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第23話 写真に埋もれた死体
第23話 写真に埋もれた死体
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木村 才蔵。
小野原めぐみの定期パパで、月々25万円ほど渡していたという。
(しかし、他の定期パバに比べたらまだ少ないらしい。)
「大金払って、小野原めぐみとデートしてたということか?そのデートの代金もお前持ちだろ?どうしてそこまでして……。」
「私には、そこまでしてでも小野原さんに近づきたかったんです。私の………私の息子のことを…!知りたくて……!」
「息子?お前のとこの息子となにか関係あるのか?」
木村の言葉に笠村がさらに尋ねる。
「私の息子……木村 一樹(きむら いつき)と小野原めぐみさんは、同じ大学で同じサークルに所属していたのです。ところが………一樹は大学2年生の時に飛び降り自殺をして……!」
木村がギュッ!と拳を握ると、悔しそうに唇を噛み締めた。
「自殺って………何かあったのか?」
「自殺の理由が……分からないんです。遺書も見つからなくて……けど、どうしても小野原が絡んでいること以外考えられなくて…!」
藍里達が掴んだ情報からしても、めぐみは確かにいい話はないが、まさか自殺にまで追い込んでいたとは……。
と、考えたがまだ決まった訳では無いことを思い出して、藍里は首を横に振った。
そこまで話していた木村は、はっと顔を上げると
『そういえば……。』
と思い出したかのように呟き出した。
「一樹は………こう言っておりました。『俺の努力と金を返せ』と……。」
「金?金銭トラブルか何かですか?」
藍里の質問に対しても『さぁ?』としか返されなかった。
「大学のサークルに聞いたら、分かるかもしれません。宜しければ、その大学をお教えしますよ。」
「ありがとうございます。お願いします。」
笠村が頭を下げてそういうと、木村は手帳を取り出すと、サラサラと大学の名前を書いて笠村に手渡した。
「こちらです。」
「ご協力感謝します。」
「それでは私はこれで……。」
木村はペコペコと頭を下げると、踵を返して立ち去っていった。残された藍里と笠村は、そのメモに書かれた大学名を確認する。
『鷲野大学 』
と、走り書きで書かれたその文字を見て藍里はピクリと反応した。
「鷲野大学だったんだ!」
「知ってるのか?」
「詳しく知らないですが、写真サークルが毎回コンテストで入賞してることは聞いています。」
「写真サークル……か。明日、行ってみるぞ!」
笠村の言葉に、藍里は力強く頷いた…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レポートの発表以外であまり他校に向かうことがない藍里は、鷲野大学の校門前から既に緊張していて、変わらぬ様子で入っていく笠村とは大違いであることは明らかであった。
そして………大学に入った途端、藍里が無性に帰りたくさせる出来事が早速起きる。
「ねぇ。あの子って……。」
「あ!この前テレビで見た!」
「あー!思い出した!女子大生探偵だ!」
「ほんと髪の毛藍色なんだ~。」
「なんか新鮮!」
周りから聞こえてくるヒソヒソ声に、藍里は必死に知らないふりをしつつも
(やめろ。物珍しそうに見るな。私は普通の人間だから!)
と、心の中で叫んでいた………。
写真サークル顧問の教授に、小野原めぐみが殺害されたこと、木村一樹の事について話をすると、顧問の『荻原 真太郎』は、眉毛を八の字に下げると、2枚の写真を持ってきた。
1枚は、集合写真。
もう1枚は、現場にあった風景写真と全く同じものであった。
「この風景写真。見事でしょう。小野原が撮ったものなんです。彼女は、かなり腕がたつカメラマンでして、周りからよく疎まれていました……。木村一樹も、その1人でした。……きっと………自分の腕に自信をなくしてしまったのでしょう。…私がもっとフォロー出来たらと……今でも思います……。」
「……この風景写真、小野原の現場にあったものと全く同じだ……。ただ、その写真は黒マジックで『嘘つき』や『偽物』と書かれていたんだ。なにか心当たりはありますか?」
笠村の言葉に、荻原はすぐに顔を上げて『あります。』と即答した。
「実は、この写真はとあるコンテストで最優秀賞を獲得されたのです。入賞すること自体難しいコンテストだったので、私も鼻が高かったのですが、当時同じサークルの人達から『盗作したもの』や、雑誌の切り抜きなどと噂を立てられていまして、それが、きっと………。ですが、はっきり言えます。この写真は、小野原が撮った物だと。」
「なるほどな。盗作疑惑が拭いきれなくて犯行に及んだ………とかか?」
「恐らく……。詳しいことがよくわかりませんが、ありうる話ではあります。」
笠村と荻原の話を聞いたあと、藍里はふともう1枚の集合写真に目を落とした。
にっこりと笑ってこちらを見ているサークルの人達。
木村一樹という男も、小野原めぐみも先の未来に期待しているかのようであった。
「あ。小山内さん達だ。そういえば、同じサークルって言ってたっけ…。」
集合写真を眺めていると、ふと目に飛び込んできたのが、小山内兄妹であった。
兄の真己人は、少し無愛想な顔をしているのに対し、妹の麻美子は、にっこりと微笑んで、木村一樹とこころなしか距離を縮めていた。
「ああ。小山内兄妹をご存知でしたか。…そういえば、妹さんと一樹は恋仲だったそうですよ。一樹の自殺理由は、彼女が1番よく知ってるのでは無いでしょうか?」
「あ。そうだったんですか?」
「じゃあ、小山内兄妹も聞いてみるか。」
「そうですね。」
「わたしも、なにか分かったら協力させていただきます。」
「ありがとうな。それでは、我々は失礼します。」
一礼して笠村と藍里は荻原の研究室から出る。直後だ。
ピピピピピピピ!
