創作BLの短い話詰め

ぽいぽい

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好奇心・1(社会人×学生)

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『○○行き××列車、間もなく発車します』

寝坊をしていつもの電車に乗り遅れた僕はとにかく急いでいた。
1分1秒でも早く学校に行かなければと、目に入った電車に飛び込む。行き先は学校方面だし、見た目も各駅停車のようだったので、遅刻はギリギリ免れるかもしれないと思った。でも、乗ってから違和感に気付いた。

朝の時間帯なのに空いているのだ。いつもなら、学生やサラリーマンでごった返し、立つ場所を確保するだけでも大変なのに、この電車は、座席こそ埋まっているものの立っている人はちらほらと、やたら空いている。変な感じがするが、満員電車よりは良いと前向きに考えようとした。でも、電車が動き出すと同時にその考えはすぐに打ち消された。

「…ほら、お尻をこっちに突き出して」
「おじさんの、舐めて貰えるかな?」

あちこちで、人がイチャイチャし始めたのだ。
『電車の中で何やってんだよ…』
という驚きながらも、周りを見渡すと、余計に頭が混乱した。電車内にいるのは、男ばかりだ。女の子なんて一人もいない。男同士が、キスをしたり服を脱がしたり、いやらしいことをしている。
「…な…」
驚きよろけた僕の体を、サラリーマン風の男性が支えてくれた。
「…あ、ありがとうございます…」
お礼を言おうとすると、その男性は僕の横に屈み込み、何かを拾い上げた。見覚えがある。僕の学生証だ。
「三木雄介くん、高校2年生か」
読みながら、僕の腕を掴み上に上げる。
「…え?」
今から僕も何かされてしまうのだろうかと身構えたが、その男性はパッと手を放した。
「残念。迷い込んだだけか」
「…何が?」
「それとも、リストバンドの貰い忘れ?」
リストバンド?何のことだと周りを見渡すと、イチャイチャする男性の腕には赤もしくは青のリストバンドがつけられていた。目の前のサラリーマン風の男性の手首には、青のリストバンドがついている。
「…まぁ、そうか。高校生だもんな」
その男性は一人で頷き、僕を車両の端っこへと誘導する。移動する間にも、周りの声が聞こえるし、様子も目に入る。
電車が発車した頃は、軽くイチャイチャしていた様子だったのに、今は下半身裸でいわゆるセックスをしている人達が多い。他にも人がいるのに、そんなこと気にする様子もないらしい。座席に座っている男性の上に大きく脚を広げて座っている若いお兄さんのお尻には、男性のチンポが深々と入り込んでいる。男性が下から突き上げる度に、お兄さんは喘ぎ声をあげる。そんなお兄さんの手首には赤いリストバンド、下にいる男性の手首には青いリストバンドが巻かれていた。
他の人たちも同じで、青いリストバンドを持つ人が主導権を握っているようだった。1対1でセックスをしている人もいれば、複数の男性とイチャイチャしている人もいる。
男同士でそんなことをするなんておかしいと思いつつも、下半身が反応をしているのを感じた。

