森野探偵事務所物語 ~2~

巳狐斗

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プロローグ

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『大学の後、時間あるか?』





ぽつりとだけLIMEに送られてきたメッセージ。


送り主の名前………『笠村』という文字。



(またか。)


さほど驚いた様子を見せず、藍里は当たり前のように返事をした。




『また』というのは、事件で……はない………。







『バイトがあるので19:00からしか空いてないです…。』


『近くでラーメン屋見つけた。新しく出来たみてぇだ。迷惑じゃなきゃ、一緒に食べに行かねぇか?』






きっかけは恐らく、あの小野原めぐみ殺人事件だろう。





たまに笠村から夕食のお誘いを受けるようになったのだ。




(確かに……今も一日一食パンの耳でしのいでる感じだから、助かってはいるけど………。)







甘えすぎてはいないだろうか?




図々しいのでは?






と、藍里は心の中で心配になっていた。





嫌だとかそういう訳では無い。





ただ単になぜだか申し訳なくなってしまうのだ。




そして、藍里の中でひとつ確信したことがある。




これは、あまり人に教えたくはない。



恥ずかしいから。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

19:05

思った以上にバイトが長引いてしまい、笠村を待たせてしまった。




出た時には、笠村の車が既に、バイト先の駐車場に止まっていた。



「遅くなってごめんなさい。」


「気にするな。行くぞ。」


藍里が乗ったのを確認すると、車を発進させた。


「最近はどうだ?」


「どう??といいますと?」


「探偵もそうだが、大学の講義もあるだろ。ついていけてるのか?」


「あぁ!はい!大丈夫です!何とか期日までにはレポート提出してるので!」


「ならいい。無理はするな。」


ぶっきらぼうな言い方。しかし、なぜだか嫌な感じはしない………。
そんな他愛のない話をしていると、『らぁめん』と大きな文字と電球があしらわれた看板が見えてきた。



中に入ると、開店したばかりか人がそこそこ居て、カウンター席しか空いていなかった。




「…そういえば。言いたくなきゃいいが、お前あのとき何があった?」

「あの時?」

笠村の質問に食べようとした麺を口から離す。

「小山内 麻美子に呼び出されてただろ。」

「あぁ!あれは……。」


そこまで言いかけて、藍里はピタリと止まった。




ここで言うということは、サーカス オブ エレファントのことも話さなくてはならない。その時は、自分がその団体をおっている理由も話さなくてはならない。そうなってしまえば、笠村も親身になって聞いてくれるだろうが、もしもそれを伝えたがために、笠村になにか迷惑が怒るのではないか。




そんな心配が、藍里の中でよぎった。






「藍里?」




黙り込んだ藍里を首をかしげながら見つめると、藍里は思わず口ごもらせてしまった。



言うべきか………。


言わないべきか………。











「なぁ。」







その時、2人の後ろから声が聞こえてきた。




「よぉ。」



そこに立っていたのは、煌びやかなスーツに茶髪の髪を立たせている、たくさんのアクセサリーを付けている青年であった。




「あれ?貴方確か……。」


「事情聴取を受けた内田 崇。源氏名はリュウって名前だから、それで呼んでくれ。」


「何かあったか?」


リュウに笠村が尋ねたが、リュウは横目で笠村をみると


「あんたじゃねぇ。そこの探偵だ。」


と答えた。



「なんでしょう?」


「あんた、女子大生探偵だろ?あんたに折り入って頼みたいことがあるんだ。」







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