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プロローグ
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しおりを挟む『大学の後、時間あるか?』
ぽつりとだけLIMEに送られてきたメッセージ。
送り主の名前………『笠村』という文字。
(またか。)
さほど驚いた様子を見せず、藍里は当たり前のように返事をした。
『また』というのは、事件で……はない………。
『バイトがあるので19:00からしか空いてないです…。』
『近くでラーメン屋見つけた。新しく出来たみてぇだ。迷惑じゃなきゃ、一緒に食べに行かねぇか?』
きっかけは恐らく、あの小野原めぐみ殺人事件だろう。
たまに笠村から夕食のお誘いを受けるようになったのだ。
(確かに……今も一日一食パンの耳でしのいでる感じだから、助かってはいるけど………。)
甘えすぎてはいないだろうか?
図々しいのでは?
と、藍里は心の中で心配になっていた。
嫌だとかそういう訳では無い。
ただ単になぜだか申し訳なくなってしまうのだ。
そして、藍里の中でひとつ確信したことがある。
これは、あまり人に教えたくはない。
恥ずかしいから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
19:05
思った以上にバイトが長引いてしまい、笠村を待たせてしまった。
出た時には、笠村の車が既に、バイト先の駐車場に止まっていた。
「遅くなってごめんなさい。」
「気にするな。行くぞ。」
藍里が乗ったのを確認すると、車を発進させた。
「最近はどうだ?」
「どう??といいますと?」
「探偵もそうだが、大学の講義もあるだろ。ついていけてるのか?」
「あぁ!はい!大丈夫です!何とか期日までにはレポート提出してるので!」
「ならいい。無理はするな。」
ぶっきらぼうな言い方。しかし、なぜだか嫌な感じはしない………。
そんな他愛のない話をしていると、『らぁめん』と大きな文字と電球があしらわれた看板が見えてきた。
中に入ると、開店したばかりか人がそこそこ居て、カウンター席しか空いていなかった。
「…そういえば。言いたくなきゃいいが、お前あのとき何があった?」
「あの時?」
笠村の質問に食べようとした麺を口から離す。
「小山内 麻美子に呼び出されてただろ。」
「あぁ!あれは……。」
そこまで言いかけて、藍里はピタリと止まった。
ここで言うということは、サーカス オブ エレファントのことも話さなくてはならない。その時は、自分がその団体をおっている理由も話さなくてはならない。そうなってしまえば、笠村も親身になって聞いてくれるだろうが、もしもそれを伝えたがために、笠村になにか迷惑が怒るのではないか。
そんな心配が、藍里の中でよぎった。
「藍里?」
黙り込んだ藍里を首をかしげながら見つめると、藍里は思わず口ごもらせてしまった。
言うべきか………。
言わないべきか………。
「なぁ。」
その時、2人の後ろから声が聞こえてきた。
「よぉ。」
そこに立っていたのは、煌びやかなスーツに茶髪の髪を立たせている、たくさんのアクセサリーを付けている青年であった。
「あれ?貴方確か……。」
「事情聴取を受けた内田 崇。源氏名はリュウって名前だから、それで呼んでくれ。」
「何かあったか?」
リュウに笠村が尋ねたが、リュウは横目で笠村をみると
「あんたじゃねぇ。そこの探偵だ。」
と答えた。
「なんでしょう?」
「あんた、女子大生探偵だろ?あんたに折り入って頼みたいことがあるんだ。」
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