ホスト異世界へ行く

REON

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第十二章 邂逅

繋累

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調査を始めて数時間。
昼食時間になって食堂に集めた子供たちに食事をさせる。

「よく噛んで食べてくださいね」
『はーい!』

外で遊んでいた子たちは全て一時預かりの子供。
この世界には携帯電話なんてないし、豊かな国とは言え一般国民の家庭にまで通信用の魔封石が普及してる訳じゃないから迎えに来るまでは両親とは連絡がとれず、聴取を受けている保護員の代わりに俺が正体を隠したまま保父(母)役をしている。

「このパン美味しい!」
「美味しい!柔らかい!」

ハッと気付いたら昼食時間が間近だったから異空間アイテムボックスにしまっていた食パンや食材を使って簡単に出来るサンドイッチとスープを作ったけど、概ね好評のようでほっとした。

「ここは頼む」
「承知いたしました」

一時預かりの子たちのことは総領が呼んだ屋敷の使用人メイドに任せて俺は別室に居る孤児たちのところへ。
本当はみんな一緒に食堂で食べさせられたら良かったけど、あまり食事をさせて貰えてなかった孤児たちは一時預かりの子とは違うメニューにしたから喧嘩にならないよう別室にした。

「配膳ありがとう」
「「勿体ないお言葉を」」

別室に入ってすぐ使用人メイドの二人に声をかける。
食堂の元気いっぱいの子たちとは正反対にこちらは静かだ。

「夢中で食べてるな」
「最初は本当に食べていいのかと聞いて戸惑う様子を見せておりましたが、食べ始めてからはすっかり夢中に」
「そうか。食べてくれて良かった」

孤児の人数は五人。
廊下に出てきた三人に案内して貰った部屋には他にも二人の孤児が居て、全員に魔法検査をかけ念のため医療師にも往診して貰って相談した上で、胃に負担が少ない柔らかい粥とスープを作って食べさせている。

「同年代の一時預かりの子を見たあとに改めて見ると、ただ痩せていると言うだけでなく背丈も小柄だな」
「はい。栄養不足で成長が遅れているのでしょう」

食事の前に風呂に入らせ髪や身体を洗ってあげて、穴が空いたり汚れたりしていた服も総領が用意させた子供服に着替えさせたけど、同年代の一時預かりの子と比べると五人とも小柄。

「大人ならいい訳では無いが、未来あるまだ幼い子供たちが手酷い扱いを受けていたのかと思うと心が痛む」

五人が暮らしていた部屋は粗末なものだった。
部屋の広さは一時預かりの子に用意された部屋と同じだったけど、それでなくとも『多少狭いけど』と思う広さしかない一室に五人で詰め込まれてるんだからどころの話じゃない。
机や棚もないベッドが二つだけの部屋で、まともに替えられていないと分かる薄汚れた古いシーツの敷かれたその二つのベッドに二人や三人に分かれて寝ているとのことだった。

「私は院長室に戻る。何かあれば声をかけてくれ」
「「承知いたしました」」

この後の予定は事前に決めて伝えてある。
子供たちのことは気になるし、普段はプリエール公爵屋敷で自分たちの仕事をしている使用人に保母役を任せるのは申し訳ないけど、俺も俺で出来ることをやらないと。

「国営孤児院の院長がお越しになりました」
「もう?早かったな」

部屋を出ると護衛の二人が待っていて、国が運営している孤児院の院長が来たことを教えてくれて院長室に向かった。

「お連れいたしました」
「失礼いたします」

護衛がノックして開けた扉から入るとソファに座っている総領の対面に男性が一人と女性が二人座っていてこちらを向く。

「彼女が先ほど話した私の知人のメテオール嬢だ」
「ご挨拶申し上げます。メテオールと申します」
「アムール孤児院の院長を務めるデニス・ベーンと申します。こちらは保護師のハンナ、指導員のユリーです」

総領から紹介されてスカートを軽く摘みカーテシーで挨拶をすると院長や保護士たちも立ち上がって頭を下げる。
苗字や爵位名を名乗らなくとも俺がカーテシーで挨拶をしたことで少なくとも貴族であることは分かったからだろう。

