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第23話 写真に埋もれた死体
第23話 写真に埋もれた死体
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帰りの道を歩きながら、藍里は腕を組んで考え込んでいた。
(あのピアス………やっぱりなんかどこかで見たことあるような気がする……けど、どこだっけ……?)
記憶という記憶を張り巡らせてみる。
そもそも、買ったりはしないがアクセショップに向かう時は度々あるし、その時に見かけたか?
いや、あれは明らかに男性ものではあったから、誰かがつけていたのをたまたま見かけた覚えがある。
もしかして、ホスト業の内田崇………?
「あ。森野さん?」
悶々と考え込んでいると、背後から声が聞こえ、振り返ってみる。
「あ。横野さん?」
そこに居たのは、めぐみと小山内兄妹達と同じ職場の横野美紀が立っていた。彼女は喪服姿で紙袋を下げていた。
「そっか。葬儀の帰りですか?」
「はい。それで、職場の人に小野原さんの遺品を渡すように言われちゃいまして…。」
「遺品?」
「小野原さんが主に撮った写真です。なかには、つい最近撮った全員の写真とかです。」
そう言って横野は紙袋から一枚の写真を取り出すと、『はい。』と言って藍里にみせてきた。
その写真は、小山内兄妹と、横野そして、小野原めぐみ が映っていた。右下には、事件の前日の日付が記入されていた。
めぐみ本人も、まさか次の日に殺されるとは思いもしなかっただろう。
「私の会社のイメージとして、全員で集まった写真を撮ったことがあって、これがそれなんです。めぐみさん、1枚ちょうだいと言ってきましたし……。」
懐かしそうに語る横野。それを聞いていた藍里は相槌を打ちながらその写真をじっと見つめた。
こちらを向いて女性陣は微笑んでいたが、小山内真己人は、少し無愛想な顔をしていた。おそらくこれが普通なのだろうが、パッと見では少し怖い印象がある。
隣にいたのが、妹の麻美子であっただけに、余計に対称的な印象がある。
「あれ?」
2人をみて、藍里はピタリと動きをとめた。
ある違和感を抱いたのだ。
麻美子と真己人をじっくりと見比べてみる。
真己人が、無愛想なのに対し麻美子は明るい笑顔を浮かべている。
いや、表情ではない。
なにか………。
服装。
髪型。
アクセサリー。
「アクセサリー………?」
「そうそう!麻美子さん、この撮影のために、ピアスを購入されたって聞きました!」
「真己人さんは?」
藍里の質問に、横野は目をぱちくりさせた。
「いえ。真己人さんは、アクセサリーは一切つけないと言って見えました。撮影の時に邪魔だからといって……。」
「え…?」
その言葉に、藍里はもう一度写真を確認した。
(そうか………もしかしたら…………。)
「あの、もし宜しければ、この写真お預かりしてもいいですか?すぐにお返ししますので。」
藍里の言葉に首をかしげながらも、横野は二つ返事で答えた。
藍里の中で、とある可能性がでてきたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、どうした物か。
アパートに戻った藍里は悩んだ。
犯人の可能性はでてきた。
しかし、それを確信とさせる証拠がなければ、動くことが出来ない……。
「うーーん…現場に凶器らしきものもなかったみたいだし……他に何か証拠になるものか…。」
藍里は唸りながら今までの資料に目を通してみる。
殺害された現場の様子と、めぐみの遺体の写真。
(ん?あれ?)
その時だ。藍里はめぐみの遺体を見直した時にあるものに気づいたのだ。
首元に、所々の吉川線に沿うように、キラキラとラメがあるのだ。
「マニキュアかなにかかだよね…?」
そのラメをよく見てみる。
キラキラと光っているラメは、凶器の線を境にぷっつりと切れている。
「まてよ………もしかしたら……!」
藍里はスマホを手にすると、素早く操作して、電話帳から『稲垣』の電話番号を引っ張り出してきた。
数回のコールの途中で切れたかと思うと、聞きなれた稲垣の声が返ってきた。
「藍里ちゃん?どうかしたかい?」
「稲垣さん!今どちらですか?」
「笠村と君が仕入れた情報を元に、被害者のパパ活相手の人に聞き込みに行く最中だったよ?」
グットタイミング!
と、藍里は心の中でガッツポーズを取ると、自分も外に出る支度をしながら、
「その時になんですが、聞いて欲しいことがあるんです!」
「ん?なにかな?」
藍里は『めぐみの持ち物リスト』を見ながら、『ある事』を伝えた。
「ホントに……それが、犯人を特定させる証拠になるのかい!?」
「ええ。ただ、それにはもうひとつの証拠が必要です。今から私はそれを確認しに行きます!すみませんが、そっちの件はお願いしてもいいでしょうか?」
「わかった。いいよ。結果はまた伝えるよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間後。
「何とか借りれた……。」
藍里はホッとしながら肩からかけていた2つの黒い鞄を降ろすと、手袋を填めて中身を取り出す。
一眼レフカメラである。
ずっしりと手にかかる重さが、そのカメラの高級さを物語っていた。
(壊したら弁償もんだな……。)
と、肝に銘じて、慎重にテーブルの上に置く。
その直後だ。スマホが鳴り響いたかと思うと、液晶画面に『稲垣』という文字が浮かんでいた。
「もしもし?稲垣さん?」
「藍里ちゃん。いま、全員終わったところだ。そして、君が言ってたことなんだけど、アレは、定期パパの1人、『佐々木 健』という男が送ったものだそうだ。」
「その中身を、今すぐ鑑識に!コチラも、揃いました!」
そういうと藍里はテーブルの上にあるものをじっと見て、
「繋がった…。」
とだけ呟いた………。
(あのピアス………やっぱりなんかどこかで見たことあるような気がする……けど、どこだっけ……?)
記憶という記憶を張り巡らせてみる。
そもそも、買ったりはしないがアクセショップに向かう時は度々あるし、その時に見かけたか?
いや、あれは明らかに男性ものではあったから、誰かがつけていたのをたまたま見かけた覚えがある。
もしかして、ホスト業の内田崇………?
「あ。森野さん?」
悶々と考え込んでいると、背後から声が聞こえ、振り返ってみる。
「あ。横野さん?」
そこに居たのは、めぐみと小山内兄妹達と同じ職場の横野美紀が立っていた。彼女は喪服姿で紙袋を下げていた。
「そっか。葬儀の帰りですか?」
「はい。それで、職場の人に小野原さんの遺品を渡すように言われちゃいまして…。」
「遺品?」
「小野原さんが主に撮った写真です。なかには、つい最近撮った全員の写真とかです。」
そう言って横野は紙袋から一枚の写真を取り出すと、『はい。』と言って藍里にみせてきた。
その写真は、小山内兄妹と、横野そして、小野原めぐみ が映っていた。右下には、事件の前日の日付が記入されていた。
めぐみ本人も、まさか次の日に殺されるとは思いもしなかっただろう。
「私の会社のイメージとして、全員で集まった写真を撮ったことがあって、これがそれなんです。めぐみさん、1枚ちょうだいと言ってきましたし……。」
懐かしそうに語る横野。それを聞いていた藍里は相槌を打ちながらその写真をじっと見つめた。
こちらを向いて女性陣は微笑んでいたが、小山内真己人は、少し無愛想な顔をしていた。おそらくこれが普通なのだろうが、パッと見では少し怖い印象がある。
隣にいたのが、妹の麻美子であっただけに、余計に対称的な印象がある。
「あれ?」
2人をみて、藍里はピタリと動きをとめた。
ある違和感を抱いたのだ。
麻美子と真己人をじっくりと見比べてみる。
真己人が、無愛想なのに対し麻美子は明るい笑顔を浮かべている。
いや、表情ではない。
なにか………。
服装。
髪型。
アクセサリー。
「アクセサリー………?」
「そうそう!麻美子さん、この撮影のために、ピアスを購入されたって聞きました!」
「真己人さんは?」
藍里の質問に、横野は目をぱちくりさせた。
「いえ。真己人さんは、アクセサリーは一切つけないと言って見えました。撮影の時に邪魔だからといって……。」
「え…?」
その言葉に、藍里はもう一度写真を確認した。
(そうか………もしかしたら…………。)
「あの、もし宜しければ、この写真お預かりしてもいいですか?すぐにお返ししますので。」
藍里の言葉に首をかしげながらも、横野は二つ返事で答えた。
藍里の中で、とある可能性がでてきたのだ。
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さて、どうした物か。
アパートに戻った藍里は悩んだ。
犯人の可能性はでてきた。
しかし、それを確信とさせる証拠がなければ、動くことが出来ない……。
「うーーん…現場に凶器らしきものもなかったみたいだし……他に何か証拠になるものか…。」
藍里は唸りながら今までの資料に目を通してみる。
殺害された現場の様子と、めぐみの遺体の写真。
(ん?あれ?)
その時だ。藍里はめぐみの遺体を見直した時にあるものに気づいたのだ。
首元に、所々の吉川線に沿うように、キラキラとラメがあるのだ。
「マニキュアかなにかかだよね…?」
そのラメをよく見てみる。
キラキラと光っているラメは、凶器の線を境にぷっつりと切れている。
「まてよ………もしかしたら……!」
藍里はスマホを手にすると、素早く操作して、電話帳から『稲垣』の電話番号を引っ張り出してきた。
数回のコールの途中で切れたかと思うと、聞きなれた稲垣の声が返ってきた。
「藍里ちゃん?どうかしたかい?」
「稲垣さん!今どちらですか?」
「笠村と君が仕入れた情報を元に、被害者のパパ活相手の人に聞き込みに行く最中だったよ?」
グットタイミング!
と、藍里は心の中でガッツポーズを取ると、自分も外に出る支度をしながら、
「その時になんですが、聞いて欲しいことがあるんです!」
「ん?なにかな?」
藍里は『めぐみの持ち物リスト』を見ながら、『ある事』を伝えた。
「ホントに……それが、犯人を特定させる証拠になるのかい!?」
「ええ。ただ、それにはもうひとつの証拠が必要です。今から私はそれを確認しに行きます!すみませんが、そっちの件はお願いしてもいいでしょうか?」
「わかった。いいよ。結果はまた伝えるよ。」
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数時間後。
「何とか借りれた……。」
藍里はホッとしながら肩からかけていた2つの黒い鞄を降ろすと、手袋を填めて中身を取り出す。
一眼レフカメラである。
ずっしりと手にかかる重さが、そのカメラの高級さを物語っていた。
(壊したら弁償もんだな……。)
と、肝に銘じて、慎重にテーブルの上に置く。
その直後だ。スマホが鳴り響いたかと思うと、液晶画面に『稲垣』という文字が浮かんでいた。
「もしもし?稲垣さん?」
「藍里ちゃん。いま、全員終わったところだ。そして、君が言ってたことなんだけど、アレは、定期パパの1人、『佐々木 健』という男が送ったものだそうだ。」
「その中身を、今すぐ鑑識に!コチラも、揃いました!」
そういうと藍里はテーブルの上にあるものをじっと見て、
「繋がった…。」
とだけ呟いた………。
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