竜の女王

REON

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二章

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「シャルロット!」

当主の片腕に座って王城まで戻ってきたロラ。
ドラゴニュート公爵と戦ったとは思えないほど王城へ来た時と変わらない整った身なりで戻ってきたその姿を見て、無事だったことに安心した甲斐性なしは真っ先に駆け寄った。

「今日はよく行く手を阻まれる日だ」
「今のは当主ではなくワタクシに駆け寄って来たのですわ」

カーラに続いて甲斐性なしも。
尤も甲斐性なしはルールを知る一族の者ではないから怒ってはいないけれど。

「失礼いたします。ファウスト当主、アレニエ公爵夫人。陛下の命により状況報告のご協力を願いに参りました」

膝をついて深く頭を下げたのは近衛騎士。
当主が居るからあくまで
ドラゴニュート一族が守護者として下した裁きに国は介入はしないけど、今回は王家の領域である城の庭園で起きたことと、新成人や親族が多く集まっているデビュタントボールを中断しているだけに、その貴族たちを安心させる材料が必要。

「いいだろう。こちらからも話がある」
「ありがとうございます」

すんなりと進んで近衛騎士はホッとする。
近衛騎士になる前は軍の騎士として魔獣の氾濫や戦に立って当主の強さを間近で見たことがあっただけに、ただ国王からのを伝えるだけでも緊張感が凄かった。

「提と、いや、アレニエ公。お前たちも着いてこい」
「承知しました」

なぜ自分も?
などと気軽に問える相手ではない。
着いて来いと言われたら従うまで。

「当主、少しだけお待ちになって」
「ん?」

ロラは当主の腕からひょいと降りる。

「サシャ」
「はい、奥さま」
「ドラゴニュート公爵から斬られた腕を見せて」
「腕を?承知しました」
「……やっぱり」

肘から先のないサシャの右腕を見たロラは呟く。

「これは死ぬな」
「……え?」

ロラの後ろからヒョイと覗き見た当主の言葉に甲斐性なしは素の声を洩らす。

「アイツは斬ったものを腐敗させる力を持っていた。氾濫した魔獣の討伐には便利な能力だが、今回は人のお前に使ったようだ。竜の力を使うほど怒らせるようなことをしたのか?」

ドラゴニュート公爵の幾つもある能力の中の一つ。
軍に匹敵するというのは誇張ではなく本当に強かった。
ヴァンピール一族の始祖の力とドラゴニュート一族の竜の王の力を持つロラに傷をつけることが出来たくらいには。
尤もその傷も、ロラがインベントリにしまっておいた回復薬で治る程度のものだったけれど。

「サシャは旦那さまを守って盾の魔法を使っただけでしてよ。公爵から旦那さまを人質にとる雑魚ムーブをされて」
「雑魚ムーブ?」
「人を守るはずの守護者が罪のない人を人質にとり喉を掻き切ろうとするなんて愚の骨頂ですわ。雑魚の極みですわ」

言葉が分からず聞いた当主にロラは両腕を胸の前で組んで説明しながらぷくぷく怒る。

「殺しては人質の意味がないだろう。人質ではなくシャルへの警告として夫を殺すつもりだったんじゃないか?」
「……確かに。でもその後人質にとってカーラたちから離れるようワタクシを脅したのですから、やっぱり雑魚ムーブですわ」

サシャが止めたあの時はたしかに人質にするつもりではなかったのかも知れないけれど、そのあとロラを止めるために人質にとったのだから結果は同じこと。
ぷくぷく怒るロラに当主はまた困ったように笑う。