「こちらに」
「はい」

総領に呼ばれて隣に座ると三人も再び座り直した。

「引き取って貰う五名の孤児の名前や年齢等は既に話したが、メテオール嬢から見て様子はどうだったか聞かせて欲しい」
「承知いたしました」

仕事が早いな。ほんと有能。
そう思いつつ俺が見た範囲の子供たちの様子を話す。
医療師に往診して貰った時の様子や入浴中の様子、食事中の様子など、どの子がどうというように各々のことを事細かに。
俺が説明するそれを保護師はメモに残していた。

間で院長や指導員からの質問にも答えつつ数十分。

「そちらの院で引き取って貰うことは可能でしょうか」
「はい。五名ともお預かりいたします」
「良かった。ありがとうございます」

さすが国が運営する孤児院。
英雄の俺が間に入ると命令したのと変わらなくなってしまうから正体は隠したけど、誰をどの孤児院に行かせるかと悩む必要もなく五人纏めて引き取ってくれるらしくて安心した。

「往診してくださった医療師さま曰く入院治療までは必要ないそうですが、栄養剤等の投薬は必要なようです。改めてそちらの孤児院のかかりつけ医に診察して貰ってください」
「承知いたしました」

入院するほどじゃなかったことだけは幸い。
ただ栄養失調なのは確かだから相応の治療は必要。
孤児院で預かっている子供の中には似た境遇で預けられた子も居るだろうから言わなくても分かってるだろうけど。





「一先ず子供たちのことは何とか終わりましたね」
「はい」

孤児の五人を院長に預けた後も書類の調査をしつつ一時預かりの子を迎えに来た両親に状況を説明したりとバタバタ。
一時預かりの子はどこまで知っているのか調べるため聴取だけはしたものの、なるべく負担がかからないよう普段通りに過ごさせて迎えに来た両親に全員を引き渡し終えた。

「フレ伯爵が来たと聞きましたが様子はどうでしたか?」
「資金は伯爵が出していたものの運営自体は夫人が主体で行っていたようで、まさかそんなことをというご様子でした」
「知らなかったと言うことですか?」
「慈善事業の中でも子供に関する孤児院等は夫人に任せる貴族家も珍しくありません。フレ伯爵もそうしていたようです」

夫人を信頼して運営を任せてる家が多いってことか。
領主の夫は夫で様々な仕事を抱えているだろうし、慈善事業の一つを信頼している妻に任せるのは悪いことじゃない。
今回の場合は夫人がろくでもなかっただけで。

「フレ伯爵家はどのような家柄ですか?」
「伯爵を筆頭に長子や二男は人柄もよく優秀な方々ですし、領地経営の他に慈善事業も多く行っていて周囲からの評判もいいです。ですから私も閣下をご案内するのであればフレ伯爵家が運営するこの孤児院が安全だろうと判断したのですが」

ここならと選んだ場所がむしろ問題のある孤児院だったと。

「総領は今までこの孤児院に来たことは?」
「施設の完成を祝う式典に招待された時と今回で二度目です。以前は別の場所で運営していて、そちらには両親や兄妹と一緒に子供の頃からよく訪問していたのですが」
「元は別の場所にあったのですか」

言われてみれば確かに建物自体は新しい。
あの暴力的なご令嬢は総領に惚れてる様子だったし、夫人もそれを知っていたからそれなりに会ったことがあるんだろうとは思ってたけど、新設したこの孤児院ではなく以前の孤児院の時は会う機会も多かったからその過程で惚れられたのか。

「先代が設立した孤児院を引き継ぎ運営しておりましたが、老朽化による建て直し問題が慈善事業拡大のタイミングとも重なったために、待機児童の居る家庭が多いこの地に移転したと聞いております。運営もその際に夫人へ一任したようです」
「なるほど」

夫人が運営するようになってから変わったんだろう。
もし以前から孤児を虐待しているような孤児院だったなら聡いプリエール公爵家の人たちが気付かないとは思えない。
一度目に訪問した完成を祝う式典の頃はまだ夫人以外の人も孤児院に関わる機会が多かっただろうから今のような扱いはしてなかっただろうし、今回が二度目の訪問というなら以前とは変わってしまったことを知らなかったのも納得。

「辛い思いをした孤児のためにも裁判で適正に裁いて貰えるよう証拠集めは続けるとして、とりあえず」

話しながら異空間アイテムボックスに手を入れる。

「総領もお食事がまだなのでは?」

昼前に来てから総領は調査にかかりきり。
俺も子供たちにかかりきりだったから食べていない。

「御無礼を!閣下へお食事をご用意し忘れるなど取り返しのつかない失態をいたしました!こうなれば私の命でお詫びを」
「お気持ちだけ受け取っておきます」

ハッと気付いた様子で青ざめ立ち上がった総領をソファに座らせ直して自分も隣に座る。

「一緒に食事をしましょう?今日は恋人同士のはずなのにそれらしきことは何も出来ておりませんでしたから」

サンドイッチを載せた皿をズイッと目の前にやって見せながら笑顔で言うと、総領はグフッとなって胸を押さえる。
ほんとチョロいな。

「お口に合うか分かりませんがどうぞ召し上がれ」
「お待ちください。この食事は一体誰が用意を」
「私が作りました。毒物は入っておりませんよ?」

そう説明すると総領は両手で顔を隠す。

英雄エローの手料理を賜るなど私の分不相応な醜い願望が如実に現れた夢ではないだろうか。もしくはこの後に訪れる特大の不幸への序章。それでもいい幸せな気持ちのまま殺してくれ」

ブツブツ呪いのように呟く総領。
ここまでからかいがいのある人も珍しい。
面白すぎるだろ。

「現実ですよ?既に口付けもした仲ではないですか」
「く、口付け!?」
「ここに」

パッと両手を下ろした総領に自分の額を指さして教える。

「も、申し訳ございません!私は回復魔法が余り得意ではなくかける際には身体に触っていないと効果が薄いのであの時は緊急事態ということで、ああ!でも思えば既に抱き上げていた時点で触れていたのだから口付ける必要はなかったのでは!」

一人で焦って一人で気付く総領が面白い。
魔力譲渡する時に身体に触れて送るのと同じく(一番早いのは口から直接)、回復魔法も手や額に触れてかける人も居る。
妹のヴィオラ嬢が俺の指に回復をかける時にも手を持って魔法を使っていたように、兄の総領もそうしているんだろう。

「私に口付けた責任をとっていただかないと」

そう言ってニヤリと笑うと皿から一つとったサンドイッチを総領の口許に近付ける。

「私の手作りを食べてくれたら許します」
「光栄で」

俺が口許に寄せているサンドイッチに手を伸ばした総領の手を掴んで止めるとチラリと俺の顔を確認するように見る。

「……このまま?」
「だって今は恋人同士ですから。どうぞ召し上がれ」

そう追加で言った俺に総領は苦笑すると口を開け軽く一口かぶりついた。

「「…………」」

難しい顔でもぐもぐと口を動かす総領。
あれ?苦手な物でも入ってたか?
食べさせたのはハムレタスのサンドイッチなんだけど。

「お口に合いませんでしたか?」

そう聞くと総領は首を横に振る。

「申し訳ございません。あまりの美味しさに驚きました」
「ただのサンドイッチですよ?」
「サンドイッチという名前も初めて耳にしましたが、パンも初めて見るものですし、味も食べたことのない味が」

そういえばアルク国にはまだ食パン文化がないんだった。
この世界のパンと言えばフランスパンのような固さのある丸いパンで、値段が安めの黒パンと少しお高めの白パン。
俺が食パンの作り方を王宮料理人に教えてからというものブークリエ国では割と広まってるから忘れてたけど。

「このパンは私が居た異世界の食パンという種類のパンで、間に具を挟んだこの状態の料理名がサンドイッチです。今総領が召し上がったのは食パンと同じく異世界にあったハムという加工肉とマヨネーズという調味料とレチュを挟んであります」

レチュはレタス。
後はこの世界になかった物を使ったから知らなくて当然。
謎の物ばかりでは手を伸ばし難いだろうから、皿を持って他の卵サンドやハムカツサンドなども指さしつつ説明した。

「つまり異世界の料理ということですね」
「はい」
「貴重なお料理を私がいただいてもよろしいのですか?」
「どうぞ。異空間アイテムボックスにしまっておいた食材で簡単に作れる料理を作っただけで貴重と言われると申し訳ない気分ですが」
「異世界の料理なのですから過言ではありません」

まあそうか。
異世界人が広めない限り食べる機会のない料理だから。
食材は全てこの世界の『最も近いもの』を使ってるけど。

「では頂戴いたします」
「召し上がれ」

両手を組んで食事前(一口食べたけど)の祈りをする総領。
その間に紅茶を淹れてティーカップに注いでおいて、祈りが終わってから二人で遅い時間の昼食を摂った。


「閣下は素晴らしい御方ですね」
「何ですか?急に」
「何でも出来る方なのだと思いまして」

食後の紅茶を飲みながら言った総領に首を傾げる。

「容姿の美しさはもちろんですが内面も慈悲深く、戦ってもお強い。そのうえ料理まで達人とあれば非の打ち所がございません。そのような御方から手料理までいただいて同じ時間を過ごせている今が夢の中なのではないかと疑ってしまうほどに」

苦笑する総領に苦笑で返す。
随分な高評価だけどそんな御大層な存在じゃないのに。

「残念ながら総領の言う私は紛い物です。人前では多くの人が思う英雄像を崩さないよう口調や振る舞いを取り繕っているだけで素の私は威厳も何も無いですし、好みの美男美女からのお誘いであれば喜んで据え膳を戴くようなクズですから」

そう答えた俺に総領はくすりと笑う。

「誰でもそうでは?」
「え?」
「他人に見せる姿は少なからず取り繕った姿と言うのはみな同じかと。稀に誰に対しても取り繕うことをしない常に素の方もおられますが、むしろそういう方は無自覚に場にそぐわない言動をして周囲に迷惑をかけている人であることが殆どです。貴方の脳は話す相手や場の状況を見て言動を弁えるということの出来ない構造になっているのかと問いたくなるほどに」

辛辣。
実際にそういう人と出会ったことがあるんだろうけど、そう話す総領は悪い顔をしている。

「自分を取り繕うことは他人に自分をよく見せたいと言うだけでなく、他人を不快にさせないために出来る気遣いでもあります。取り繕っていない自分を見せるのは心を許せる相手、かつそれを受け入れてくれる者の前だけでよろしいかと」

気遣いか。
たしかにそうだ。
俺が人前では取り繕って英雄らしく振る舞うのも『多くの人々の思う理想の英雄像を崩したくないから』という理由。
それも多くの人への気遣いには違いない。

「では時々裏の悪い顔が見え隠れする総領も私に心を許してくれているということですか?それを私が受け入れると?」
「少し違います。私が閣下に心を許すかどうかなど烏滸がましい話ですので。ただ、他愛もない私如きの裏の顔など笑って受け入れてくださる器の大きな方だろうとは思っております」

そう言って総領は俺の手を取り手の甲に口付ける。
時々頭脳指数のガタ落ちする残念なイケメンではあるけど家柄は国王と血族の公爵家だし、普段の時は気品があって妙に色気のある人でもあるから、あのご令嬢が惚れたのも分かる。
いや、あのご令嬢に限らずモテるだろう。

「あまり恋人のフリの度が過ぎては婚約者に失礼ですね」
「婚約者?閣下のですか?」
「私はおりません」
「私もおりません」
「え?」

今日は雌性の姿だから案内役の総領が俺を連れて来てもおかしくないよう関係性を恋人ということにして振舞ってるけど、設定上とは言え余り親しくし過ぎてはさすがに婚約者に申し訳ないかと思って言うと予想外の返事が返ってくる。

「ああ、既にご結婚なさってるのですか」
「いえ?独身です」
「え?」

婚約者じゃなくて既に夫人かと思えばそれも否定される。

「失礼な質問かも知れませんがご年齢は?」
「22歳になりました」
「同い年」
「そうなのですか。共通点があって光栄です」

いや、そういうことじゃない。
俺も独身だし婚約者も居ないけど、この世界で生まれ育った公爵家の総領(家を継ぐ長男)が22歳でまだ結婚もしていないというだけでなく婚約者も居ないと聞けば驚く。
貴族の中でも特に上級貴族の長男や長女は跡継ぎ問題があるから結婚するのが早いし、成人年齢の15歳になる前から婚約者がいる(婚約発表は大抵が成人後だけど)ことが殆ど。

「……私からすると総領は人格者に見えるのですが、私が知らないだけで婚約者が見つからないほどのマイナス面が?」

貴族ならどんなクズでも婚約者くらい見つかる(むしろ親が見つけてくれる)のに、容姿や家柄もよく仕事面でも優秀でお金持ちな上に若者が学ぶ訓練校に支援しているような人格者に婚約者が居ないなんて、余程の理由がない限り有り得ない。

