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26.目覚めの鍵。
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音が無い静かな部屋の中、ラズライエルさんはレムリアさんに剣先を向けたまま、微動だにしない。
剣先を向けられたレムリアさんも怯むことなく、ラズライエルさんを見据えている。
「それで、私が納得すると思いますか?」
「君、しつこそうだし……まあ、いいや。倒してしまえばいいだけだしね」
「仕方ありません。あまり得意ではないのですが・……」
レムリアさんも光の玉を取り出すと、同じように光の玉から剣が出てきた。
蔦のようなデザインが施された銀色の柄に、刀身は青く、水晶のように透きとおっていて、とても綺麗だった。
いつも指先だけで精霊魔法を使っていたから、剣も扱えたこともに驚いてしまい、つい見つめてしまう。得意ではないと言うわりには、心得はあるらしくて迷いもなく堂々としている。
「へえ、強い力を感じるけど……それ、精霊の宝剣?そんなのを取り出すなんて、ますます精霊っぽいね」
「そういうあなたは、天使のわりにずいぶんと好戦的ですね」
互いに剣を向け合っているけど、このまま見ているだけというのは、いけない気がする。
それに守護するからレムリアさんを追い出すなんて、どうしてそうなるのか解らない。
止めなければと思い、レムリアさんに集中しているラズライエルさんの背後に忍びより、首の根っこを掴んだ。
「はーい、そこまで」
「ちょっ、テンカさん!?……せっかく良いところだったのに!」
「良いところもなにも、かってにレムリアさんを追い出すとか何言ってるのかしら?」
そのままラズライエルさんを祭壇まで引きずっていく。
立ち止まって2人の手元を見てみると、もう剣を持っていないようだったので、ラズライエルさんを掴んでいた手を離した。
「それは僕が、守護するから大丈夫だよ」
「守護って言ってるけど、どうしてレムリアさんを追い出すって考えになるの?」
「……僕の邪魔をしたからだよ。それにこれから先も、邪魔しにくるよ。あれは」
つまりは、気に入らないから私と引き離したいと言っているようなもので、呆れてしまった。
それにアルテアースに着いてしまっているのに、今更になって守護とか言われても困ってしまう。
「ラズライエルさん、もうアルテアースに着いているんだし、守護は大丈夫だから」
「それは無理だよ。だって、テンカさんには聖杖を見つけてもらわないといけないし……」
ここに無いということは、聖杖に選ばれた人が現れたからと思っていたけど、もしかして何かあったのかもしれない。
それにしても私が探すというのは、何か違うような気がする。そもそも、私が探さなければいけない理由が解らない。
「それは貴方が、探し出せばいいだけでは?どうして天華さんが探さなければいけないのですか」
「あの、ラズライエルさんは天使でしょう?もしかしてそれ、あなたの仕事なんじゃないの?」
天使で聖杖のことを気にしているということは、聖杖を守ることも仕事のうちだったはず。
だったらそれは、ラズライエルさんの仕事だったのかもしれない。
「……たしかに僕の仕事だけど、でも聖杖が消えるなんて予想外というか……テンカさんが消えたことも予想外だったし」
ラズライエルさんは、疲れたように視線を床に落とした。
私が消えたのは、自業自得だと思う。さっさと助けてくれたら良いだけの話だったのだから。
「それにテンカさん……テンカさんには、聖杖が必要なんだ」
「だからどうして私に、聖杖が必要なの?それにそこに聖杖がないってことは、もう誰かが聖杖に選ばれたってことなんじゃないの?」
ラズライエルさんは深くため息をついて、聖杖が飾ってあったはずの壁を見つめると、今度は私の方に深く青い瞳を向けた。
「……勇者が、どうして勇者として認められるか、知ってる?」
「え……たしか聖剣に認められて、検査を受けたら適正が出たって聞いたけど……」
「そう、聖剣に認められる……正しくは、聖剣により力が目覚め勇者となる、なんだよね」
「は?それってつまり、聖剣が鍵みたいなものになっていたの?」
召喚された場所のすぐ近くに、聖剣があったからこそ、神宮寺くんは、すぐに勇者として認めれることになったんだろう。
ということは、この世界に来た時に女神さまの加護を受けた私にも、神宮寺くんと同じように鍵になる物に触れないといけないことになる。
「そう。勇者の聖剣と同じだよ……アルテフェルミアさまの加護の力も、聖杖に触れて力を目覚めさせないと意味がないんだ。だから、力の片鱗すら出せてないでしょう?」
「だから、適正検査の時に農民って出たのね」
「テンカさん、けっこう農民にこだわるね。そうそう、言い忘れてたけど、聖杖に選ばれたのはテンカさんだよ。だから所有者もテンカさん」
「それ、言い忘れたらダメなやつじゃないの?」
ラズライエルさんは、少し俯いて儚く微笑むと「ごめんね」と言ってきた。
それはそれは綺麗な笑みで、普通の人は流されてしまうけど、レムリアさんの顔で免疫があるから、ただ怪しいものを見るような目で見てしまう。
ラズライエルさんは意外そうにこちらを見つめると、不思議そうに首を傾げた。
それを見て、儚い微笑みで色々と場を流してきたんだと確信した。
「そんな小細工は、天華さんに効きませんよ」
「うん、レムリアさんで免疫ついてるから」
「……精霊もどきがいなければ、効いていたのに」
残念そうな顔のラズライエルさんからは、儚い印象は消えていた。
やっぱりあれは故意的にしていたみたいだった。
「それで聖杖はどうなったの?」
「それがなぜか、僕がテンカさんを迎えにバルトレスに向かっている最中に消えてしまって……」
「不明だったら探しようがないんだけど」
せめて何か手がかりがあれば、少しは違うのだけれども
何か糸口があるかもしれないと思い、聖杖の飾ってあった壁に近づこうとしたとき、ラズライエルさんが止めるように話しかけてきた。
「それは大丈夫。ちゃんと、誰が持って行ったかわかっているんだ」
「え、誰だったの?」
「……自称聖女が持っているみたいなんだ」
自称聖女がということは、聖女だと自分から名乗り出た人が、ここから持ち去ったことになる。
自分のことを聖女だと言う人間がいることに驚いてしまい、なぜかレムリアさんの方を見てしまった。
私と目が合ったレムリアさんは、戸惑ったように微笑むだけだった。
剣先を向けられたレムリアさんも怯むことなく、ラズライエルさんを見据えている。
「それで、私が納得すると思いますか?」
「君、しつこそうだし……まあ、いいや。倒してしまえばいいだけだしね」
「仕方ありません。あまり得意ではないのですが・……」
レムリアさんも光の玉を取り出すと、同じように光の玉から剣が出てきた。
蔦のようなデザインが施された銀色の柄に、刀身は青く、水晶のように透きとおっていて、とても綺麗だった。
いつも指先だけで精霊魔法を使っていたから、剣も扱えたこともに驚いてしまい、つい見つめてしまう。得意ではないと言うわりには、心得はあるらしくて迷いもなく堂々としている。
「へえ、強い力を感じるけど……それ、精霊の宝剣?そんなのを取り出すなんて、ますます精霊っぽいね」
「そういうあなたは、天使のわりにずいぶんと好戦的ですね」
互いに剣を向け合っているけど、このまま見ているだけというのは、いけない気がする。
それに守護するからレムリアさんを追い出すなんて、どうしてそうなるのか解らない。
止めなければと思い、レムリアさんに集中しているラズライエルさんの背後に忍びより、首の根っこを掴んだ。
「はーい、そこまで」
「ちょっ、テンカさん!?……せっかく良いところだったのに!」
「良いところもなにも、かってにレムリアさんを追い出すとか何言ってるのかしら?」
そのままラズライエルさんを祭壇まで引きずっていく。
立ち止まって2人の手元を見てみると、もう剣を持っていないようだったので、ラズライエルさんを掴んでいた手を離した。
「それは僕が、守護するから大丈夫だよ」
「守護って言ってるけど、どうしてレムリアさんを追い出すって考えになるの?」
「……僕の邪魔をしたからだよ。それにこれから先も、邪魔しにくるよ。あれは」
つまりは、気に入らないから私と引き離したいと言っているようなもので、呆れてしまった。
それにアルテアースに着いてしまっているのに、今更になって守護とか言われても困ってしまう。
「ラズライエルさん、もうアルテアースに着いているんだし、守護は大丈夫だから」
「それは無理だよ。だって、テンカさんには聖杖を見つけてもらわないといけないし……」
ここに無いということは、聖杖に選ばれた人が現れたからと思っていたけど、もしかして何かあったのかもしれない。
それにしても私が探すというのは、何か違うような気がする。そもそも、私が探さなければいけない理由が解らない。
「それは貴方が、探し出せばいいだけでは?どうして天華さんが探さなければいけないのですか」
「あの、ラズライエルさんは天使でしょう?もしかしてそれ、あなたの仕事なんじゃないの?」
天使で聖杖のことを気にしているということは、聖杖を守ることも仕事のうちだったはず。
だったらそれは、ラズライエルさんの仕事だったのかもしれない。
「……たしかに僕の仕事だけど、でも聖杖が消えるなんて予想外というか……テンカさんが消えたことも予想外だったし」
ラズライエルさんは、疲れたように視線を床に落とした。
私が消えたのは、自業自得だと思う。さっさと助けてくれたら良いだけの話だったのだから。
「それにテンカさん……テンカさんには、聖杖が必要なんだ」
「だからどうして私に、聖杖が必要なの?それにそこに聖杖がないってことは、もう誰かが聖杖に選ばれたってことなんじゃないの?」
ラズライエルさんは深くため息をついて、聖杖が飾ってあったはずの壁を見つめると、今度は私の方に深く青い瞳を向けた。
「……勇者が、どうして勇者として認められるか、知ってる?」
「え……たしか聖剣に認められて、検査を受けたら適正が出たって聞いたけど……」
「そう、聖剣に認められる……正しくは、聖剣により力が目覚め勇者となる、なんだよね」
「は?それってつまり、聖剣が鍵みたいなものになっていたの?」
召喚された場所のすぐ近くに、聖剣があったからこそ、神宮寺くんは、すぐに勇者として認めれることになったんだろう。
ということは、この世界に来た時に女神さまの加護を受けた私にも、神宮寺くんと同じように鍵になる物に触れないといけないことになる。
「そう。勇者の聖剣と同じだよ……アルテフェルミアさまの加護の力も、聖杖に触れて力を目覚めさせないと意味がないんだ。だから、力の片鱗すら出せてないでしょう?」
「だから、適正検査の時に農民って出たのね」
「テンカさん、けっこう農民にこだわるね。そうそう、言い忘れてたけど、聖杖に選ばれたのはテンカさんだよ。だから所有者もテンカさん」
「それ、言い忘れたらダメなやつじゃないの?」
ラズライエルさんは、少し俯いて儚く微笑むと「ごめんね」と言ってきた。
それはそれは綺麗な笑みで、普通の人は流されてしまうけど、レムリアさんの顔で免疫があるから、ただ怪しいものを見るような目で見てしまう。
ラズライエルさんは意外そうにこちらを見つめると、不思議そうに首を傾げた。
それを見て、儚い微笑みで色々と場を流してきたんだと確信した。
「そんな小細工は、天華さんに効きませんよ」
「うん、レムリアさんで免疫ついてるから」
「……精霊もどきがいなければ、効いていたのに」
残念そうな顔のラズライエルさんからは、儚い印象は消えていた。
やっぱりあれは故意的にしていたみたいだった。
「それで聖杖はどうなったの?」
「それがなぜか、僕がテンカさんを迎えにバルトレスに向かっている最中に消えてしまって……」
「不明だったら探しようがないんだけど」
せめて何か手がかりがあれば、少しは違うのだけれども
何か糸口があるかもしれないと思い、聖杖の飾ってあった壁に近づこうとしたとき、ラズライエルさんが止めるように話しかけてきた。
「それは大丈夫。ちゃんと、誰が持って行ったかわかっているんだ」
「え、誰だったの?」
「……自称聖女が持っているみたいなんだ」
自称聖女がということは、聖女だと自分から名乗り出た人が、ここから持ち去ったことになる。
自分のことを聖女だと言う人間がいることに驚いてしまい、なぜかレムリアさんの方を見てしまった。
私と目が合ったレムリアさんは、戸惑ったように微笑むだけだった。
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