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第1話 ホストクラブ
第1話 ホストクラブ
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バイト先であるCafe ベイカーにつき、仕事着に着替えた。藍里は早速コーヒーを入れ始め、片付けや周防が用意したメニューを運んだりしていた。
「お待たせ致しました。コーヒーとチーズケーキでございます。」
藍里がそのふたつを客の前に置いた直後に、近くにいた男性が声を上げた。
「麻田玲子が、またなにか考えてるのかね。これまで何度派手なことしてきやがったか!」
麻田玲子。
その名前に藍里はピクリと反応した。
見ると、男性は店の常連客で、手には『麻田玲子。私はまだまだよ!』という、大きな見出しが書かれている、週刊誌が握られていた。
「金持ちの考えるこたぁ、庶民にはわかんねぇよ。」
「噂じゃ、ソイツ、娘を男として育てて、自分は若い男を食い物にしてるそうだぞ。」
「おー!怖っ!やれやれ。いい歳してよくやるよ。ねぇ。藍里ちゃんもそう思わんかい?」
突然話を振られた藍里は、『あはは…』と苦笑すると
「すみません。そういうの、よくわかんなくて……。」
と答えた。
「あんた達いい加減にしなさいよ!藍ちゃんはまだ学生なんだ。分かるわけがないだろう!そんなこと聞くのはセクハラだよ!」
それを聞いていたメニューを届けた女性客がピシャリ!と声を上げた。
男性客は頭をポリポリと書いて『いや、それは…。』と口ごもった。
「けど、麻田玲子も最近大人しくなったと思ったんだがねぇ。」
女性客は、頬に手を当ててため息をつくと、コーヒーを口にした。
「すみませーん!追加注文お願いしまーす!」
「はい。畏まりました。ご注文をどうぞ。」
その言葉に、『地獄に仏!』と思わんばかりに藍里は、テーブル席のお客に呼ばれ、注文を受けた。
注文を聞き終えた直後、1人の男性客が入ってきたかと思うと、何やら慌てた様子を見せていた。
「いらっしゃいま………あ。勇次郎さん。」
勇次郎と呼ばれた男は、息を荒らげながら
「あ!藍里ちゃん!周防はいるかい!?」
「え?」
「おう。ここにいるけどどうした?」
呼ばれた周防が奥からのっそりと現れると、勇次郎は手に持っていた夕刊を叩きつけるようにカウンターに載せると、
「これ!見てくれ!麻田玲子が殺されたって!!!!」
誰もが驚いて目を見開く。
しかしそんな中、藍里だけは違う意味で驚いていた。
周防と一緒になって夕刊誌を覗き込む。
藍里や周防だけでなく、他の人たちも身を乗り出すようにそれに食らいついた。
『麻田玲子、死す!!毒殺か!?
昨日未明、蓑原大企業の会長、麻田玲子さんが、行きつけのホストクラブで毒殺されてしまった。
当日、彼女はいつも行くホストクラブへと足を運んでいた。さらにその日は、玲子の担当の誕生日のイベントをしていたことから、この日を狙ったのではないかと思われる。』
大まかな内容はそんなふうに書かれていた。
間違いではない。
あの日は確かにライトの誕生日イベントがあり、いつもより盛り上がっていたらしいし、毒による中毒死も間違いない。
しかしだ。
(なんで、情報が…?)
藍里はゆっくりとその場を離れると、『すみません。トイレ行ってきます!』と言ってその場を離れた。
そして、職員用トイレに駆け込むと鍵をかけて、ポケットからスマホを取りだし、『笠村』という名前と電話番号を出すと迷いなく通話ボタンを押した。
『笠村だ。』
「笠村さん!いま、バイト先で夕刊持ってきた人がいて、情報が…!」
『あぁ。俺もさっき知ったよ。どうもホストクラブの中に、あの夕刊の職員がいたらしい。客でたまたまいたのか、張ってたのか知らないが、きっとそれだな。』
なるほど。
マスコミ関係がいたのか。それならば辻褄が合う。
「どうします?世間にバレてしまいましたよ…?」
『そこに関しては警察がなんとかする。…そうだ。ちょうどお前に電話しようと思っていた。』
「え?なんですか?」
『今日、あの麻田に話を聞いたんだ。けど……その、なんていうんだろうな?母親の死に、そんなに関心がなさそうだったんだ。』
「なんで………と言いたいところですが、玲子の今までの素業を考えたら、何も言えないですね……。」
『確かに、玲子のした事は子供からすりゃあありがた迷惑な話だよな。そんな感じで、いい情報が聞き出せなかった。それと、鑑識の結果なんだが……
あのチョコレートの入っていた器には、なにも検出されなかった。』
「え!?」
藍里は思わず声を張り上げる。
唯一可能性として高かったチョコレートが入っていた器に毒が検出されなかった……?
『犯人はこれからの捜査を照らし合わせながら探すとして、まずは犯行からだな。
いつ、
どこで、
何に
どうやって入れられたのか………。
あの現場にいたのはお前だ。よく思い出して些細なところにも目を向けろ。今回は、お前の目があったにもかかわらず、事件が起こった。という事は、
ー何気ない行動の中に、犯行が隠されているー。
ということになる。』
笠村の言葉に藍里は
「わかりました…!思い出せるだけ思い出してみます!」
と、はっきりと答えた。
何気ない仕草。
それが、今回の事件の鍵なのだ。
「お待たせ致しました。コーヒーとチーズケーキでございます。」
藍里がそのふたつを客の前に置いた直後に、近くにいた男性が声を上げた。
「麻田玲子が、またなにか考えてるのかね。これまで何度派手なことしてきやがったか!」
麻田玲子。
その名前に藍里はピクリと反応した。
見ると、男性は店の常連客で、手には『麻田玲子。私はまだまだよ!』という、大きな見出しが書かれている、週刊誌が握られていた。
「金持ちの考えるこたぁ、庶民にはわかんねぇよ。」
「噂じゃ、ソイツ、娘を男として育てて、自分は若い男を食い物にしてるそうだぞ。」
「おー!怖っ!やれやれ。いい歳してよくやるよ。ねぇ。藍里ちゃんもそう思わんかい?」
突然話を振られた藍里は、『あはは…』と苦笑すると
「すみません。そういうの、よくわかんなくて……。」
と答えた。
「あんた達いい加減にしなさいよ!藍ちゃんはまだ学生なんだ。分かるわけがないだろう!そんなこと聞くのはセクハラだよ!」
それを聞いていたメニューを届けた女性客がピシャリ!と声を上げた。
男性客は頭をポリポリと書いて『いや、それは…。』と口ごもった。
「けど、麻田玲子も最近大人しくなったと思ったんだがねぇ。」
女性客は、頬に手を当ててため息をつくと、コーヒーを口にした。
「すみませーん!追加注文お願いしまーす!」
「はい。畏まりました。ご注文をどうぞ。」
その言葉に、『地獄に仏!』と思わんばかりに藍里は、テーブル席のお客に呼ばれ、注文を受けた。
注文を聞き終えた直後、1人の男性客が入ってきたかと思うと、何やら慌てた様子を見せていた。
「いらっしゃいま………あ。勇次郎さん。」
勇次郎と呼ばれた男は、息を荒らげながら
「あ!藍里ちゃん!周防はいるかい!?」
「え?」
「おう。ここにいるけどどうした?」
呼ばれた周防が奥からのっそりと現れると、勇次郎は手に持っていた夕刊を叩きつけるようにカウンターに載せると、
「これ!見てくれ!麻田玲子が殺されたって!!!!」
誰もが驚いて目を見開く。
しかしそんな中、藍里だけは違う意味で驚いていた。
周防と一緒になって夕刊誌を覗き込む。
藍里や周防だけでなく、他の人たちも身を乗り出すようにそれに食らいついた。
『麻田玲子、死す!!毒殺か!?
昨日未明、蓑原大企業の会長、麻田玲子さんが、行きつけのホストクラブで毒殺されてしまった。
当日、彼女はいつも行くホストクラブへと足を運んでいた。さらにその日は、玲子の担当の誕生日のイベントをしていたことから、この日を狙ったのではないかと思われる。』
大まかな内容はそんなふうに書かれていた。
間違いではない。
あの日は確かにライトの誕生日イベントがあり、いつもより盛り上がっていたらしいし、毒による中毒死も間違いない。
しかしだ。
(なんで、情報が…?)
藍里はゆっくりとその場を離れると、『すみません。トイレ行ってきます!』と言ってその場を離れた。
そして、職員用トイレに駆け込むと鍵をかけて、ポケットからスマホを取りだし、『笠村』という名前と電話番号を出すと迷いなく通話ボタンを押した。
『笠村だ。』
「笠村さん!いま、バイト先で夕刊持ってきた人がいて、情報が…!」
『あぁ。俺もさっき知ったよ。どうもホストクラブの中に、あの夕刊の職員がいたらしい。客でたまたまいたのか、張ってたのか知らないが、きっとそれだな。』
なるほど。
マスコミ関係がいたのか。それならば辻褄が合う。
「どうします?世間にバレてしまいましたよ…?」
『そこに関しては警察がなんとかする。…そうだ。ちょうどお前に電話しようと思っていた。』
「え?なんですか?」
『今日、あの麻田に話を聞いたんだ。けど……その、なんていうんだろうな?母親の死に、そんなに関心がなさそうだったんだ。』
「なんで………と言いたいところですが、玲子の今までの素業を考えたら、何も言えないですね……。」
『確かに、玲子のした事は子供からすりゃあありがた迷惑な話だよな。そんな感じで、いい情報が聞き出せなかった。それと、鑑識の結果なんだが……
あのチョコレートの入っていた器には、なにも検出されなかった。』
「え!?」
藍里は思わず声を張り上げる。
唯一可能性として高かったチョコレートが入っていた器に毒が検出されなかった……?
『犯人はこれからの捜査を照らし合わせながら探すとして、まずは犯行からだな。
いつ、
どこで、
何に
どうやって入れられたのか………。
あの現場にいたのはお前だ。よく思い出して些細なところにも目を向けろ。今回は、お前の目があったにもかかわらず、事件が起こった。という事は、
ー何気ない行動の中に、犯行が隠されているー。
ということになる。』
笠村の言葉に藍里は
「わかりました…!思い出せるだけ思い出してみます!」
と、はっきりと答えた。
何気ない仕草。
それが、今回の事件の鍵なのだ。
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