竜の女王

REON

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二章

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第二夫人が乗り込んで来て一ヶ月。
クリスの屋敷の使用人は全員本家での雇用手続きが済み、クリス自身も母親と絶縁することを正式に国から認められ手続きも済ませた上で、弟妹を連れて本家に引越してきた。

「ファウスト当主、ドラゴニュート公爵閣下へご挨拶いたします。カイ・ミラージュ・ドラゴニュートと申します」

第二夫人の次男カイ。
鉄紺色の髪と唐紅色の虹彩をした九歳の少年。
しっかりとしたボウアンドスクレープで挨拶をする。

「れあ・とぱず・どらごにゅーとともうしましゅ」
「ん"ん"ッッッ」

第二夫人の長女レア。
濃紺色の髪と茜色の虹彩をした四歳の少女。
小さな手でスカートを掴みカーテシーをしながら挨拶をしたレアの愛らしさに口元を隠して悶えるロラ。

破・壊・力!
大賞ですわ!優勝ですわ!
弟妹の可愛さが突き抜けていて大勝利ですわ!

愛らしく美しい顔には柔らかい微笑みを浮かべたまま脳内でスタンディングオベーションするロラを隣から眺める当主。
何やら声が聞こえたような気がするけれど、と。

「カイ、レア。本家へようこそ。こちらの方が貴方たちの祖父にあたるファウスト当主、ワタクシが貴方たちの姉にあたる新ドラゴニュート公爵のシャルロットですわ」

子供に対しても慣れた仕草で美しくカーテシーをするロラ。
祖父と言っても六百年以上も生きている祖父が二人にとってと表せばいいのかもう分からないけれど。
そんなことを思うロラとロラの隣に居る当主を見上げているカイとレアはぽかんとしている。

「ゆきのくにのお姫しゃま?」
「ンフッ」

舌ったらずな言葉とちょこんと首を傾げたレアの可愛さに素の声が漏れてしまうロラを当主や使用人は苦笑した。

「これからこの御屋敷で一緒に暮らす貴方たちを混乱させてしまわないよう、先にお話ししておきますわね」

ロラは二人の前にしゃがむとそう前置きする。

「見ての通り今のワタクシの姿は小柄で髪と瞳の色もプラチナですけれど、ドラゴニュートの力を使うと姿形が変わりますの」
「当主のように変身能力をお持ちなのですか?」
「あら。よく勉強しているのね。偉いわ」

質問したカイはロラから褒められて表情に出てしまいそうな嬉しさを隠しつつも頬を染める。

「当主のように竜にはなれませんけれど、背は今よりも高くなって、当主と同じ漆黒の髪と真紅の瞳に変わりますわ。クリスお兄さまはその姿でもお会いしたからご存知ですけれど、別人のように見えてもどちらもワタクシですから怖がらないで欲しいの」

今の肉体はシャルロットで魂はロラ。
血を飲んだ時の肉体と魂はロラ。
どちらも自分。

二人に付き添っているクリスは見上げてくる二人に真実だと教えるために頷く。

「承知しました」
「しましゅた」

兄が言うなら本当なんだろうと信じて二人は頷く。
カイとレアにとって兄のクリスは唯一信頼できる人物。
自分たちを大切にしてくれている大好きな兄。

「私の髪と瞳の色を覚えておけ。黒髪赤目と言われるドラゴニュートの中でも私と全く同じ色の者はシャルしかいない。別の色をした者がシャルを名乗っても着いて行かないようにな」
「承知しました!」
「し、しましゅた!」

当主の声を初めて聞いてビクッとしたものの、すぐに二人は元気な声で返事をかえした。

「馬車で来て疲れたでしょう?お部屋でゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
「ありがとうございましゅ」

