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第1話 ホストクラブ
第1話 ホストクラブ
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内田崇と共に着いた先は『パラダイス』という名前のホストクラブだった。
高級そうなお酒がゾロリと並ぶカウンターに、汚れひとつないグラス。中に入ると、既に何人かのホスト達が店内の掃除をしていて、崇が入ると挨拶をしてくる。しかしその後、ジロジロと藍里に視線を送る。
「あの……すごく見られてんですけど……。」
「まぁ今回の件で皆かなり神経質だからな。あんたみたいな女子大生探偵がいたら、そりゃ見たくなるだろ。」
藍里の方を振り向かずに、崇はたんたんと続けた。
崇の依頼というのは、
『ライトさんのお客を助けて欲しい。』
というものであった。
崇の店のエースで、未だ女性から人気があるライト。
その人が、お客様関係で困っているらしい。
前回の事件では、被害者が定期パパを利用していた事も教えてくれた。
「ここ。ライトさんが待ってる部屋。」
崇に促されるまま入ると、中にいたのは以前見た時よりもかなり煌びやかなスーツ………と言うよりも、おとぎ話の王子様のような………。
そんな高貴な服を身にまとっていた。
「やぁ。久しぶりだね。探偵さん。」
にこりと目を細めて微笑んだライト。その姿は、ドラマ出演や舞台出演をしたら、あっという間に人気が出そうなほどのイケメンである。
「なんか、派手じゃないですか?服。」
しかし、どんなイケメンがいたとしても、藍里にとってはあまり興味がないらしい。
「今日は僕の生誕祭だからね。人気のあるホストは、大勢の人がお祝いしてくれるから、着飾らないといけないんだ。」
その言葉で『ふーん。』で終わらせた藍里は
「それで、お客様を助けて欲しいとは?」
と、早速本題を切り出した。
すると、それまで爽やかに微笑んでいたライトは、神妙な顔になり
「とにかく、座ってください。」
と言って、藍里を椅子に座らせる。藍里が座るタイミングでライトが椅子を添えてやる姿はまさに紳士であった。
そして、藍里の向かいに座ると、スーツの胸ポケットをまさぐりだした。
「実は、僕の家のポストにこれが入っていましてね。」
そう言って、取り出したのは一通の封筒。
中にはA4の真っ白な紙にパソコンの文字でたった一言、
『あなたを奪った アイツを 消す』
と、記入されていた。
「嫉妬………ですかね?」
「僕は、主に女性を相手にする仕事だから仕方ないんだけど……こう、あからさまだとね………。」
苦笑いをして答えたライトに、藍里はさらに尋ねた。
「心当たりありますか?……て……多すぎて人絞れないですかね?」
「……いや、可能性として高い人が1人います。」
「え!?誰!?」
ライトは、一枚の写真を取り出すと藍里の前に置いた。
そこに映っていたのは、高級そうな真っ黒な手提げカバンを持ち、深緑色のワンピースに黒色の毛皮と真っ黒な帽子を身にまとった年配の女性が映っていた。
見るからに裕福である雰囲気が溢れ出ていた。
「この方は、蓑原大企業の会長の 麻田麗子さん。見て分かると思うけど、かなりのお金持ちだ。そして、僕をNo.1になるようにしてくれた人だ。」
確かに、ホストに関わらずとも、こんな明らかにお金持ちな人なら何らかの事件に巻き込まれてもおかしくはない。
「No.1に、なるようにしてくれた?」
言葉にぴくりと反応する藍里。
「あぁ。何もやましいことはしてないよ。ただ、僕のためにお金を使ってくれたっていうだけだよ。」
ライトが補足するように答える。
「とにかく、何とか麗子さんを守って欲しいんだ。いいかな?」
「それはいいんですが、どうやって?」
「大丈夫!そこはちゃんと考えてあるからね。」
ニコリと微笑むライトに藍里は首を傾げた。
高級そうなお酒がゾロリと並ぶカウンターに、汚れひとつないグラス。中に入ると、既に何人かのホスト達が店内の掃除をしていて、崇が入ると挨拶をしてくる。しかしその後、ジロジロと藍里に視線を送る。
「あの……すごく見られてんですけど……。」
「まぁ今回の件で皆かなり神経質だからな。あんたみたいな女子大生探偵がいたら、そりゃ見たくなるだろ。」
藍里の方を振り向かずに、崇はたんたんと続けた。
崇の依頼というのは、
『ライトさんのお客を助けて欲しい。』
というものであった。
崇の店のエースで、未だ女性から人気があるライト。
その人が、お客様関係で困っているらしい。
前回の事件では、被害者が定期パパを利用していた事も教えてくれた。
「ここ。ライトさんが待ってる部屋。」
崇に促されるまま入ると、中にいたのは以前見た時よりもかなり煌びやかなスーツ………と言うよりも、おとぎ話の王子様のような………。
そんな高貴な服を身にまとっていた。
「やぁ。久しぶりだね。探偵さん。」
にこりと目を細めて微笑んだライト。その姿は、ドラマ出演や舞台出演をしたら、あっという間に人気が出そうなほどのイケメンである。
「なんか、派手じゃないですか?服。」
しかし、どんなイケメンがいたとしても、藍里にとってはあまり興味がないらしい。
「今日は僕の生誕祭だからね。人気のあるホストは、大勢の人がお祝いしてくれるから、着飾らないといけないんだ。」
その言葉で『ふーん。』で終わらせた藍里は
「それで、お客様を助けて欲しいとは?」
と、早速本題を切り出した。
すると、それまで爽やかに微笑んでいたライトは、神妙な顔になり
「とにかく、座ってください。」
と言って、藍里を椅子に座らせる。藍里が座るタイミングでライトが椅子を添えてやる姿はまさに紳士であった。
そして、藍里の向かいに座ると、スーツの胸ポケットをまさぐりだした。
「実は、僕の家のポストにこれが入っていましてね。」
そう言って、取り出したのは一通の封筒。
中にはA4の真っ白な紙にパソコンの文字でたった一言、
『あなたを奪った アイツを 消す』
と、記入されていた。
「嫉妬………ですかね?」
「僕は、主に女性を相手にする仕事だから仕方ないんだけど……こう、あからさまだとね………。」
苦笑いをして答えたライトに、藍里はさらに尋ねた。
「心当たりありますか?……て……多すぎて人絞れないですかね?」
「……いや、可能性として高い人が1人います。」
「え!?誰!?」
ライトは、一枚の写真を取り出すと藍里の前に置いた。
そこに映っていたのは、高級そうな真っ黒な手提げカバンを持ち、深緑色のワンピースに黒色の毛皮と真っ黒な帽子を身にまとった年配の女性が映っていた。
見るからに裕福である雰囲気が溢れ出ていた。
「この方は、蓑原大企業の会長の 麻田麗子さん。見て分かると思うけど、かなりのお金持ちだ。そして、僕をNo.1になるようにしてくれた人だ。」
確かに、ホストに関わらずとも、こんな明らかにお金持ちな人なら何らかの事件に巻き込まれてもおかしくはない。
「No.1に、なるようにしてくれた?」
言葉にぴくりと反応する藍里。
「あぁ。何もやましいことはしてないよ。ただ、僕のためにお金を使ってくれたっていうだけだよ。」
ライトが補足するように答える。
「とにかく、何とか麗子さんを守って欲しいんだ。いいかな?」
「それはいいんですが、どうやって?」
「大丈夫!そこはちゃんと考えてあるからね。」
ニコリと微笑むライトに藍里は首を傾げた。
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