「私自身に成婚するつもりがございませんので」

驚愕する俺にニコリと笑った総領。

「家督を継ぐのですよね?」
「そうですね。その予定で教育は受けております」
「跡継ぎはどうなさるのですか?」
「姉や弟妹の子供に継がせます」

吃驚。
確かに姉や弟や妹の子供なら総領と同じ血筋だけど。

「ご両親には反対されていないのですか?」
「ええ。両親も納得済みです」

二重に吃驚。
家や領地のため好きでもない相手と成婚することも貴族家に生まれた者の定めと考えている人が多いこの世界で、本人の『成婚しない』という意志を通してくれる親が居るとは。

「もし私がであれば両親も納得しなかったでしょうし、私自身も公爵家の長子として役目を果たしたでしょう」

そう話しながら総領は異空間アイテムボックスを開いて小さなハンドベルを取り出すとそれを鳴らしてテーブルに置く。
部屋にかかったのは防音魔法。

「閣下にはお話ししておきます」
「?」
「私は賢者です」
「……え?」

王家も使っている魔導具を使って何故わざわざ防音をかけたのかと思えばそんな話。

「11歳の時に覚醒いたしました」

総領が使ったのは風と光(聖)の複合魔法。
開いた手のひらの上でキラキラ光る小さな竜巻。
それが弱まり消えると中から睡蓮のような見た目の一輪の白い花が現れ、少し微笑んだ総領は俺にその花を差し出した。

「賢者は天地戦が始まれば死ぬ運命にあります。己の身命を賭して勇者方を魔王の元へと送り届けることこそが最大の役目。ですからそれまでは好きにさせて貰うことにしました」

花を受け取った俺に総領はそう話す。

「存命中に赤い月が昇るとは限りませんから同じ賢者でも成婚して家庭を築いている方も多いのでしょうが、私にはその願望がないので成婚はもちろん婚約もしておりません」
「そういう理由ですか」

公爵家の跡継ぎなのに伴侶や婚約者が居ないのも、それを両親が了承しているのも、総領がと聞けば納得。
天地戦が始まれば死地に向かわなくてはならない息子を、せめて生きている間は自由にさせてあげようという親心だろう。

「?」

口を結んで俺をジッと見る総領に首を傾げて返す。

「女性のお姿の閣下もやはりお美しいですね」
「急ですね」
「不思議と閣下にだけはそう思うので」
「ん?」

俺にだけとは?
再び首を傾げて見せる俺を総領はまだジッと眺める。

「多くの人が美しい可愛らしいと褒める容姿をした人を見ても私にはそれが分からなくて」
「総領が思う美醜が他の人とは違うという話ではなく?」
「性格がいい悪いなどの内面の美醜は分かりますが、容姿だけを見て美しいも醜いも感じたことがありません」

単純に人と好みのタイプが違うという話ではないのか。

「人の顔は認識できていますか?」
「もちろん見えております。ただ、誰を見ても美しいも醜いも思わず、誰かに惹かれたこともないというだけで」

相貌失認かと思えばそうではないようだ。
まあ美醜なんて時代や人によって変わる曖昧なものだけど。

「閣下が初めてです。一目見て美しいと思った方は」

花を持つ俺の手の甲に口付ける総領。
そんな姿を見る俺と目を合わせて口元を笑みで歪ませる。

「私はこの人に出逢うために生まれたと、そう思いました」

まさか。

【ピコン(音)!特殊恩恵〝繋累けいるい〟を手に入れました】
「閣下!?」

中の人の声と同時にズキッと頭痛がして咄嗟に頭を押さえた俺を見た総領は慌てたように声をあげる。

「……大丈夫です。一瞬頭が痛かっただけで」

繋累とは面倒を見なくてはいけない家族のことで、両親や兄弟や妻や子というような間柄の人を表す。
繋ぎ止め縛る、繋がり、心身を拘束(束縛)する煩わしい事柄という意味もある。
後者の意味ならあまりいい特殊恩恵ではない気がするけど。