優しい笑みで言ったロラに二人はホッとする。
本家はドラゴニュート一族の中でも特別な場所で二人は初めて来たし、当主に会うのも初めてだからずっと緊張していた。

「クリスお兄さま、お願いね」
「承知いたしました」

血縁で言えば妹でも、この屋敷の主人はロラ。
何より当主に次いで身分が高いのはドラゴニュート公爵になったロラなのだから、クリスもロラ(シャルロット)を妹ではなく敬う相手の公爵として対応している。





「ぼ、僕が一人でこの部屋を使っていいんですか?」
「ああ。公爵閣下がカイのために用意してくださったんだ」

本家屋敷と繋がる別館の二階にある広い部屋。
兄のクリスからカイの好むものを聞いてロラが揃えた。

「……こんなによくしていただいて良いのでしょうか。僕は兄さまのように強いドラゴニュートじゃないのに」

兄は父の次男でドラゴニュートとしても強い。
だから兄が当主や新公爵から本家で暮らす許可を貰えたことには納得できたけれど、自分は兄に着いて来ただけの邪魔者。

「カイはまだ九歳じゃないか。ドラゴニュートの力を使いこなせなくてもおかしくない。それにカイは武の才を持っているだろう?私などあっという間に追い越されてしまうよ」

レアを抱いているクリスは苦笑する。
すっかり自信をなくしてしまっているな、と。
これも母上の負の遺産だ。

「あ、そうだ。カイに家庭教師がつくよ」
「え……僕に?」
「そう。レアにも女性の家庭教師がつく」
「わたしにも?」
「うん」

クリスから話を聞いて驚くカイとレア。
二人は公爵家に有るまじき『高いから』という馬鹿な理由で家庭教師をつけてもらえず、クリスが代わりに勉強も技術もマナーも教えてきたけれど、本家ではカイにもレアにも年齢に合わせた教育ができる家庭教師をつけてもらえることになった。

「当主は私たちを自分の孫として。公爵閣下は私たちを自分の兄妹として未来のことまで考えてくださってる。だから二人はこれから勉強や技術を教わって強くなれるし、マナーだって教わって立派な紳士淑女になれるよ」

それを聞いてぐずぐずと泣くカイ。
母上が当主や新公爵に無礼なことをしたと聞いていたから、自分やレアはこれからその償いのために行って酷い扱いを受けることになるだろうと覚悟して来たのに、好きな物が揃った広い部屋があるし、家庭教師までつけてもらえるなんて。

「さあ。隣のレアの部屋も見に行こう」
「はい!」

付き添っているカイとレアの侍従や侍女もにっこり。
父親と死に別れ、母親からも引き離されて大丈夫なのかと心配していたけれど、本家に来たことでむしろ高待遇を受けられるようになったのだからこれで良かったのだと。

「きゃああああ!」

カイの部屋の隣はレアの部屋。
クリスが扉を開けた部屋を見てレアは叫び声をあげる。

「かわいい!かわいいお部屋!」

クリスが降ろすとレアは一目散に駆け出す。

「お人形もぬいぐるみもいっぱい!大きなクマしゃん!」

ベッドの上に並べられているぬいぐるみの中でも別格に大きなクマを見て嬉しそうにギューッと抱きつくレア。

「そのぬいぐるみは公爵閣下が作ってくださったんだ」
「え?公爵閣下が縫い物をするのですか?」
「しゅごーい!」

貴族夫人の縫い物と言えば刺繍。
淑女の嗜みとして華やかなそれだけはするものの、それ以外の縫い物に関しては使用人の仕事。
それなのにロラ(シャルロット)が作ったと聞き二人は驚く。

「魔法でね」
「魔法を使えるのですか」
「ああ。公爵閣下は天才だよ。呼吸をすることと変わらないのではないかと思うほど簡単に魔法を使う。それでなくとも魔法使いは貴重な存在だと言うのに凄すぎて困ってしまうよ」

