《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福

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明日が有る、という幸せ

生の声

「…えっと、アレは話題にして良いモノなんですの?」
「初めて食べたシカ肉の美味しさを凌駕するんですが?」
「ねぇ!!アレ!買えるの?!!」
「どうしよう、私もちょっと欲しいと思ってしまった…」
「うん、アイシア夫人に怒られるから止めようか?」
「…毎日が楽しそうね?ナターリエも混ざった事あるの?」

順に
フーティ様、ギーニー様、ヨーク様、イーリー様とその婚約者である護衛の方、オージー様のお言葉にナターリエは全力で首を横に振ります。

今はセリやミツバに気になった物を持ってきてもらい、ハジカミが大きな机と椅子を用意してくれたので、食べ始めた所です。
お兄様は頭を抱えて、机に突っ伏しています。

何の事を話しているのか、というと。

「ダーーーーッハッハッハッハ!!!
俺専用がんたんのお披露目だ!!さぁ皆の者!!道をあけるのだぁ!!」

お父様が余興兼お披露目として、〝お父様専用キャタピラー付き車椅子〞で会場を練り歩き始めたのです。

子供達は大喜びでお父様の周りをうろちょろしているのを器用にポンポン放り投げるアカシア君と職人さん。
さすがセンバの子供達、放り投げられてもそれも遊びとして面白がって余計に寄ってきます。
あ、ワサビとサンショウも駆り出されました。

お母さん達は
「ぶつかるんじゃないよ!」「壊したら自分で働いて返しな!!」「お嬢さん方よりニワトコ様の方が頑丈だからそっちにお行き!!」
なんか制止してるのか煽ってるのか、良くわからない声をかけています。

「で?アレは?」
一通りの行動を眺めた後、真顔で聞いてきたフーティ様。

お兄様が苦笑いで答えます。
「父上は膝から下が無くなったので、ディが、椅子に車輪を付けて移動出来るようにしたらどうか、っていうアイディアを出したんですよ。
そしたら、職人がはりきっちゃって。
そうして出来たのが、アレ」

「ええ、私も思ってたのと違うのが出来てびっくりしましたの。まさにお父様専用ですわ」
私がああしろ、って言ったんじゃないって、断固として宣言いたしますわ!!

「え?じゃぁ、ユーディリア様が考えてたのって?」
フーティ様が聞いてくるので

「今、私たちが椅子に座ってるじゃないですか。このまま、背もたれを誰かに押して貰って移動する感じです」

「「「「ああー…なるほど」」」」
フーティ様達が納得した顔です。

「ディ…それを始めに言わなきゃ…言わなきゃ伝わらない…」
お兄様が額に手を当て天を仰ぎます。

「こう、お母様が押して、夫婦二人でのんびりお散歩、をイメージしてたんですけどね?」

「「「全然違うな?!」」」
ギーニー様達男性陣がもう一度お父様を振り返ります。

ダーーーーッハッハッハッハ、とお父様は相変わらず、楽しげに自力で漕いでますわ。

「うん、ユーディリア様の考えてた方向性と全く別物って事はわかったわ」
「センバはぶっとんでるな?」
「ただ、ご本人様は、ものすごく楽しそうですわね?」
フーティ様、イーリー様、オージー様の言葉にお兄様は

「確かに、普通は足を無くしたら悲観して、しかもそれが領主ともなれば領地も一大事で大騒動になるんでしょうがね、
なんか本人は新しいオモチャを貰って楽しそうだし、
足の無い領主を見た領民だって、ひとっつも、悲しげな顔も不安な顔もしてないし、
アカシアなんて、足の無い父親に本気で挑んでますからね?

こっちが〝足が無くて可哀相〞みたいな雰囲気を出すのはおかしいじゃないですか。
ってか、普通に行動し過ぎてて、足が無いのよりハゲに目が行くでしょう?」

「「「そこ、ふれて良かったの?!」」」
男性陣の声が揃います。

「良いですよ、別に。本人も気にしてませんし、領民にもイジられてます」
「「「おおぅ…」」」
「…ふ、懐が深いのね?」「器が違うな!」「毛はえ薬の開発促進?」「オージー様!薬の開発はセンバの民に向いてないです!」
ナターリエ、余計なこと言わないの。

「ま、センバは変わらずやっていけますんで、公爵様達にもよろしくお伝えください?で良いですかね?」
と言ったお兄様、ここで姿勢を正して

「王都の様子を聞きたいんですが、お屋敷に移りますか?」


一旦、引き上げる事にするようです。
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