「念のため医療院に」
「本当に大丈夫です。もう治まりましたし」

心配そうな表情で俺の背中に手を添えている総領。
本当に大丈夫なのかと表情で伝わってきて少し笑う。

「じゃあ念のために魔法検査をかけてみますね」
「そうしてください」

今の痛みは何かを思い出そうとすると毎回なる頭痛。
病が原因じゃないことは分かっているけど、安心させるために自分に魔法検査をかける。

その間も心配そうに見ている総領。
繋累という言葉を聞いてあまりいい出逢いではないんじゃないかと思ったけど、俺に害をなすような人には思えなかった。

「どこにも異常はありませんでした」
「……良かった」

数分で出た検査結果は異常なし。
やっぱり特殊恩恵が解放されたことがあの頭痛の原因だったんだろう。

「ご心配をおかけしました」
「いえ、安心いたしました」

その言葉通り安心した様子を見せる総領。
真剣に心配してくれたことは充分伝わった。

「私が過剰に気にしたことで結果として余分な魔力を使わせてしまって申し訳ございません。私が詳細な魔法検査を行えれば良かったのですが、回復と同じくあまり性能が良くなくて」
「ああ、回復魔法は得意ではないと言ってましたね」
「はい。聖属性レベルも上げてるのですが、攻撃魔法の威力は上がっても回復や魔法検査などの医療系はあまり変わらず」

全属性が使える賢者でも得手不得手はある。
属性によってはレベルが上がり難かったり威力が弱かったり。

「総領は攻撃魔法特化型の賢者なのですね」
「仰る通り」

属性に得手不得手があるように、攻撃魔法が得意な賢者もいれば防御魔法が得意な賢者や医療系魔法が得意な賢者も居る。
総領は攻撃系魔法に特化したタイプの賢者と言うこと。

「……もしかして勇者の子孫だったりしますか?」
「え?」
「この花を創りましたよね?」

頭痛の所為で床に落としてしまった花を拾ってふと思う。
先代勇者は無から武器を創る能力を持っていたらしいけど、総領も俺の目の前で花を創ってみせたから勇者と同じ(似たような)能力を持っているんじゃないかと思って聞いてみた。

「たまたま持っていた種を成長させただけです」
「ん?」
「このように」

テーブルにある花瓶に総領が手を翳すと蕾が花開く。

「成長魔法が使えるのですか?」
「もしや閣下も?」
「私は恩恵ですが、草木を成長させる能力があります」

月の恵みがそれ。
ただ、月の恵みは草木を成長させるだけでなく空気や水や大地を浄化したりする効果もあるからまた別物だろうけど。
総領が使ったのは魔王が以前話していた成長クロワサンスという魔法だろうか。

「実は私のこれも魔法を使ったように見せただけの恩恵です。大地や植物に魔力という栄養を与えて成長させるだけの恩恵ですが、品質改良した種を恩恵を使った大地で育てることで他よりも品質の良いラクの実を作れるようになったのです」
「そういうことですか」

だからプリエール公爵家の果樹園のラクの実は特別なのか。
仮に品質改良した種を流通させたとしても大地に栄養を与えるのは総領にしか出来ないから、全く同じ品質にはならない。

「閣下もお使いになれるということは、ラクの実の契約を改めて練り直さねばなりませんね。閣下が恩恵を使えば私よりも遥かに品質のいいものを作れてしまいますので」

そう話して考え始めた総領にくすりと笑う。

「私のやることは誰かが精魂込めて作ってくれた果物を使った料理を考えることで、ラクの実の果樹園はやりませんよ?プリエール公爵家や総領と協力して互いの耕作地で新たな何かを作るというようなお話しでしたら歓迎ですが」

同じ(似た)能力があっても自分もやるかは話が別。
種ひとつにしたって自分の恩恵を使った大地に合うよう品質改良するなんて才能は俺にはないし。
それは総領や総領に関わる人が優秀だから出来たこと。

「賢者と英雄という何かと隠し事の多い者同士ですが、二人きりの今は本音で話しましょう」

賢者だと正体を明かしてくれたから、改めて。
機密情報の塊ともいえる賢者と英雄は似た者同士。

「私はプリエール公爵家はもちろん総領個人ともよい関係を築きたいと考えております。総領はどうお考えですか?」
「それを聞くのですか?純粋に憧れ慕う者だけでなく、影響力欲しさに英雄と繋がりを持ちたい者も多いと知りながら」

当然それは承知。
英雄の影響力にあやかることが目的で近付く人も多いことは。

「総領は英雄と繋がりを持つことの良い面も悪い面も分かっているでしょうから。親しくしている間は様々な良い面を享受できたとしても、英雄を裏切り嫌われるような真似をすればそれまで得た以上の物を失って目も当てられない状況になると」