ほーっと感心するカイ。
兄が苦笑してしまうほどに凄いのかと。

「カイさまやレアさまのお部屋の家具をセットしてくださったのもご当主と公爵閣下なのですよ。ご当主は組み立て前でも重さのあるタンスやベッドを軽々と担いで運んでおりましたし、公爵閣下は大人の男性が数人がかりで動かすような物を魔法を使って指を動かすだけで移動させていて驚きました」

レアの侍女とカイの侍従も二人の部屋の準備をすると言うことで本家に来ていたけれど、やったことと言えば人形やぬいぐるみをベッドの上に並べたり壁に飾りをつけたりしただけ。
それ以外は怪力と魔法で着々とセットをする二人をポカンと見ていることしか出来なかった。

「もう分かっただろう?当主と公爵閣下はカイとレアを心から歓迎してくれてる。母上が無礼を働いたというのに長子の私すらも。二人ももう母上の時のように顔色を伺って我慢する必要はないんだ。ドラゴニュート一族として自信を持ちなさい」

抱きついて泣く弟妹を優しく抱きしめるクリス。
誰に何を言われても母上と縁を切って良かった。
浪費癖が酷くて父上からも見放されていた母など必要ない。
二人が幸せになるにはこの選択が最善だった。





「ようやく一段落したな」
「ぐったりですわ」

急な襲爵で忙しくなるのは最初から分かっていたものの、家令や執事が居ないから屋敷のことと同時進行で領地のことも自分たちでやらなくてはいけなかったし、様々な手続きもクリスに協力を得ながら三人で何とか終わらせ今日を迎えた。

ソファに座って背もたれに添えた両手に項垂れるロラ。
対面のソファでだらりと横になっている当主。
戦うことには長けた二人も事務仕事にはぐったり。
身体を動かしている方がよほど楽。

「午後からは第三夫人が来るのだったな」
「ええ。行く前にご挨拶をと」

前公爵のもう一人の夫人。
五日ほど前に報せが届いて、今日屋敷を出るからその前に挨拶をさせてほしいという内容が書かれていた。

「同じ夫人でも第三夫人だけは毛色が違うな」
「そうね。華やかで気の強い女性はお母さまと第二夫人でお腹一杯だったのではないかしら。第三夫人の元にはよく足を運んでいたようですし、寵愛は彼女にあったのでしょう」

報せを出した一週間後、第三夫人から丁寧な手紙が届いた。
あまりに突然のことに気持ちの整理がつかず返事が遅れてしまったことを詫びる文章から始まり、当主とロラが考えて出した第三夫人への遺留分については過分すぎるために辞退したいという旨のことも。

ワタクシにとってはシャルロット嬢を虐げていたろくでなしでも、第三夫人にとっては愛する人だったのでしょうね。真実は知らないまま美しい思い出として残してあげたいと思いますわ」

第二夫人やクリスには制裁された理由を話したけれど、挨拶に来たとしても第三夫人には話さないつもりでいる。
愛する夫がドラゴニュートの権力を使って罪のない人を傷つけたり命を奪うこともあったと知れば絶望してしまうのではないかと思うから。

「私が死んだらロラは泣いてくれるか?」
「……はい?」
「二十歳で不老長寿の能力が発現してから六百年以上の刻を生きてきて、いつの間にか生死に疎くなっていた」

突然何をと顔をあげたロラの方は見ず当主は言葉を続ける。

「私の後に生まれた者も私より先に死んで行く。最も付き合いの長い王家ですら現国王で十二人目だ。初代とは酒を酌み交わすこともあったが、今となってはもう名前も知らない」

当主は六百十八歳。
これがテネブルなら何百年何千年と生きるヴァンピール族が居るから珍しくないけれど、ルミエールでは当主のみ。
長寿は守護者の特性の一つだからドラゴニュート族も他の種族よりは長く生きるものの、当主のように老いもせず六百年以上も生きられる者などいない。

