼ってしまわれたらいかがかと。
ギャリクソンに人材を探させても、ぼっちゃまを潰すのが目的なら、ろくな人間を寄越さないかと」
「だから、魔法の講師も見つからなかったかぁ。
僕達じゃ、伝手も何もないからなぁ。
現侯爵の時代から仕えてるなら、それなりに顔も効くからなぁ。
うわぁ、こんな身近に伏兵がぁ。
僕達が伝手を作ろうにも、今回のお茶会がこのザマだしなぁ。
ディ、どうしようか?」
「もう、エアトル家降格でも良くないです?
現侯爵を含め、あの両親が高位貴族の務めを果たす気がないのに、権利だけ享受してるの、おかしいですわ」
「どうして貴族の義務をキチンと理解してるのがこの幼い二人だけなのかしらねぇ。
あの両親から貴方達二人が生まれた奇跡に感謝かしら?」
え、夫人、どこから聞いていらっしゃったので?
お兄様と私はセバスとアンを呼んで貰い、客室でお茶を頂くことになった。
「さて、セバス、状況は聞いてる?」
「お茶会に旦那様が乱入して、センバ辺境伯夫人の護衛に取り押さえられた、と」
「センバ辺境伯夫人の機転に感謝しかないよ?
王城でそもそも騒ぎを起こしといて、近衛とかに捕まったら今頃牢屋でしょうに。
そんでもって、不敬罪で、お家存続の危機だったよ。
夫人の護衛に捕まったからこちらに身柄を確保できたんだ。
こっちで相応に罰しないと反感を買って、ゆくゆくは誰も相手にしてくれなくなるよ?
あと、茶会に居た家にお詫びの品を送る必要がある。
何が良いんだろう、それこそ、社交界にも出てない僕達には、さっぱりわからん。
ってか、誰だよ、クソ親父に茶会の知らせを中途半端に教えたヤツ!!」
「お詫びの品は、それこそ、辺境伯夫人にご相談されるべきかと。
ご迷惑どうのと言っていられません。辺境伯に後見人をお願いしてるので、ここは意見を伺うべきです。
でないと、センバ辺境伯としての面目もあります」
「ナルホドねぇ。ああ、夫人に頼りっぱなしだ。今だって、クソ親父の尋問してくれてる」
「その、旦那様に茶会を知らせたのは、ギャリクソンです。
ぼっちゃま達がセンバ辺境伯の後見を得て出席すると伝える、と言っていました」
「なんなの、その、中途半端な忠誠心。
エアトル家をなんとかしたいなら、クソ親父じゃなく、現侯爵か、僕達に判断を仰ぐべきでしょう!?
アレに聞いて、報告して、何か良くなった事なんて、ひとっつも無いでしょうに!!」
「多分ですが……」申し訳なさそうに、セバスは続ける。
「ギャリクソンは、大旦那様がこちらに居た時に領地から優秀だと王都のお屋敷に抜擢され、旦那様が小さい頃からお仕えしています。
なんというか、変に、自分が旦那様をお育てしないと、と思っているというか。
旦那様が次期侯爵として自覚を持たないと、実際に仕事をしているぼっちゃま達に、乗っ取られると心配している節があります」
「エアトル家じゃなくて、クソ親父が可愛いのね。バカな子程可愛いってか。
悪かったなぁ、可愛げの無い子供で!」
お兄様が、ぽすん、とソファのクッションを叩いた。
「……ギャリクソン、クビにしたい。
…ムリだけど。
ギャリクソンの代わりをセバスならなんとか出来るけど、
セバスの代わりに僕付きになる人材が居ない……」
「セバスが居なくなったら、お兄様、倒れますわ。自信があります」
「僭越ながら、それは私、アンも思います。
もう、そこも夫人に頼ってしまわれたらいかがかと。
ギャリクソンに人材を探させても、ぼっちゃまを潰すのが目的なら、ろくな人間を寄越さないかと」
「だから、魔法の講師も見つからなかったかぁ。
僕達じゃ、伝手も何もないからなぁ。
現侯爵の時代から仕えてるなら、それなりに顔も効くからなぁ。
うわぁ、こんな身近に伏兵がぁ。
僕達が伝手を作ろうにも、今回のお茶会がこのザマだしなぁ。
ディ、どうしようか?」
「もう、エアトル家降格でも良くないです?
現侯爵を含め、あの両親が高位貴族の務めを果たす気がないのに、権利だけ享受してるの、おかしいですわ」
「どうして貴族の義務をキチンと理解してるのがこの幼い二人だけなのかしらねぇ。
あの両親から貴方達二人が生まれた奇跡に感謝かしら?」
え、夫人、どこから聞いていらっしゃったので?
378
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
伯爵令息は後味の悪いハッピーエンドを回避したい
えながゆうき
ファンタジー
停戦中の隣国の暗殺者に殺されそうになったフェルナンド・ガジェゴス伯爵令息は、目を覚ますと同時に、前世の記憶の一部を取り戻した。
どうやらこの世界は前世で妹がやっていた恋愛ゲームの世界であり、自分がその中の攻略対象であることを思い出したフェルナンド。
だがしかし、同時にフェルナンドがヒロインとハッピーエンドを迎えると、クーデターエンドを迎えることも思い出した。
もしクーデターが起これば、停戦中の隣国が再び侵攻してくることは間違いない。そうなれば、祖国は簡単に蹂躙されてしまうだろう。
後味の悪いハッピーエンドを回避するため、フェルナンドの戦いが今始まる!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる