30 / 33
29.一触発と威嚇。
しおりを挟む
レムリアさんと私の会話で色々と察したらしいラズライエルさんは、レムリアさんを睨んだまま動かない。
「ねえ、その話の内容だと……まるで何か関係があったみたいに聞こえるんだけど」
「そ、それは……ほら、着替えとかないからって話しをしてて……」
なぜかラズライエルさんに言い訳のようなことを言ってしまった。
なんでこんなことを言ってしまったのか、自分でも不思議だった。
「ふぅん、そう。そういえばさ、湖付近で発見して姿を確認したあとから、テンカさんの気配を掴めるようになったんだけど……」
意外な話に、思わずラズライエルさんを見た。ラズライエルさんはレムリアさんに、視線を送っていた。
「精霊もどきの邪魔が入ってから、まったく掴めなくなったんだ」
「え、それって……」
「ええ。私が天華さんの気配を少し隠しておきましたが」
レムリアさんはなんでもないことのように言うけど、かなり重要なことのような気がする。
「やっぱり……妖精とか精霊とかの得意な術だよね。気配隠し」
「お褒めいただき、光栄ですね」
「褒めてないんだけど……それで、どうやって気配消したの?だってテンカさんは人間で、そんな簡単には無理でしょう」
「直接触れて、中から術を施して、気配を覆ったとしか……」
中からと聞いて、嫌な予感がした。
記憶がたしかなら、湖付近で襲われて、レムリアさんに助けられた。
そこから記憶はないけど飲まされた媚薬を抜くために、レムリアさんに色々とされていたはず。
その時でしか、術を施すタイミングが思いつかない。
「直接、中から?どうやって中からって……まさか君!」
「とても可愛かったですよ、天華さんは」
レムリアさんは幸せそうに微笑みながら、抱きしめてくる。
暖かくて、なんだか良い匂いがして、居心地が良いけど……さすがにこれはまずい。
ふとラズライエルさんを見ると、何かに耐えるように震えていた。
ここで天使の羽を出されたら、町中の注目を浴びてかなりまずいことになる。
ただでさえ2人ともありえないくらい容姿が良すぎて、通りすがりの人の視線を釘付けにしているっていうのに、そこで天使の羽はかなり不味い。
「お、落ち着いてラズライエルさん!ここ街中だから!」
「……うん、解ってるよ。それはもう十分、わかってるけど……でも、ね」
「ちなみに2回ほど術を施していたのですが。まさか遭遇するとは、予想外でした」
2回目は、カンロ村のことを言っているのだと気づいた。
でも、なぜそこまでラズライエルさんに言うのかが解らないけど、火に油を注いでることは解る。
「レムリアさんも、なんでそこまで教えるの?」
「大人気無いことはわかっています。ですが彼は、守護天使を諦めていないでしょう?」
守護天使という言葉に反応したラズライエルさんは、レムリアさんに詰め寄っていった。
「当たり前でしょ。そもそも、誰のせいで守護天使になりそびれたと思ってるの?」
「それって、ラズライエルさんの自業自得でしょ?そもそも、さっさと助け出してくれていたら良かっただけの話だから」
「天華さんの言うとおりですよ。私のせいではありません」
ラズライエルさんの方、つい睨むように見つめてしまう。
レムリアさんは詰め寄っていたラズライエルさんから、飽きたように顔をそらした。
少し睨むように見つめていると、耐え切れなくなったらしいラズライエルさんは、降参するように両手を上げた。
「わかった、わかったから!僕が悪かったから!それより、まだ買い物をがあるんだよね?」
「そうですね。先に買いに行きましょうか?」
「え、本当に行くの?」
この2人を引き連れ下着を買いに行ったら、かなり目立ちすぎる。
とくにラズライエルさんなんて神官服を着ているから、注目の的にしか見えない。
人離れした容姿の美形と、神官服を着た儚い系の美形を連れて下着を見に行くなんて……あれ、これかなり特殊な自慢の仕方か、それか変態趣味の人にしか見えない。
「もちろん。たしかすぐそこに女性向けのお店があったはずですから」
「あの、1人で買いに行けるんだけど……むしろ1人で行きたいんだけど」
「ええ。ですがアルテアースは広いですから、お店まで案内しますよ」
「まあ、案内くらいなら……」
レムリアさんに付いていくと、歩いて10分くらいの距離に噴水のある広場が見えた。
その広場を囲むように、店が何件も連なっている。
その中のお店の1つに、入り口の看板に女性用の下着のイラストを可愛らしく描いているお店が見えた。
「あそこですね。この辺りだと、ここしか扱ってないと思いますが……」
「そうなの?もっとあるかと思ってわ」
「あるとは思いますが……買うことがないので」
レムリアさんは、少し困ったように微笑んだ。
よく考えたら、レムリアさんが女性用の下着を販売しているお店に詳しかったら、それはそれで嫌だ。
たぶん、広場の近くに商店街みたいに並んでいたから、このお店を偶然に知っていただけかもしれない。
「では、私は屋敷の掃除に行きますから、天華さんは買い物をしてきてください。これで足りるはずですから」
「え、うん。ありがとう」
バルトレイで渡されたお金と似たような金貨を5枚渡された。たぶん5メルスみたいな感じだと思うから、5万になるはず。
レムリアさんに渡された金貨をよく見ると、バルトレスで貰った金貨と模様が違っていた。
たしかバルトレスは、男性の横顔が描かれていたけど、渡された金貨には女性の顔が描かれていた。
「これ、絵柄が違うの?」
「ええ。材質も質量も同じですが、発行された国により違います。その国を守護している神の顔が掘られています」
「じゃあ、これってもしかしてアルテフェルミアさま?」
ラズライエルさんが興味を持ったらしくて、私の手元にある金貨を覗き込んできた。
金貨の絵を見たとたん、少し怒ったように眉を寄せた。
「違うよ。アルテフェルミアさまは、もっと美人だから」
「神の姿を直接見ることはできないので、ほとんどが想像図ですよ」
「想像図って……でも、そうなるわよね」
金貨を小袋にしまうと、それを懐にしまった。
「じゃあ、私はお店に行くけど……」
「では、買い物が終わったら噴水の前にいてください。掃除が終わり次第、すぐに迎えにきますから」
レムリアさんはそう告げつると、立ち去ってしまった。
お店に向かおうとしたとき、ラズライエルさんが居たのを思い出した。
「あの、ラズライエルさんも入るつもり?でも神官服はちょっと目立ち過ぎると思うけど……」
「さすがに入らないよ。僕は、噴水の前で待っているから」
ラズライエルさんが噴水の辺りまで行くのを見守ると、さっそくお店の中へと入っていった。
「ねえ、その話の内容だと……まるで何か関係があったみたいに聞こえるんだけど」
「そ、それは……ほら、着替えとかないからって話しをしてて……」
なぜかラズライエルさんに言い訳のようなことを言ってしまった。
なんでこんなことを言ってしまったのか、自分でも不思議だった。
「ふぅん、そう。そういえばさ、湖付近で発見して姿を確認したあとから、テンカさんの気配を掴めるようになったんだけど……」
意外な話に、思わずラズライエルさんを見た。ラズライエルさんはレムリアさんに、視線を送っていた。
「精霊もどきの邪魔が入ってから、まったく掴めなくなったんだ」
「え、それって……」
「ええ。私が天華さんの気配を少し隠しておきましたが」
レムリアさんはなんでもないことのように言うけど、かなり重要なことのような気がする。
「やっぱり……妖精とか精霊とかの得意な術だよね。気配隠し」
「お褒めいただき、光栄ですね」
「褒めてないんだけど……それで、どうやって気配消したの?だってテンカさんは人間で、そんな簡単には無理でしょう」
「直接触れて、中から術を施して、気配を覆ったとしか……」
中からと聞いて、嫌な予感がした。
記憶がたしかなら、湖付近で襲われて、レムリアさんに助けられた。
そこから記憶はないけど飲まされた媚薬を抜くために、レムリアさんに色々とされていたはず。
その時でしか、術を施すタイミングが思いつかない。
「直接、中から?どうやって中からって……まさか君!」
「とても可愛かったですよ、天華さんは」
レムリアさんは幸せそうに微笑みながら、抱きしめてくる。
暖かくて、なんだか良い匂いがして、居心地が良いけど……さすがにこれはまずい。
ふとラズライエルさんを見ると、何かに耐えるように震えていた。
ここで天使の羽を出されたら、町中の注目を浴びてかなりまずいことになる。
ただでさえ2人ともありえないくらい容姿が良すぎて、通りすがりの人の視線を釘付けにしているっていうのに、そこで天使の羽はかなり不味い。
「お、落ち着いてラズライエルさん!ここ街中だから!」
「……うん、解ってるよ。それはもう十分、わかってるけど……でも、ね」
「ちなみに2回ほど術を施していたのですが。まさか遭遇するとは、予想外でした」
2回目は、カンロ村のことを言っているのだと気づいた。
でも、なぜそこまでラズライエルさんに言うのかが解らないけど、火に油を注いでることは解る。
「レムリアさんも、なんでそこまで教えるの?」
「大人気無いことはわかっています。ですが彼は、守護天使を諦めていないでしょう?」
守護天使という言葉に反応したラズライエルさんは、レムリアさんに詰め寄っていった。
「当たり前でしょ。そもそも、誰のせいで守護天使になりそびれたと思ってるの?」
「それって、ラズライエルさんの自業自得でしょ?そもそも、さっさと助け出してくれていたら良かっただけの話だから」
「天華さんの言うとおりですよ。私のせいではありません」
ラズライエルさんの方、つい睨むように見つめてしまう。
レムリアさんは詰め寄っていたラズライエルさんから、飽きたように顔をそらした。
少し睨むように見つめていると、耐え切れなくなったらしいラズライエルさんは、降参するように両手を上げた。
「わかった、わかったから!僕が悪かったから!それより、まだ買い物をがあるんだよね?」
「そうですね。先に買いに行きましょうか?」
「え、本当に行くの?」
この2人を引き連れ下着を買いに行ったら、かなり目立ちすぎる。
とくにラズライエルさんなんて神官服を着ているから、注目の的にしか見えない。
人離れした容姿の美形と、神官服を着た儚い系の美形を連れて下着を見に行くなんて……あれ、これかなり特殊な自慢の仕方か、それか変態趣味の人にしか見えない。
「もちろん。たしかすぐそこに女性向けのお店があったはずですから」
「あの、1人で買いに行けるんだけど……むしろ1人で行きたいんだけど」
「ええ。ですがアルテアースは広いですから、お店まで案内しますよ」
「まあ、案内くらいなら……」
レムリアさんに付いていくと、歩いて10分くらいの距離に噴水のある広場が見えた。
その広場を囲むように、店が何件も連なっている。
その中のお店の1つに、入り口の看板に女性用の下着のイラストを可愛らしく描いているお店が見えた。
「あそこですね。この辺りだと、ここしか扱ってないと思いますが……」
「そうなの?もっとあるかと思ってわ」
「あるとは思いますが……買うことがないので」
レムリアさんは、少し困ったように微笑んだ。
よく考えたら、レムリアさんが女性用の下着を販売しているお店に詳しかったら、それはそれで嫌だ。
たぶん、広場の近くに商店街みたいに並んでいたから、このお店を偶然に知っていただけかもしれない。
「では、私は屋敷の掃除に行きますから、天華さんは買い物をしてきてください。これで足りるはずですから」
「え、うん。ありがとう」
バルトレイで渡されたお金と似たような金貨を5枚渡された。たぶん5メルスみたいな感じだと思うから、5万になるはず。
レムリアさんに渡された金貨をよく見ると、バルトレスで貰った金貨と模様が違っていた。
たしかバルトレスは、男性の横顔が描かれていたけど、渡された金貨には女性の顔が描かれていた。
「これ、絵柄が違うの?」
「ええ。材質も質量も同じですが、発行された国により違います。その国を守護している神の顔が掘られています」
「じゃあ、これってもしかしてアルテフェルミアさま?」
ラズライエルさんが興味を持ったらしくて、私の手元にある金貨を覗き込んできた。
金貨の絵を見たとたん、少し怒ったように眉を寄せた。
「違うよ。アルテフェルミアさまは、もっと美人だから」
「神の姿を直接見ることはできないので、ほとんどが想像図ですよ」
「想像図って……でも、そうなるわよね」
金貨を小袋にしまうと、それを懐にしまった。
「じゃあ、私はお店に行くけど……」
「では、買い物が終わったら噴水の前にいてください。掃除が終わり次第、すぐに迎えにきますから」
レムリアさんはそう告げつると、立ち去ってしまった。
お店に向かおうとしたとき、ラズライエルさんが居たのを思い出した。
「あの、ラズライエルさんも入るつもり?でも神官服はちょっと目立ち過ぎると思うけど……」
「さすがに入らないよ。僕は、噴水の前で待っているから」
ラズライエルさんが噴水の辺りまで行くのを見守ると、さっそくお店の中へと入っていった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる