21 / 41
作戦会議と真相
しおりを挟む「出所はグランヴェル、お前が目を付けていたところだ。禁止魔道具使用に麻薬、他国との闇取引とやらかし放題だ」
ドサッ、と証拠資料をローテーブルに投げ深い眉間の皺を揉みながらマテオが嘆く。
「他国……航路ではなかったのですか?」
「あぁ、時間と手間をかけて陸路にしたようだな。おかげで証拠はこの通りだ。焦っているのか――相手方も銀狼は怖いと見える。お手柄だなウィル」
「私は何も…ふっ、むしろ海の上ならばと今は願わずにはいれないがな…」
嗜虐的に笑うウィリアムに少し身震いし、横目でノアを見る。
考察しているのであろう、マテオが投げ置いた資料を手に持ち、身動きしない。
今は公爵邸の応接間にて中央の机を囲むようにノアと私、正面にウィリアムとセスが、一人掛けのソファにマテオが座っている。
その周りには公爵家の兄弟も待機し話に加わっていた。
「父上、殿下。あの魔石はいかがする予定で?」
ディランの声でハッとなり顔を上げる。
「あっ!マテオ様そのことなのですが…」
「ん?何か策があるのか?ロゼッタ」
「えぇ、ただまだ実地試験はしていませんので確かではないのですが…」
「ほっほほ、あの防御魔方陣か?」
横やりを入れたセスに、マテオをはじめノア以外が疑問符を浮かべている。
魔術師の二人以外は魔術が使えるとはいえ根っからの武人肌なのだ。
詳しく聞かせて欲しいとの言葉を受け、、持ち込んでいた二種類の魔石をテーブル中央に置き話し始める。
「まず初めに、通常の五属性の魔石と、二属性の魔石の違いですが…私が見つけた鉱山は陰と陽の気が交じり合う特殊な場所で見つけました。そこで構築された鉱石は自然界の陰陽の気を蓄え二属性の特徴をもち、両方を付加できる。光も闇も両方…みなさまもご存じの通り闇属性が悪用されない為に私は特定の属性を付加できないよう防御紋を開発し、それを義務化し光の魔石を生産してきました。闇属性所有者は稀です。しかし今回は私の防御紋を上回る闇属性が使用された、もしくは防御紋を破られた。…私の見当違いでした。絶対に破られないと高を括っていました。申し訳ありません…」
私の話にマテオが反応を示す。
「そのことは、もういい。ロゼッタ、何度でも言う。お前は何も悪くない。運用を許可したのも我々だ。そして悪用したのは蛆虫共だ。わかったな?」
琥珀色の瞳が見据えている。
「はい…ありがとうございます」
それでよし――と満足そうにと大きく頷き、今度は首を傾げた。
「陰陽の場所とは…その話は初耳だが。他にもその様な場所が?」
「いえ、今のところは…ただ世界は広い。私たちが知らないだけで交じり合う場所があってもおかしくはありません。そこで同じような鉱石が作られていても。それに…」
少し言葉を濁すように嘆くと、不審に思ったのかマテオたちが前に乗り出しこちらを窺う。
「ほっほほ、まぁ、要は陰と陽が交わるある場所で生まれてしまう奇跡の鉱石と言うことじゃ。ほっほほ」
「「「「「………………」」」」」
セスの言葉で武人たちがより唖然とこちらを覗く。
私は顔に熱が溜まる気配に居たたまれなくなり顔を俯くが、横から至って冷静な声が応接室に響き渡る。
「男女がセックスすれば生産される可能性があるだけだ」
「「「「「!!!!!!」」」」」
ガタ、ドタなど聞こえたが顔を上げることができない。
「何をそんなに動揺することがある?陰陽の気がもっとも交わるのがセックスなのは知ってるだろ?ロゼが自然界で初めて陰陽が交わる場所を発見し、鉱石を発掘した。その因果で特殊な魔石が開発された。それが人間でできてもおかしくはない“理論上”は、な」
足と腕を組み堂々と言い放つノアの隣でなぜか私は冷や汗がとまらない。
未だ武人たちは呆気に取られ目を見開いたままだ。
――どっどっどっどしよう!?
「ほっほほ」と気の抜けた笑い声がただ響き渡る。
「はぁ~ “理論上”っと言っただろう。自然界で何千何万何億と時を過ごした結果だ。ふっ、人間たちが束になっても叶わん。まぁ魔力が膨大で絶倫なら話は別だがな」
と壮大な溜息を吐きながら嘲笑の笑みを浮かべる。
「「「「「この糞が!!」」」」」
――ヒィィィィィィィィィィっ!!
応接室に怒号が響き渡り、ほっほほと笑い声が木霊した。
0
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
多分、うちには猫がいる
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
傭兵のコウの家には、いつの間にか猫が住み着いていた。
姿は見えないけれど、多分、猫。
皿を洗ったり、洗濯をしたり、仕事を手伝ったり、ご近所さんと仲良くなったりしているけど、多分、猫。
無頓着な傭兵の青年と、謎の猫のステルス同居物語。
※一話一話が非常に短いです。
※不定期更新です。
※他サイトにも投稿しています。
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
婚約破棄された令嬢は氷の公爵に拾われ、気づけば溺愛されていました~見下してきたあなた、後悔してももう遅いわ~
exdonuts
恋愛
婚約者である王太子に理不尽な罪をなすりつけられ、婚約破棄された公爵令嬢レティシア。
家族にも見放され、絶望の淵にいた彼女の手を取ったのは「氷の公爵」と呼ばれる冷徹な青年・アランだった。
愛を知らずに生きてきた彼の優しさが、傷ついたレティシアの心を少しずつ溶かしていく。
一方、過去の悪行が暴かれ始めた王太子とその取り巻きたち。
ざまぁが爽快、愛が深く、運命が巡る。
涙と笑顔の“溺愛ざまぁ”ロマンス。
薄幸の王女は隻眼皇太子の独占愛から逃れられない
宮永レン
恋愛
エグマリン国の第二王女アルエットは、家族に虐げられ、謂れもない罪で真冬の避暑地に送られる。
そこでも孤独な日々を送っていたが、ある日、隻眼の青年に出会う。
互いの正体を詮索しない約束だったが、それでも一緒に過ごすうちに彼に惹かれる心は止められなくて……。
彼はアルエットを幸せにするために、大きな決断を……!?
※Rシーンにはタイトルに「※」印をつけています。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる