自衛隊のロボット乗りは大変です。~頑張れ若年陸曹~

ハの字

文字の大きさ
10 / 344
第二話「正体不明の敵に対する自衛隊の対処法について」

困惑の第三師団

しおりを挟む
諸元
・三○式人型歩行戦車
形式番号:Tk-7
分類:第三世代AMW
所属:日本陸上自衛隊
製造:五つ星重工
生産形態:量産機
全高:七.三メートル
全備重量:約六トン
動力源:スーパーバッテリー
武装:十口径百二十ミリ砲「短筒」
   高振動ナイフ
   対装甲炸薬ナイフ
   多目的アンカー「スラッシャー」
   対電子兵装テイザーガン
   他、オプション多数
乗員:1~2名

日本の最新国産主力AMW。
陸上自衛隊が運用するAMWとしては二代目となる。
正式名称は、日本ではAMW=歩行戦車という位置づけになっているため、それまでの主力戦車と同じ名称の定め方がされているが、もっぱら型式番号であるTk-7(ティケェセブン)と呼ばれることが多い。
軽く、素早く、高火力をコンセプトにしている。
また、オプション装備が非常に充実しており、高拡張性を誇る。

『pekepediaより』

 ***

 あの後、技本へと送られた残骸の調査結果が来るまでの数週間。陸上自衛隊沖縄方面第三師団、通称「第三狂ってる師団」では、日夜、安久と宇佐美が遭遇した新型と思われる未確認AMWの正体に関する推測と、次に現れた場合の対応策について議論が重ねられていた。

 例えば、機士科の自衛官たちが自由食堂(持ち込み可、出される献立も多数なので自由)で顔を合わせると、

「だから、安久が言ってたように装甲が固くても関節フレームの強度はそれほどでもないんだから、裸締めにしてメインカメラをだな!」

 と、握り飯を持った腕を交差させてジェスチャーをする筋肉漢がいれば、

「そこまで接近するのにどうする! 相手はこっちの装甲を熱したバターナイフでマーガリンを切ってホットケーキに乗せちまう切れ味の近接格闘武器を所持してるんだぞ!」

 こんな風にな! と一人がパンケーキにナイフをぶっ刺して口に放り込みながら反応し、連鎖して反対側でどんぶりを抱えた大柄なマッチョマンが、

「だったら複数でかかればいいだろ! ケミカルドッキングで最も脆く、そして最重要部である股関節を圧し折ってやるんだよ!」

 その為にも体力つけるぞ! と牛丼を掻っ込み、更にそれを後ろで聞いていた別の隊員が

「馬鹿野郎! それじゃあ相手も二機いねぇとダメじゃねぇか! タッグマッチで正々堂々と挑むしかないってことだぞ!」

 沖縄本島がリングだ! とホットドッグをマイク代わりに握り締めて叫び、ケチャップとマスタードをぶにゅるると飛び出させる。
 このような風景が駐屯地のそこかしこで見られ、施設内をざわつかせていた。

 格納庫の技術スタッフ、整備班に至っては、特に秘匿も隠蔽もされていなかったため、少し失礼して収めた写真を見ていた。そして、やれ「明らかにモータや駆動部がない」「人工筋肉にしても動力用パイプの面積がない」「そも、これは本当に機械なのか」など、やいのやいのと大盛り上がり。

 果てには、Tk-7に収められていた映像記録を確認して、明らかに質量保存の法則を無視した光る刀剣の展開や、それを受けた二番機の損傷具合に、空を飛んで逃げたという情報を含めて議論をヒートアップさせた。

「つ、遂に宇宙人が侵攻してきやがったんだ……アメリカではなくこのジャパーンに!!」
「ノーン!!」
「急いで技本に議論結果をまとめて送るんだ、光線銃でも用意してもらわなきゃTk-7に勝ち目はないぞ!」
「光子魚雷もだ!」

 と半狂乱で騒ぎ出し、その議論内容を周囲に流布しまくって大騒ぎした。
 そして、AMW模擬演習で筋肉バスターを繰り出して演習機の股関節を損傷させた隊員らにキャメルクラッチを食らわせて制裁したばかりの部隊長に、しこたま怒鳴りつけられた上で

「私たちは会議室をエイリアン映画のシアター会場として私物化しました」という看板を首から下げさせられ、罰として格納庫の大掃除をさせられた。

 それらの騒動の結果。

「お、俺達が相手するのは宇宙から来た悪の帝国ニッポホロビーロン将軍だって話だけど……マジかな? 今からでも必殺技とか考えといたほうが良いか?」

「どうしよう……比乃、私、宇宙人の急所は知らない……どこを吹き飛ばせば死ぬの?」

 などと、若干一般常識に欠ける二人が、同年代にしては常識的な同僚にこのような相談を持ち掛け、その同僚、比乃を大いに悩ませることになった。

「……あのね、二人とも、僕も昔はそういう本を読んだり、映画を見たりして、それと戦うヒーローとか、英雄に憧れたりもしたよ? でも現実にはいないの、宇宙生命体は少なくともこの銀河系にはNASAとかの発表だと微生物レベルがいたらいいかもねってくらいで、突然悪の宇宙帝王が日本をピンポイントで攻めてくることはないよ。で、頭とか心臓じゃなくて手足を吹き飛ばさないと死なないクリーチャーも存在しないの、僕たちが相手するのはあくまでも生きてる人間なんだよ。だからいつも通り、何も怖くないって、だからさぁ……」

 比乃は子供を諭すようにそこまで早口で言ってから、自身の左右を交互に見て

「自分達の部屋の布団で寝てくれない?」

 シングルベッドの上、自分の両脇を固める同僚二人に告げた。
 ちなみに、現在時刻は夜一二時である。

 傍から見れば、見た目はよいショタとロリの三人組が寄り添って寝ている可愛らしい状況にも見えるが、ベッドの主からすればただ迷惑なだけだった。

   部屋が隣の志度はともかく、心視に至っては、女性宿舎から抜け出してきていた。
   事が発覚すれば厳重注意物だが、そんなこと御構い無しである。

「い、いやだってさ……比乃がそう言ってるだけで実はいるかもしれないしさ……」

「人間なら殺し方は分かるけど……知らない生き物はちょっと……」

「こわい」とハモってひしと比乃の身体にしがみ付く。三人揃って小柄なので、ベッドから落ちる心配などはないが、それでもやはり窮屈であるし、心視は所々感触が柔らかくて困るし、志度に掴まれている部位がミシミシ言っていて非常に困る。

 もはや説得は不可能だと悟った比乃は、溜息を一つ付いて天井の見上げて

「……宇佐美さんと剛、ちゃんとやってるかなぁ」

 と、技本へと情報提供のため出張した、一応ちゃんとした大人の同僚二人を思って現実逃避したのだった。

 この日からしばらく、毎晩のように寝床に侵入してくる二人に、眠れるまで何か話してくれと懇願され、夜の朗読会を強要されたり、二人がかりで関節技をかけられたりと、比乃は寝苦しい夜を過ごすはめになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

処理中です...