っと、電子音が鳴り響いたかと思うと、笠村がポケットをまさぐり、スマートフォンを取り出した。
「稲垣さん。笠村です。」
そういった笠村は、2、3回返事をしたかと思うと最後に『わかりました。向かいます。』とだけ返して通話を切った。
「近くで立てこもり事件が起きたそうだ。応援で向かわなきゃならなくなった。」
「立てこもり?だったら、そちらに向かってください!私は、電車で小山内さんたちの元に行って、さっきのことを聞きますので…。」
「大丈夫なのか?」
「それくらいの電車賃ならあります。だから、気にせずにそちらに向かってください。」
「……わかった。悪いな。それじゃあ!頼んだぞ!」
と、言い残し、笠村は廊下を走りながらスマホを操作しどこかへと電話をかけた。恐らく、立てこもりで待機している警官だろうなと考えながら、藍里も大学から出た。
「小山内さんと一樹さんは付き合ってた。そして、2人も同じサークルか………とにかく話を聞いてみよう。」
もしかしたら、なにか掴めるかもしれないという僅かな願いを抱き、藍里は歩を進めた。
小野原めぐみの定期パパで、月々25万円ほど渡していたという。
(しかし、他の定期パバに比べたらまだ少ないらしい。)
「大金払って、小野原めぐみとデートしてたということか?そのデートの代金もお前持ちだろ?どうしてそこまでして……。」
「私には、そこまでしてでも小野原さんに近づきたかったんです。私の………私の息子のことを…!知りたくて……!」
「息子?お前のとこの息子となにか関係あるのか?」
木村の言葉に笠村がさらに尋ねる。
「私の息子……木村 一樹(きむら いつき)と小野原めぐみさんは、同じ大学で同じサークルに所属していたのです。ところが………一樹は大学2年生の時に飛び降り自殺をして……!」
木村がギュッ!と拳を握ると、悔しそうに唇を噛み締めた。
「自殺って………何かあったのか?」
「自殺の理由が……分からないんです。遺書も見つからなくて……けど、どうしても小野原が絡んでいること以外考えられなくて…!」
藍里達が掴んだ情報からしても、めぐみは確かにいい話はないが、まさか自殺にまで追い込んでいたとは……。
と、考えたがまだ決まった訳では無いことを思い出して、藍里は首を横に振った。
そこまで話していた木村は、はっと顔を上げると
『そういえば……。』
と思い出したかのように呟き出した。
「一樹は………こう言っておりました。『俺の努力と金を返せ』と……。」
「金?金銭トラブルか何かですか?」
藍里の質問に対しても『さぁ?』としか返されなかった。
「大学のサークルに聞いたら、分かるかもしれません。宜しければ、その大学をお教えしますよ。」
「ありがとうございます。お願いします。」
笠村が頭を下げてそういうと、木村は手帳を取り出すと、サラサラと大学の名前を書いて笠村に手渡した。
「こちらです。」
「ご協力感謝します。」
「それでは私はこれで……。」
木村はペコペコと頭を下げると、踵を返して立ち去っていった。残された藍里と笠村は、そのメモに書かれた大学名を確認する。
『鷲野大学 』
と、走り書きで書かれたその文字を見て藍里はピクリと反応した。
「鷲野大学だったんだ!」
「知ってるのか?」
「詳しく知らないですが、写真サークルが毎回コンテストで入賞してることは聞いています。」
「写真サークル……か。明日、行ってみるぞ!」
笠村の言葉に、藍里は力強く頷いた…。
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レポートの発表以外であまり他校に向かうことがない藍里は、鷲野大学の校門前から既に緊張していて、変わらぬ様子で入っていく笠村とは大違いであることは明らかであった。
そして………大学に入った途端、藍里が無性に帰りたくさせる出来事が早速起きる。
「ねぇ。あの子って……。」
「あ!この前テレビで見た!」
「あー!思い出した!女子大生探偵だ!」
「ほんと髪の毛藍色なんだ~。」
「なんか新鮮!」
周りから聞こえてくるヒソヒソ声に、藍里は必死に知らないふりをしつつも
(やめろ。物珍しそうに見るな。私は普通の人間だから!)