それに驚いたのは周りに居る人たち。
当主が笑ったところなど初めて見たから。
よほど孫娘が可愛いのだろうと心底驚かされた。

甲斐性なしもシャルロットロラに対して複雑な心境。
本当はこのような面を持っていて当主には見せるのかと。
祖父と孫の関係の二人に何をとは自分でも思うけれど。

「当主。ワタクシこのままサシャのことを見捨てて死なせたくありませんの。だから当主の血を分けてくださいませ」
「奥さまっ!」

ロラが何をしようとしているのかハッと気付いたサシャはつい声が大きくなる。

「私のことはお見捨て置きください!」
「駄目よ。貴方は海に沈んだワタクシを命懸けで助けに来てくれた恩人だもの。今度はワタクシが貴方を助けるわ」

竜の王の継承者だから死ななかったけれど、それでも暗い海の中は冷たかったし苦しかった。
自分も無事で居られる可能性は絶対ではなかったのに海に飛び込んで助けてくれた人を、自分の真実の姿という秘密を守るために見捨てるなど出来ない。

ロラの姿に戻れば回復系魔法が使える。
本物の自分であれば失った右腕でも戻してあげられる。
優しく微笑むロラにサシャは深く眉を顰めた。

「要はこの従者の腕を治してやりたいんだな?」
「ええ」
「そうか」

当主はサシャの顔を掴んで口を強引に開くと牙でガリリと噛んだ反対の手の薬指と中指をその口に突っ込む。

「飲め。不老長寿の私の血には再生能力がある」

強引すぎるその行動にサシャが表情を歪めても背の高い当主は上から見下ろしているだけで指を抜かない。

「遠慮せずもっと飲め。シャルを救ったらしい礼だ」

普通の人が血をごくごく飲めるか!
と怒鳴りたい気持ちを堪えるサシャ。

「飲めば腐敗もせず腕も戻ると言うことでしょうか」
「ああ」

サシャが危険なことを聞いて真っ青になっていた甲斐性なしは大きな希望が見えてサシャに詰め寄る。

「サシャ、ご当主のご厚意に甘えて飲むんだ。君はこのようなことで死んでいい人ではない。酒とでも思って飲め」

当主の怪力に捕まえられ甲斐性なしからも詰め寄られ、口に流れこむ血で溺れそうになりながらサシャはもがく。

「どう思いまして?ピート。これは止めるべきかしら」
「血を飲んで治るのならばこのままでよろしいかと」
「サシャはとっても嫌そうですけれど……まあそうね」

三人の様子を眺めるロラとピート。
治るならば我慢しろという結論で落ち着いた。

「ゴホッ」

当主が指を抜くとサシャは咳き込む。
ヴァンピールでもないのに何をしてくれてるのかと涙目で数回咳き込んでいると右腕の先がムズムズしてくる。

「!?」

なんとも言えないその感触のあと、植物が土から生えてきた時のように失われていた腕の先がニュっと生えた。

「おお。素晴らしい。本当に再生した」

一緒に見ていた近衛騎士や守衛たちも驚く。

「良かった。治って良かった」

甲斐性なしも元に戻ったサシャの腕を掴んで喜ぶ。

それは正しくの力。
ヴァンピールも心核さえ壊れなければ再生する。
元あったそのままの形に。
当主が不老なのはこの再生能力が関係しているのかとロラは納得した。

「貴重なお力でお救いくださり心より感謝申し上げます」
「主人の私からも同じく感謝申し上げます」
「シャルの恩人だと言うから血をやっただけだ。そうでなければ自分の血を分け与えるなどしない。感謝は不要だ」

