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第23話 写真に埋もれた死体
第23話 写真に埋もれた遺体
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小野原めぐみの葬儀を終えて帰宅した小山内兄妹は、放置したままの旅行カバンを片付けていた。
帰ってからというもの、なんとなく片付ける気になれずに、そのままにしてしまったのだ。
真己人がリュックのポケットに手を入れると、取り出したものに、麻美子は目を見張った。
「あれ?あんた、そんなピアスあったっけ?」
「ん?あぁ。つい最近買ったばかりなんだ。」
「ふーん………。片方しか………ないね………。」
「どっかに落としたみたいでな。買ったばかりだけにショックがでかい。」
「…そう。なんか、似てるね?」
「なにが?」
「………小野原めぐみが殺された現場にあったっていう、ピアスに………。」
「そうか。よく見てねぇから覚えてねぇ。」
ぶっきらぼうに吐き捨てる真己人。
それ以上、麻美子は何も言わなかった……………。
ピリピリとした空気の中、ピンポーン。と、チャイムが鳴り響いた。
「私出てくるね!!!」
麻美子は勢いよく立ち上がると、バタバタと慌ただしく玄関に向かっていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はーい!………あら?」
「こんにちは。小山内さん。」
麻美子の前に現れたのは、藍色の探偵こと、森野藍里であった。
「森野さん!どうしたの?あ!あがってあがって!汚ったないけど許してね!」
麻美子は、友達が遊びに来た子供のようにはしゃぐと、藍里を家の中に入れた。
『ごめんください。』と、軽く会釈をした藍里は進められたスリッパに足を入れてリビングへと導かれる。
「うわぁ…。」
リビングへ入って、藍里は思わず声を漏らして驚いた。
壁には、沢山の写真が飾られていた。
夜の星の写真。
月と海の写真。
夕日に照らされたサーファーの写真。
どれも幻想的で、藍里は思わず凝視した。
「そっち側は全部真己人が撮ったんだよ。んで、反対のこっちが私!」
麻美子が指を指した方を向く。
朝露に濡れた朝顔の写真。
太陽に向かって大輪を広げるヒマワリの写真
草原を駆け抜ける馬の写真。
「すごい……」
息を飲むほどの写真に、藍里が声を漏らす。
「私のは全然!真己人達の方が凄いんだから!」
麻美子の言葉に『へー。』と呟いた藍里だったが、ピタッと動きを止める。
・
「………真己人……達?」
ガシャン!
と、麻美子は藍里の言葉にコーヒーカップを転がしてしまった。目を丸くした麻美子だったが、すぐに何事も無かったかのように手を動かして、
「……実はさ。」
と、話し始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私の写真の中に、1枚だけ朝日の写真があるでしょ?
そう。その、ラベンダー畑の写真。
それはさ、私の恋人が撮った写真なんだ。カメラの腕もピカイチで、こだわりが強くて、もう一言で言うなら『カメラバカ』。
いい写真の為なら、お金も惜しまないし、努力も惜しまない。遠出だってしちゃうの。それだって、わざわざ北海道まで行ったんだって。
でもね、本当にいい写真ばっかり撮るから、皆彼の実力を認めていたの……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこまで聞いた藍里は、麻美子に許可をもらってからその写真を手に取ってみる。後ろには、『木村一樹』という名前が書かれていた。
「それが、その撮った人の名前。ほんと………カメラバカだったんだから………。」
麻美子が悲しそうな顔で俯く。
「あの、一樹さんが自殺したのって……。」
そこまで言って、藍里はハッとして慌てて口に手を当てたが、遅かった………。
「え?なんで知ってるの……?」
怪訝そうな顔でこちらを向く麻美子。
「知っててもおかしくねぇだろ。」
その時、別の声がしてきた。双子の兄の真己人である。
「小野原めぐみの事件を追ってんだ。俺らの母校で聞き込みされててもおかしくはねぇ。」
「あ……そっか。」
真己人の言葉で納得した麻美子。
「あの。辛いことを聞いてしまいますが………一樹さんが自殺した理由はご存知でしょうか?その……木村さんの父親が真相を知りたがっていまして……。」
恐る恐る尋ねる藍里に、麻美子は何も言わなかった……。
「盗作だよ。」
麻美子の代わりであるかのように、真己人が口を開く。
「アイツ………コンテストに出す写真を……わざわざコンテストのためだけに……バイト代を使い切って、沖縄でこの写真を撮ったんだ。」
そう言って、真己人が差し出したのは写真サークルでも拝見したあの写真だ。
「あれ?この写真……現場にもあった……。」
とは言っても、現場にあったものは『偽物!』という悪意ある手書きの言葉も入っていたが。
「そう。本当は、その写真、一樹が撮ったものだったのよ!!本当なら一樹が評価されるはずだった!!それなのに…………小野原めぐみは、へらへら笑いながらそれを送って、入賞した!!!それがわかって、私達と一樹は問いつめた………そうしたら…………!っ!!」
麻美子は、目に涙を貯めると、右手で隠しながら階段を駆け上がってしまった。残された藍里と真己人。
麻美子が言うはずであろう続きを、また真己人が代弁した。
「そのあと、小野原めぐみは『後にお前のことも売ってやるから今は黙ってろ。お前がとったものはサークルのものだ。』とか言って、悪びれる様子なし。顧問に相談したところで無駄だった。顧問も、小野原めぐみの肩を持ってたからな。」
「そんなことが………。」
そこまで聞いて、藍里はふと初めて被害者と麻美子と会った時のことを思い出した。その時も、あの二人は仲がいいわけではなかった。確かにそんなことがあれば、敬遠したくもなるだろう。
「すみません。今アイツ少し落ち着かないみたいで、話はまた後日でもいいですか?」
「はい。すみません。突然アポなしで……。」
「いや、いいんですよ。」
真己人がそう言ってポケットに突っ込んでいた手を出す。
カラン。
その時。
真己人の足元にナニカが落ちた。
藍里が足元を見るとシルバーのピアスがちらりと姿を見せていた。藍里が拾おうかと思ったところで、真己人がすかさずそれをとってポケットの中に入れた。
「それは、ピアスですか?」
「あぁ。俺のな。」
藍里の言葉に真己人はぶっきらぼうに答えた。
(あのピアス………どこかで………?)
そうおもった藍里だったが、真己人に促されて、外に出ることしか出来なかった。
帰ってからというもの、なんとなく片付ける気になれずに、そのままにしてしまったのだ。
真己人がリュックのポケットに手を入れると、取り出したものに、麻美子は目を見張った。
「あれ?あんた、そんなピアスあったっけ?」
「ん?あぁ。つい最近買ったばかりなんだ。」
「ふーん………。片方しか………ないね………。」
「どっかに落としたみたいでな。買ったばかりだけにショックがでかい。」
「…そう。なんか、似てるね?」
「なにが?」
「………小野原めぐみが殺された現場にあったっていう、ピアスに………。」
「そうか。よく見てねぇから覚えてねぇ。」
ぶっきらぼうに吐き捨てる真己人。
それ以上、麻美子は何も言わなかった……………。
ピリピリとした空気の中、ピンポーン。と、チャイムが鳴り響いた。
「私出てくるね!!!」
麻美子は勢いよく立ち上がると、バタバタと慌ただしく玄関に向かっていった。
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「はーい!………あら?」
「こんにちは。小山内さん。」
麻美子の前に現れたのは、藍色の探偵こと、森野藍里であった。
「森野さん!どうしたの?あ!あがってあがって!汚ったないけど許してね!」
麻美子は、友達が遊びに来た子供のようにはしゃぐと、藍里を家の中に入れた。
『ごめんください。』と、軽く会釈をした藍里は進められたスリッパに足を入れてリビングへと導かれる。
「うわぁ…。」
リビングへ入って、藍里は思わず声を漏らして驚いた。
壁には、沢山の写真が飾られていた。
夜の星の写真。
月と海の写真。
夕日に照らされたサーファーの写真。
どれも幻想的で、藍里は思わず凝視した。
「そっち側は全部真己人が撮ったんだよ。んで、反対のこっちが私!」
麻美子が指を指した方を向く。
朝露に濡れた朝顔の写真。
太陽に向かって大輪を広げるヒマワリの写真
草原を駆け抜ける馬の写真。
「すごい……」
息を飲むほどの写真に、藍里が声を漏らす。
「私のは全然!真己人達の方が凄いんだから!」
麻美子の言葉に『へー。』と呟いた藍里だったが、ピタッと動きを止める。
・
「………真己人……達?」
ガシャン!