と、心の中で叫んでいた………。
写真サークル顧問の教授に、小野原めぐみが殺害されたこと、木村一樹の事について話をすると、顧問の『荻原 真太郎』は、眉毛を八の字に下げると、2枚の写真を持ってきた。
1枚は、集合写真。
もう1枚は、現場にあった風景写真と全く同じものであった。
「この風景写真。見事でしょう。小野原が撮ったものなんです。彼女は、かなり腕がたつカメラマンでして、周りからよく疎まれていました……。木村一樹も、その1人でした。……きっと………自分の腕に自信をなくしてしまったのでしょう。…私がもっとフォロー出来たらと……今でも思います……。」
「……この風景写真、小野原の現場にあったものと全く同じだ……。ただ、その写真は黒マジックで『嘘つき』や『偽物』と書かれていたんだ。なにか心当たりはありますか?」
笠村の言葉に、荻原はすぐに顔を上げて『あります。』と即答した。
「実は、この写真はとあるコンテストで最優秀賞を獲得されたのです。入賞すること自体難しいコンテストだったので、私も鼻が高かったのですが、当時同じサークルの人達から『盗作したもの』や、雑誌の切り抜きなどと噂を立てられていまして、それが、きっと………。ですが、はっきり言えます。この写真は、小野原が撮った物だと。」
「なるほどな。盗作疑惑が拭いきれなくて犯行に及んだ………とかか?」
「恐らく……。詳しいことがよくわかりませんが、ありうる話ではあります。」
笠村と荻原の話を聞いたあと、藍里はふともう1枚の集合写真に目を落とした。
にっこりと笑ってこちらを見ているサークルの人達。
木村一樹という男も、小野原めぐみも先の未来に期待しているかのようであった。
「あ。小山内さん達だ。そういえば、同じサークルって言ってたっけ…。」
集合写真を眺めていると、ふと目に飛び込んできたのが、小山内兄妹であった。
兄の真己人は、少し無愛想な顔をしているのに対し、妹の麻美子は、にっこりと微笑んで、木村一樹とこころなしか距離を縮めていた。
「ああ。小山内兄妹をご存知でしたか。…そういえば、妹さんと一樹は恋仲だったそうですよ。一樹の自殺理由は、彼女が1番よく知ってるのでは無いでしょうか?」
「あ。そうだったんですか?」
「じゃあ、小山内兄妹も聞いてみるか。」
「そうですね。」
「わたしも、なにか分かったら協力させていただきます。」
「ありがとうな。それでは、我々は失礼します。」
一礼して笠村と藍里は荻原の研究室から出る。直後だ。
ピピピピピピピ!
っと、電子音が鳴り響いたかと思うと、笠村がポケットをまさぐり、スマートフォンを取り出した。
「稲垣さん。笠村です。」
そういった笠村は、2、3回返事をしたかと思うと最後に『わかりました。向かいます。』とだけ返して通話を切った。
「近くで立てこもり事件が起きたそうだ。応援で向かわなきゃならなくなった。」
「立てこもり?だったら、そちらに向かってください!私は、電車で小山内さんたちの元に行って、さっきのことを聞きますので…。」
「大丈夫なのか?」
「それくらいの電車賃ならあります。だから、気にせずにそちらに向かってください。」
「……わかった。悪いな。それじゃあ!頼んだぞ!」
と、言い残し、笠村は廊下を走りながらスマホを操作しどこかへと電話をかけた。恐らく、立てこもりで待機している警官だろうなと考えながら、藍里も大学から出た。
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