跪いて深く頭を下げるサシャと甲斐性なしに当主は興味もなさげに言うとロラを抱き上げる。

「サシャを救ってくださってありがとうございます」
「しっかり感謝しろ。これは貸しだ」
「ふふ。この借りは必ずお返しいたしますわ」

他の人の感謝には興味がないけれどロラは別。
頬に口付けたロラと微笑む当主の仲睦まじいその様子に、見ていた人々はただただ驚かされるばかりだった。

「近衛騎士さま、お待たせしてごめんなさいね」
「滅相もないことでございます。人命を優先するのは当然のこと。公爵夫人の深い思いやりの心に敬服いたします」

王命を受け迎えに来ていた近衛騎士に詫びたロラへ、近衛騎士はもちろん守衛たちも胸に手を当てて深く頭を下げた。


案内されたのはダンスフロアの隣に位置する王家の控え室。
控え室に入ったのは当主とロラと甲斐性なし。
従者のサシャとピートは部屋の前で待機。

「よく来てくれた。三人ともこちらにかけてくれ」

ロラを抱いたまま入って来た当主に国王と王妃をはじめ集まっていた城仕えたちも少し驚いたものの、当主の王家への無礼など今更のことだけに誰も触れることもなく流される。

「騒ぎを起こした首謀者は誰か分かっているのだろう?」

そう話しながら当主は国王と王妃が座っている対面のソファにロラを抱いたまま座り、甲斐性なしは丁寧に頭を下げてから当主の脚にあたらないよう座れる範囲にちょこんと座る。

「ああ。異常を感知したカメラが記録をおさめていた。ドラゴニュート公爵家の嫡子フランと末子カーラ嬢、そしてアレニエ公爵夫人ともう一人、夫人の従者だろう男性の姿が」

城のあらゆるところに仕掛けられているカメラは異常を感知すると証拠として映像を記録するようになっている。
だから誰が騒ぎを起こしたのかはすぐに分かる。

「分かっているなら説明は不要だろう」
「いや、それが途中からは映像が映っていなかった」
「途中から?」
「アレニエ公爵や守衛たちが退避するまでの様子は映っていたのだが、ドラゴニュート公爵家の四人とアレニエ公爵夫人がその場に残ったあとの映像を最後に途切れた」

映っていたのはそこまで。
だからその先に何が起きたのかは国王たちにも分からない。

「……ああ、シャルの仕業だろうな」
ワタクシですの?カメラを壊してなどおりませんわ」
「お前の魔力は量も質も異常だ。城で使われている最高級のものでも異常を感知できる範囲を超えて壊れたのだろう」
「まあ、脆いのですね。ワタクシが原因なら弁償いたしますわ」
「そんなものは私が払ってやる。シャルは気にするな」

仲睦まじい祖父と孫の会話。
けれど聞いていた国王たちは『やはり』と頭が痛い。
城に設置してある感知器はドラゴニュート一族の竜の力や魔法にも耐えられる代物だったのに、シャルロットはそれ以上の力の持ち主だと言うことなのだから。

「結論から言おう」

当主は胸から出した勲章をテーブルに置く。
その勲章はドラゴニュート公爵のもの。

「王家の領域で騒動を起こしたドラゴニュート公爵家の者たちは当主の私が守護者として制裁した。よって今後ドラゴニュート公爵家は残された本家の者であるシャルロットが継ぐ」

それを聞いて集まっている人々はザワザワする。
ドラゴニュート一族の当主自らが本家の者を制裁したということと、突然の世代交代に。

「確かにアレニエ公爵夫人はドラゴニュート公爵と第一夫人の間に誕生した正統な後継者。第二継承者だった夫人が公爵家を継ぐことは当然の流れではあるが、アレニエ公爵と成婚して嫁いだ夫人にドラゴニュート公爵家を継がせるということは、夫妻で別の公爵家を名乗ることになるのだぞ?」

アレニエ公爵とドラゴニュート公爵。
どちらも公爵家の主人となるのだから、シャルロットの名前もアレニエではなくドラゴニュートに戻ることになる。
それを分かっていて言っているのかと国王が改めて説明するのも当然のこと。

「今後シャルには当主の私とともに守護者の務めを果たして貰う。それがドラゴニュートに生まれた者の宿命だ」

当主が話したのは甲斐性なしに対して。
この場に甲斐性なしも同席させたのはこの話をするため。

「お前が娶った者は愛らしいだけの令嬢ではない。この星に生きる生命の規律を正す者として主神より力を賜った守護者だ。人々を襲う魔獣はもちろん例え人であっても制裁を与える。守護者としての妻を受け入れられなければ離縁しろ」