と、麻美子は藍里の言葉にコーヒーカップを転がしてしまった。目を丸くした麻美子だったが、すぐに何事も無かったかのように手を動かして、
「……実はさ。」
と、話し始めた。
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私の写真の中に、1枚だけ朝日の写真があるでしょ?
そう。その、ラベンダー畑の写真。
それはさ、私の恋人が撮った写真なんだ。カメラの腕もピカイチで、こだわりが強くて、もう一言で言うなら『カメラバカ』。
いい写真の為なら、お金も惜しまないし、努力も惜しまない。遠出だってしちゃうの。それだって、わざわざ北海道まで行ったんだって。
でもね、本当にいい写真ばっかり撮るから、皆彼の実力を認めていたの……。
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そこまで聞いた藍里は、麻美子に許可をもらってからその写真を手に取ってみる。後ろには、『木村一樹』という名前が書かれていた。
「それが、その撮った人の名前。ほんと………カメラバカだったんだから………。」
麻美子が悲しそうな顔で俯く。
「あの、一樹さんが自殺したのって……。」
そこまで言って、藍里はハッとして慌てて口に手を当てたが、遅かった………。
「え?なんで知ってるの……?」
怪訝そうな顔でこちらを向く麻美子。
「知っててもおかしくねぇだろ。」
その時、別の声がしてきた。双子の兄の真己人である。
「小野原めぐみの事件を追ってんだ。俺らの母校で聞き込みされててもおかしくはねぇ。」
「あ……そっか。」
真己人の言葉で納得した麻美子。
「あの。辛いことを聞いてしまいますが………一樹さんが自殺した理由はご存知でしょうか?その……木村さんの父親が真相を知りたがっていまして……。」
恐る恐る尋ねる藍里に、麻美子は何も言わなかった……。
「盗作だよ。」
麻美子の代わりであるかのように、真己人が口を開く。
「アイツ………コンテストに出す写真を……わざわざコンテストのためだけに……バイト代を使い切って、沖縄でこの写真を撮ったんだ。」
そう言って、真己人が差し出したのは写真サークルでも拝見したあの写真だ。
「あれ?この写真……現場にもあった……。」
とは言っても、現場にあったものは『偽物!』という悪意ある手書きの言葉も入っていたが。
「そう。本当は、その写真、一樹が撮ったものだったのよ!!本当なら一樹が評価されるはずだった!!それなのに…………小野原めぐみは、へらへら笑いながらそれを送って、入賞した!!!それがわかって、私達と一樹は問いつめた………そうしたら…………!っ!!」
麻美子は、目に涙を貯めると、右手で隠しながら階段を駆け上がってしまった。残された藍里と真己人。
麻美子が言うはずであろう続きを、また真己人が代弁した。
「そのあと、小野原めぐみは『後にお前のことも売ってやるから今は黙ってろ。お前がとったものはサークルのものだ。』とか言って、悪びれる様子なし。顧問に相談したところで無駄だった。顧問も、小野原めぐみの肩を持ってたからな。」
「そんなことが………。」
そこまで聞いて、藍里はふと初めて被害者と麻美子と会った時のことを思い出した。その時も、あの二人は仲がいいわけではなかった。確かにそんなことがあれば、敬遠したくもなるだろう。
「すみません。今アイツ少し落ち着かないみたいで、話はまた後日でもいいですか?」
「はい。すみません。突然アポなしで……。」
「いや、いいんですよ。」
真己人がそう言ってポケットに突っ込んでいた手を出す。
カラン。
その時。
真己人の足元にナニカが落ちた。
藍里が足元を見るとシルバーのピアスがちらりと姿を見せていた。藍里が拾おうかと思ったところで、真己人がすかさずそれをとってポケットの中に入れた。
「それは、ピアスですか?」
「あぁ。俺のな。」
藍里の言葉に真己人はぶっきらぼうに答えた。
(あのピアス………どこかで………?)
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