「名前を覚えてもどうせ居なくなる。関わりを持ってもどうせ居なくなる。だから誰が生まれようと死のうと興味がない」

たった一人だけの不老長寿。
ヒトはよく永遠の若さや永遠の命を欲しがるけれど、当主からすれば愚かだと思う。
いつしか生きることの楽しみがなくなるというのに。

「幾ら待っても自分より強い者は現れず、生きるも死ぬも興味のないまま守護者の役割を果たすためだけに生きていた。守護者でありながら世界の終わりを望んでしまうほどに」

きっと周りに同じ長さの刻を生きられる人が居れば、当主もこれほど生死に疎くなることはなかったのだろう。
同じ守護者で長寿のヴァンピール族が居るテネブルで生きていればきっと。

「じゃあ当主はワタクシが死んでも泣かないのかしら」
「どうだろうな。ただ、胸は痛むだろう。ロラが居なくなった世界を生きる意味などないと絶望するだろう。その時に私は真の意味で破壊竜となって世界を滅ぼすのではないだろうか」

それを聞いてロラは立ち上がると当主が横になっているソファに行って唇に人差し指をあてる。

「愛が重いですわ」

涙を零すよりも重い感情表現。
自分が居なくなった世界に絶望して滅ぼすなど重すぎる愛。
破壊のドラゴニュートらしいけれど。

「困りましたわ。当主が愛おしくてキスして差し上げたいのですけれど、今の肉体はシャルロット嬢ですの」

口付けたいけれど出来ない。
シャルロットの肉体の時には甲斐性なしの妻として貞操は守ると決めているから。

「飲め」

当主は身体を起こすと飲みやすいよう身体を近づける。
その筋の浮き出た首筋に誘われてロラは自然と出た牙でがぶりと噛み付いた。

喉を鳴らしながら血を飲むロラ。
前回飲んだ時には五日ほどで戻ってそれ以来飲んでいなかったけれど、久しぶりのご馳走。
ヴァンピールのロラにとっては豪華な食事の感覚。

「血の味のする口付けとは奇妙な気分だ」
「ふふ。ご自身の血の味でしてよ」

ロラの姿になって早速重なった唇は血の味。
一度目はそう言ったけれど、そのあとは無言。
互いの粘膜を感じ合う方に優先順位が傾いた。

どのくらいそうしていたのか。
扉をノックする音が聞こえてきて重なっていた唇が離れる。

「はい」
「クリスです。二人の案内が終わりました」

扉の外に居るのはクリス。
カイとレアの案内を終えた報告に来た。

「少しお待ちになって」

話しながらインベントリから着替えを出すロラ。
シャルロットの肉体に合わせて作られている衣装では収まりきれない胸が溢れてしまっていて、動くたびにぽよぽよと揺れるそれを目の前で見せられている当主はタイミングが悪いと思いつつ、形のよいそれに軽く口付けた。

「どうぞ」
「失礼いたします」

執務室の中でそんなことが起きていることなど知らないクリスはロラが許可を出すと扉を開ける。

「あ」

姿が変わっていたロラを見て声を漏らしたクリス。
衣装も先程とはガラリと変わっていて、当主が後ろに立ってコルセットスカートの紐を結んであげているところだった。

「お待たせしてごめんなさいね。姿が変わって先ほどまでの衣装では合わずに着替えていたところでしたの」
「失礼いたしました。タイミングが悪くて」
「ふふ。タイミングが悪かったのはワタクシの方ですわ」

黒のブラウスに黒のコルセットスカート。
ブラウスのボタンが弾けるのではと思うほどのボリューム。
コルセットで胸から下が絞められていることもあって胸の大きさがなおさら強調されている

いや、妹になにを。
このひと月でプラチナ色の髪と瞳のシャルロットの姿は見慣れたのに、最初に会った時のこの姿にはドキドキしてしまう。
姿は違えど妹なのにしっかりしろとクリスは自分を戒めた。

