復讐するならストーカーの彼とともにやり遂げましょう。憎しみの連鎖にはお気をつけて

園田美栞

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小山が…

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「ぐ…」

どさりと音がし、三人が物音の方を見ると小山が血を流して倒れていた。

「きゃぁ…」

佳代子の悲鳴が響き渡った。葵にしがみ付き震えている。

「「仁!」」二人の男の声が重なり、黒井が彼の元へ駆け寄った。

「…」

意識はあるが、お腹を抑えている手から血が流れていた。

「てめぇ…」

黒井は一人の人物を睨みそう言った。正面に立っていたのは結衣だった。

「よくもひどい目に合わせてくれたわね」

結衣はナイフを持って立っていた。そこからは血がしたたり落ちている。

「佳代子を渡してくれればそれでいいの。私どうしても欲しいもの。今まで何が何でも手に入れたけど満足なんてしなかった。…そう、その男もそうよ」

結衣は亮介を見下すような目つきで言った。気絶して倒れていた亮介は状況が分からないまま、よろめきながら立ち上がった。

「来ないで!」

結衣は真正面に立つ亮介に向かって言った。冷たい目つきで言う結衣に全く何が起きてるのか分からず亮介は戸惑っていた。

「なぁ?いくら何があっても…マジで刺したのか?」

落ち着かせようと結衣の元へ

「亮介は私の駒だったのよ。もうその役はおしまいね」

「は?」

「わからないの?そりゃそうよね?今までいいように利用されていたんだから。私にとって貴方も結局は邪魔なの。貴方のとろさに人数が増えたじゃない。葵君も結局殺せなかったんでしょう?」

「それは…」

「2回もチャンスを与えたのにね。どこで何をしていたの?」

「…」

「ほんと男って使い物にならない。私、手なんて汚したくなかったのに。これじゃ愛せないじゃない。亮介に罪を擦り付ければ別だけど」

フフフと笑う結衣に「落ち着け」と亮介は近寄った。

「うるさい!」

結衣はそう言いながら手に持っているものを振り回した。

「がぁ…」

案の定亮介は手首を抑え膝まづいた。それを見るとフフッと奇妙な笑いをし三人の元へ近づいてくる。

「やめろ!」

亮介が大声を上げた。それを無視して歩み寄る結衣は緊張して動けづにいる黒井の首元に刃物を当てた。

「あなたもおしまいね。こんなところに来なければよかったのにね」

全身の血の気が引き動けない。手には汗を握り身体は震える。

「どう?私の味方になる?そうすれば助けてあげてもいいんだけど?」

小刻みに震える黒井はちらりと葵たちを見た。怯えて葵を盾に顔を背け彼の肩をがっしりと掴んでいる佳代子、その為に動けずにいる彼だった。今ここで目の前の女をどうにかしなければ彼らたちが危険な目に合う。どうしようか?震える手を握りしめた。だが全く体が動かない。

「応え早く出さないの?」

結衣はタイムリミットというばかりに手を振り上げた。キラリとした物が夕日で反射して光って見える。
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