最も平穏に生きる方法は『近づかない』こと。
近づかなければ波風も立たない。
俺から得られるものもないけど、失うものもない。

「そうですね。閣下が英雄とだけの方であれば充分な利益を見込めるラクの実の契約だけを結んでそれ以上の繋がりは避けたと思います。近付き過ぎない方がいい相手が居ることも、欲張り過ぎると身を滅ぼすことも理解しておりますので。ただ、閣下が相手となるとそうもいかないようです」

真っ直ぐに目を見て話す総領は俺の顔にそっと触れる。
壊れものに触れるようにそっと。

「英雄と契約を結べるだけでも光栄なことだとは思っておりますが、本音では足りません。商売という仕事上の繋がりだけではなく私個人が閣下とお近付きになりたい。親しくなりたい。分不相応な願いだと分かっていても、それが私の本音です」

これは裏があっての言葉ではなさそう。
アルク国王と同じように、総領と俺の間にも特殊恩恵が解放されるような何かしらの繋がり(縁)があるようだから。

「咎めないのですか?」
「咎める?」
「今日の私の様々な言動は貴族として許されるものではありません。高貴な御方に対して距離感が近いというだけでも非難されて当然の愚行を犯しておきながら、今も懲りもせず軽々しくお顔に触れるなど不敬極まりないことをしておりますので」

触ってるとだけで特に何の意識もしてなかったけど、確かにこれも不敬な行為にあたるのか。
セクハラ的な。

「私が不快に思わなければ不敬な行為にならないのでは?」
「不快ではないと?」
「全く」

壊れものに触る時みたいにおっかなびっくりな触り方をするなと思ったくらいで不快には思わなかった。

「距離感でしたら私の方がおかしいですし。自分が触ることも他人から触られることもあまり意識しないタイプなので。本能的に不快に思う相手や苦手意識のある相手ではない限り」

距離感がバグってるのはむしろ俺の方。
ホストとして働いていれば客から身体のどこかしらに触られることも日常だったし、俺の方から接客の一つとして手を繋いだり髪に触ったり肩を組んだりもしていたから、他人から触られることにも自分が触ることにも抵抗がない。
触られたくないと思う相手は居るし(顔には出さないけど)、自分もベタベタして欲しくなさそうな相手には触らないけど。

「嫌なら避けてます」

総領は客じゃない。
給料が発生する仕事中な訳でもないし、身分も俺の方が上で嫌でも我慢しないといけない相手じゃないんだから、距離感の近さや触られて不快に思っていたら避けてる。

「私は閣下に触れたくて触っておりますが、閣下にとって私は意識するほどの相手ではないだけと知ると虚しいですね。少しくらいは意識して欲しいなど烏滸がましい話ですが」

そう言って総領は苦笑する。

「機会をいただいたので私の本心をお話しいたしましたが、二度と口にはいたしませんのでそこはご安心ください。これでも仕事は仕事、私情は私情と弁えておりますので。不快な言動をしてしまい申し訳ございませんでした」

ハンドベルに手を伸ばした総領の手に手を重ねる。

「誤解がないようこれだけは言っておきますが、距離感が近いことや触れられたことや本心も含め、総領を不快には思っていません。まるで悪いことをしたように謝られても困ります」
「不敬極まりないですし気味が悪いと思わないのですか?」
「気味が悪い?」
「同性から思われても迷惑なのでは」

ああ、そういうことか。

「異世界では私のような人のことをパンセクシャルというのですが、恋愛感情を持ったり性対象となる相手に性別は関係ありません。それが異性でも同性でも両性でも関係なく一個人として好きにもなれば性対象にもなります。ですから総領の本心を聞いても気味が悪いとは一切思っておりません」

異性愛者が異性なら誰でもいい訳じゃないようにパンセクシャルの俺も相手が誰でもいい訳じゃないけど、少なくとも『同性だから』という理由で総領を気味が悪いとは思わない。

「私の好みのタイプは性別問わず美形とだけ。清く正しく美しい英雄の姿を思い描いている人々には申し訳ないですが、実際の私は好みのタイプには弱い容易い男でしかありません」

それが本当の俺の姿。
清くも正しくも美しくもない、下心満載なダメ男。

「つまり美形の総領も私の好みのタイプです」

重ねた手をとって甲に口付けて笑う。
恋愛感情は関係なく好みかどうかで言えば、面白くて優秀で美形でもある総領は間違いなく俺の好みのタイプ。

「光栄です」

俺を見る総領は少し笑い声を洩らすと額に口付けた。
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16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
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新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
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「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

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バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

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