「特定の能力を使うと姿が変わるとお聞きしましたが、今の間に力を使うようなことがあったのですか?」
「いいえ?当主と相談して、カイやレアにこの姿も見せておくことにしましたの。あれほど純粋で愛らしい子たちですもの。ワタクシを名乗る別人から誘拐されたら大変ですわ」

本当は口付けるために血を飲んだのだけれど、こちらの姿も見せておいた方がいいのではないかと思ったことも本当。
当主も自分の色を覚えさせ騙されないよう忠告したけれど、九歳と四歳の子供ではころりと騙されてしまうかもしれない。
口の上手い悪い大人も居るのだから。

「弟妹を気遣ってくださったのですね。私も改めて二人には言って聞かせますが、お気遣い心より感謝申し上げます」

嬉しそうにお礼を言ったクリスに胸が痛むロラ。
ごめんなさいクリスお兄さま、ワタクシが宿った今の妹さまは嘘つきですの。

「母との絶縁が認められて手続きも済んだと言ったな」
「はい。当主が口添えしてくださったお蔭で異例の早さで承認されました。改めて、ありがとうございます」

当主が指さした対面のソファに座りながら説明するクリス。
縁を切るのが親子となると本当に絶縁する必要があるかを調べるために一年以上かかることも珍しくないし、そこまで待っても認められないことの方が多い。

ただ、クリスはドラゴニュート公爵家の子息。
多額の遺産が入るとあって浪費家の母親に使われてしまう可能性が高く、親子関係を切ることで母親が遺産に手を付けられない状況を作る必要があると、当主が直接国王に話した。

一ヶ月もかからず承認されたのはそのため。
同時にクリスとカイとレアの身元引受人の手続きも済んだ。

「こちらを読んでサインしてくださる?」

クリスの隣に座ったロラは書類とペンをテーブルに置く。

「拝見します」

何かしらの手続き書類かと思って手にとったクリスは、目を通したかと思えばすぐに顔をあげる。

「これは」
「お前に分配される遺産だ。絶縁の手続きが済んだら渡すつもりで事前に用意しておいた」

書類の内容はクリスに分配される遺産について。
多額の現金だけでなく、土地や伯爵の爵位まで。
辞退した内容以上の遺産になっている。

「まだ幼く、母親とも絶縁していない弟妹には物事が理解できる歳になって渡すが、お前は既に自立した一人の男だ。金や身分が必要になる時もあるだろう。渡した遺産を溶かすも事業で増やすも自由。自分の責任で自分のために使え」

当主から言われてクリスは涙を零す。
母が起こした愚行の償いのために全ての遺産相続を辞退したはずなのに、自分だけでなく弟妹にまで。

「……ありがとうございます」

それを言うだけでも声を振り絞って。
自分を一人の自立した男と認めてくれたことに、母が遺産に手をつけられないよう手続きが終わるまで待って新たに用意してくれたことに、弟妹のことまで考えてくれていることに。
それが嬉しくて涙を堪えることが出来なかった。

「これからクリスお兄さまは母を捨てた息子として後ろ指をさされることがあるかもしれません。でも、お兄さまの選択は正しかったのですから堂々としていてくださいませ。誇り高い守護者のドラゴニュート一族なのですから」

クリスの手に手のひらを重ねたロラ。
事情を知らない人の中には面白おかしくクリスを言う者も居るだろうけれど、自分が後ろ指をさされることになろうとも弟妹の幸せを第一に考えて選択をしたクリスを誇りに思う。

「ありがとう、シャルロット。情けない兄ですまない」
「ふふ。クリスお兄さまは立派な方でしてよ?」

初めてシャルロットの名前を呼んだクリス。
それは紛れもなく兄と妹の会話。
くすくすと笑いながらハンカチで涙を拭ってあげるロラと、泣いたことを恥じらう兄の仲睦まじい姿に当主は苦笑した。
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