男性に手を引かれて辿り着いたのは、車両の一番端っこの座席だった。上手く空いていて、2人で座ることができた。
「こ、この電車は…一体何なんですか?」
「高校生だとまだ知らなくて当然だけど…、これはストレス解消したい人向け列車なんだよね」
「…え?」
「社会人は何かとストレスが多いから、そのストレスを合法的に綺麗に解消できるようにって始まったんだ。終点に着くまでの間は、合法的にセックスを楽しめる」
「…待って!終点に着くまでって、この電車は▲▲駅には停まらないの?」
「そうだね。終点まで停まらないし、各駅停車よりも遅くゆっくり走るから、到着はかなり遅いね」
言われて、僕は真っ青になった。そんなの遅刻確定じゃないか。
「あ、でもこの列車は国の制度の一環だから、降りる時には証明書が発行されるよ。それがあれば、遅刻にはならないから…」
と言いかけて、男性は宙を仰ぐ。
「ああ、でも君は高校生だし…証明書を貰うチェッククリアも難しいか…」
「…チェックって…?」
「んー…、言いづらいんだけど、電車内でちゃんと気持ち良くなれた確認があるんだ。青のリストバンドをしている人は、乗車前に渡されたコンドームが使用済みになっているか…、赤なら…お尻に挿入された形跡があるかどうか…」
「…なっ…」
遅刻にならずに済むと聞いた時は助かったと思ったけれど、どうやらそうじゃないらしい。
「…だ、だったら…、遅刻でいいや…」
出席日数は足りているし、1日ぐらい遅刻しても問題はない。親には色々言われるかもしれないけれど。
「そうだね、それが賢明だね」
そう言いながら、僕の頭を撫でる男性の手首に巻かれたリストバンドが目に入った。
「…あ、お兄さんは…誰かと……そ、その…え…エッチなことしなくていいの?」
「そのつもりだったけど…」
お兄さんの言葉を遮るように、頭の上から声がした。
「ねぇ、君、おじさんと気持ちいいことしようよ」
声の方を見ると、40代位の男性が値踏みをするように僕のことを眺めていた。ただ眺めるだけならまだしも、その男性は股間を寛げ、自分のものをしごいている。
「ほらほら、これ、お尻に挿れたら気持ちいいよぉ?」
言いながら、僕の手を掴み股間に導こうとする。
「だめですよ」
制止したのは、お兄さんだった。お兄さんは、僕の手首を男性に見せる。
「ほら、この子は迷い込んだだけなんですから」
「でも迷子でも『合意』ならできるよ」
頭の上で繰り広げられる会話に、頭が真っ白になる。どうやら僕のお尻の穴が狙われているらしい。女の子と付き合ったことすらないのに、なんで見ず知らずの男性にそんなことされなきゃいけないのか。
「君は、この人とエッチしたい?」
お兄さんの問いかけに、必死で首を横に振る。
「ほら、嫌がってますよ。この車両で相手が見つからないのなら、他の車両に行ってみれば?」
「…ちぇ」
名残惜しそうにおじさんが、僕から離れる。移動をする前に、一度顔を近づけ「気が変わったら声をかけてね」と言われたが、そんなつもりは毛頭ない。
「雄介君はかわいいから、リストバンドなしでも狙われちゃうね」
「…かわいいって…」
男にかわいいってどうなんだろうと思いつつも、なんとなく置かれた現状を理解し始めた。僕がこうして普通に座っていられるのも、お兄さんが横にいるからなんだろう。
改めて周りを見渡すと、車内のあちこちでとんでもない光景が繰り広げられている。
「…あ、あの、お兄さんも…え、エッチなこと…してきて大丈夫ですよ…?」
「俺は大丈夫。この車内で一番いいなって思ったの雄介くんだったし。それに、雄介くんと会って、エッチよりも話をしていたい気分になったし」

その後、異様な環境のなか僕はお兄さんと色々な話をした。
お兄さんは、いわゆるブラック企業に勤めている会社員とのことだった。名前は東田悟、25歳。この電車には何度か乗ったことがあるとのことだ。リストバンドの色は、その時の気分で決めているとのことで、絶倫おじさんに腰を振られて大変なこともあったよと、笑って教えてくれた。
セックスどころかキスも未経験な僕にとっては、とんでもない空間に思える車内。でも、乗っている人にとっては、ごく日常的な光景なのだろうと思えるようになってきた。
それでも、男同士で当たり前のようにイチャイチャしている光景は、なんとも言えないものだ。そして、お兄さんには言えないが、変な気分にもなる。
そんな時、お兄さんのスマホが鳴る音が聞こえた。さっきまで冷静だったお兄さんが、慌てて電話に出る。
「すみません。今日はちょっと遅れます」
スマホで話しながら頭を下げている。そういえばブラック企業に勤めているって言ってたっけ。働くって大変なんだろうな。
「…証明書は…」
お兄さんは、電話先に向かって口籠る。証明書って、さっき言っていたあれか。
「あ、いえ、あの、普通の遅刻ってことでも……」
言っている間に電話が切れたらしい。お兄さんは、大きなため息をついてスマホを眺める。
「…あ、あの、大丈夫ですか?」
「ああ、うん。俺の上司、口うるさくてね」
「証明書…貰えなかったら、クビになったりしない?」
「…まぁ、それもいいのかも」
お兄さんは困ったように笑った。その顔を見て、胸が痛んだ。
僕がこの電車に乗らなかったら、お兄さんは今頃誰かとイチャイチャして、上司に怒られることもなかった。そして、こんな顔をする必要もなかったのだ。
どうしていいのか分からず、恐る恐るお兄さんの股間に手を伸ばし、触れてみた。人の股間なんて始めて触る。触れてみると、そこはやや硬い状態になっていた。完全に勃起している訳ではなさそうだけど、僕のものよりも大きい感じだった。
「ゆ、雄介くん…?」
「…お、俺のお尻…お兄さんの挿れられるかなぁ…」
「いいよ。無理しなくて…。うん。俺なら大丈夫」
こんな時も優しい笑顔だ。自分が、男の人とエッチなことするなんて、夢にも思わなかった。でも、この人なら大丈夫じゃないか、そんな気がした。
「あ、あの…『合意』なら大丈夫なんでしょ…?僕…、お、悟さんと…エッチなこと…してみたいんだけど…ダメ?」
触れながら尋ねると、お兄さんの股間が硬くなったのが伝わってきた。
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