81 / 563
打倒、物語の強制力
領地へ向けて
準備が整い、いよいよ領地へ出発することになりました。
使用人全員が並び、見送ってくれます。
お兄様が挨拶をします。
「急だが、しばらく領地へ向かうことになった。
慌ただしく準備してくれてありがとう。
みんな、屋敷を頼むね。うん、ディも一言言ってあげて?」
「えーっと?これを言っても良いのかしら?
みんなが居たから生きてこれたと思うの。ありがとうね」
アンが号泣しています。
セバスも泣きそうです。
「ではそろそろ参りましょう」伯爵様が促します。
みんなが伯爵様を睨みます。やめておきなさい、使用人は立場が弱いのよ?
「「では、いってきます」」
「「「「「いってらっしゃいませ!!」」」」」
使用人一同が一斉にお辞儀をしてお見送りしてくれます。
お兄様のエスコートで馬車に乗り込み小窓から顔を出します。
「みんな、顔を上げて!」お兄様が叫びます。
「私達の笑顔、覚えていて!」お兄様とうなずきあって、
「「ありがとう!!」」笑顔で手を振ると、馬車が動き出します。
「ぼっちゃま!」「お嬢様ぁぁ」「俺、そっちに移動願い出すッス!!」「んなぁ!?」「アリかそれ?」「私も」「マジ、ずりぃ」
ちょっと、最後はぎゃぁぎゃぁと、侯爵家の使用人としての態度は良いのかしら?と思わなくもなかったけど、
私もお兄様も、笑ってしまった。
「オイオイ、好かれてるじゃないか。話と全然違うぞ?」
馬に乗り並走する伯爵様の呟きは、御者役のシラヌイ様だけが聞いていたようです。
「お兄様、私達、愛されてましたわ」お兄様と馬車の中でぎゅっとしました。
「「もちろんです」」先に馬車に乗っていた先生とセリが声を合わせて同意します。
「僭越ながら」先生が話し出します。
「使用人一同、お嬢様が母親からの暴力に耐え、エミリオ様が幼いながら仕事をしているのをずっと見ておりました。何も出来ない自分達が悔しかったのです。だから、せめて自分達の仕事は完璧に、煩わせる事なくお支えしようと仕事は一生懸命やっていたのですよ。それに〝ありがとう〞と感謝を伝えてくれるのがお二人でした」
「え、僕?ディはよく言ってたけど」
「エミリオ様は、お嬢様が、嬉しそうにしていると、それが使用人の入れたお茶であるとか、庭の花であるとかでも〝ディが喜んでる!よくやった!!〞と褒めていたではないですか。
それも嬉しかったのですよ。使用人の仕事を認めて感謝を伝えてくれる貴族は、王都では、ほぼ居ないと思いますよ?」
先生が言うと
「しかも、顔が良い」
セリがボソっと呟きます。
「ワハハハ、確かに!
可愛い子供から〝ありがとう〞と言われて落ちない大人は少なくとも、侯爵家の使用人には、居なかったですな!」
「あ!」「一人居る!!」
「「ギャリクソン!!」」お兄様と声がかぶります。
「そうでしたな!なるほど、お二人の顔にもなびかないとは、アレは非常に手強いですな!」
先生やセリのお陰で、余り悲壮感なく馬車の旅は始まり、
かつ、同行者が子供とお年寄りのみ、という、体力に問題有りまくりに見える布陣です。(実際は、双子以外、辺境出身者しか居ませんが)
しかも、急いで出発させられたのです。
少なくとも、宿には泊まると思ってたのですよ、ええ、私達含め、使用人達も。
伯爵様は最初、鬼畜仕様でした。野営して馬車の中で寝ろ、と言ってきたのです。
全員ぶちギレました。
しかし、ここでシラヌイ様(並びにセリと隠れたワサビ達)を暴れさせてはいけません。
先生、頑張りました。
現侯爵をクズと言っておきながら、自分は子供と年寄りのみの移動を強要しておいて、食事の準備もろくにさせずに出発させ、宿にも泊まらせない、食事抜き、アンタの方がよっぽど鬼畜じゃろう?!アンタの騎士道どこ行った?!
うん。おっしゃる通りですわね。
だって、私達、仮にも高位貴族の後継ぎの子供ですのよ?
普通、計画練って、宿を予約して、護衛も沢山引き連れて、万全の体制で旅するでしょうに。
それが、護衛もなし、携帯食の用意もなく、夜具の用意もない中で野営しろとか言う馬車の旅。
少なく見積もっても鬼畜ですわ。
なので、私とお兄様もちょこっと演出してみました。
涙目で、二人でぎゅっと抱きしめあってみたのです。
イタイケナ子供を虐める大人の男、しかも騎士、の構図ですわね?
騎士道の風上にも置けませんわね?
伯爵様、苦虫を噛み潰したような顔をしてますわ。
ウフフ、私達、宿と食事を勝ち取りましたわ!!
そして、ちょっとゆっくりめに進み、2泊は必要だろう、下手したら3泊、ということになりました。
「上々の出来ですな。時間稼ぎにも成功しました。センバ商会の連絡網も行き渡るでしょう。
これで、ワサビ達も少しは楽になると良いのですが」
先生、ワサビ達の体調も気にしてくださっていたのですね!さすがですわ!!
使用人全員が並び、見送ってくれます。
お兄様が挨拶をします。
「急だが、しばらく領地へ向かうことになった。
慌ただしく準備してくれてありがとう。
みんな、屋敷を頼むね。うん、ディも一言言ってあげて?」
「えーっと?これを言っても良いのかしら?
みんなが居たから生きてこれたと思うの。ありがとうね」
アンが号泣しています。
セバスも泣きそうです。
「ではそろそろ参りましょう」伯爵様が促します。
みんなが伯爵様を睨みます。やめておきなさい、使用人は立場が弱いのよ?
「「では、いってきます」」
「「「「「いってらっしゃいませ!!」」」」」
使用人一同が一斉にお辞儀をしてお見送りしてくれます。
お兄様のエスコートで馬車に乗り込み小窓から顔を出します。
「みんな、顔を上げて!」お兄様が叫びます。
「私達の笑顔、覚えていて!」お兄様とうなずきあって、
「「ありがとう!!」」笑顔で手を振ると、馬車が動き出します。
「ぼっちゃま!」「お嬢様ぁぁ」「俺、そっちに移動願い出すッス!!」「んなぁ!?」「アリかそれ?」「私も」「マジ、ずりぃ」
ちょっと、最後はぎゃぁぎゃぁと、侯爵家の使用人としての態度は良いのかしら?と思わなくもなかったけど、
私もお兄様も、笑ってしまった。
「オイオイ、好かれてるじゃないか。話と全然違うぞ?」
馬に乗り並走する伯爵様の呟きは、御者役のシラヌイ様だけが聞いていたようです。
「お兄様、私達、愛されてましたわ」お兄様と馬車の中でぎゅっとしました。
「「もちろんです」」先に馬車に乗っていた先生とセリが声を合わせて同意します。
「僭越ながら」先生が話し出します。
「使用人一同、お嬢様が母親からの暴力に耐え、エミリオ様が幼いながら仕事をしているのをずっと見ておりました。何も出来ない自分達が悔しかったのです。だから、せめて自分達の仕事は完璧に、煩わせる事なくお支えしようと仕事は一生懸命やっていたのですよ。それに〝ありがとう〞と感謝を伝えてくれるのがお二人でした」
「え、僕?ディはよく言ってたけど」
「エミリオ様は、お嬢様が、嬉しそうにしていると、それが使用人の入れたお茶であるとか、庭の花であるとかでも〝ディが喜んでる!よくやった!!〞と褒めていたではないですか。
それも嬉しかったのですよ。使用人の仕事を認めて感謝を伝えてくれる貴族は、王都では、ほぼ居ないと思いますよ?」
先生が言うと
「しかも、顔が良い」
セリがボソっと呟きます。
「ワハハハ、確かに!
可愛い子供から〝ありがとう〞と言われて落ちない大人は少なくとも、侯爵家の使用人には、居なかったですな!」
「あ!」「一人居る!!」
「「ギャリクソン!!」」お兄様と声がかぶります。
「そうでしたな!なるほど、お二人の顔にもなびかないとは、アレは非常に手強いですな!」
先生やセリのお陰で、余り悲壮感なく馬車の旅は始まり、
かつ、同行者が子供とお年寄りのみ、という、体力に問題有りまくりに見える布陣です。(実際は、双子以外、辺境出身者しか居ませんが)
しかも、急いで出発させられたのです。
少なくとも、宿には泊まると思ってたのですよ、ええ、私達含め、使用人達も。
伯爵様は最初、鬼畜仕様でした。野営して馬車の中で寝ろ、と言ってきたのです。
全員ぶちギレました。
しかし、ここでシラヌイ様(並びにセリと隠れたワサビ達)を暴れさせてはいけません。
先生、頑張りました。
現侯爵をクズと言っておきながら、自分は子供と年寄りのみの移動を強要しておいて、食事の準備もろくにさせずに出発させ、宿にも泊まらせない、食事抜き、アンタの方がよっぽど鬼畜じゃろう?!アンタの騎士道どこ行った?!
うん。おっしゃる通りですわね。
だって、私達、仮にも高位貴族の後継ぎの子供ですのよ?
普通、計画練って、宿を予約して、護衛も沢山引き連れて、万全の体制で旅するでしょうに。
それが、護衛もなし、携帯食の用意もなく、夜具の用意もない中で野営しろとか言う馬車の旅。
少なく見積もっても鬼畜ですわ。
なので、私とお兄様もちょこっと演出してみました。
涙目で、二人でぎゅっと抱きしめあってみたのです。
イタイケナ子供を虐める大人の男、しかも騎士、の構図ですわね?
騎士道の風上にも置けませんわね?
伯爵様、苦虫を噛み潰したような顔をしてますわ。
ウフフ、私達、宿と食事を勝ち取りましたわ!!
そして、ちょっとゆっくりめに進み、2泊は必要だろう、下手したら3泊、ということになりました。
「上々の出来ですな。時間稼ぎにも成功しました。センバ商会の連絡網も行き渡るでしょう。
これで、ワサビ達も少しは楽になると良いのですが」
先生、ワサビ達の体調も気にしてくださっていたのですね!さすがですわ!!
あなたにおすすめの小説
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
大変お待たせ致しました。番外編も完結いたしました!