今までのシャルロットは愛らしい公爵夫人。
甲斐性なしの知らないところで黒(有罪)の魂をひっそり制裁していたけれど、あくまでアレニエ公爵邸の中の人物だけ。
ただ、今後ドラゴニュート公爵になれば他のドラゴニュートと共に戦に立って戦うことになる。

「離縁しろとはさすがに可哀想では」
「ほう。では貴様は守護者の妻を受け入れられない夫に寄り添いシャルには役割をさせるなと言うのだな?公爵が居なくなりシャルも役割を果たさなければこの国は魔獣の氾濫で滅ぶことになるが、それを望むなら叶えてやろう。我らドラゴニュート一族が役割を果たすのはこの国でなくとも構わない」

甲斐性なしに同情的な王妃に当主はピシャリ。

「守護者が重んじるのは主神より賜った役割を果たすこと。ドラゴニュートと知りながら娶ったに関わらず、後になって守護者の妻を受け入れられないと揺らぐような夫なら離縁しろと言うのも当然だろう。守護者を娶る器ではない」

普通の令嬢と思い娶ったなら受け入れられないとなっても致し方ないとしても、守護者一族の令嬢と知りながら娶り戸惑う様子を見せる甲斐性なしが当主は気に入らなかった。
一族の当主としてはもちろん、互いのためにも『受け入れられないなら離縁しろ』と迫るのは当然のこと。

「王妃が軽率なことを口走りすまなかった。ドラゴニュート一族が守護者として危機の最前線に立ち役割を果たしてくれているからこそ、この王国が平和で民も安全に暮らせていることは承知している。私情で語ったことを許してほしい」

当人の王妃はもちろん国王や城仕えも頭を下げる。
守護者が何より重んじるのは自分たちに与えられた宿命であることも、そのためなら冷徹になれることも知っている。
お蔭で危険地帯のここに建国できたことを王家の者は特に忘れないよう語り継いで来たのだから、役割を最優先に考えた当主の言葉を否定するような同情心を口にした王妃の失態。

「当主。ワタクシも早急だと思いますわ?旦那さまも今の今聞かされたばかりで困惑しているでしょうに、唐突に離縁だ何だと迫られても可哀想と王妃陛下が思われるのも当然かと」
「もちろん重要なことなのだから考える時間くらいやる。この場で受け入れるか離縁するか決断しろとは言っていない」

深刻な空気の中で口を開いたのはロラ。
思っていても黙るところをつい口にしてしまったことは失態ではあるけれど、王妃が同情する気持ちは分かるから。
当主もそれに対して怒ることもなく答える。

「それならよろしいですけれど。当事者のワタクシですら公爵家を継がせる話など初耳でしてよ?まずワタクシに話すべきでは?」
「公爵も第一継承者の嫡子も居なくなったのだから、言わずとも第二継承者のシャルが襲爵するのは当然のことだ」
「当主が公爵に返り咲けばよろしいかと」
「断る」
「貴族の務めを押しつけたいだけではなくて?……もし?都合の悪い時だけ聞こえないフリをしないでくださいませ。強さしか興味がないその脳筋はいかがなものかと思いますわ」

図星らしく返事をせず明後日を見ている当主にぷくりとして耳を引っ張り苦情を訴えるロラ。
今まで見たことのない当主の様子や平然と当主へ物申すロラにみんな唖然とする。

「分かった分かった。だが私は過去に一度公爵を経て退いた者なのだから次に公爵を継ぐのはシャルだ。シャルが継がないならドラゴニュート公爵家は今日が最後になる」

それは困る。
公爵の爵位が当主と王家の繋がりであって、それがなければ当主が他国に行こうと何をしようと自由になってしまう。
当主がこの地を去れば一族もこの地を出て行くだろう。
王家としてそれだけは何としても止めたい。

「当主がそれほど嫌がるのでしたら継ぎますけれど、ワタクシにばかり貴族のお務めを押しつけないでくださいませ。守護者の役割を果たす時間はワタクシにも必要なのですから。公爵家のお務めに関しては二人で協力して行くということでよろしくて?」
「ああ。約束しよう」

シャルロットの額に口付ける当主。
国の防衛を担うドラゴニュート公爵家がなくなるという事態は免れて国王たちはホッとした。

「旦那さま」
「うん」
「家督を継ぐことは予想外でしたけれど、今回能力を使って家族を制裁すると決めた時から、今後はドラゴニュートに生まれた者として守護者の役割を果たすつもりでおりました」

今まで竜の力を持っていることは話しても力は見せていなかったけれど、黒(有罪)に染まったシャルロットの家族の魂を裁くと決めた時から、今までのように力を隠すことはせず守護者の役割を果たして行こうと考えていた。

星は変わってもロラはどこまでも守護者。
守護者として生きることが当然のことになっている。
魂に刻まれた宿命は消えない。

「守護者のワタクシはそうでも、守護者のやることに思うところがある方が殆どでしょう。その感情は間違っておりません。命を奪う者を受け入れられないのは、旦那さまが命を奪うことを正しいと思えないから。ワタクシも守護者でなければ命を奪う者を悪と考えていたと思いますわ。でも旦那さま、この世には必要悪というものがあるのです。人の命を左右してしまう誰もが嫌がることをやらなければならない者が存在するのです」

話して聞かせながらシャルロットは甲斐性なしの手に手のひらを重ねる。

ワタクシは主神より守護者の宿命を賜ったドラゴニュート。旦那さまから愛されるため神に背き役割を放棄するなど出来ません。誰かがやらねば主神が愛する生命が失われるというなら、ワタクシは幾らでも戦い血に汚れますわ。ですから旦那さま、美しく愛らしい妻をお望みでしたら離縁いたしましょう。そして次は真に美しく愛らしい方と幸せになってくださいませ」

それがロラの本心。
例えシャルロットが甲斐性なしと離縁したくないとしても、守護者の宿命を持つ自分も守護者としてしか生きられない。
戦場に立ち返り血に汚れる妻の姿を受け入れられない者に我慢を強いることは甲斐性なしのためにもならない。
どちらに傾くのか分からない魂だからこそ。

ワタクシはこのままドラゴニュート公爵邸に参ります。公爵たちは制裁を受けて亡くなったと突然言われても屋敷の使用人たちは混乱するでしょうから。落ち着くまでに数ヶ月はかかると思いますから、その間にゆっくり考えてくださいませ」

話は終わったとばかりに当主が立ち上がると腕に抱えられているロラの手も甲斐性なしから離れる。

「シャルロット!」

名前を呼んだものの甲斐性なしは言葉に詰まる。
あまりにも突然に色々なことを知りすぎて、まだ自分の気持ちも整理がついていなかった。

「……すまない。すぐに答えられない不甲斐ない夫で」
「ふふ。なぜ謝りますの?旦那さまに生い立ちを偽っていたのはワタクシの方ですのに。今ここで離縁と言われてもおかしくないのに悩むということは、それだけ旦那さまがワタクシのことを真摯に考えてくださってる証拠。謝る必要などありませんわ」

そう言ってロラはクスクス笑った。

「アレニエ公爵夫人。襲爵して新たなドラゴニュート公爵となる覚悟は決まったということでよろしいか?」
「はい、陛下。恐れ多くもこのような高い位置から一国の太陽を見下ろす形になっている御無礼をお許しください」
「構わんよ。むしろドラゴニュート一族から謝罪をされたのは初めてだ。貴重な経験に感謝しよう」
「一族の者が申し訳ございません」

当主が立っているから王家を見下ろす形になっていることを詫びるロラに国王は笑う。

「悩んだ末の決断は君たちがすることだが、夫妻が別々の爵位を持ち別々の名を名乗ることになっても離縁しなければならない法律はないとだけ言っておこう。これから何かと大変だろうが、若き公爵夫妻とドラゴニュート公爵家の発展を願う」
「ありがとうございます。尽力してまいります」

ドレスを少し摘んだロラは国王にふわりと微笑んだ。

    
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